ドナルド・トランプ米大統領とイーロン・マスク氏の決裂に、国内外から注目が集まっている。
アメリカの予算案にブチギレたマスク氏。きっかけは、政府が進めている支出の見直し案だ。
大規模な債務上限の引き上げが盛り込まれており、 マスク氏は「将来世代に借金を押しつけるものだ」として激しく非難した。

マスク氏はXに次々とポスト。

「もう無理だ。我慢できない。とんでもなく巨大で、無駄遣いだらけの歳出法案は、心底おぞましい。賛成票を入れた議員たちは恥を知れ。自分たちが間違っているとわかっているはずだ」
「5兆ドルの債務上限の引き上げには反対だ。減税という部分に限ってはいたって賛成だから、債務上限を別個に採決するならばこの『大きいがまだ美しくない法案』を支持するが……」
債務の引き上げに関しては、共和党からも否定派の意見がみられる。
マイク・ジョンソン下院議長(共和党)が「昨夜イーロンに電話したが、出なかった」と6月4日にコメント。
▼ トランプ氏の2013年の発言
「共和党が債務上限を引き上げるなんて信じられない。 私は共和党員だが、正直、恥ずかしい!」
▼ マスク氏の引用コメント
「こんなこと言ってたよね?」
「上院議員に電話しろ。下院議員にもだ。アメリカを破産させるなんて、絶対ダメだ! KILL THE BILL(この法案を潰せ)」
「イーロンはこの法案の中身を誰よりもよく理解していたし、最初はなんの文句も言ってなかった」
「それが、急に怒り出した。なぜかって? EV(電気自動車)の税制優遇を削る必要があるって知ったからだよ。あれには何十億ドルもかかるからね」
マスク氏は「国の未来」のためではなく、「自社の業績」のために怒っているとトランプ氏は指摘した。今回の決別騒動で、マスク氏がCEOを務めるテスラ社の株価は下落している。
マスク氏は、さらに反論。

2024年の大統領選に言及「俺がいなかったら、トランプは選挙に負けていた」

「恩知らずにもほどがある」

あんなに手を取り合っていた2人の確執には、世間も口出しせざるを得ないようだ。
「『自分がいなきゃトランプは負けてた』って発言はトランプをブチギレさせるだろうね」

「ケンカは家の中でやってくれ」

「予算を節約する簡単な方法は、イーロンが受けている政府の補助金と契約を全部切ることだ。何十億ドルも浮くぞ。バイデンがやらなかったのが不思議なくらいだ!」
「明らかな大嘘。悲しいね」とマスク氏は返信した。

マスク氏は、トランプ氏の弾劾を訴える投稿や、エプスタイン・ファイル(複数の少女らに対する性的虐待罪に問われ、獄中で自死したとされる実業家ジェフリー・エドワード・エプスタインの事件に関する文書)の非公開部分に名前が載っていたという根拠のない主張を削除した。
また、州兵を派遣したトランプ氏の判断を支持する動きも見せている。
これまでの発言を撤回したり、新たに歩み寄りを見せる投稿をしたりはしていないが、両者の関係がまた変化するかもしれない。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:香川 晴彦