Nashornからsaiへの移行
概要
LastaFluteでNashornを使ってるところ
Java組み込みのJavaScriptエンジン Nashorn というものがあります。
LastaFluteでは、以下の状況で使っています。
- LastaFlute向けのFreegen
- LastaDocやRemoteApigenで使っている (JSONの書き出しなど)
- Lasta Di の Di xml
- 複雑なスクリプト表現で使っている
NashornがJava15から外された
ですが、その Nashorn が Java15 より外されて、デフォルトでは利用できません。
(なので、Java15以上の環境で、Freegenを実行したり、Lasta Di を起動したりすると落ちます)
Nashornをforkしたsaiが登場
Nashornをforkした sai というライブラリが利用できます。
saiはJava11でコンパイルされているので、Java11以降の環境であれば利用できます。 (Java8の環境の場合は、そもそもsaiを利用する必要がありません)
Freegen環境のsai移行
以下のような流れで移行できます。
- DBFlute を 1.2.4 以上にアップグレードする
- sai の jarファイルたちをダウンロードする
- extlib に sai の jarファイルたちを配置する
DBFlute-1.2.4より sai を有効に
DBFlute-1.2.4 より、クラスパスに sai が存在すれば sai を利用するようにしました。
なので、まずはDBFluteを最新版にアップグレードをしましょう。
sai の jarファイルたちをダウンロード
まず、sai-0.2.0においては、全部で6つのjarファイルのダウンロードが必要です。
- asm-7.1.jar
- asm-analysis-7.1.jar
- asm-commons-7.1.jar
- asm-tree-7.1.jar
- asm-util-7.1.jar
- sai-0.2.0.jar
もし、DBFlute-1.2.5 patch 2021/08/29 以降なら
saiタスクを使って移行できます。
manageタスクの 31 (sai) を実行して jarファイルたちをextlibにダウンロードしましょう。
これで終了です。Freegenを実行できます。
もし、手作業ダウンロードなら
mvnrepository のサイトに、jarファイルへのダウンロードリンク (Files の jar) が貼られていますので、そこからそれぞれダウンロードすることができます。
- asm
- https://mvnrepository.com/artifact/org.ow2.asm/asm/7.1
- asm-analysis
- https://mvnrepository.com/artifact/org.ow2.asm/asm-analysis/7.1
- asm-commons
- https://mvnrepository.com/artifact/org.ow2.asm/asm-commons/7.1
- asm-tree
- https://mvnrepository.com/artifact/org.ow2.asm/asm-tree/7.1
- asm-util
- https://mvnrepository.com/artifact/org.ow2.asm/asm-util/7.1
- sai
- https://mvnrepository.com/artifact/org.codelibs/sai/0.2.0
もし、Mavenのcopy-dependenciesなら
バージョン合わせてのダウンロードが面倒だと思われる方は、Mavenなどのビルドツールを一時的に利用してダウンロードする方法でも良いでしょう。 (jfluteはいつもこうしてます)
例えば Maven であれば、pom.xmlにsaiのdependencyを追加して...
e.g. pom.xmlにsaiのdependencyを追加 @Xml
<dependencies>
...
<dependency>
<groupId>org.codelibs</groupId>
<artifactId>sai</artifactId>
<version>0.2.0</version>
</dependency>
...
</dependencies>
copy-dependencies を実行すると、(デフォルトであれば)target/dependency配下にjarファイルがダウンロードされます。
e.g. 依存ライブラリをすべてダウンロードするMavenコマンド @Command
mvn dependency:copy-dependencies
※ちなみに、「そもそも DBFlute Engine に組み込めば?」と思われるかもですが、ライセンス的に組み込めません。
DBFluteクライアントのextlibに配置
DBFlute Engineの実行クラスパスにjarファイルを追加することのできる "DBFluteクライアントの extlib ディレクトリ" に、sai のjarファイルたちを配置します。
e.g. DBFluteクライアントの extlib に sai を配置 @Directory
dbflute_maihamadb
|-dfprop
|-...
|-extlib
| |-asm-7.1.jar
| |-asm-analysis-7.1.jar
| |-asm-commons-7.1.jar
| |-asm-tree-7.1.jar
| |-asm-util-7.1.jar
| |-sai-0.2.0.jar
|-...
|-log
これにて、LastaFluteのFreegenは、saiを使って実行するようになります。
DBFlute Engineのソースコードで関連するクラスは、DfFrgJavaScriptJsonEngineです。
jarをgitにコミットするかしないか?
どちらも大丈夫です。プロジェクトの都合に合わせましょう。
- gitにコミットする
- 他の人は配置作業せずにFreegenが実行できる
- gitignoreにする
- 他の人もダウンロードして配置する必要あるが、gitは軽くなる
_project.shでJava11指定にした方が良い?
もし、MacOSのPCでJava8も同時にインストールされている環境であれば、_project.sh の設定次第でJava8が優先利用されてsaiが動かない可能性があります。(saiはJava11)
そのときは、_project.sh の JAVA_HOME の設定を変更すると良いでしょう。
DBFluteをアップグレードできない場合
どうしてもDBFluteをアップグレードできない場合は、Nashornのjarファイルたちをextlibに配置すると動くかもしれません。 (ただ、試したことはないです)
Lasta Diのsai移行
いま起動しても落ちないのであれば?
まず、Java15以降でLastaFluteのプロジェクトを起動して落ちていないのであれば、ひとまず移行はしなくても良いかもしれません。
Lasta Di の新しいバージョンでは、Lasta Di内部で使っている Di xml では、JavaScript表現を使わないように修正されています。 なので、アプリケーションの中の Di xml でJavaScript表現を使わない限り sai を入れる必要はありません。
Di xmlは起動時にすべて読み込まれますから、起動して落ちていないということはアプリケーションでも使っていない可能性が高いです。 そもそも、Di xml でJavaScript表現を使うことは稀です。
いま起動で落ちるのであれば?
まずは、Lasta Di (LastaFlute) を最新版にアップグレードしましょう。
先の通り、Lasta Di の新しいバージョンでは、内部の Di xml でJavaScript表現を使わないようにしているので、アップグレードするだけで解決するかもしれません。
アップグレードしても落ちる(アプリでJavaScript表現を使っている)、もしくは、アップグレードがどうしてもできないのでれば、saiを入れましょう。
saiを依存ライブラリに追加
例えば Maven であれば、pom.xmlにsaiのdependencyを追加します。
e.g. pom.xmlにsaiのdependencyを追加 @Xml
<!-- javascript engine (instead of nashorn)
you can get the jar files including dependencies by mvn dependency:copy-dependencies
-->
<dependencies>
<dependency>
<groupId>org.codelibs</groupId>
<artifactId>sai</artifactId>
<version>0.2.0</version>
</dependency>
</dependencies>
lasta_di.properties に sai を設定
Lasta Di-0.8.5 (LastaFlute-1.2.2) 以降なら
クラスパスに sai があれば sai を利用するので、lasta_di.properties の設定は不要です。
Lasta Di-0.8.4 (LastaFlute-1.2.1) までなら
lasta_di.properties に、dixml.script.managed.engine.nameプロパティを追加して、sai を設定しましょう。
e.g. lasta_di.properties に sai を設定 @Xml
# name of engine managed by Lasta Di for script on Di xml
dixml.script.managed.engine.name = sai
これにて Lasta Di は、JavaScript表現が必要なときに sai を使うようになります。
Lasta Diのソースコードで関連するクラスは、JavaScriptExpressionEngineです。
もしかしたら、将来の Lasta Di では、この properties の設定をしなくてもデフォルトで sai を使うようになるかもしれません。 (sai あれば使う、なければ Nashorn を探す、というようなロジックにするかも。ただ、どのみちMavenやgradleなどの依存ライブラリには追加しないといけません)
念のため、ライセンスに注目
Sai は The gNU general Public License ("CLASSPATH" EXCEPTION) です。
いわゆる gPL に "CLASSPATH" EXCEPTION が付いています。 開発しているアプリケーションの配布形式など、ライセンスが適合するか確認するようにしてください。
(DBFluteクライアントのextlibに関しては、DBFlute Engineも含めてまるごと配布するようなアプリでなければ、特に問題はないと思われます。 また、Lasta Diのクラスパスに関しては、アプリケーションのwarファイルをまるごと配布するようなアプリでなければ、特に問題はないと思われます。ただ、アプリケーション側で確認はして、自己責任で判断してください)
ASMは 3-Clause BSD License です。