サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
ブラックフライデー
karapaia.com
人間が自然の中に生活圏を広げていくことで、その都市に馴染むための「新たなペット」が生まれつつある。 アメリカのアーカンソー大学の研究者たちは、都市で暮らすアライグマの体に変化が現れていることに気づいた。 鼻先が短くなって丸顔になり、攻撃性も低下しているという。 これは「家畜化症候群」と呼ばれる現象で、人間のそばで暮らすうちに野生のアライグマが少しずつ適応を始めた兆しだと考えられている。 かつてオオカミが犬へと変わったように、アライグマもまた、人間と共に生きる道を歩み始めているのかもしれない。 この研究成果は『Frontiers in Zoology』誌(2025年10月2日付)に掲載された。 アメリカの都市部に住むアライグマの変化 アライグマ(Procyon lotor)は北アメリカ原産の中型哺乳類で、パンダのような黒いマスク模様の顔と縞のある太い尻尾が特徴だ。体長はおよそ40〜60cm、
対話型AIが最も得意とする言語は何か。多くの人は英語や中国語を思い浮かべるかもしれない。実際にインターネット上ではこの2つの言語の情報が多く、ChatGPTやGoogleのGeminiなど、主要なAIモデルの性能を支えているのもこれらの言語だ。 しかし、2025年に発表された26言語を調査した国際研究によると、最もAIが理解しやすい言語は英語でも中国語でもなかった。 トップに立ったのは、意外にもポーランド語で、英語は6位、中国語は21位にとどまった。言語の構造がAIの理解力に大きく影響していたのだ。 ちなみに日本語は15位という結果だった。では詳しく見ていこう。 26言語でAIの理解度を比較 アメリカのメリーランド大学、マイクロソフト、マサチューセッツ大学アマースト校の研究チームは、対話型AIがどの言語を最も理解しやすいのかを調べるために、「ワンルーラー」と呼ばれる新しい評価テスト(ベンチ
イギリスの研究チームは、人間の手に「予知触覚」と呼ばれる新たな感覚があることを突き止めた。 これは、実際に触れる前に物体の存在を感じ取る能力で、人間の手に隠されていた未知の感覚だ。 実験では、砂の中に埋められた立方体を、指で砂をなぞるだけで察知できることが確認された。 この能力は、シギなどの鳥類が砂の下の獲物を見つける仕組みに似ており、人間の中にも眠っていた言わば「第7の感覚」である。 この研究成果は『IEEE International Conference on Development and Learning(ICDL)』(2025年10月21日付)で発表された。 人間が持っていた第七の感覚「予知触覚」 クイーン・メアリー・ロンドン大学とユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームは、人間の手が実際に触れずに物体を感じ取る能力を持つことを発見した。 科学者たちはこれまで、人間の感覚
宇宙は現実ではなく、誰かが作った仮想世界であり、私たちはその中に生きている。この考え方は「シミュレーション仮説」と呼ばれ、一部の研究者たちが支持してきた。だが、それは本当なのだろうか。 カナダを中心とする国際研究チームが、この問題を数学的に分析した。 その結果、宇宙はコンピュータのように決められたアルゴリズム(手順)だけで動いているわけではないことが分かった。つまり、宇宙の仕組みはどんな計算でも完全に再現することができず、プログラムでは説明できない現実の世界であると数学的に証明されたのだ。 この研究成果は学術誌 『Journal of Holography Applications in Physics』誌に掲載された。 宇宙の仕組みを量子重力理論で検証 シミュレーション仮説とは、私たちが現実だと思っているこの世界が、実は高度な文明によって作られたコンピュータシミュレーションの中に存在して
夜の散歩を日課にしている女性は、1週間以上前に公園で1匹の猫に出会った。以来女性が通るたびにその猫は女性をストーキングするようになったという。 女性はひとしきり猫と遊ぶと公園を去っていたのだが、その日はあいにくの雨だった。散歩をどうしようか迷った女性だが、猫のことが気になり公園を訪れることに。 するとその猫はベンチの下でうずくまり、びしょぬれになりながらも女性が来るのを待っていたのだ。 その日以来、猫は二度とびしょぬれになることはなかった。この女性が家族として迎え入れたのだ。 これもある意味NNN(ねこねこネットワーク)、海外で言うところのCDS(猫流通システム)の関与が疑われている。 猫にロックオンされた女性、同じ時間に公園でストーキング Redditユーザー「Evanessa」さんは、毎晩決まった時間に散歩するのが日課だ。午後8時に立ち寄る公園で、ある日一匹の野良猫と出会った。 すると
地球の足元で、今まさにプレートが壊れ始めている。アメリカ・ルイジアナ州立大学の研究チームが、太平洋岸北西部の地下で「沈み込み帯」が自ら裂けていく瞬間を世界で初めて観測した。 沈み込み帯とは、地震や火山を引き起こすプレート同士の境界であり、地球の表面を再生し続ける仕組みの一部だ。 その「地球のエンジン」ともいえる構造が、今まさに止まりかけている。 地震観測と地下イメージングの結果から、海の底のプレートが少しずつ断片化し、小さなマイクロプレートを生み出しながら崩壊していることが明らかになった。 地球を動かす仕組み「プレート」と「沈み込み帯」 地球の表面は、十数枚の巨大な岩の板「プレート」がつぎはぎのように組み合わさってできている。 これらのプレートは地球内部の高温なマントル(どろどろに溶けた岩石層)の流れに押されてゆっくり動いており、この動きを「プレートテクトニクス」と呼ぶ。 プレート同士がぶ
本格的な科学的調査を開始 さて、一般に「ラット・ホール」つまり「ネズミの穴」と呼ばれているこのオブジェクトだが、地元の人たちはネズミではなく、リスだと考えていたらしい。 だが、尻尾の部分がリスというよりもどう見てもネズミだったこともあり、SNSでは「ネズミがたたきつけられた痕」として広まってしまっていたのだ。 この画像を大きなサイズで見るsecret.chicago そこでテネシー大学とニューヨーク工科大学の研究者たちが、この穴の正体を突き止めようと科学的な調査を開始した。 残念ながら、実際にラット・ホールが刻まれたコンクリート板は、撤去されて市庁舎で保存されているため、現物を使った調査はできなかった。 そこで研究者らは、写真に写ったコインをスケールとして用い、合計25枚の写真から、ラット・ホールのサイズを算出。 この過程で得た測定値をもとに、鼻から尾までの長さ、足の大きさ、頭の幅といった
AIは今や、インターネット上のあらゆる場所に入り込んでいる。もしもAIたちが、SNSで人間のように「いいね」や人気を競い合ったらどうなるのか? アメリカのスタンフォード大学の研究チームは、AIに「いいね」やシェア数といったSNS上での反応を「成功」として報酬を与える実験を行った。 その結果、AIは事実をでっち上げ、誤情報をまき散らし、人々を煽るような行動を取るようになることが明らかになった。 「いいね」のためなら手段を選ばず、まるでサイコパスのように振る舞い始めたのだ。 SNSで競うAIたちが見せた恐ろしい一面 スタンフォード大学の科学者たちは、AIモデルをさまざまな環境に放ち、どのような行動変化が起きるかを調べた。 実験では、SNSを含む複数のオンライン環境で、AIに「成果を上げると報酬を与える」という条件を設定した。 たとえば、SNSでは「いいね」やコメント数などの反応が報酬に、販売で
何匹かの猫と暮らしたことのある人なら、きっと感じているだろう。猫にはそれぞれ個性がある。気ままなタイプもいれば、少し臆病な子、常に甘えてくる子もいる。 どんな性格の猫であっても、長く一緒に過ごすうちに、飼い主は深い愛情を覚える。そしてそれは人間だけではない。猫の側にも、愛着や信頼の気持ちが芽生えているという。 近年の研究で、猫と人の間には脳の中で共通して働く化学反応があることがわかってきた。鍵を握るのは愛情ホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」だ。 オキシトシンとは何か オキシトシンは脳の視床下部で作られ、下垂体から分泌されるホルモンである。母親が赤ん坊を抱くときや、親しい人と抱き合うときに分泌され、信頼や安心感を生み出す働きを持っている。 このため「愛情ホルモン」や「絆ホルモン」と呼ばれている。 オキシトシンが増えると、ストレスホルモンであるコルチゾールが減少し、副交感神経(休息や消化を促
スマートフォンのカレンダーを1582年10月に戻してみると、10月4日の次がいきなり15日になっている。10日分の日付が、まるごと存在しないのだ。 試しにやってみたところ、私のiPhoneのカレンダーもそうだった。 これはバグでも、Appleの遊び心でもない。実際にその10日間はこの世から消えたのだ。 いったい何が起きていたのか?その理由に迫っていこう。 1582年、世界から10日が消えた 1582年10月、ヨーロッパの人々は奇妙な朝を迎えた。10月4日の夜に眠りについたのに、翌朝のカレンダーは10月15日になっていた。つまり、10月5日から14日までの10日間がまるごと消えていたのだ。 実はこれ、これは「グレゴリオ暦」への改暦によるものだった。それまでヨーロッパでは、紀元前45年にローマのユリウス・カエサルが定めた「ユリウス暦」を使っていた。 ユリウス暦暦は4年ごとにうるう年を設ける単純
イングランド南西部、波と風に削られた断崖が続くジュラシック・コーストで、2001年、地元の化石収集家がきわめて保存状態の良い海生爬虫類の化石を発見した。 この標本は、カナダのロイヤル・オンタリオ博物館に収蔵されたものの、長い間調査されないままになっていた。 ところが最近、詳しい分析が行われた結果、それがこれまで知られていなかった魚竜の新属新種であることが明らかになった。 「キフォドラコン・ゴールデンカペンシス(Xiphodracon goldencapensis)」と名付けられたこの化石は、当時の海の生態系や魚竜の進化の過程をひも解く、きわめて重要な手がかりとされている。 この研究成果は『Papers in Palaeontology』誌(2025年10月9日付)に発表された。 立体構造を保ったまま残された魚竜の化石を発見 イングランド南西部、ジュラシック・コーストの断崖「ゴールデン・キャ
蚊は刺されるとかゆいだけでなく、危険なウイルスを媒介して感染症を引き起こす、やっかいな虫だ。できれば関わりたくないが、そんな蚊を週に1億9000万匹も生産する、世界最大の工場がブラジルに登場した。 まるで悪夢のような話に聞こえるかもしれないが、これは深刻化するデング熱を止めるための、最先端の科学的プロジェクトである。 テング熱のウイルスを媒介しない蚊をあえて自然界に放つことで、感染を広げる蚊を少しずつ置き換えていこうという試みが、かつてないスケールで進められているのだ。 ブラジルに誕生した世界最大の“蚊の工場” ブラジル、サンパウロ州にある都市カンピーナスに、世界最大規模の蚊の生産工場が完成した。広さは約1300平方mの敷地内で、研究員たちが週に最大1億9000万匹もの蚊を育て、成虫になったものを自然界に放つ準備をしている。 育てられているのは「ネッタイシマカ」という蚊で、デング熱の主な媒
古くから作られてきたパンの中にはさまざまな製法が存在するが、小石を利用して作る、でこぼこした平たいパンをご存じだろうか。 少なくとも11世紀から作られている伝統的なパンの一つ「サンギャク(Sangak)」は、なんと小石で焼き上げるという。 ペルシャ軍の兵士が起源とされる素朴なパン。その製法や歴史にせまっていこう。 小石で焼ける!歴史あるペルシャ軍発祥のパン 古くは11世紀から、ペルシャ軍発祥とされる歴史あるパンの一つ「サンギャク(Sangak)」は、全粒粉でできた薄く平たい形の素朴なもの。 現代ではイランやアゼルバイジャンの伝統的なパンと紹介されている。別名ナーネ・サンギャク、ペルシャのアーミーブレッド、ぺブルブレッド(小石パン)ともいわれる。 この画像を大きなサイズで見るimage credit:メア通信社, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons 見ためはまさ
北極圏のロシア領、チュクチ海に浮かぶ「コリュチン島」はかつて、ソ連時代に極地研究所があった場所だが、1990年代初頭に放棄され廃墟となった。そこに住み着いたのは、ホッキョクグマたちだ。 ロシア人写真家のバディム・マホロフ(Vadim Makhorov)氏は、2025年晩夏の北極の太陽の下、施設の点在する建物に出入りするクマたちの様子をドローンで撮影した。 人間が勝手に住み、勝手に捨てていった場所だが、気候変動によって海氷が減少し、行き場を失くしたホッキョクグマたちにとって、風や雨をしのげる、ちょうどいい隠れ家となっている。 廃墟となったソ連時代の北極圏研究施設 チュクチ海に浮かぶコリュチン島は、ユーラシア大陸の最東端に位置するチュクチ半島の北岸から、わずか約11kmの距離にある小さな島だ。島の全長は約4.5km、最大幅は1.5kmほどで、北極圏に位置し、周囲を荒れた北極海に囲まれている。
あなたの生まれた順番は?ちなみに私は長女だが、「長女はしっかり者」、「真ん中の子は社交的」、「末っ子は自由奔放」そんなステレオタイプなイメージを一度は耳にしたことがあるだろう。 生まれ順と性格の関係は昔から語られてきたが、いま海外のSNSを中心に注目されているのが「長女症候群(Eldest Daughter Syndrome)」という概念だ。 これは、きょうだいの中で最年長の娘が家庭内で過剰な責任を担い、その影響が大人になっても残るというもので、医療分野でも注目されており、多くの長女たちがTikTokなどで自身の体験を共有し、共感の声が広がっている。 医療機関も注目する「長女症候群」 アメリカの医療機関クリーブランド・クリニックでは、心理学者のケイト・エシュルマン博士が「長女症候群(EDS)」についての見解を示している。 これは正式な診断名ではないが、長女として育った人に共通して見られる性
都会に住むネズミたちは日々進化している。実際には「チューチュー」というよりも、「キューッ、キューッ」といった鳴き声を発するが、それとは別に、人間には聞こえない超音波で、独自の言語で会話し始めたというのだ。 アメリカの研究チームによれば、ニューヨークに住むネズミたちは、社会的な役割分担を持ち、まるで都市の住人のように超音波でコミュニケーションをとり、情報を共有しながら生活しているらしい。 相手を見て声のトーンを変え、演技までするというから、これはもう「ネズミ語」と言っていいのかもしれない。 人間には聞こえない高周波で会話する都会のネズミたち ニューヨーク州ニューヨーク市に拠点を置く研究機関、ベイシス・リサーチ・インスティテュート(Basis Research Institute)の研究チームは、市内の公園、歩道、地下鉄駅などで、ネズミたちの動きと音を詳細に記録した。 すると、人間の耳には聞こ
日本でも利用者が急増している対話型の生成AIサービスは、大規模言語モデルと呼ばれる技術を使って、人間のように会話しながら情報を提供してくれる便利な存在である。 だがその一方で、ユーザーの期待に応えようとしすぎるあまり、もっともらしい嘘の情報を本当のように作り出してしまう「ハルシネーション(幻想)」引き起こすという問題も抱えている。 そんなAIの“幻覚癖”が、あるユーザーの一言で引き起こされた。それは「タツノオトシゴの絵文字を見せて」と尋ねたことで始まった。 ちなみにタツノオトシゴはユニコード(Unicode)には存在しない絵文字である。 存在しないものにどうにか答えようとするAIは、やがて自分の中で矛盾に陥り、混乱し、ついには暴走じみた返答を始めたのだ。 存在しない「タツノオトシゴの絵文字」にAIはどう対応するのか? ユニコード・コンソーシアムは、世界中のコンピューターやスマートフォンで共
生身の盲導犬に代わる新しい選択肢 盲導犬の育成には最大で5万ドル(約740万円)が必要だ。さらに毎日の食事や健康管理の負担があり、寿命があるため、共に過ごせる期間は10年程度だ。 そのため、必要としても手が届かない視覚障がい者が多いのが現実だ。 そこでジョージア工科大学の研究チームは、機械ならではの強みを活かした「ロボット盲導犬」に挑んでいる。 研究チームは、研究の初期段階で視覚障がい者や弱視者の声を集め、理想の条件を調査した。その結果、次のような要望が多く寄せられた。 ・本物の犬に似ていて親しみやすい外見 ・盲導犬であることを示すベストなどの識別サイン ・GPSやBluetoothなどの接続機能 ・音声コマンドを含む複数の操作方法 ・毛皮のようではないが柔らかい質感 ・長持ちするバッテリーと自動充電機能 この画像を大きなサイズで見る試作機を試してもらう Image: Terence Ru
世界には炭鉱の閉鎖や産業の衰退、戦争や災害によって放棄された「ゴーストタウン(廃墟都市)」が数多く存在する。 だが、正式な首都でありながら人が住めなくなったゴーストタウンとなった「ゴースト首都」は、カリブ海に浮かぶイギリス領モントセラト島のプリマスだけだ。 かつて行政と経済の中心地として栄えたが、1997年のスフリエール・ヒルズ火山の大噴火で壊滅的な被害を受け、住民は避難を余儀なくされた。 以来、プリマスは火山灰に埋もれたまま立ち入り制限区域に指定されているが、現在も公式には首都とされている。 「首都」がゴーストタウンとなった島 カリブ海・小アンティル諸島のプエルトリコ南東に、イギリス領の小さな島、モントセラトがある。 現在、イギリスの海外領土は大きく分けて4つの統治形態があり、モントセラトでは「総督」が象徴的な役割しか持たず、民選議会が選んだ党首が行政トップとなって実際の国の運営を行うと
誤情報はいったん多くの人に信じられると抑えるのが難しい。陰謀論は正しいかどうかにかかわらずネズミ算的に広がり、人々の行動を変えてしまう。そして時には暴力行為にまで発展する。 これは現代のSNS時代に限った話ではない。1789年のフランス革命期には「大恐怖」と呼ばれる噂が感染症のようにフランス全土を駆け抜けた。 最新の研究は、この出来事を疫学のモデルで分析し、当時の社会不安がいかにして蜂起へとつながったのかを明らかにした。 過去の事件は、誤情報に揺さぶられる私たちの社会に鋭い警鐘を鳴らしている。 この研究は『Nature』誌(2025年8月27日)に掲載された。 フランス全土を駆け抜けた「大恐怖」の噂 フランス革命の渦中にあった1789年7月20日から8月6日にかけて、フランス各地の農民たちが一斉に動き出した。 発端となったのは「貴族が民衆を飢え死にさせるために食糧を奪っている」という根拠の
地球上のすべての生物は、DNAに記された「遺伝コード」に従って体をつくり、生命活動を維持している。このルールは、生物の種類がどれほど異なっていても基本的に共通している。 ところがイギリスの科学者たちは、あえてその普遍的なルールを書き換え、まったく新しい遺伝コードで動く合成生物を生み出すことに成功した。 彼らが設計したのは、大腸菌の遺伝子を根本から作り替えた「Syn57」と呼ばれる合成株だ。 この生物は、従来すべての生物が使っている64種類の遺伝コードのうち、7種類を使わずに生きている。自然界には存在しない、まさに人工の遺伝ルールで動く合成生物を誕生させたのだ。 この成果は、生命が使用する遺伝情報の仕組みが、人為的に再構成可能であることを示したものである。 この合成生物は、非天然アミノ酸の導入やウイルスへの耐性といった応用の可能性も期待されており、合成生物学の実用化に向けた重要な一歩となる。
2025年2月に紹介した、中国江西省撫州市金渓県の「釘子戸(釘の家)」を覚えているだろうか。 立ち退きを拒否した結果、家の周りに道路ができてしまい、まるで目玉のように見えることから、「金渓(きんけい)の眼」と呼ばれたあの家だ。 どうやらあの家が、ついに無人になったらしい。住人一家は2025年4月、周囲の騒音に耐えられなくなり、近隣の賃貸住宅へと移ったという。 かつて「抵抗の象徴」のように扱われ、観光客まで集めていたあの建物は、草に覆われた空き家へと姿を変えてしまったようだ。 道路の真ん中に取り残されたあの家が廃墟に 「金渓の眼」は、新設された環状道路206号線の、上りと下りの車線の真ん中に取り残された家である。 車道にぐるりと囲まれた異様な景観から、一時は観光名所のように扱われ、SNSでも盛んに拡散された。 この画像を大きなサイズで見る道路建設中の「金渓の眼」。見物人が訪れている。 この家
ボストン・ダイナミクスのアトラスや、テスラのオプティマスといったヒューマノイド(人型ロボット)は、どんどん人間の動きに近づきつつあり、未来がすぐそこまで来ているように思わせる。 しかし、現実の世界で本当に役に立つロボットになるには、大きな欠点がある。 それはAI(人工知能)の頭脳ではなく構造上の問題にあるとSONYのロボット部門が研究パートナーを募る中で指摘した。 この欠陥こそ、ロボット革命を遅らせている最大の原因だという。 ロボットに足りないのは関節、柔軟性 SONYのロボット部門が研究パートナー募集の中で明らかにしたのは、関節の数の少なさによってロボットの動きが大きく制限されているという事実である。 人間や動物は数多くの関節や柔軟な筋肉、腱を使うことで自然な動きを実現しているが、ロボットは金属の骨格と限られた関節しか持たない。 そのために柔軟性がなく、生物との差が生じ、価値を著しく損な
この画像を大きなサイズで見る ペルム紀後期のザンビア、ルアングワ盆地にいた生物たちの予想図/ Image credit:Gabriel Ugueto 約2億5200万年前、地球はかつてない危機に見舞われた。海の生き物の約95%、陸の脊椎動物の約76%が一気に姿を消し、生物の進化は新たな時代へと突入する。「ペルム紀末の大量絶滅(P-T境界)」だ。 恐竜が誕生するよりも前、まだ地球上の陸と海が一つの超大陸「パンゲア」として存在していた時代に、いったい何が起こっていたのか。 この謎に迫るため、アメリカのワシントン大学とフィールド自然史博物館を中心とする国際研究チームががアフリカ・タンザニアとザンビアで17年にわたって化石調査を続けてきた。 彼らが掘り出したのは、絶滅前夜の陸上に広がっていた多様な生態系の痕跡だった。そこには、牙をむく捕食者、土を掘って暮らす草食動物、巨大な両生類といった、今では想
SNSは人と人をつなぐ便利なツールである一方で、意見の対立や分裂を深めてしまう温床でもあるといわれている。だが、そうした問題はSNSの構造にあるのか?人間の本質にあるのか? この疑問を確かめるため、オランダの研究者たちは、500体のAIチャットボットだけを集めて、広告もアルゴリズムも存在しない仮想SNSを構築した。 その中で、AIボットたちがどのように交流し、何を発信するのかを観察するという実験を行った。 すると驚くべきことに、AIボットたちは自らの思想によって仲間を分け合い、反対意見には反発し、やがて自分と似た考えしか受け入れない“偏った世界”を作り始めたのだ。そう、まるで人間と同じように。 この実験は、私たちが日々使っているSNSそのものが、対立を加速させる「装置」になる可能性を示している。 仮想SNSをAIでシミュレーション 実験を行ったのは、オランダ・アムステルダム大学の研究チーム
飛行機が墜落する直前に機体全体を外部エアバッグで包み込み、衝撃を大幅に減らすという新しい安全システムが考案されている。 ドバイの大学に通う学生チームが開発を進める「プロジェクト・リバース」は、AIが高度や速度、エンジンの状態などを監視し、危険が避けられないと判断すると、わずか2秒で外部エアバッグを展開する。 現在は小型試作機とコンピュータシミュレーションの段階だが、衝撃を60%以上減らす結果が得られている。 この構想は、世界の若い発明家が社会の課題解決を競う国際コンペ「ジェームズ・ダイソン・アワード2025」にもエントリーされている。 飛行機の危険をAIが検知し、外部エアバッグを自動展開 このシステムは、飛行機が安全に着陸できないと予測された場合に作動する。 AIはセンサーから集めた高度、速度、進行方向、エンジンの状態、機体の揺れ、外気温などの情報を常に監視している。 危険が迫っていて高度
シーラカンスは、かつて絶滅したと考えられていた古代魚だが、20世紀に現生種が発見され「生きた化石」として知られている。 今回、ブラジルとアメリカの研究チームが現生種アフリカシーラカンスの頭部を詳細に解剖した結果、70年以上信じられてきた進化の定説の多くが誤りだったことが判明した。 最新の解剖学的分析では、脊椎動物の頭の筋肉の進化に関する従来の説明のうち、正しかったのはたったの13%だけであることが明らかになっている。 この発見は、シーラカンスだけでなく、私たち哺乳類を含む脊椎動物全体の頭部進化の理解に影響を与える可能性があるという。 生きた化石シーラカンス シーラカンス目は古代の海で繁栄したが、白亜紀末(約6600万年前)までに絶滅したと考えられ、長らく化石でしか知られていなかった。 その常識が覆されたのは1938年だ。南アフリカ沖でラティメリア・カルムナエ(Latimeria chalu
鮮やかな色彩と造形で知られているクジャクの羽が、実は特定の条件下でレーザー光を放つことができることが、最新の研究で明らかになった。 これは動物の体の構造を利用した「生体レーザー」の最初の例とされ、科学者たちはこの現象のメカニズムを調べることで、新しい光学技術の開発につなげようとしている。 将来的には、医療用の埋め込み型センサーや偽造防止素材など、さまざまな応用が期待されている。 この研究は『Scientific Reports』誌(2025年7月1日付)に掲載された。 クジャクの羽が色鮮やかな秘密 クジャクといえば、大きく広げた尾羽の鮮やかな青や緑の色が特徴だ。しかしその色は、絵の具やインクのような色素でできているわけではない。 羽の表面には、人の目では見えないほど小さな模様が整然と並んでいる。この模様が光を細かく散らし、虹のように色を分けて見せている。 この非常に小さな模様は「ナノ構造」
高さ最大2m。地球で最も標高が高いヒマラヤ山脈に、こんなタワー状の植物が生えていることをご存じだろうか? 標高約4000m以上の低温環境に自生するセイタカダイオウ(Rheum nobile)は、温室に似た構造をもつことから、温室植物とも呼ばれている。 ざっくりいえば、自分の葉を何枚も使って、重要な本体部分をきれいに覆った特殊な姿をしてるのだ。 薄黄色で半透明の苞葉(ほうよう)が、成長に必要な可視光を取り込みつつも、高山の強烈な紫外線や寒風をシャットアウト。 一方で、その奥に潜むたくさんの小さな花が、受粉に役立つ虫を独特な香りで引き寄せるという。 なんとも興味深い植物界のレアタイプ、セイタカダイオウにせまってみよう。 ヒマラヤ山脈に自生。高さ2mにもなるセイタカダイオウ 大型草本植物のセイタカダイオウ(背高大黄/ 学名:Rheum nobile)は、漢方薬の生薬で知られるタデ科ダイオウ(大黄
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『カラパイア』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く