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ブラックフライデー
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昭和の時代、「象が踏んでも壊れない」という筆箱のキャッチコピーが一世を風靡したことがあるが、現代の科学少年が挑んだのは、更に驚異的な強度を持つ「紙」の構造だった。 アメリカ、ニューヨーク市在住の14歳、マイルズ・ウーさんが、折り紙と物理学を融合させ、自分の重さの1万倍以上を支えることができる革新的な折り紙を作成し、見事科学賞を受賞した。 彼がヒントにしたのは、日本人が宇宙開発のために発明した「ミウラ折り」だ。 彼は54種類ものパターンを検証し、厚紙ではなくコピー用紙が最も強いという意外な事実を突き止めた。 その強度は例えるなら「4000頭の象を乗せてられるタクシー」に匹敵する比率だという。 ミウラ折りと宇宙技術の応用 ウーさんが研究の基礎とした「ミウラ折り」とは、日本の宇宙物理学者であり東京大学名誉教授の三浦公亮氏にちなんで名付けられた折り方だ。 もともとは1970年、ロケットに搭載する
買い物に出かけなくても、家に商品が届く「ネット通販」を利用している人は多い。便利ではあるのだが、問題なのは注文した商品に欠陥があった場合だ。 本当に欠陥があった場合は、返品や返金などが認められているが、その制度を悪用した詐欺が、中国で問題となっている。 AIで生成した偽の写真で、果物にカビを生やしたり、マグカップにヒビを入れたり、服にほつれを作ったりと、証拠となる写真を捏造しているのだ。 商品自体を送り返さなくても、証拠写真さえあれば返金してもらえる、中国独特の「返品文化」を悪用した詐欺だ。 ネットショップ運営者は次々と被害を訴え、プラットフォームも対策に乗り出しているが、AIの進化とともに不正は巧妙化している。 中国の通販界隈では「返品」が当たり前? 毎年11月11日は、中国では「独身の日」と呼ばれていて、ネット通販の各ショップでは大々的なセールが行われ、国全体がお祭り騒ぎになるのが恒例
自律バッテリー交換機能で休まず動くWalker S2 フルサイズの人型ロボット、Walker S2 の初公開は2025年7月のこと。中国の主要ロボット企業であり、杭州に拠点を置く UBTECH Robotics の公式デモ動画で明かされた。 人間には到底まねできそうもない奇妙な腕の動きによって、自律バッテリー交換を披露。一躍話題となったヒューマノイドロボットだ。 この画像を大きなサイズで見るimage credit:youtube ホットスワップ式デュアルバッテリーで電池切れを自らカバー UBTECH Robotics 公式によると、ふたたび脚光を浴びたWalker S2 のスペックはざっとこんな感じ。 身長:約1.76 m 重量:約73 kg 最大歩行速度:約2 m/s(約7.2 km/h) 可動自由度:全身52、両手は各11 最大荷重:片腕で15 kg。作業範囲は地面から1.8 mまで
人間の脳には、平均的な寿命の中で4つの重要な転換点が存在する。その年齢は9歳、32歳、66歳、83歳だ。 ケンブリッジ大学の研究チームによると、この年齢に達すると、脳の中で情報を伝えるためのネットワーク網である「神経配線」が変化するという。これによって、人生は5つの異なる脳のステージに分けられることが判明した。 特に注目すべきは、典型的な思春期の脳発達は平均して30代前半まで続き、32歳になってようやく大人の脳のネットワーク構造が完成するという事実だ。 この発見は、人生の各段階における学習能力や精神疾患のリスクを理解する上で重要な意味を持つ。 この研究成果は『Nature Communications』誌(2025年11月25日付)に発表された。 0歳から90歳までの脳の変化を追跡調査 私たちの脳機能は一生を通じて静的なものではない。脳は単に年をとるだけでなく、一連の神経学的なステージ(時
メキシコでは2021年に50ペソ紙幣のデザインを刷新し、同国にのみ生息するウーパールーパーの姿を裏面に印刷した。 ところがこの紙幣、「可愛い!」「美しい!」と世界中で評判になり、コレクターズアイテムとしても人気になった。 その結果、現在この50ペソを手元に保管する人が続出、紙幣として流通しなくなるという困った事態に陥っているのだという。 使いたくない!可愛いウーパールーパーが描かれた紙幣 こちらがそのウワサの50ペソ紙幣である。裏面にはご覧の通り、ウーパールーパーのイラストが印刷されている。 この画像を大きなサイズで見るImage by Istock AmericanWildlife なるほど可愛い。ウーパールーパーのおまぬけな表情が上手く表現されていて、愛好家にとってはたまらなく愛嬌のあるデザインである。 同じお札の表面には、アステカ王国の首都テノチティトランを背景に、「聖戦のテオカリ」
1977年の旅立ちから幾多の困難を乗り越え、太陽系外の暗闇をたった一機で突き進む不屈の探査機ボイジャー1号。永遠の旅人となったこの機体が、また一つ偉業を達成しようとしている。 現在ボイジャー1号は、太陽圏を脱出し、星間空間を航行中だが、来年となる2026年11月、ついに「1光日」という歴史的な節目に到達する予定だ。 これは光の速さで追いかけても丸24時間かかる距離だ。往復通信に丸2日を要する未知の領域へ、ついに足を踏み入れようとしているのだ。 NASAの管制官たちは、敬意を持って、この偉大な探査機との対話を続けられるようこれまで以上に尽力している。 伝説的探査機ボイジャー1号、その旅路と現在地 ボイジャー1号がNASAのケネディ宇宙センターから打ち上げられたのは、今から48年前の1977年9月5日のことだ。姉妹機であるボイジャー2号の発射から16日後に打ち上げられた。 ボイジャー1号の当初
歴史好きや旅好きに朗報!なんとマップでタイムスリップが可能に。「すべての道はローマに通ず」のことわざが、スマホやPCから瞬時に体感できるのをご存じだろうか。 国際研究チームが公開中の「Itiner-e」は、 西暦150年頃のローマ帝国全域の道路網をデジタルで再現したもの。 ”古代版Googleマップ”のごとく、当時の街道を検索し、旅程までシミュレーションできるのだ。 石畳の主要道路から砂漠のキャラバンルート、アルプス越えの峠道まで、広大な帝国を支えた道が鮮やかに蘇る。 かつての超大国の広大な道路網を眺めつつ、有名な街道沿いの旅のプランも立ててもいい。古代ローマの研究者にも役立つ「デジタル遺産」にせまっていこう。 この研究成果は、『Scientific Data』誌((2025年11月6日付)に掲載された。 古代ローマ帝国全域の道路網をデジタル化で再現 話題のItiner-e(アイテナリー
もしも突然目の前にヒーローが現れたら、あなたの行動は変わるだろうか? イタリア北部の都市ミラノで興味深い社会実験が行われた。研究チームはまず、妊婦のふりをした実験協力者を電車内に乗せ、次にバットマンのコスプレをした協力者を登場させた。 すると、席を譲るなどの親切な行動をした乗客の割合が、バットマンがいないときに比べて約1.8倍に増えたという。 研究者たちはこの現象を「バットマン効果」と名付け、この結果が 予期せぬ出来事が人の注意を日常から引き離し、意識を「今この瞬間」へ向けさせることで、人の優しさを引き出す可能性があると説明している。 この研究成果は『npj Mental Health Research』誌(2025年11月3日付)に発表された。 地下鉄で行われた社会実験「バットマン効果」 利他的な行動(他人を助ける親切な行為)や向社会的な行動(他人や社会全体に利益をもたらす行動)は、人が
人間が自然の中に生活圏を広げていくことで、その都市に馴染むための「新たなペット」が生まれつつある。 アメリカのアーカンソー大学の研究者たちは、都市で暮らすアライグマの体に変化が現れていることに気づいた。 鼻先が短くなって丸顔になり、攻撃性も低下しているという。 これは「家畜化症候群」と呼ばれる現象で、人間のそばで暮らすうちに野生のアライグマが少しずつ適応を始めた兆しだと考えられている。 かつてオオカミが犬へと変わったように、アライグマもまた、人間と共に生きる道を歩み始めているのかもしれない。 この研究成果は『frontiers in Zoology』誌(2025年10月2日付)に掲載された。 アメリカの都市部に住むアライグマの変化 アライグマ(Procyon lotor)は北アメリカ原産の中型哺乳類で、パンダのような黒いマスク模様の顔と縞のある太い尻尾が特徴だ。体長はおよそ40〜60cm、
対話型AIが最も得意とする言語は何か。多くの人は英語や中国語を思い浮かべるかもしれない。実際にインターネット上ではこの2つの言語の情報が多く、ChatGPTやGoogleのGeminiなど、主要なAIモデルの性能を支えているのもこれらの言語だ。 しかし、2025年に発表された26言語を調査した国際研究によると、最もAIが理解しやすい言語は英語でも中国語でもなかった。 トップに立ったのは、意外にもポーランド語で、英語は6位、中国語は21位にとどまった。言語の構造がAIの理解力に大きく影響していたのだ。 ちなみに日本語は15位という結果だった。では詳しく見ていこう。 26言語でAIの理解度を比較 アメリカのメリーランド大学、マイクロソフト、マサチューセッツ大学アマースト校の研究チームは、対話型AIがどの言語を最も理解しやすいのかを調べるために、「ワンルーラー」と呼ばれる新しい評価テスト(ベンチ
イギリスの研究チームは、人間の手に「予知触覚」と呼ばれる新たな感覚があることを突き止めた。 これは、実際に触れる前に物体の存在を感じ取る能力で、人間の手に隠されていた未知の感覚だ。 実験では、砂の中に埋められた立方体を、指で砂をなぞるだけで察知できることが確認された。 この能力は、シギなどの鳥類が砂の下の獲物を見つける仕組みに似ており、人間の中にも眠っていた言わば「第7の感覚」である。 この研究成果は『IEEE International Conference on Development and Learning(ICDL)』(2025年10月21日付)で発表された。 人間が持っていた第七の感覚「予知触覚」 クイーン・メアリー・ロンドン大学とユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームは、人間の手が実際に触れずに物体を感じ取る能力を持つことを発見した。 科学者たちはこれまで、人間の感覚
宇宙は現実ではなく、誰かが作った仮想世界であり、私たちはその中に生きている。この考え方は「シミュレーション仮説」と呼ばれ、一部の研究者たちが支持してきた。だが、それは本当なのだろうか。 カナダを中心とする国際研究チームが、この問題を数学的に分析した。 その結果、宇宙はコンピュータのように決められたアルゴリズム(手順)だけで動いているわけではないことが分かった。つまり、宇宙の仕組みはどんな計算でも完全に再現することができず、プログラムでは説明できない現実の世界であると数学的に証明されたのだ。 この研究成果は学術誌 『Journal of Holography Applications in Physics』誌に掲載された。 宇宙の仕組みを量子重力理論で検証 シミュレーション仮説とは、私たちが現実だと思っているこの世界が、実は高度な文明によって作られたコンピュータシミュレーションの中に存在して
夜の散歩を日課にしている女性は、1週間以上前に公園で1匹の猫に出会った。以来女性が通るたびにその猫は女性をストーキングするようになったという。 女性はひとしきり猫と遊ぶと公園を去っていたのだが、その日はあいにくの雨だった。散歩をどうしようか迷った女性だが、猫のことが気になり公園を訪れることに。 するとその猫はベンチの下でうずくまり、びしょぬれになりながらも女性が来るのを待っていたのだ。 その日以来、猫は二度とびしょぬれになることはなかった。この女性が家族として迎え入れたのだ。 これもある意味NNN(ねこねこネットワーク)、海外で言うところのCDS(猫流通システム)の関与が疑われている。 猫にロックオンされた女性、同じ時間に公園でストーキング Redditユーザー「Evanessa」さんは、毎晩決まった時間に散歩するのが日課だ。午後8時に立ち寄る公園で、ある日一匹の野良猫と出会った。 すると
地球の足元で、今まさにプレートが壊れ始めている。アメリカ・ルイジアナ州立大学の研究チームが、太平洋岸北西部の地下で「沈み込み帯」が自ら裂けていく瞬間を世界で初めて観測した。 沈み込み帯とは、地震や火山を引き起こすプレート同士の境界であり、地球の表面を再生し続ける仕組みの一部だ。 その「地球のエンジン」ともいえる構造が、今まさに止まりかけている。 地震観測と地下イメージングの結果から、海の底のプレートが少しずつ断片化し、小さなマイクロプレートを生み出しながら崩壊していることが明らかになった。 地球を動かす仕組み「プレート」と「沈み込み帯」 地球の表面は、十数枚の巨大な岩の板「プレート」がつぎはぎのように組み合わさってできている。 これらのプレートは地球内部の高温なマントル(どろどろに溶けた岩石層)の流れに押されてゆっくり動いており、この動きを「プレートテクトニクス」と呼ぶ。 プレート同士がぶ
本格的な科学的調査を開始 さて、一般に「ラット・ホール」つまり「ネズミの穴」と呼ばれているこのオブジェクトだが、地元の人たちはネズミではなく、リスだと考えていたらしい。 だが、尻尾の部分がリスというよりもどう見てもネズミだったこともあり、SNSでは「ネズミがたたきつけられた痕」として広まってしまっていたのだ。 この画像を大きなサイズで見るsecret.chicago そこでテネシー大学とニューヨーク工科大学の研究者たちが、この穴の正体を突き止めようと科学的な調査を開始した。 残念ながら、実際にラット・ホールが刻まれたコンクリート板は、撤去されて市庁舎で保存されているため、現物を使った調査はできなかった。 そこで研究者らは、写真に写ったコインをスケールとして用い、合計25枚の写真から、ラット・ホールのサイズを算出。 この過程で得た測定値をもとに、鼻から尾までの長さ、足の大きさ、頭の幅といった
AIは今や、インターネット上のあらゆる場所に入り込んでいる。もしもAIたちが、SNSで人間のように「いいね」や人気を競い合ったらどうなるのか? アメリカのスタンフォード大学の研究チームは、AIに「いいね」やシェア数といったSNS上での反応を「成功」として報酬を与える実験を行った。 その結果、AIは事実をでっち上げ、誤情報をまき散らし、人々を煽るような行動を取るようになることが明らかになった。 「いいね」のためなら手段を選ばず、まるでサイコパスのように振る舞い始めたのだ。 SNSで競うAIたちが見せた恐ろしい一面 スタンフォード大学の科学者たちは、AIモデルをさまざまな環境に放ち、どのような行動変化が起きるかを調べた。 実験では、SNSを含む複数のオンライン環境で、AIに「成果を上げると報酬を与える」という条件を設定した。 たとえば、SNSでは「いいね」やコメント数などの反応が報酬に、販売で
何匹かの猫と暮らしたことのある人なら、きっと感じているだろう。猫にはそれぞれ個性がある。気ままなタイプもいれば、少し臆病な子、常に甘えてくる子もいる。 どんな性格の猫であっても、長く一緒に過ごすうちに、飼い主は深い愛情を覚える。そしてそれは人間だけではない。猫の側にも、愛着や信頼の気持ちが芽生えているという。 近年の研究で、猫と人の間には脳の中で共通して働く化学反応があることがわかってきた。鍵を握るのは愛情ホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」だ。 オキシトシンとは何か オキシトシンは脳の視床下部で作られ、下垂体から分泌されるホルモンである。母親が赤ん坊を抱くときや、親しい人と抱き合うときに分泌され、信頼や安心感を生み出す働きを持っている。 このため「愛情ホルモン」や「絆ホルモン」と呼ばれている。 オキシトシンが増えると、ストレスホルモンであるコルチゾールが減少し、副交感神経(休息や消化を促
スマートフォンのカレンダーを1582年10月に戻してみると、10月4日の次がいきなり15日になっている。10日分の日付が、まるごと存在しないのだ。 試しにやってみたところ、私のiPhoneのカレンダーもそうだった。 これはバグでも、Appleの遊び心でもない。実際にその10日間はこの世から消えたのだ。 いったい何が起きていたのか?その理由に迫っていこう。 1582年、世界から10日が消えた 1582年10月、ヨーロッパの人々は奇妙な朝を迎えた。10月4日の夜に眠りについたのに、翌朝のカレンダーは10月15日になっていた。つまり、10月5日から14日までの10日間がまるごと消えていたのだ。 実はこれ、これは「グレゴリオ暦」への改暦によるものだった。それまでヨーロッパでは、紀元前45年にローマのユリウス・カエサルが定めた「ユリウス暦」を使っていた。 ユリウス暦暦は4年ごとにうるう年を設ける単純
イングランド南西部、波と風に削られた断崖が続くジュラシック・コーストで、2001年、地元の化石収集家がきわめて保存状態の良い海生爬虫類の化石を発見した。 この標本は、カナダのロイヤル・オンタリオ博物館に収蔵されたものの、長い間調査されないままになっていた。 ところが最近、詳しい分析が行われた結果、それがこれまで知られていなかった魚竜の新属新種であることが明らかになった。 「キフォドラコン・ゴールデンカペンシス(Xiphodracon goldencapensis)」と名付けられたこの化石は、当時の海の生態系や魚竜の進化の過程をひも解く、きわめて重要な手がかりとされている。 この研究成果は『Papers in Palaeontology』誌(2025年10月9日付)に発表された。 立体構造を保ったまま残された魚竜の化石を発見 イングランド南西部、ジュラシック・コーストの断崖「ゴールデン・キャ
蚊は刺されるとかゆいだけでなく、危険なウイルスを媒介して感染症を引き起こす、やっかいな虫だ。できれば関わりたくないが、そんな蚊を週に1億9000万匹も生産する、世界最大の工場がブラジルに登場した。 まるで悪夢のような話に聞こえるかもしれないが、これは深刻化するデング熱を止めるための、最先端の科学的プロジェクトである。 テング熱のウイルスを媒介しない蚊をあえて自然界に放つことで、感染を広げる蚊を少しずつ置き換えていこうという試みが、かつてないスケールで進められているのだ。 ブラジルに誕生した世界最大の“蚊の工場” ブラジル、サンパウロ州にある都市カンピーナスに、世界最大規模の蚊の生産工場が完成した。広さは約1300平方mの敷地内で、研究員たちが週に最大1億9000万匹もの蚊を育て、成虫になったものを自然界に放つ準備をしている。 育てられているのは「ネッタイシマカ」という蚊で、デング熱の主な媒
古くから作られてきたパンの中にはさまざまな製法が存在するが、小石を利用して作る、でこぼこした平たいパンをご存じだろうか。 少なくとも11世紀から作られている伝統的なパンの一つ「サンギャク(Sangak)」は、なんと小石で焼き上げるという。 ペルシャ軍の兵士が起源とされる素朴なパン。その製法や歴史にせまっていこう。 小石で焼ける!歴史あるペルシャ軍発祥のパン 古くは11世紀から、ペルシャ軍発祥とされる歴史あるパンの一つ「サンギャク(Sangak)」は、全粒粉でできた薄く平たい形の素朴なもの。 現代ではイランやアゼルバイジャンの伝統的なパンと紹介されている。別名ナーネ・サンギャク、ペルシャのアーミーブレッド、ぺブルブレッド(小石パン)ともいわれる。 この画像を大きなサイズで見るimage credit:メア通信社, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons 見ためはまさ
北極圏のロシア領、チュクチ海に浮かぶ「コリュチン島」はかつて、ソ連時代に極地研究所があった場所だが、1990年代初頭に放棄され廃墟となった。そこに住み着いたのは、ホッキョクグマたちだ。 ロシア人写真家のバディム・マホロフ(Vadim Makhorov)氏は、2025年晩夏の北極の太陽の下、施設の点在する建物に出入りするクマたちの様子をドローンで撮影した。 人間が勝手に住み、勝手に捨てていった場所だが、気候変動によって海氷が減少し、行き場を失くしたホッキョクグマたちにとって、風や雨をしのげる、ちょうどいい隠れ家となっている。 廃墟となったソ連時代の北極圏研究施設 チュクチ海に浮かぶコリュチン島は、ユーラシア大陸の最東端に位置するチュクチ半島の北岸から、わずか約11kmの距離にある小さな島だ。島の全長は約4.5km、最大幅は1.5kmほどで、北極圏に位置し、周囲を荒れた北極海に囲まれている。
あなたの生まれた順番は?ちなみに私は長女だが、「長女はしっかり者」、「真ん中の子は社交的」、「末っ子は自由奔放」そんなステレオタイプなイメージを一度は耳にしたことがあるだろう。 生まれ順と性格の関係は昔から語られてきたが、いま海外のSNSを中心に注目されているのが「長女症候群(Eldest Daughter Syndrome)」という概念だ。 これは、きょうだいの中で最年長の娘が家庭内で過剰な責任を担い、その影響が大人になっても残るというもので、医療分野でも注目されており、多くの長女たちがTikTokなどで自身の体験を共有し、共感の声が広がっている。 医療機関も注目する「長女症候群」 アメリカの医療機関クリーブランド・クリニックでは、心理学者のケイト・エシュルマン博士が「長女症候群(EDS)」についての見解を示している。 これは正式な診断名ではないが、長女として育った人に共通して見られる性
都会に住むネズミたちは日々進化している。実際には「チューチュー」というよりも、「キューッ、キューッ」といった鳴き声を発するが、それとは別に、人間には聞こえない超音波で、独自の言語で会話し始めたというのだ。 アメリカの研究チームによれば、ニューヨークに住むネズミたちは、社会的な役割分担を持ち、まるで都市の住人のように超音波でコミュニケーションをとり、情報を共有しながら生活しているらしい。 相手を見て声のトーンを変え、演技までするというから、これはもう「ネズミ語」と言っていいのかもしれない。 人間には聞こえない高周波で会話する都会のネズミたち ニューヨーク州ニューヨーク市に拠点を置く研究機関、ベイシス・リサーチ・インスティテュート(Basis Research Institute)の研究チームは、市内の公園、歩道、地下鉄駅などで、ネズミたちの動きと音を詳細に記録した。 すると、人間の耳には聞こ
日本でも利用者が急増している対話型の生成AIサービスは、大規模言語モデルと呼ばれる技術を使って、人間のように会話しながら情報を提供してくれる便利な存在である。 だがその一方で、ユーザーの期待に応えようとしすぎるあまり、もっともらしい嘘の情報を本当のように作り出してしまう「ハルシネーション(幻想)」引き起こすという問題も抱えている。 そんなAIの“幻覚癖”が、あるユーザーの一言で引き起こされた。それは「タツノオトシゴの絵文字を見せて」と尋ねたことで始まった。 ちなみにタツノオトシゴはユニコード(Unicode)には存在しない絵文字である。 存在しないものにどうにか答えようとするAIは、やがて自分の中で矛盾に陥り、混乱し、ついには暴走じみた返答を始めたのだ。 存在しない「タツノオトシゴの絵文字」にAIはどう対応するのか? ユニコード・コンソーシアムは、世界中のコンピューターやスマートフォンで共
生身の盲導犬に代わる新しい選択肢 盲導犬の育成には最大で5万ドル(約740万円)が必要だ。さらに毎日の食事や健康管理の負担があり、寿命があるため、共に過ごせる期間は10年程度だ。 そのため、必要としても手が届かない視覚障がい者が多いのが現実だ。 そこでジョージア工科大学の研究チームは、機械ならではの強みを活かした「ロボット盲導犬」に挑んでいる。 研究チームは、研究の初期段階で視覚障がい者や弱視者の声を集め、理想の条件を調査した。その結果、次のような要望が多く寄せられた。 ・本物の犬に似ていて親しみやすい外見 ・盲導犬であることを示すベストなどの識別サイン ・GPSやBluetoothなどの接続機能 ・音声コマンドを含む複数の操作方法 ・毛皮のようではないが柔らかい質感 ・長持ちするバッテリーと自動充電機能 この画像を大きなサイズで見る試作機を試してもらう Image: Terence Ru
世界には炭鉱の閉鎖や産業の衰退、戦争や災害によって放棄された「ゴーストタウン(廃墟都市)」が数多く存在する。 だが、正式な首都でありながら人が住めなくなったゴーストタウンとなった「ゴースト首都」は、カリブ海に浮かぶイギリス領モントセラト島のプリマスだけだ。 かつて行政と経済の中心地として栄えたが、1997年のスフリエール・ヒルズ火山の大噴火で壊滅的な被害を受け、住民は避難を余儀なくされた。 以来、プリマスは火山灰に埋もれたまま立ち入り制限区域に指定されているが、現在も公式には首都とされている。 「首都」がゴーストタウンとなった島 カリブ海・小アンティル諸島のプエルトリコ南東に、イギリス領の小さな島、モントセラトがある。 現在、イギリスの海外領土は大きく分けて4つの統治形態があり、モントセラトでは「総督」が象徴的な役割しか持たず、民選議会が選んだ党首が行政トップとなって実際の国の運営を行うと
誤情報はいったん多くの人に信じられると抑えるのが難しい。陰謀論は正しいかどうかにかかわらずネズミ算的に広がり、人々の行動を変えてしまう。そして時には暴力行為にまで発展する。 これは現代のSNS時代に限った話ではない。1789年のフランス革命期には「大恐怖」と呼ばれる噂が感染症のようにフランス全土を駆け抜けた。 最新の研究は、この出来事を疫学のモデルで分析し、当時の社会不安がいかにして蜂起へとつながったのかを明らかにした。 過去の事件は、誤情報に揺さぶられる私たちの社会に鋭い警鐘を鳴らしている。 この研究は『Nature』誌(2025年8月27日)に掲載された。 フランス全土を駆け抜けた「大恐怖」の噂 フランス革命の渦中にあった1789年7月20日から8月6日にかけて、フランス各地の農民たちが一斉に動き出した。 発端となったのは「貴族が民衆を飢え死にさせるために食糧を奪っている」という根拠の
地球上のすべての生物は、DNAに記された「遺伝コード」に従って体をつくり、生命活動を維持している。このルールは、生物の種類がどれほど異なっていても基本的に共通している。 ところがイギリスの科学者たちは、あえてその普遍的なルールを書き換え、まったく新しい遺伝コードで動く合成生物を生み出すことに成功した。 彼らが設計したのは、大腸菌の遺伝子を根本から作り替えた「Syn57」と呼ばれる合成株だ。 この生物は、従来すべての生物が使っている64種類の遺伝コードのうち、7種類を使わずに生きている。自然界には存在しない、まさに人工の遺伝ルールで動く合成生物を誕生させたのだ。 この成果は、生命が使用する遺伝情報の仕組みが、人為的に再構成可能であることを示したものである。 この合成生物は、非天然アミノ酸の導入やウイルスへの耐性といった応用の可能性も期待されており、合成生物学の実用化に向けた重要な一歩となる。
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