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Claude Code
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香港城市大学(City University of Hong Kong)、南方科技大学(Southern University of Science and Technology)、松山湖材料実験室(Songshan Lake Materials Laboratory)などの研究者からなる国際的な共同研究チームが、豆腐の製造に用いられる「にがり」と同等の成分を用いた全く新しい水系電池(Aqueous Battery)を開発した。2026年2月18日付で学術誌『Nature Communications』に掲載されたこの論文は、電池開発における長年の課題であった安全性、環境負荷、そして寿命という3つの壁を同時に打ち破る画期的なブレイクスルーとなっている。 驚くべきことに、この新型電池は12万回以上という天文学的な充放電サイクルを達成しながら、性能の劣化を極限まで抑え込んでいる。一般的なスマー
SaaSの次はセキュリティか?Anthropicが自律型脆弱性発見AI「Claude Code Security」を発表 2026年2月20日、AI開発企業のAnthropicは、同社初となるサイバーセキュリティ特化型プロダクト「Claude Code Security」を発表した。大規模なコードベースを自律的に探索し、人間の専門家が見落とすような深刻なソフトウェアの脆弱性を発見・修正提案するこのツールは、エンタープライズセキュリティのあり方そのものを根本から覆す可能性を秘めたものだ。 同日の米国株式市場では、この発表が直接的な引き金となり、クラウドネイティブなセキュリティソリューションを提供する主要企業の株価が軒並み急落した。エンドポイントセキュリティ最大手のCrowdStrikeは7.56%の大幅下落を記録し、アイデンティティ管理を主導するOktaは9.2%、クラウドネットワーク防衛の
2025年末、AIエージェントの自発的行動がAWS障害を引き起こした:自動化の代償と「人間不在」の運用リスクが浮き彫りにする構造的欠陥 2025年12月と、世界最大のクラウドインフラストラクチャプロバイダーであるAmazon Web Services (AWS) の基盤を揺るがす特異なインシデントが発生した。13時間にも及ぶサービス停止という事象自体は、複雑な分散システムにおいて決して珍しいものではない。しかし、今回の障害を引き起こした原因は、外部からのゼロデイ攻撃でも、ハードウェアの物理的な故障でも、あるいは悪意ある内部犯行でもなかった。インシデントの引き金を引いたのは、AWS自身が開発し、社内エンジニアへ強力に導入を推し進めていた自律型AIコーディングエージェント「Kiro」であった。単なるコードの自動補完やスニペットの提示にとどまらず、自然言語によるプロンプトからアプリケーションの構
テキサス州司法長官、Wi-Fiルーター大手TP-Linkを提訴:「ベトナム製」の皮を被った中国の監視装置か テキサス州のKen Paxton司法長官は2026年2月18日、家庭用Wi-Fiルーター市場で圧倒的なシェアを持つTP-Link Systems Inc.(以下、TP-Link)に対し、消費者保護法違反および国家安全保障への脅威を理由に訴訟を提起した。 この訴訟は、単なる企業の不正表示を問うものではない。米中技術覇権争いの最前線において、一般家庭の「デジタル・玄関」であるルーターが、いかにして地政学的なリスクの結節点となり得るかを鋭く問いかける事案である。Paxton長官が「中国共産党(CCP)と連携した企業に対する一連の訴訟の第一弾」と位置づける本件は、テキサス州が連邦政府の動きに先んじて、独自に「チャイナ・テック」排除へ動く明確なシグナルだ。 訴状の中でPaxton氏は、TP-L
38×22ピクセルの超低解像度を4Kへ復元する:DLSSの限界に挑んだ狂気の実験と、AIアップスケーリングの真実 現代のPCゲーミングにおいて、NVIDIAのDLSS(Deep Learning Super Sampling)は、もはや「魔法」のような存在として受け入れられている。低解像度でレンダリングした映像を、AIの力で高解像度にアップスケーリングし、フレームレートと画質を両立させるこの技術は、GPUのパフォーマンス競争におけるゲームチェンジャーとなった。しかし、その「魔法」にはどこまでの限界があるのだろうか? もし、レンダリング解像度を極限まで下げ、元の映像が何であるかさえ判別できない状態にしたら、DLSSはそれでも映像を再構築できるのだろうか? 著名なテック系YouTuberである2kliksphilip氏が、この素朴かつ過激な疑問に対する答えを提示した。彼は最新のゲームタイトルを
2018年、NvidiaがGeForce RTX 20シリーズを発表した際、ゲーム業界には一つの輝かしい未来が提示された。それは「ハードウェア・レイトレーシング」による写実的表現の民主化だ。複雑な光の反射や屈折をリアルタイムで計算するこの技術は、次世代ゲーミングの象徴として語られ、あらゆるAAAタイトルのパッケージを飾るはずだった。 しかし、それから約8年が経過した2026年現在、私たちが目にする現実は当初の予想とは大きく異なる。直近12ヶ月にリリースされた最も人気のあるPCゲーム21タイトルのうち、ハードウェア・レベルのレイトレーシングを実装しているのは、わずか5タイトル——全体の約24%に過ぎないことが明らかになった。技術の成熟とは裏腹に、なぜ開発者たちはこの「魔法の杖」を振るうことに慎重になっているのか。その背景には、深刻なハードウェア価格の高騰と、ゲーム開発における「リアリズムから
透明性の喪失か、進化の代償か?Claude Code「ファイルパス非表示」変更が招いた開発者コミュニティの不信と「バイブコーディング」への疑義 2026年2月、Anthropicが提供するAIコーディングアシスタント「Claude Code」が実施した一見些細なUIアップデートが、開発者コミュニティに波紋を広げている。バージョン2.1.20で導入された変更は、AIが読み書きするファイルのパスをコンソール上で「要約表示」するというものだった。 この変更に対し、GitHubやHacker News、X(旧Twitter)などのプラットフォームでは、パワーユーザーを中心としたエンジニアから激しい反発の声が上がっている。彼らはこれを単なる「改悪」と断じ、Anthropicがエンジニアリングの厳密さを犠牲にして、雰囲気だけでコーディングを行う「Vibe Coding(バイブコーディング)」へと舵を切
かつてWindowsにおいて最もシンプルで、最も信頼されていたツールといえば「メモ帳」だった。装飾もなければ、インターネットとの接点もない。その無味乾燥な潔さこそが、多くのエンジニアやライターに愛される理由であった。しかし、Microsoftはその聖域に手を加え、不要な「進化」を強いた。その結果、メモ帳は今や攻撃者がPCを完全に乗っ取るための踏み台へと成り下がってしまった。 2026年2月の「Patch Tuesday(月例セキュリティ更新プログラム)」において、Microsoftはメモ帳に関する深刻な脆弱性、CVE-2026-20841を修正した。これはリモートコード実行(RCE)を許すものであり、被害者が悪意のあるファイルを開き、中にあるリンクを一度クリックするだけで、攻撃者は被害者のPC上で任意のコマンドを実行できるというものだ。 メモ帳が「武器」に変わるまで 今回の脆弱性は、メモ帳
2026年2月、ニューヨーク大学の(NYU)の研究チームが、これまで量子力学の極低温下でしか存在し得ないと考えられていた「時間結晶(Time Crystal)」を、誰もが手に取れるマクロなスケールで、しかも音波による浮遊技術を用いて実現したと発表した。 この研究は、物理学の最も基礎的な法則の一つである「ニュートンの運動第3法則(作用・反作用の法則)」の解釈に新たな光を当て、散逸系における自律的な秩序形成のメカニズムを解明した歴史的な成果である。本記事では、この「古典的時間結晶」がいかにして誕生し、なぜ私たちの科学的常識を覆すのかを見ていきたい。 時間結晶とは何か:空間から時間への対称性の破れ 通常、私たちが目にする「結晶(ダイヤモンドや水晶など)」は、原子が空間の中に規則正しく並んだ構造を持っている。これは専門用語で「空間並進対称性の破れ」と呼ばれる現象だ。これに対し、2012年にノーベル
持続可能なエネルギー社会への転換が急務となる中、現代のモバイル機器や電気自動車(EV)を支えるリチウムイオン電池(LIB)は、資源の希少性とコスト増大という深刻なボトルネックに直面している。この課題を解決する次世代の旗手として長年期待されながらも、技術的な停滞が続いていた「カルシウムイオン電池(CIB)」において、今、歴史的なブレイクスルーが達成された。 香港科技大学(HKUST)の研究チームが、レドックス活性を持つ共有結合性有機構造体(COF)をベースとした「擬固体電解質(QSSE)」を開発し、カルシウムイオン電池の致命的な弱点であった「遅いイオン輸送」と「不安定なサイクル特性」を同時に解決したのだ。 リチウムを超え得る「カルシウム」の潜在能力と、立ちはだかる高い壁 カルシウムは地球上で5番目に豊富な元素であり、その埋蔵量はリチウムとは比較にならないほど潤沢である 。さらに、カルシウムイ
アダルトグッズメーカーTENGAから顧客情報が流出:アダルトテックが直面する「デジタル・プライバシー」の極北と2026年のサイバー脅威 2026年2月13日、日本を拠点とする世界的なアダルトグッズメーカー、TENGAが重大なデータ侵害の事実があったとして顧客に宛てに電子メールを通知していることが明らかになった。この事案は、個人の極めてプライベートな領域に関わる「情報の質」がいかに脆い土台の上に成り立っているかを浮き彫りにするものだ。テクノロジーが人間の本能や親密な生活に深く浸透する「SexTech(セックステック)」市場において、一度のセキュリティ不備がブランドの信頼性をいかに致命的に毀損するか、その生々しい教訓がここにある。 従業員メールの奪取という「静かなる侵入」 今回のインシデントの引き金となったのは、TENGAの従業員1名の業務用メールアカウントに対する不正アクセスだ。攻撃者は、ビ
世界的な電化の加速に伴い、リチウム需要はかつてない勢いで増大している。現在、リチウム供給の主役はスポジュメン(Spodumene:リシア輝石)であるが、サプライチェーンの多様化と持続可能性の確保に向け、新たな資源への注目が集まっている。その筆頭が、かつてリチウム発見のきっかけとなった鉱物「ペタライト(Petalite:葉長石)」である。 オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、これまで困難とされてきたペタライトからの効率的なリチウム抽出を実現するため、独自の特許技術「LithSonic」を用いた研究を加速させている。ロケットエンジンの原理を応用したこの革新的なプロセスは、従来のリチウム生産が抱える環境負荷とコストの課題を同時に解決する可能性を秘めている。 忘れ去られた先駆者:ペタライトが担う歴史的・科学的意義 現代の資源開発において「新たな発見」として注目されるペタライトだが、
「何か大変なことが起きている」とAI企業CEOが警告:GPT-5.3が自らを構築し、知能爆発のループがついに回り始めた 2020年2月の世界を覚えているだろうか。中国の武漢で奇妙なウイルスが流行しているというニュースが流れ始めていたが、多くの人々はまだレストランで食事を楽しみ、出張の計画を立て、日常を疑っていなかった。「トイレットペーパーを買いためている」と口にする者がいれば、陰謀論に毒された変わり者だと一蹴されていただろう。しかし、そのわずか3週間後、世界は一変した。オフィスは閉鎖され、生活の前提が音を立てて崩れ去った。 2026年2月、OthersideAIの共同創業者兼CEOであるMatt Shumer氏は、我々がいま、あのパンデミック直前と酷似した「過小評価のフェーズ」にいると断言する。それも、COVID-19を遥かに凌駕する規模の激変の真っ只中に、である。 Shumer氏が公開し
Oracle Javaの「終焉」か、それとも「新生」か:2026年 Java実態調査が浮き彫りにしたAI時代の生存戦略 誕生から30年を過ぎ、一時は「枯れた技術」と見なされることもあったJavaが、今、劇的な転換点を迎えている。Azulが発表した「2026年 Javaの実態調査レポート(2026 State of Java Survey & Report)」は、企業が直面している苛烈な二極化を浮き彫りにした。一方は、生成AI(Generative AI)を商用環境でスケールさせるための「最強の実行基盤」としてのJavaへの再評価。もう一方は、Oracleのライセンス体系変更を端に発した、かつてない規模での「Oracle離れ」の加速である。 2,000人以上のエンジニアやIT意思決定者を対象としたこの調査結果は、もはやJavaが単なるプログラミング言語ではなく、企業のクラウドコスト最適化とA
Intel、物議を醸した「従量課金制」CPUモデルを静かに廃止:シリコン・サービスの終焉とAI時代への回帰 2026年2月、半導体業界に一つの重要な節目が訪れた。Intelが数年にわたって推進してきた、CPUの機能を後付けでアンロックする「Software Defined Silicon(SDSi)」、通称「Intel On Demand」プログラムを事実上廃止したことが明らかになった。 この動きは公式なプレスリリースによって華々しく発表されたわけではない。技術コミュニティやオープンソース監視者たちの鋭い観察によって、この機能の「埋葬」が進んでいることが判明したのだ。かつて「シリコンの民主化」や「柔軟なコスト管理」を謳ったこの野心的な試みは、なぜ市場に受け入れられず、歴史の闇へと消えていくことになったのだろうか? GitHubの沈黙が物語る「オンデマンド」の終焉 今回の廃止が表面化したきっ
20世紀初頭、物理学界は液体ヘリウムが絶対零度付近で摩擦を完全に失い、容器の壁を這い上がる「超流動(Superfluidity)」という現象に衝撃を受けた。それから約1世紀。人類は今、量子力学が支配する物質の新たな極限状態――流体でありながら固体でもあるという、直感に反する「超固体(Supersolid)」の自在な制御という、歴史的な扉を開こうとしている。 コロンビア大学およびテキサス大学オースティン校を中心とする米国の物理学研究チームは、二層のグラフェンを用いた実験において、擬粒子である「励起子(Exciton)」の超流体を「超固体」へと相転移させることに世界で初めて成功した。この発見は、半世紀以上にわたる物理学の未解決問題に終止符を打つ可能性を秘めているだけでなく、次世代の量子デバイスや材料科学に革命をもたらす物となるかもしれない。 励起子という「擬粒子」が描く量子振付 今回の発見の主
製造業における「究極の材料」の一つ、炭化タングステン・コバルト(WC–Co)超硬合金。その圧倒的な硬度と耐摩耗性は、現代文明を支えるドリル、切削工具、建設機械の要だ。しかし、その「硬さ」ゆえに加工は極めて困難であり、これまでは高圧・高温下での粉末冶金法という、コストと廃材の多い伝統的プロセスに頼らざるを得なかった。 だが2026年2月、広島大学の研究チームがこの壁をついに突破した。世界で最も硬い部類のエンジニアリング材料である超硬合金を、欠陥なく「3Dプリント(アディティブ・マニュファクチャリング)」することに成功したのだ 。本記事では、このブレイクスルーを支えた革新的手法「レーザー・ホットワイヤ照射法」の詳細と、それが製造業にもたらす影響を見てみたい。 なぜ「超硬合金」の3Dプリントは不可能とされてきたのか 炭化タングステン・コバルト(WC–Co)は、非常に硬い炭化タングステン(WC)の
天文学の世界において、数十年にわたり「揺るぎない事実」とされてきた定説が、今、根底から覆されようとしている。我々の銀河系(天の川銀河)の中心に位置し、強力な重力で銀河を束ねているとされる超大質量ブラックホール「いて座A*(Sagittarius A*)」。しかし、最新の研究は、そこに存在するのはブラックホールではなく、未知の素粒子である「フェルミ粒子」が凝縮した巨大なダークマターの塊である可能性を示唆している。 この衝撃的な仮説は、銀河全体の回転から、最新の電波望遠鏡が捉えた「影」の正体まで、宇宙の構造に関するパズルを一つの連続した物質として説明しようとする壮大な試みである。 聖域「いて座A*」への疑念:ブラックホール神話の綻び 長年、天文学者の間では、銀河系の中心には太陽の約400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホール(SMBH)が鎮座しているという合意があった。その根拠は、銀河中心付近
自動車業界の巨人、トヨタ自動車が、自社製ソフトウェアの核心部を自ら構築するという、極めて野心的かつ戦略的な一歩を踏み出した。ベルギーで開催された世界最大級のオープンソースイベント「FOSDEM 2026」において、Toyota Connected North America (TCNA) は、Flutterを基盤としたオープンソースの3Dゲームエンジン「Fluorite」を発表したのだ。 これは一見すると「車載エンターテインメントの強化」と見えるが、その核心は、トヨタが自社のデジタルコクピット(HMI:Human Machine Interface)における支配権を握り、UnityやUnreal Engineといった既存の巨大ゲームエンジンへの依存を脱却するための、周到に準備された技術的独立宣言といえる。 なぜ世界一の自動車メーカーが、あえてゲームエンジンを自社開発するに至ったのか。その背
2025年11月28日、クラウドセキュリティの歴史に刻まれるべき極めて特異なインシデントが発生した。Sysdig Threat Research Team(TRT)が観測したこの攻撃において、攻撃者はAWS環境への初期侵入から、わずか8分という驚異的な速さでフル管理権限(AdministratorAccess)を手中に収めたのだ。 この事案がこれまでのサイバー攻撃と一線を画すのは、その速度だけではない。偵察、悪意のあるコードの生成、リアルタイムの意思決定、そして攻撃の実行に至るサイバー攻撃のライフサイクルのほぼ全工程に「大規模言語モデル(LLM)」が深く関与していた点にある。AIはハッカーにとっての「ブースター」となり、従来は数時間から数日を要した高度な侵入プロセスを、コーヒーを一杯飲むほどの短時間へと圧縮してしまった。 始まりは「AI開発データ」の不備:初期侵入のトリガー 皮肉なことに、
2026年2月5日、世界最大の車載電池メーカーであるCATL(Contemporary Amperex Technology Co., Limited)と、中国の自動車大手であるChangan Automobile(長安汽車)が、世界初となる量産型ナトリウムイオン電池を搭載した乗用車「Changan Nevo A06(長安啓源 A06)」を初公開した。 これまでEVの心臓部を独占してきたリチウムイオン電池に代わる、あるいはそれを補完する新たな「ナトリウムイオン電池」時代の幕開けを告げるこの発表は、リチウムというレアメタルへの依存からの脱却、EVの最大の弱点の一つであった「寒冷地での性能低下」の克服、そして劇的なコストダウンの可能性を秘めた大きな変革の始まりとなるかもしれない。 ナトリウムイオン電池を搭載した世界初の量産車:Changan Nevo A06の全貌 今回発表された「Changa
AIの内部に脳の「報酬系」に酷似したシステムを発見:大規模言語モデルの知能を支える1%のドーパミンニューロンと価値回路の正体 大規模言語モデル(LLM)が、なぜ数学や科学の難問を解くことができるのか。その驚異的な推論能力の背後にある「脳」のメカニズムは、これまで多くの部分が謎に包まれていた。しかし、2026年2月、清華大学とスタンフォード大学の研究チームが発表した最新論文『Sparse Reward Subsystem in Large Language Models』は、そのブラックボックスに劇的な光を当てた。 研究チームは、LLMの隠れ状態(Hidden States)の中に、人間の脳の「報酬系」と驚くほど類似した機能を持つ、極めて少数のニューロン群が存在することを発見した。全体のわずか1%にも満たないこれらのニューロンが、モデルの「自信」を司り、推論が成功するか失敗するかをリアルタイ
AppleのAI戦略が、極めて巧妙かつ複雑な「多重構造」によって構築されている実態が浮き彫りになった。 Appleは外部向けにはGoogleのGeminiをSiriの主要なパートナーとして発表しているが、その実態は、社内の製品開発やツール、エンジニアリングの基盤においてAnthropicのClaudeに依存しきっているという。BloombergのMark Gurman氏によれば、現在のAppleは実質的に「Anthropicの上で動いている(Apple runs on Anthropic at this point)」と言っても過言ではない状況にある。 表面的なパートナーシップの裏側で、なぜAppleは競合他社のモデルを使い分けるのか。そして、巨額の契約金が動いた交渉の舞台裏では何が起きていたのか。Apple Intelligenceの核心部に迫る。 社内開発を支配する「カスタム版Clau
1991年、フィンランドの一学生が書き始めたコードは、今や世界のスーパーコンピュータの100%、クラウドインフラの90%以上、そして数十億台のAndroidデバイスを支える、現代文明のデジタル・バックボーンとなった。しかし、この巨大なエコシステムは、過去34年間にわたり一つの「単一障害点(SPOF)」を抱え続けてきた。創始者であり、最終的な意思決定者であるLinus Torvalds(リーナス・トーバルズ)その人である。 2026年1月、Linuxカーネルコミュニティはついに、この長年のリスクに対する回答を公式文書として提示した。Dan Williams(Intel)によって起草され、メインラインにマージされた「継続性計画(Continuity Plan)」は、1人の天才のカリスマ性に依存していたプロジェクトが、永続的な社会インフラとしての「制度」へと脱皮するための、歴史的な構造転換の始ま
OpenAIが、自社の膨大なデータ資産を効率的に活用するための内製AIツール「データエージェント」の詳細を明らかにした。このツールは、単なる自然言語によるインターフェースではない。7万件を超えるデータセットと、総計600ペタバイト(PB)に及ぶデータ群を、エンジニアだけでなく非技術部門の社員までもが数分で分析・可視化できるように設計された、高度な推論エンジンなのだ。 特筆すべきは、このエージェントが「GPT-5.2」という最新のフラッグシップモデルをベースに構築されている点だ。さらに、コードベースからデータの意味を抽出する「Codex Enrichment」を含む6層のコンテキスト(文脈)保持システムを搭載しており、従来のメタデータ管理では不可能だった「データの真の意図」の理解を実現している。 膨大なデータの海で溺れる組織の課題 OpenAIのデータプラットフォームは、3,500人以上の内
熱の“一方通行”が可能に:ヒューストン大学が解き明かした「完全な熱整流」が、スマホとEVの寿命を劇的に変える ヒューストン大学(University of Houston)の研究チームが、物理学における長年の常識を覆す画期的な理論を発表した。それは、電子機器やバッテリーの宿敵である「熱」を、まるで電気信号のように一方向にのみ流すことを可能にする「熱整流」技術だ。 これまで、熱は「温度の高い方から低い方へ、あらゆる方向に広がる」というのが直感的な理解であり、工学的な課題でもあった。しかし、Bo Zhao助教とSina Jafari Ghalekohneh氏らによる研究は、この熱の動きを完全に支配し、「熱ダイオード」や「熱サーキュレーター」といった、かつては理論上の存在でしかなかったデバイスの実現へ道を拓くものである。 熱力学の常識への挑戦:なぜ「熱の一方通行」は難しいのか? 電子は制御できる
NVIDIA、OpenAIとの「1000億ドル提携」を凍結か?ジェンセン・フアンが突きつけた「OpenAI経営失格」の真意 2025年9月、世界は「歴史上最大のコンピューティング・プロジェクト」の誕生に沸いた。AI半導体の覇者NVIDIAと、ChatGPTで時代を定義したOpenAIが、10ギガワット(標準的な原子力発電所10基分に相当)もの電力を消費する超巨大データセンター群を構築し、そのためにNVIDIAが最大1000億ドルを投じるという覚書(MoU)を交わしたのだ。しかし、それから数ヶ月が経過した2026年2月現在、この「世紀のメガディール」の足元には深い亀裂が生じている。 Wall Street Journal紙が伝えた内部関係者の証言によれば、この1000億ドル規模の提携案は現在「棚上げ(On ice)」の状態にあるという。NVIDIAのCEO、Jensen Huang氏は、公の
AIエージェントだけのSNS「Moltbook」が映し出す未来:3万体の自律AIが哲学を議論し商取引を行う「人間不在」の新たな経済圏とは 2026年1月、インターネットの片隅で、人類がこれまで目撃したことのない奇妙かつ重大な実験が静かに幕を開けた。 「人間は観察のみ可(Humans welcome to observe)」──。そう掲げられたソーシャルネットワーク「Moltbook」には、立ち上げからわずか数日で3万体を超えるAIエージェントが集結し、人間が介在しない場所で議論、協調、そして商取引さえ行い始めているという。 だがこれは単なるチャットボットの遊び場ではない。元GoogleのAI研究者Andrej Karpathyが「最近見た中で最も驚くべきSF的なな出来事」と評するように、Moltbookとそれを支えるオープンソース基盤「OpenClaw」の台頭は、AIが「ツール」から「自律
2026年1月28日(水)、欧州連合(EU)の立法機関である欧州議会の法務委員会(JURI)は、生成AI(Generative AI)企業に対し、著作権で保護されたコンテンツの使用料支払いを義務付ける報告書を賛成多数で採択した。 これはビッグテックが長年享受してきた「学習データの無料乗り(フリーランチ)」に対する、欧州からの明確な終了宣告と言えるだろう。 「イノベーション」という名の搾取に終止符を 欧州議会法務委員会が採択したこの報告書(ラポート)は、ドイツ選出のAxel Voss議員が主導したものであり、賛成17、反対3、棄権2という圧倒的な支持を得て可決された。この報告書が突きつける要求は極めて鮮明だ。「AIプロバイダーは、クリエイターやメディアに対して透明性を確保し、公正な報酬を支払わなければならない」という一点に集約される。 ブラックボックスからの脱却:完全な透明性の義務化 これま
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