米カリフォルニア州のディズニーランドにある子ども向けアトラクション「イッツ・ア・スモールワールド」に 、女性が「ヒロシマを忘れるな」と掲げた人形を無断で設置した。その様子がSNSで拡散されている。

「イッツ・ア・スモールワールド」は、民族衣装を身にまとった世界各国の子どもたちが歌う中を、ボートで進むアトラクション。東京ディズニーランドにも存在する。
発端となったのは、8月4日ごろにSNSで拡散された映像。米ディズニーランド内で、女性客が日本人形のようなものを持って、練り歩く様子が映っている。別の動画では、『イッツ・ア・スモールワールド』の中に、セットに混じって置かれていた。
人形は「ヒロシマを忘れるな(=REMEMBER HIROSHIMA)」と書かれたプラカードを持ち、全体的にすすで黒ずんでいる。第二次世界大戦下の日本人を想起させるデザインだ。
コメント欄には、海外ユーザーたちの間で議論が巻き起こった。ディズニーランドでやる必要があるのかという意見や、そもそもどのようにして入園ゲートのセキュリティを通ったのかなどの疑問が上がっていた。
騒動の最中、米有名アイスクリームブランド「ベン&ジェリーズ」の共同創業者ベン・コーヘン氏が8月7日、米FOXニュースデジタルの電話インタビューの中で、人形を置く企画の仕掛け人が自身であると明かした。
同氏は2025年6月、米国防総省の予算や保有する核兵器に莫大な費用が割かれていると批判する「Up in Arms」というプロジェクトを、退役軍人や国家安全保障の専門家とともに立ち上げた。今回の人形設置は、その政治キャンペーンの一環だという。

1945年の広島への原爆投下から80年となる2025年。コーヘン氏は企画した理由を、同局の取材で語っている。
「世界各国から集まった子どもたちが寄せ合い、お互いを愛し合っている。そして、その中に『ヒロシマを忘れるな』と書かれた人形を置いた」
「つまり、ヒロシマへの原爆投下後、私たちはそこで起こったことを記憶し、『二度と繰り返さない』と誓うべきだった。しかし、私たちは歴史を無視してきた」

コーヘン氏は、今なお続く中東ガザでの戦闘にも触れ、「被害者の多くが子どもたちで、ディズニーランドに置かれたあの小さな女の子と同じだ」と主張している。
コーヘン氏はさらに、軍事予算と武器備蓄の拡大、長きにわたる核兵器プログラムは、現在のトランプ政権以前から続いてきたと指摘。国防総省予算の問題は、「両党共通の課題」として、超党派で取り組むべきだとしている。
なお、抗議のために置かれた人形は、キャストが見つけ次第、すみやかに撤去し、持ち込んだ女性に規定を説明したと、ディズニーランドの広報担当者は同局に説明した。
サムネイル:Getty Images