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ブラックフライデー
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社会的・経済的に疲弊した時代を生き延びる美学とは? 違法ではなく脱法、つまり、いかにルールの網の目をかいくぐるかがサバイバルの美学として広がっている。 かつて革命は、国家や制度という大きな敵を想定できた。だが現代では、制度があまりに微細に浸透しており、真正面からの破壊が難しい。たとえば資本主義は、もはや制度ではなく環境として存在している。20世紀の資本主義は大量生産・大量消費を主とするフォーディズム的な社会を作り上げてきたが、ポスト・フォーディズム以降はあらゆることが柔軟化・多様化する中で、規制や契約の体系も精緻化していった。 反抗すらも市場に包摂される時代において、現実的な抵抗とは、制度の内部をずらすことしか残っていない。つまり、資本主義の成熟が違法や逸脱のコストを上げ、私たちから反抗の効率を奪ったのだ。 また、現在はリスクが可視化されやすい社会となり、SNSによる監視によって即座に社会
第78回ロカルノ国際映画祭で金豹賞を受賞した三宅唱監督の最新作『旅と日々』は、つげ義春のマンガ「海辺の叙景」と「ほんやら洞のべんさん」を原作に、夏と冬、2つの季節を通じて人と人との出会いを描いた作品だ。前作『夜明けのすべて』で社会的なテーマを正面から扱った三宅監督が、今作で向き合ったのは、映画そのものが持つ純粋な「驚き」の力だった。 風が吹く、波が寄せる、雲が動く――そんな当たり前の現象を、カメラを通して初めて発見するかのような新鮮さで捉え直す。社会性が前景化しがちな現代の映画表現において、本作は映画本来の豊かさや面白さを問いかける試みとしても注目される。 社会を前進させる情報発信を行う「あしたメディア by BIGLOBE」では、三宅唱監督にこの作品に込めた思いと映画観について、映画解説者・中井圭との対談形式でお届けする。 強い日差しが注ぎ込む夏の海。ビーチが似合わない男が、陰のある女に
2025年4月クール放送のアニメ『前橋ウィッチーズ』。タイトル通り、群馬県前橋市を舞台に、5人の少女たちが魔女見習いとして、魔法で誰かの願いを叶えるために奔走する物語。彼女たちと同世代のティーンはもちろん、年齢・性別関係なく見るものを惹きつけ続けた。 本作の脚本を担当したのは脚本家・吉田恵里香。ドラマ『恋せぬふたり』(NHK、2022年)、『虎に翼』(NHK、2024年)などでも随所に垣間見せた、社会問題に向き合う姿勢とエンターテイメントの視点を兼ね備える吉田さんの作家性が、本作でも光る。ルッキズム、ヤングケアラー、SNS上での性加害など若者が抱える問題を誇張することなく丁寧に描いた点がSNSなどで賞賛を呼んだ。 今回、あしたメディアは吉田さんにインタビューを敢行。『前橋ウィッチーズ』執筆時の話から、刻々と分断が加速する社会で「声を上げ、抗い続ける」こと、「社会の当たり前」を疑い続ける理由
個人の生き方、パートナーとの関わり方、そして家族の在り方において、段々と選択肢が広がってきている現代。一方で、多くの人が切実に制度のアップデートを求めていても、なかなか変化は見られない。また恋愛や結婚、子を持ち育てること、あるいはジェンダーにまつわる「こうすべき」といった世間の風潮に対しても、違和感を抱く人は少なくないだろう。 そんななかで、自分と、誰かと、どう生きていくか。どんなパートナーシップや家族を築くか。それぞれがより自分に合った生き方を目指せる社会のために、さまざまな声を取り上げる連載。 ▼これまでの記事はこちら 今回話を聞いたのは、認定NPO法人Dialogue for People副代表で、フォトジャーナリストの安田菜津紀さん。パートナーの佐藤慧さんとともにDialogue for Peopleを運営しながら、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で、難民や貧困、災害の取材を中
いまや誰もが当たり前に利用しているインターネット。だが、そんなインターネットの存在がもしかしたらその人の歴史や社会に、大きく関わっている可能性があるかもしれない…。この連載では、さまざまな方面で活躍する方のこれまでの歴史についてインタビューしながら「インターネット」との関わりについて紐解く。いま活躍するあの人は、いったいどんな軌跡を、インターネットとともに歩んできたのだろう? ▼これまでの記事はこちら 今回お話を伺うのは、元・TBSアナウンサーで現在はフリーとして活躍する宇内梨沙さん。幼い頃からゲームが大好きだったという彼女はいま、ゲームの発表会の司会や、ゲーム実況など、好きなことに関わる仕事を楽しんでいるようだ。 そんな宇内さんに、ゲームと出会ったときのことから、いまのキャリアに至るまでの歴史について話を伺った。 インターネット上で繋がる、初めての体験 宇内さんが初めてインターネットに触
コロナ禍の2020年から2021年にかけて、映画界は未曾有の困難に直面した。映画館の休業、制作現場の混乱、そして何より人々の生活様式の激変——。そんな時代の只中で青春時代を過ごした高校生たちの体験を、映画はどのように描くことができるのか。 映画『この夏の星を見る』は、この問いへの真摯な応答である。全編にわたってマスクを着用した学生たちが織りなす群像劇は、制約を逆手に取った革新的な演出と、望遠鏡を通じて星空を見つめる行為に込められた深い人間洞察によって、単なる時代の記録を超えた普遍的な物語へと昇華されている。 山元環監督と松井俊之総合プロデューサーが手がけた本作は、映画と広告的アプローチの融合という新しい制作スタイルを取り入れながら、「コロナによって失われた青春」という既成概念に安易に寄りかかることなく、離れていても心はつながることができる新しい関係性のあり方を提示している。 社会を前進させ
「政治、理解するの難しすぎない…?」 日々のニュースや選挙のたびにそう感じる若者は少なくないはずだ。理解しようと思っても、何から勉強すればいいのか分からないし、そもそも政治とどう関わっていけばいいのかも分からない。 そこで今回は、“趣味について語るように政治を語る”Podcast番組『セイジドウラク』のパーソナリティ、澤田大樹さん・宮原ジェフリーさんに「政治を楽しく理解するために何が必要か」を中心に話を伺い、前後編の2回に分けてお届けする。 後編は、国政選挙期間以外の政治の楽しみ方、いま求められる有権者の目線、今週末に控えた参院選の楽しみ方や注意点についても伺った。 ▼前編はこちら 『セイジドウラク』が、“面白すぎない”理由 近頃SNSを見ていると、調べればすぐに嘘だと分かるような情報を鵜呑みにしてしまう人が多いなという印象を受けてまして… 澤田:先ほどの「悪いことばかり報道される」という
「政治、理解するの難しすぎない…?」 日々のニュースや選挙のたびにそう感じる若者は少なくないはずだ。理解しようと思っても、何から勉強すればいいのか分からないし、そもそも政治とどう関わっていけばいいのかも分からない。 そこで今回は、“趣味について語るように政治を語る”Podcast番組『セイジドウラク』のパーソナリティ、澤田大樹さん・宮原ジェフリーさんに「政治を楽しく理解するために何が必要か」を中心に話を伺い、前後編の2回に分けてお届けする。 前編は、インターネット黎明期の政治ウォッチ、インターネットで情報を摂取することの功罪、「政治家の良い仕事はなぜ報道されにくいのか?」など、政治に関する素朴な疑問を中心に伺った。 政治を「面白おかしく見てもいいコンテンツ」として最初に受け取った まず初めに、お二人が政治に興味を持つようになったキッカケを教えて欲しいです。 宮原:僕の場合は親が政治好きで、
「推し」という言葉の現在 2025年6月4日放送の『あさイチ』(NHK総合)で企画されたのは、「【地下アイドルの世界】知られざる光と闇/いき過ぎた推し活!?」と題された特集だった。同日の放送では、地下アイドルと通称されるグループのメンバーのライブや特典会、動画配信やSNS発信等の活動に密着し、また一方では新宿・歌舞伎町の路上で女性支援を行うNPOに同行して、いわゆるメンズ地下アイドルに大金をつぎ込む未成年女性の事例などを紹介しながら番組を構成していた。 特集タイトルに「光と闇」と銘打ちつつ、「光」としてクローズアップする対象に関しても手放しに肯定するというよりは、出演者のコメントを含め、ジャンルの構造的な問題点に目を配りながらの語りが紡がれていた。その手つきには、現在「推し」というテーマが扱われる際、どのようなバランスを意識せざるを得ないかの一端があらわれていたといえよう。 「推し」あるい
世界で活躍するアーティストが増えるなか、いま彼らに必要なのは、社会への高いアンテナや人権意識ではないだろうか。 グローバルボーイズグループ・INIとして活躍しながら、情報番組のコメンテーターを務めたり、INIのラジオ番組などでも社会問題について発信したりする許豊凡さんは、そんなアーティスト像を体現する1人。発信時には社会構造や固定観念に触れながらコメントする姿が印象的だ。そんな許さんに、ステレオタイプなジェンダー観に対する違和感や、発信力のある自分だからこそ、社会のために発信したいという思いについて伺った。 発信するために、社会的な背景について知っておきたい 出演されている番組や日々のウェブやSNSなどでの発信を拝見すると、ジェンダーや人権意識の高さを感じますが、普段どういう風に勉強されているのでしょうか。 展示や雑誌、ニュースなどを見て勉強しています。ニュースは毎日チェックしているのです
チュートリアル書籍の進化が止まらない。プロのノウハウが惜しみなく開陳される時代に 昨今、いわゆる技術論が各ジャンルで大きな盛り上がりを見せている。プロのノウハウが平易な言葉で開かれ、書籍でもインターネットでも、チュートリアルと呼ばれる形式がますます人気を集めているのだ。もっとも、「初心者のための〇〇入門」といった類いの人気自体は、すでに長らく続いてきた傾向であり、あらゆる分野でその基礎的な解説は出揃っている。では、何が今あらためて注目されているのか。最近の新たな特徴は、そうしたチュートリアルの驚くべき「深度」にある。 その傾向が最も表れているのが、漫画やイラストといったジャンル。書店に行くと、昔なら美大や専門学校に通う人しか教えてもらえなかったようなプロの技術が、平易な言葉で開かれている。しかも、内容は驚くほど精緻だ。誰でも本格的な漫画やイラストを描けるようになることが、もはやただの夢物語
個人の生き方、パートナーとの関わり方、そして家族の在り方において、段々と選択肢が広がってきている現代。一方で、多くの人が切実に制度のアップデートを求めていても、なかなか変化は見られない。また恋愛や結婚、子を持ち育てること、あるいはジェンダーにまつわる「こうすべき」といった世間の風潮に対しても、違和感を抱く人は少なくないだろう。 そんななかで、自分と、誰かと、どう生きていくか。どんなパートナーシップや家族を築くか。それぞれがより自分に合った生き方を目指せる社会のために、さまざまな声を取り上げる連載。 今回話を聞いたのは、Dos Monosのトラックメイカーでラッパーの荘子itさん。小学館の漫画編集者・金城小百合さんと2023年に結婚し、現在1児を育てながら、音楽活動も精力的に行っている。 ▼金城小百合さんにお話を聞いた記事はこちらから 荘子itさんが金城姓になった背景 荘子itさんは結婚によ
個人の生き方、パートナーとの関わり方、そして家族の在り方において、段々と選択肢が広がってきている現代。一方で、多くの人が切実に制度のアップデートを求めていても、なかなか変化は見られない。また恋愛や結婚、子を持ち育てること、あるいはジェンダーにまつわる「こうすべき」といった世間の風潮に対しても、違和感を抱く人は少なくないだろう。 そんななかで、自分と、誰かと、どう生きていくか。どんなパートナーシップや家族を築くか。それぞれがより自分に合った生き方を目指せる社会のために、さまざまな声を取り上げる連載。 今回話を聞いたのは、小学館の漫画編集者・金城小百合さん。Dos Monosのトラックメイカーでラッパーの荘子itさんと2023年に結婚し、現在1児を育てる母でもある。金城さんに、結婚・出産前後の変化を中心にお話しいただいた。 ▼荘子itさんにお話を聞いた記事はこちらから 年齢も、育ってきた環境も
いまや誰もが当たり前に利用しているインターネット。だが、そんなインターネットの存在がもしかしたらその人の歴史や社会に、大きく関わっている可能性があるかもしれない…。この連載では、さまざまな方面で活躍する方のこれまでの歴史についてインタビューしながら「インターネット」との関わりについて紐解く。いま活躍するあの人は、いったいどんな軌跡を、インターネットとともに歩んできたのだろう? ▼これまでの記事はこちら 今回お話を伺うのは、2018年の『R-1ぐらんぷり』(フジテレビ系列)で優勝し、2025年5月には吉本新喜劇とコラボした舞台で主役も控える話題の芸人・濱田祐太郎さん。 自身が盲目であることを漫談のネタにする一方、SNSなどで発信する社会課題への眼差しは常に真っ直ぐで、その切り口は鋭い。歯に衣着せぬ物言いで世の中を斬っていく彼のスタイルは、テレビや舞台に止まらず、XやYouTubeといったSN
2025年1月クールで話題を集めたドラマ『東京サラダボウル』(NHK)。奈緒演じる主人公・鴻田麻里のセリフにもあるように、人種のサラダボウルである現代の東京を舞台に、刑事の鴻田とその相棒で警察通訳人の有木野了(松田龍平)を軸に、在日外国人を取り巻く問題を描いた作品だ。 鴻田と有木野のバディが事件を解決する話が主軸でありつつも、街中を歩いているだけなのに外見や肌の色で警察から呼び止められる人種差別的な職務質問や技能実習制度(※1)など、在日外国人の暮らしや境遇、かれらを取り巻く日本の制度も描写される。 今回、本作の在日外国人社会考証を担当した、下地ローレンス吉孝さんにインタビューを実施。『東京サラダボウル』が放送された今だからこそ考えたい、在日外国人を取り巻く問題、本作では描かれていない実情、ひとびとが無意識のうちに排外思想を抱いてしまうのはなぜか——そんなテーマについて話を伺った。 ※1
日本のラップ史において実は多く現れてきたフィメールラッパー、その音楽とそれらが生まれた時代/文化を回想しながら、彼女たちが確かに存在した事実を記す。 これは、筆者が2022年1月に刊行した書籍『わたしはラップをやることに決めた フィメールラッパー批評原論』(DU BOOKS)のまえがきにて記した一文である。日本語ラップやJ-POPの歴史において、女性のラッパー、あるいはラップする女性シンガーは実のところ数多く存在したものの、積極的に顧みられてきたとは言い難い。男性中心主義の価値観が根強いヒップホップというカルチャーにおいては、女性というのは常に周縁化されてきた存在であるがゆえになおさらだ。 だからこそ、その歴史を一度総ざらいし、「彼女たちが確かに存在した事実」を記したのが本書の役割だった。それからちょうど丸3年が経ち、状況は刻一刻と変化している。女性のラップ史を振り返った際に最も変化に富ん
「嫌なおじさんになりたくない」 そう考える若年男性は増えているのではないだろうか。油断していると、いつか自分もそうなる可能性はあるし、周囲から知らず知らずのうちに嫌がられているかもしれない…。そうならないためには、どうすればいいのだろうか?そこで思いついたのが、自分が「こうなりたい!」と考える憧れのおじさんに話を聞くことだ。 そこで今回、嫌な感じが全くしないお笑い芸人・藤井隆さんに「嫌なおじさんにならないためにできること」をテーマに話を伺った。笑いをとるときに意識していることや、藤井さんにとっての“憧れのおじさん”、異なる世代の人たちと接する際に意識していること、さらに楽しく年齢を重ねる秘訣についても教えてもらった。 小さな積み重ねが「安心できる笑い」に繋がったのかも 藤井さんをテレビで見ると、いつも安心して笑うことができるのですが、笑いをとる際に、意識していることがあれば教えてください。
いまや誰もが当たり前に利用しているインターネット。だが、そんなインターネットの存在がもしかしたらその人の歴史や社会に、大きく関わっている可能性があるかもしれない…。この連載では、様々な方面で活躍する方のこれまでの歴史についてインタビューしながら「インターネット」との関わりについて紐解く。いま活躍するあの人は、いったいどんな軌跡を、インターネットとともに歩んできたのだろう? ▼これまでの記事はこちら 今回は、1990年代からずっとインターネットを活用されてきた方にお話を聞いてみたい。文筆家・イラストレーターとして活躍する能町みね子さんは、約25年前からインターネットを楽しんできた1人だ。デビューのきっかけも、自身のブログの書籍化。最新刊『正直申し上げて』(文藝春秋、2024年)でも、ネットを巡回して気になった言葉を切り口に、その周辺事象や社会の様相に深く切り込む。 今回は「能町さんとインター
お笑い芸人の音楽活動はどのように変化してきたのか? いま、お笑いと音楽がかつてないほどに接近している。お笑い芸人がミュージシャンとコラボすることは日常の光景になったし、ラップバトルにもこぞって参入するようになった。音楽×お笑いを謳ったフェス<DAIENKAI>は2023年に続き2024年も盛大に開催され、TV番組『ラヴィット!』発の芸人ラップグループ・赤坂サイファーは梅田サイファーとコラボレーションしている。芸人が音楽について語るYouTubeチャンネルなども人気だし、メンバーやヨネダ2000など、ネタそのものが音楽との境界をなくしつつあるような事例すらも生まれている。 筆者が刊行した『スピード・バイブス・パンチライン 勝つためのしゃべり論』(2024年、アルテスパブリッシング)はそういった状況が私たちの日常のしゃべりにまで影響を与えているという旨を論じた書籍だったが、加熱し続けるこの相互
2024年1月1日に能登半島地震が発生した。10月1日時点での被害状況は、死者が401人と現在もなお災害関連死は増加し、住家被害は全壊が6,421棟、半壊が22,823棟と、現在も住宅の解体や復旧が行われている。(※1)さらに、9月に能登半島を襲った豪雨により、被害は拡大している。 筆者は、6月中旬に石川県珠洲市と七尾市で、能登半島地震の災害ボランティアに参加した。七尾市でのボランティア活動の際に、偶然にも元漫才師でお笑い芸人の川西賢志郎さんと同じグループになったことがきっかけで、今回のインタビューが実現した。 ボランティア活動中は、活動に集中するため川西さんとお話する機会は少なかったが、川西さんが真摯に活動されている姿が印象的であった。川西さんは、現地でどんなことを感じていたのだろうか。そこで、川西さんにボランティアの参加理由や活動を通して感じたこと、能登への思いなどを伺った。 ※1 参
あの『鬼滅の刃』に次ぐ大ヒット作品とも言われた『呪術廻戦』が、完結した。掲載誌の「週刊少年ジャンプ」(以下、ジャンプ)では、この8月に『僕のヒーローアカデミア』が終わったばかりなだけに、長期に渡って愛された人気作がバタバタと終了していく印象は否めない。一部には「もう看板作品はONE PIECEだけ。今後、ジャンプは大丈夫なのか?」という声もあるようだ。 しかし歴史を遡ればジャンプには超人気作品が山ほどあり、それらだっていつかは最終回を迎えてきた。そしてそんな人気作が軒並み終了し、掲載作品のラインナップが様変わりしてしまう事態も、たびたび繰り返されてきたことである。 そこで本稿では、これまでのジャンプを振り返りつつ、この先の未来予想図を考えてみたい。 『ドラゴンボール』?『ONE PIECE』?黄金時代はいつなのか ラインナップの様変わりとして、有名なのは、昭和世代がしばしば「黄金時代」とし
NHKで放送中の連続ドラマ小説『虎に翼』。第1話の冒頭「すべて国民は、法の下に平等」という日本国憲法第14条のナレーションから始まる本作。戦争孤児、女性蔑視、選択的夫婦別姓、同性婚など社会のあらゆる問題が丁寧に描かれている。また、主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)をはじめとする魅力的な登場人物が成長していく姿も相まって、あらゆる層から共感を呼び放送当初から話題を集めている。 本作には考証として、法律考証、裁判所考証、朝鮮文化考証など、本作内で扱うあらゆる事象に対して、その道の専門家が制作に携わっている。考証担当の存在も本作の評判を高めるうえで、大きな役割を果たしていることは間違い無いはずだ。 そこで今回は、そのなかでも「ジェンダー・セクシュアリティ考証」を務める、福島大学・前川直哉准教授に話を伺った。ジェンダー・セクシュアリティ考証の具体的な仕事とは、考証が入ることでどのような役割を作品にもたら
2024年、人工知能(以下、AI)は市民権を得たと言っても過言ではない。でも「仕事を取られそうでちょっと怖い」「どう使っていいかよくわからない」という声もあるだろう。 そんなイメージに逡巡しているうちに、AIは瞬く間に日常生活に広がっている。私たちは、 AIとの関わりを、どのように捉えたらいいのだろうか。 今回は、AIをテーマにした作品や、AIを使った動画や記事を、独自のユーモアで展開する作家・品田遊さんと、AIについて言語学の観点からわかりやすく紐解く言語学者・川添愛さんをお招きし、AIとどう関わっているのか、聞いてみることにした。 前編はこちら▼ 後編は、品田さんが作成したAI動画のことから、AIの人間らしさについてまで話が及んだ。いまのAIから見えてくる、これからの創造性を考える。 模範的なAIは、つまらない? 前編では、品田さんとAIが話す動画を拝見しました。改めておふたりはいまの
2024年、人工知能(以下、AI)は市民権を得たと言っても過言ではない。でも「仕事を取られそうでちょっと怖い」「どう使っていいかよくわからない」という声もあるだろう。 そんなイメージに逡巡しているうちに、AIは瞬く間に日常生活に広がっている。私たちは、 AIとの関わりを、どのように捉えたらいいのだろうか。 今回は、AIをテーマにした作品を独自のユーモアで展開する作家・品田遊さんと、AIについて言語の観点から紐解く言語学者・川添愛さんをお招きし、AIをどう認識し、どのように関わっているのか、聞いてみることにした。 実は会うのは初めてだというおふたり。前編は、両者のこれまでのAIとの関わりを紐解きながら、普段の使い方について話を伺う。 川添さんと品田さんの出会い おふたりの関係としては、品田さんの著書『名称未設定ファイル』(キノブックス、2017年)が2022年に文庫化されたときに川添さんが解
マーベル・コミックといえば、スパイダーマンやアイアンマンなど、数多くの人気キャラクターを世に生み出したアメリカの出版社である。コミックを手にしたことがなくても、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)というシリーズで展開される映画を観たことがある人も多いのではないだろうか。 そんなマーベル・コミックで活躍するひとりの日本人作家がいる。その名もピーチモモコ(Peach Momoko/桃桃子)。現在、過去のマーベル作品「X-MEN」を再解釈する「Ultimate X-Men」シリーズとして、日本を舞台にX-MENを描くコミックを連載中だ。彼女はマンガのアカデミー賞とも言われるアイズナー賞で、2021年に最優秀カバーアーティスト賞を受賞。世界中からコミックファンが集まるコミックコンベンションでは、長蛇の列を成すほど人気の作家である。 「なんか緊張しますね…!こういう単独インタビュー初めてで
シュールな短編漫画集『夏がとまらない』(ナナロク社、2017年)から、ほっこりと笑える『ぞうのマメパオ』(ナナロク社、2022年)まで、愛くるしいタッチでクスッと笑ってしまう漫画を書き続けるギャグ漫画家・藤岡拓太郎さん。 2014年頃からSNSで投稿され話題となった藤岡さんの漫画のファンだと話すアーティストやお笑い芸人も多い。そんなSNSを中心にギャグ漫画を届け続けていた藤岡さんが、それ以上に現在関心を呼びかけているのは、国内外の社会情勢や政治のことだ。 本当はギャグ漫画ばかり描いていたいと言う彼が、なぜいま戦争や、政治について話さなければならないのか。藤岡さんのこれまでついても紐解きながら、その想いについて、お話を伺った。 藤岡さんの著書 人と話すことは苦手だった 藤岡さんが絵を書き始めたのはいつ頃からですか? 漫画は小学生の頃からちょこちょこ描いていました。高校2年生あたりからはっきり
俺たち何?え?チーム友達! “チーム友達”の流行語化がとまらない。始まりは、2021年にKOHHとしてのラッパー活動を引退した千葉雄喜が、今年2月に本名名義でリリースした曲「チーム友達」に由来する。——と断りを入れなければならないくらいに、1つの楽曲の域を超えて街中でもさまざまな人が“チーム友達”と口にしているのはご存知の通り。もはや発信元である千葉雄喜のこともKOHHのことも知らない層にまで伝播しているのが興味深い。 絶妙なタイミングでリリースされた「チーム友達」 元々“チーム友達”とは大阪拠点のラッパー・Jin Doggが仲間内で使っていた言葉で、大阪滞在時に彼と会った千葉雄喜がその場のノリでレコーディングして作ったようだ。千葉は事前にDJらに音源を配布しており、クラブでは局所的に認知されていたところ、リリースされ一気に全国区でヒット。Spotify国内バイラルチャートにて初登場1位を
2024年も、相も変わらず宮藤官九郎の年かもしれない。 2000年代初頭からひっきりなしに、何年かに1度「クドカンの年」があった。 その度にサブカルの民が、パロディや内輪ギャグまみれの反則的な脚本世界とともに、「脚本家先生」にしては妙にとっつきやすい飄々とした本人のキャラクターを甘やかしてきた。「クドカン」の存在は愛称とともにいつしかサブカルの村から染み出し、しれっと国民的存在になっていった。 そしてまた、2024年も、みんなが自分ごとのように「クドカン」ドラマを語る奇妙な1月クールで幕を開けた。一体いつまでクドカンの時代なのか。真剣に検証する時期が来ている。 ▼『宮藤官九郎論』前半はこちら クドカンドラマは「ずっと不適切」だった 宮藤官九郎が全話の脚本を手がけた連続ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系、2024年)の完結からまもなく1ヶ月が経つ。間違いなく、彼のキャリア史上最も賛否
8人組ソウルバンド・思い出野郎Aチーム。2021年からはサポートミュージシャンと手話通訳者をメンバーに迎えた編成でも活動している彼らの楽曲に、「フラットなフロア」がある。 フラットなフロア つまづくような段差はない フラットなフロア 何かを遮る壁はない フラットなフロアに向かう 君が誰でもいいぜ スポットライトに照らされて 僕らの肌はまだら模様 話す言葉は歌に溶けて 聞いたことのないラブソング 信仰よりもコード進行 右左よりも天井のミラーボール ♫ フラットなフロア/思い出野郎Aチーム この楽曲で歌われる「フロア」とは、パーティーのダンスフロアを意味しているのみならず、私たちが暮らすこの社会そのものをも表しているのではないだろうか。思い出野郎Aチームでボーカルとトランペットを担当する高橋一(通称マコイチ)さんが、楽曲で、ライブMCで、デモの場で、差別と暴力への反対意志を表明していることから
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