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衆議院選挙2026
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倉田 敬子 (国立国会図書館長) 国立国会図書館は,国会議員の立法活動を適切な資料を根拠として補佐するための国会図書館として,またそれら収集した資料を国会議員だけでなく広く国民に提供する国立図書館として1948年に設立された.国会図書館としての活動は知らない方も多いと思うが,国会議員等からの依頼に基づく調査回答は約3万3千件に上る(2024年度).一般の来館利用者数は年間約67万人であるが,国立国会図書館はどちらかといえば,ほかの図書館が所蔵していない資料を最後に頼る場所,last resortと認識されてきたといえる. 立法活動を補佐し,last resortとなるべく当館が構築してきた「知の基盤」の核となるのが,納本制度を通じて網羅的に収集してきた国内出版物である.図書に関しては99%の納入率であり,雑誌や非図書資料を合わせて当館の所蔵点数は4,811万点を超えている.一方,社会におけ
高町 咲衣 (ITエンジニア/シンガー) 突然ですが,IT業界では人材不足の話をよく耳にします.もちろん人材というものはいきなりその辺から生えてくるわけではありません. 人材が足りていないということは,人材が育成されていないということで,つまり教育が足りていないのです. それもそのはずで,少し前まではまともにプログラミングを扱うようになるのは大学や専門学校以降で,高校まではカリキュラムにほとんどそれらは含まれない,あるいは含まれたとしても優先度が低いのが一般的でした. これを科学に置き換えて考えてみてください.カリキュラムにまともに組み込まれていなかったのに,突然大学レベルの科学ができる人がどれだけいるでしょう? 研究者が不足するのは目に見えています. 子供のころにプログラミングに触れる機会があったという人は,たとえば近所にあるプログラミング教室に通っていたり,身近にIT関係の人がいて教わ
和田 英一 (IIJ技術研究所 顧問) 1970年頃から計算機科学科や情報工学科が次々と誕生した.プログラミング言語やBNF,コンパイラ,yaccやlexなどを教え,学科では中,小型の計算機,研究室ではミニコンで実習した.海外には定員1,000名超の学科もあった.当時 森口繁一先生は「やがて計算機が増え,だれでもプログラムを書くようになり,計算機科学者は失業するから,別の専門も勉強しておくべきだ」と警告された.そのうちMacintoshのようなパソコンが出現.熱心なアマチュアならディスプレイに絵が描けた.そうこうするうちにラップトップの時代が到来.計算機はブラックボックスになって,メールの送受信,Webページの探索,執筆やプレゼン資料作成に使われだす.さらに同様な機能で小型なタブレットも登場.携帯電話は袖珍計算機へ変身した. ネットワークもアメリカのARPAネットが1970年頃に始まり,パ
坂東宏和(獨協医科大学) 高等学校卒業程度認定試験に「情報」を追加 令和8年度(2026年度)第1回の高等学校卒業程度認定試験より,試験科目に「情報」が追加されることが文部科学省から発表されました(図-1)¹⁾.本会は,この試験に「情報」が追加されることについて,歓迎する旨の意見を表明しています²⁾.そこで今回は,「情報」の追加がこの国を前進させることを願い,少しでも受験生の準備の手助けになればと考え,高等学校卒業程度認定試験を取り上げることにしました. この試験は,高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかを認定するための試験であり,合格者には,大学・短大・専門学校の受験資格が与えられます.令和5年度(2023年度)は,受験者16,813人,合格者7,932人(合格率47.2%),令和6年度(2024年度)は,受験者15,585人,合格者7,748人(合格率49.7%)と,おおむね50
巨大プラットフォームの違法情報への対応は変わるのか? 「プロバイダ責任制限法」から「情報流通プラットフォーム対処法」へ 小向太郎(中央大学) 2025年4月に,「情報流通プラットフォーム対処法(正式名称:特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律.さらに省略して「情プラ法」と呼ぶ人もいます)」が施行されました.これは,SNSや動画配信サイトなどの巨大プラットフォームに対し,違法情報への対応を促すための新たなルールを設けるものです.本稿では,その背景,制度の概要,そして今後の課題について解説します. なぜ新法が必要とされたのか? ソーシャルメディア(SNS)やネットニュースは,現代の生活に欠かせないものとなっています.こうしたネット上の情報は,誰でも自由に発信できる一方で,問題のある情報もたくさん含まれています. たとえば,有名人の名前や顔を無断で用いて,「こ
安田 豊(京都産業大学) 2025年度からいくつかの大学で個別入試として「情報」の試験が実施されました.その中の一つである,電気通信大学の2025年度一般入試の「情報」の問題¹⁾ ²⁾から大問3を取り上げます. この問題は「2 + 3」のような通常の数式表現を「記法A」と呼ぶ表現,つまり演算記号を演算対象の「後ろ」に配置して「2 3 +」と表現することで何が起きるかを検討するものです.これだけを見ると,受験者は「なぜそんなことを」と疑問に思うかもしれませんが,その理由は問1,2,3と解き進むことで明らかになります. 問1:記法Aの定義と演習 まず問1の「説明1」で記法の定義が示され,次の「説明2」では「25 × (4 - 2)」のように「演算順序を示すための括弧」がついた記述が「25 4 2 - ×」と書けることが示されます(図-1). 図-1 記法Aの説明 この説明1,2に続く,小問(
徳川 義崇 ((公財)徳川黎明会) 初めてコンピューターに触れたのは,高校3年の選択科目の授業だった.隣接する大学の大型計算機センターの設備を使いBASICを勉強した.大学に入り,自分でPC-8001を買い,独学でBASICやC言語の勉強も続け,大学3年生くらいからプログラミングのアルバイトをしたり,パソコン雑誌で記事を執筆するようになっていた.大学を卒業すると,小さなIT企業に就職した.村井純先生との出会いもあり,1990年代の前半,日本のインターネットの黎明期にインターネットの構築に携わることもできた.気がつけばコンピュータ歴も45年を超えたが,この間のコンピューターの進歩は目覚ましい. やはり最近の動向で注目するのはChatGPTのようなAIの台頭だ.私がコンピューターを使い始めたころは,コンピューターがオセロやチェスのチャンピオンに勝つ時代はやってくるが,将棋はルールが複雑なので,
杜甫々 (「とほほのWWW入門」サイト管理者) 「とほほのWWW入門」というWeb関連の技術情報を掲載するサイトを運営しています.1996年9月に始めたので,もうそろそろ29年目に突入となります.HTML, CSS, JavaScriptを始め,Python, Rust, Goなどのプログラミング言語,React, Vue.js, Angularなどのフレームワーク,Docker, Kubernetes, OpenSSLなどのツール群,文字コード,正規表現,暗号化などの要素技術などなど,目につくIT関連情報を色々紹介してきました.途中サボっていた時期もありますが,ここ最近は1週間に1つはなんでもよいので記事を追加したり更新したりしています. ある講演会で,私が初めてコンピューターに触れたころの話から,サイト作りを始め,継続してきたことについて一通り語ったあと,来場者からの質問で「続けられる
☆本稿の著作権は著者に帰属します. 神戸陽介((株)デンソーウェーブ) システム開発の背景 駅のホームは欄干のない橋にも例えられるなど,バリアフリーの観点から危険性が指摘されています.実際に視覚障がい者が転落し列車と接触する痛ましい事故も続いていることから,近年,対策のためホームドアの設置が推進されています. ホームドアを運用する際には,車両扉と連動したホームドアの自動開閉,編成車両数や車両のドア数に応じたホームドア開閉位置の変更といった制御が求められます.現状これらの実現には,駅ホームと車両が無線で通信し,車両扉の開閉状態や編成車両数,車両ドア数の情報を伝達する方式が用いられています.しかし,この方式は車両側にも無線装置の設置が必要であり,車両改修費が高額であることから,ホームドア普及を妨げる一因となっています.特に,複数の鉄道事業者が乗り入れる相互直通路線においては,乗り入れる鉄道事業
徳永拓之(LeapMind(株)) 1bit LLMの時代が来る? 2024 年2 月,The Era of 1-bit LLMs: All Large Language Models are in 1.58 Bits¹⁾ というタイトルの論文がarXiv上で公開され,にわかに話題となりました.“1.58 Bits” という表現はあまりなじみがありませんが,log₂(3) = 1.58 . . . ということで,パラメーターを三値にした場合の情報量を示しているようです.この論文(以下b1.58 論文とする)は,同じ著者グループによる文献2)を少し拡張したもので,大規模言語モデル(LLM)の効率化についての研究です. 本稿の前半ではこれらの論文の主張を解説し,後半ではその主張の妥当性について検討します. なお,これらの2本の論文は,本稿執筆時点では,査読を経たものではありませんのでご注意くだ
久野 靖(電気通信大学) まだまだ続く「教科『情報』の入学試験問題って?」,2025年の試験開始がいよいよ近づいて,大学入試センター以外に,「情報」の独自入試を実施する大学からの模擬試験問題なども入手できるようになってきました ¹⁾ ²⁾. その中から今回は,京都産業大学が協力高校において実施した模擬試験の問題のうちの1問,チェックディジットの問題を取り上げます.独自入試の問題なんて難しそう,と思いましたか? 確かに,大学入試センターの試験にないようなタイプの問題もありますが,この問題は基本的な知識を問う第1問に続く第2問(京都産業大学のフォーマットでは「[II]」と記しています)として,基本的な考える力を見るものとなっています. この問題を含む模擬試験の全問題や解答例・解説は京都産業大学の入試情報サイト ³⁾ から「2025年度入学者選抜『情報』模擬問題(サンプル問題)」として入手できま
堀元 見(YouTuber・作家) 「ゆるコンピュータ科学ラジオ」というYouTubeチャンネルを運営して生活している.コンピュータ・サイエンスについておもしろおかしく話す対話形式の番組だ.大学の専攻をこんな形で活用するとは夢にも思わなかった. 大学4年生のとき,機械学習についての難解な論文を読みながら,「僕に研究は向いてないんじゃないだろうか.YouTuberにでもなったほうがいいんじゃないか」と思った.普通の人なら気の迷いで済むのだけれど,当時の僕は脊髄反射で生きているアホだったので,本当に研究室を飛び出してYouTubeを始めてしまった.すでに決まっていた大学院の推薦を蹴飛ばして. それから数年,今はYouTuberとして安定した生活が送れるようになっている. 僕は大して何もできない人間だけれど,得意なことが1つあった.小難しい話を,おもしろく説明することである.自分の天職が「おもし
三嶋隆史(東京工業大学/AI Picasso(株)) 尾崎安範(AI Picasso(株)) 冨平準喜(AI Picasso(株)) みなさまはインターネット,特にSNSは普段から使用されていますか? 最近,SNSで共有される画像に大きな変化が見られます.これは,生成人工知能(AI)技術が画像制作に広く用いられるようになったためです.特に2022年から,生成AIを使った画像の品質は飛躍的に向上しています.たとえば,X(旧Twitter)やInstagramに投稿される人物の写真が,実際の人間によるものかAIによって作られたものか,区別が難しくなってきています.また,人間が描いたようなイラストもAIによって多く生成されてきています.この技術の進化について,一部の研究者は画像生成AIの能力は90%以上の人間の能力を超えていると主張しています¹⁾. そこで,本稿では画像生成AIの動向を説明し,画
山名琢翔(筑波大学) オセロが解かれた?! "Othello is Solved"というタイトルの論文がarXivに投稿されました$${^{☆1}}$$.オセロでは,初期局面から双方のプレイヤがミスをせずに打ち続ければ,終局結果は引き分けになると証明できたというのです. オセロを「解く」とはどういうことなのか.どうやって解いたのか.また,解かれた後のオセロはどうなるのか.この記事ではオセロを解くということについて解説します.なお,このarXivに投稿された論文"Othello is Solved"は記事執筆時点で査読や追試を経たものではないことに注意すべきです. オセロを「解く」とはどういうこと? ゲーム情報学の分野では,ゲームを「解く」という行為がいくつか存在して,それぞれに名前がついています.具体的には強解決,弱解決,超弱解決の3種類です.論文本体の話題に入る前に,まずはオセロを解くと
加藤和幸(金城学院大学) 湘南工科大学では2023年度入試科目より「情報」が開設 神奈川県藤沢市にある「湘南工科大学」では,今年度(2023年度入試)の一般選抜独自試験より「物理・化学・情報」の中からの選択科目として「情報」が出題されている.多くの大学の2025年からの大学入学共通テストでの「情報」の扱いに注目が集まる中,2年早く入試教科で「情報」を取り入れている「湘南工科大学」の取り組みに注目したい. 2024年度の入試はまだ旧課程での科目編成のため「情報Ⅰ」での出題は難しい. そこで本大学では,出題の基本方針として下記のような発表がされている. 出題の基本方針 出題される科目は「情報の科学」です.出題範囲は「ディジタル表現」,「コンピュータの仕組み」,「ネットワーク」,「情報セキュリティ」,「アルゴリズム」,「データベース」,「情報技術と社会」です. 出題形式は,大問4つ,大問は複数の
本会ではジュニア会員制度や全国大会でのIPSJ KIDSを始めとしたキッズイベント企画からも分かるように,若い子どもたちの活躍にも注目しています.このたび,情報処理推進機構(IPA)より,情報処理技術者試験に最年少(8歳)で合格された方への取材をご寄稿いただきました.情報処理技術者試験についてはVol.64, No.4(2023年4月号)にも解説記事「情報処理技術者試験における実施方式の変革 ─「新たな日常」を踏まえた試験の実現に向けて─」が掲載となっておりますので,本稿とあわせてご覧いただければ幸いです. 奥村明俊((独)情報処理推進機構 IPA) IPAは,優れたデジタル人材を育成するために,ITパスポート試験(IP),基本情報技術者試験(FE),情報セキュリティマネジメント試験(SG)といった役割やレベルが異なる計13区分の国家試験を実施しています$${^{1)}}$$.IPは,IT
インタビュー: 東京大学 先端科学技術研究センター 身体情報学分野 教授・博士(工学) (一社)情報処理学会 理事・フェロー/情報処理学会誌『情報処理』 前編集長 稲見昌彦 氏 文構成:加藤由花(東京女子大学) 稲見昌彦氏に情報処理学会誌の前編集長として行った変革や学会に対する思いをお聞きし,その中から3つのトピックを選びnoteに連載します.今回はその第1回目となります. ※なお,本稿は「DXで学会誌の外への繋がりを拡大」というタイトルでWeb(https://www.powerweb.co.jp/knowledge/columnlist/interview-28/)に掲載したインタビューの際,掲載しなかった内容を番外編としてまとめました. 連載のタイトルは以下 1.国内学会の存在意義とは 2.学会運営:学会をどう運営していくべきなのか? 3.学会活動の広がり 学会とは何なのか,特に国内
塚本昌彦(神戸大学) Vision Proの登場 2023年6月に開催されたAppleの開発者会議WWDCで驚きの新製品発表がありました.その名も「Vision Pro」,かねてから噂されていた「AR/VRゴーグル」です.ただしAppleは「AR/VRゴーグル」とは呼ばず独自に「空間コンピュータ」と呼ぶ新コンセプト商品としています.単なる高性能AR/VRゴーグルではない業界を根底から覆す数々の「まさか」があり,今後の成否はともかく画期的な挑戦といえますので,本稿では業界を驚かせた10の「まさか」を紹介します. まさか1:価格は3,500ドル(約50万円) 多くの人が一番驚いたのはこの価格ではないでしょうか? 今秋発売されるMeta Quest 3やその他のVRゴーグルと比べると相当な高価格ですが,HoloLensやMagic LeapなどのARゴーグルと比べると同レベルの価格帯です.後者は
田中邦裕(さくらインターネット (株)代表取締役社長) 私が小さかったころの将来の夢はエンジニアになることで,それを原動力に高専へ進学し,ロボコンに打ち込みつつ,芽が出始めたばかりのインターネットにのめり込み,寝る間も惜しんでパソコンと向かいあった. そんな高専生が18歳で学生起業したのは,自分が運営していたサーバとたわむれ続けることを,人生において持続可能にするための生存戦略であった.いわば起業は手段である. さて,いま世の中ではIT人材が足らないらしく,どこへ行っても優秀な人材をどう育てるのか,どうやって採用するのかといった会話が聞かれる. これに対して感じるのが,いかにも雇う側だけの理論で話されているなということであり,雇われる側,すなわちIT人材の内発的動機が無視されているなということである. 本来,コンピュータが好きな人がIT企業に就職したら,毎日がやりたいことで満たされていて,
杉ライカ(ダイハードテイルズ) 画像生成AIは電子ウキヨエの夢を見るか? こんにちは,ダイハードテイルズ(DHTLS)の杉ライカです.DHTLSは商業出版だけでなくクリエイター自身のSNSもまた重要な作品発表の場と捉え,オンラインに軸足を置いて活動し続けているプロのクリエイターグループで,自作小説や翻訳小説などを,インターネット上で連載したり,各種出版社から書籍としても発刊してもらっています. ここでは,最近登場したtext-to-imageの画像生成AIサービス「Midjourney」を,自分たちのTwitter連載小説でどのように活用しているか,またそこから何を感じたかなどを,簡潔にレポートしてみたいと思います.まず,Twitterで小説といっても想像しにくい方も多いかと思いますので,DHTLSがどのように小説を連載したり(図-1),AI描画の挿絵を投稿したりしているのか(図-2),具
森井昌克(神戸大学大学院工学研究科) 深夜,プリンタが勝手に動きだした! 四国でも山深い,徳島県の西部,四国のほぼ中央部に近いつるぎ町にある町立半田病院(図-1).しずまり返った10月末の土曜日深夜(2021年10月31日(日)午前0時30分頃),複数のプリンタから,誰が操作したでもなく,勝手に英語で書かれた印刷物が止めどもなく,用紙がなくなるまで出力される(図-2).ランサムウェアの感染である.この時点で病院内の誰もが事態の深刻さに気付かず,深夜ゆえに気味の悪さにとりつかれながらも,単にコンピュータおよび周辺機器の暴走と考えられた.しかしその後すぐに当直医師から電子カルテの異常が報告され,午前3時にはシステム担当者が緊急事態として駆け付け,すべてのサーバやネットワークを動作チェックした結果,ほとんどが機能せず,この時点(午前8時)で初めてランサムウェアに感染したことが判明した.その後ただ
小向太郎(中央大学国際情報学部) ツイッター投稿削除請求事件 ツイッターに自分のプライバシーに関する投稿がされていた場合,その投稿を削除してほしいと請求することはできるのか? 削除に応じてくれない場合,裁判をすれば裁判所が削除を命令してくれるのか? こうした問題について,2022年の6月24日に,最高裁が判決を下した. 今回争われたのは,自分の前科に関する投稿について,削除を求めて争われた事例である.東京地裁は削除請求を容認,東京高裁は削除請求を棄却と,判断が分かれていた.最終的な決着がどうなるのか注目される中,最高裁は,削除請求を認める判断を示した. 判断の争点となったのは,グーグルの検索結果に対する削除請求について最高裁が採用していた,いわゆる「明らか基準」が,ツイッターにも適用されるのかどうかということである. 「明らか基準」とは何か 前科などのプライバシーに属する情報が表示される検
安達知也((株)Preferred Networks) Green500の概要 Green500は,バージニア工科大学のFeng教授を中心とするグループによってメンテナンスされている,スーパーコンピュータのエネルギー効率のランキングである.関連するランキングとしてTOP500がある.TOP500はLU分解で連立一次方程式を解くLINPACKベンチマークの実行速度を用いて1秒あたりの倍精度浮動小数点演算回数(FLOPS)を競うランキングであり,近年では富岳が4期連続で1位を獲得している.Green500は,TOP500にランクインした上位500システムのスーパーコンピュータを対象に,FLOPS値をベンチマーク実行中の平均電力で割った値,いわば電力あたりの演算性能を指標とするランキングである.筆者らは,2020年6月,2021年6月,2021年11月の3回のGreen500で1位を獲得した.
和田 優斗(わだ ゆうと) 組版とは,書籍やパンフレットなどを作る際,文字や図をページに配置する作業のことである.Microsoft Wordを使って文書を作る作業は組版であるし,研究論文を書く人ならLaTeXを使う人も多いだろう. 組版ソフトウェアには,大きく分けて2種類ある.文書のテキストに指示を埋め込んでいく文字ベースの組版処理システムと,画面上で組版結果を見ながらそれを操作していくWYSIWYGエディタである.前者にはTeXや(未踏OBの諏訪敬之氏の)SATySFiが,後者にはWordやAdobe Illustrator,InDesignがある. どちらにも利点がある.WYSIWYGはとっつきやすいが,文字ベースにも,文書から分けてスタイルを記述するゆえ再利用性が高かったり,文字ゆえ差分の把握やバージョン管理がしやすかったり,マクロ定義による拡張や自動処理が可能になる,といったさま
楠 正憲(内閣官房 政府CIO 補佐官) 2021年1月 Android版の接触確認アプリCOCOAが数カ月にわたって動作していなかったことが明らかにされた.筆者は 2020年4月から接触確認アプリの導入について,有志での議論に参加し,有識者会議のメンバとして,また途中から政府CIO補佐官として, 接触確認アプリの導入を支援してきた.本稿では接触確認アプリCOCOAの開発と運用について,どのような課題があったかについて振り返る. 接触確認アプリ導入の経緯 筆者が接触確認アプリについて知ったのは昨年(2020年)3月頃のことである.ちょうどシンガポールのTrace Togetherが話題となって,日本でも接触確認アプリをリリースできないかといった話題で,いくつかのコミュニティが盛り上がり始めた. Androidのシェアが高いシンガポールに対して,日本ではiPhoneのシェアが非常に高く,iP
クジラ飛行机(くじらはんど) なでしことは? 日本語プログラミング「なでしこ」は,その名の通り日本語をベースとしたプログラミング言語です.正式版公開から今年で16年目になります.当初から開発スローガンは「なでしこで誰でも簡単プログラマ」です. 母国語の日本語をベースとしたプログラミングを行うことにより,老若男女を問わず,誰でもプログラミングができる環境を提供したいという気持ちで開発を続けてきました.開発の早い段階からオープンソースとして公開しており,ライセンスも自由度の高いMITライセンスを採用しています.次のWebサイトで公開しています(図-1). 図-1 なでしこのWebサイト - https://nadesi.com ちなみに,母国語でコンピュータを操作できると言っても「プログラミング言語」であって「自然言語」ではありません.もちろん,自然言語的なアプローチも考えたことはあるのですが
2020年度から小学校の学習指導要領が新しくなり,小学校でプログラミングを学ぶことが始まりました.2021年度からは中学校で,2022年度からは高等学校で,それぞれ学習指導要領が新しくなります.中学校では技術・家庭科の中でプログラミングを学び,高校では全生徒が「情報Ⅰ」という科目で,情報社会の問題解決・コミュニケーションと情報デザイン・コンピュータとプログラミング・情報通信ネットワークとデータの利用について学習することになります. これを受けて,2025年から始まる大学入試の共通テストには教科「情報」も取り入れる方向で検討が進んでいます.では,実際にどんな試験問題になるのでしょうか. 情報入試に関しては,情報入試研究会がさまざまに試行を行ってきていますが,情報処理学会でも,情報入試委員会を設けて,大学入試での教科「情報」の試験に関しての調査研究を進めてきました. このNoteシリーズ『教科
小特集「さようなら,意味のない暗号化ZIP添付メール」より 崎村夏彦(NAT コンサルティング) 大泰司章(PPAP 総研) 楠 正憲(国際大学Glocom) 上原哲太郎(立命館大学) 背景はこちらの記事をご参照ください. Part1に続いて. SMTPS の強制 崎村:さて,ではPPAP に代わる安全な方式の議論したいと思います. 上原:相手とのSMTP の経路がSSL 対応になっているのだったら,もうそのまま送ればと思っています.安全という意味では十分安全.いまは通信区間にセキュリティリスクはあまりない.むしろ末端がこわい.マルウェアやフィッシングでID を取られ,メールボックスの中を盗み見られていることのほうが問題.そっちを守ることにエネルギーを使うべき.経路のことはあまり気にしなくていいんじゃないか.崎村:何を守ろうとしているかという部分ですよね.経路の安全性と到達先での安全性と2
小特集「さようなら,意味のない暗号化ZIP添付メール」より 崎村夏彦(NAT コンサルティング) 大泰司章(PPAP 総研) 楠 正憲(国際大学Glocom) 上原哲太郎(立命館大学) 背景はこちらの記事をご参照ください. 長文の記事です.分割して読みたい方は,こちらからどうぞ. PPAP の定義 崎村:さて,本日は「社会からPPAP をなくすには?」というテーマで座談会を行いたいと思います.アジェンダですが,PPAP の定義,PPAP 賛成の論拠への反論,より良い方策を議論します.まずPPAP の定義ですが,オフラインで鍵を共有するのもPPAP だと思っている方もいらっしゃるようなのですけれども,それは違いますよね. 大泰司:1 通目にZIP を暗号化して添付ファイルを送って,2 通目でパスワードを送るというやり方です.2 つの軸があって,パスワードを同じ経路を送るか,違った経路で送るか
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