
近年、さまざまな画像生成AIが登場し、クリエイティブの世界が大きく変わりつつあります。
特にプロのカメラマンやフォトグラファーたちは、「このまま進化するとAIに仕事が奪われるのでは」というキャリアへの不安と、生成AIの学習に「作品が勝手に使われるのでは」という著作権への不安、その両方に直面しています。
そうしたクリエイターの不安に対し、“倫理的で安全な生成AI”という思想のもと開発されたのが、アドビの「Adobe Firefly」です。
果たしてFireflyは、カメラマンが抱える不安の「解決策」となりうるのか。プロフォトグラファーとして活躍するstudio9代表の中原一雄さんと、アドビのマーケティングマネージャー・轟啓介さんにお話を伺いました。
※この記事はアドビ株式会社によるタイアップ広告です。
- ライバル? パートナー? カメラマンと生成AIの関係性
- 30分の地道な作業が1分で終了! Fireflyがもたらす「時短」効果
- AIの学習にクリエイターが感じる“モヤモヤ”とアドビの姿勢
- 生成AIが進化する世界でフォトグラファーが生き残るには
- 画像生成AIを賢く使って、「棲み分ける」
- クリエイティブのための生成AI、Adobe Fireflyを試してみよう!
- あなたも Adobe Fireflyを使って#31xAIコンテスト に参加してみませんか?
出演者プロフィール

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中原一雄(なかはら・かずお)さん
写真家・写真情報Webサイト「studio9(すたじお・きゅう)」代表。化学メーカー勤務を経て写真の道へ。広告写真撮影の傍ら、写真ワークショップやセミナー講師、カメラ雑誌の執筆、カメラバッグのプロデュースなど幅広く活動。ライフワークは写真をより楽しむための情報発信。著書に『写真のことが全部わかる本』(インプレス)など。

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轟啓介(とどろき・けいすけ)さん
アドビ株式会社 マーケティングマネージャー。 大手印刷会社でWebアプリ開発に携わった後、2008年にアドビ入社。Web制作ツール全般、生成AIのFireflyなどのマーケティングを担当。Adobe MAX JapanやCreative Cloud道場の運営も兼務。世の中のデザインがひどいものすべてを憎んでいる。
ライバル? パートナー? カメラマンと生成AIの関係性
── 「Adobe Firefly」などさまざまな生成AIが登場しています。プロのフォトグラファーという立場から現状をどのように捉えていらっしゃるでしょうか。

中原 最初に画像生成AIが登場したときは、文字で打った内容が写真として出力される、まさに「夢の技術」のように語られることも多くて、カメラマンの仕事が奪われるのではという不安がありましたね。
しかし、実際にAdobe Photoshopに搭載されたAdobe Fireflyを使ってみると、そういう存在ではないと分かりました。自分が撮った写真をより良くしてくれる。むしろ、画像を扱うカメラマンにとってこそ、すごく便利なツールだという印象を受けています。
── 実際にどのように活用されていますか。
中原 写真内の不要物を消す用途が大半ですが、たまに簡単なプロンプトを使って画面内にアクセントを加えることもあります。
以下の写真では「手を繋いで道の向こうに歩く日本人親子のシルエット」というプロンプトで撮影時にイメージした情景を再現しました。


── 最初に感じた「不安」というのは、ゼロから完成品の写真ができてしまうことに対してのものだったのでしょうか。
中原 そうですね。ただ、ふたを開けてみると、やはり生成AIで作った写真は、私たちカメラマンが撮影したものとは違うと感じています。仕事が奪われるかもという恐怖感は今のところありません。
── 轟さんはAdobe Fireflyを提供する立場から、生成AIの発展をどのように捉えていますか。

轟 中原さんと同じく、私も最初は「すごいものが出てきた」という驚きがありました。ただ、今はほとんどのフォトグラファーの方が、違和感なく生成AIを使われていると思います。今後はさらにフォトグラファーのやりたいことをサポートしてくれる身近なパートナーになっていくでしょう。
それでも、プロフォトグラファーの仕事がどうなっていくのかという懸念はあると思いますが、「フィルムからデジタルへの移行」「ストックフォトの登場」……と、大きな変化は写真業界でこれまでに何度も起きてきたことです。生成AIの進化のスピードがあまりにも早いため、戸惑いがあるのかもしれませんが、テクノロジーの発展により、新しい役割や仕事が生まれてくるはずです。
30分の地道な作業が1分で終了! Fireflyがもたらす「時短」効果
── Adobe Fireflyは、現在どのような形でフォトグラファーに使われているのでしょうか。
轟 Adobe MAX(アドビが主催する世界最大級のクリエイティブイベント)などのデモでは、新機能を分かりやすく紹介するためにわざと派手に見せることが多いです。ですが、実際の現場ではAdobe Fireflyは地道な作業時間を短縮するために使われることがほとんどです。
具体的には、「生成削除」(写真の不要なオブジェクトを簡単に削除できる)機能がよく使われています。例えば、電線が何本も建物に重なる形で写っている写真があります。これらの電線を消すのに、中原さんなら従来はどれくらいの時間がかかっていましたか?

中原 従来通りのやり方だと、かなり手間がかかりそうですね。できればやりたくないかもしれません(笑)。でも、従来通りのやり方で作業するとしたら……そうですね、修復ツールやコピースタンプツールを使い分けて、パッチワークのように修正を繰り返すので、何時間もかかりそうです。
轟 そうだと思います。でも、Adobe Fireflyを使うと、一瞬で電線だけを消し、電線が重なっていた建物部分の描写も生成してくれるのです。

中原 これこそAdobe Fireflyのすごいところですよね。私も建築系の写真を撮影することが多いのですが、撮影後に電柱など邪魔な要素を消す作業があります。以前はなるべく後処理を少なくするために、電柱が写っていないカットを別に撮っておいて合成するなど、撮影時に工夫していました。ただ、どうしようもないケースもやっぱりあるんですよ。
そんなとき、Adobe Fireflyは非常に心強い選択肢になります。Adobe Fireflyだけでは完璧に修正できないこともあるので、そんなときは従来のPhotoshopでの修正技術と組み合わせて行っていますが、30分かかっていたような作業が1分程度で終わることもあります。時短はAdobe Fireflyならではの恩恵ですね。
── 生成削除以外にユーザーに好評な機能はありますか。
轟 クリエイティブの現場では「生成拡張」もよく使われています。撮影した写真よりも、もっと広い範囲を写したかったときなどに使用すると、写真の“続き”を生成AIが自動的に作ってくれる機能です。
中原 生成拡張も建築写真ではよく使いますね。建物のパース補正(写真に写った被写体の遠近感による歪みを、垂直・水平を整えること)を行うのですが、その際に画角が不足することがあります。そこで生成拡張を使うと、違和感なく建物の周囲を拡張できる。当然、現場でも余裕をもって撮影は行うのですが、後から想定以上にもっと広い画角が必要になることもあるので、そんなときに生成拡張は便利ですね。
轟 もう一つ挙げるとすれば、「塗りつぶし」機能です。選択した部分だけを消したり、追加したりできます。例えばネクタイの色を変えたり、タキシードを着物に変えたりできます。ここまでの修正になると、あまり写真家の方は使わないかもしれませんが。
AIの学習にクリエイターが感じる“モヤモヤ”とアドビの姿勢

中原さんは以前、ご自身の写真の盗用(写真が反転・加工されて写真集として無断販売されるなどした)被害について発信されていましたが、生成AIの学習データに関する懸念についてはどのように感じていますか。
中原 自分が撮影した写真は、カメラマンとしての財産であり著作物です。それを知らないところで誰かに勝手に使われるというのは良い気持ちはしません。仮に実害が大きくなかったとしても、です。ただ、盗用される問題とAIの学習データに使われる問題は、まったく同じではないですよね。
私が盗用被害について発信した2015年ごろは、ネットのキュレーションメディア全盛期で、悪気なくネット上の写真を盗用する人も少なくありませんでした。その頃に比べると現在は盗用はやってはいけないという意識が割と浸透してきていると感じます。
一方で、AIの学習データに使われる場合は、自分の作品が本当に学習に使われているかが分かりません。「勝手に学習されているかもしれない」という漠然とした不安なんです。仮に学習されているとして、それをやめさせるのにどうすればいいのか、誰と対峙すればいいのかも不明です。
このモヤモヤした不安感が、クリエイターのAIに対する拒絶反応の一因なのではないでしょうか。
── そうしたクリエイターの“モヤモヤ感”に、アドビとしてはどう向き合っているのでしょうか。
轟 まずお伝えしたいのは、Adobe Fireflyはクリエイターの作品を勝手に学習しない、ということです。Adobe Fireflyの学習データは、きちんとクリエイターが同意してAdobe Stock(アドビが提供するストックフォトサービス)にアップロードされた作品や、パブリックドメインの作品、オープンライセンスされた作品のみです。

また、アドビは単に生成AIを提供する企業というだけでなく、倫理面でもさまざまな取り組みを進めています。例えば、コンテンツの来歴や署名情報である「Content Credentials(コンテンツクレデンシャル)」です。これにより、いつ、誰が、どの機種を使って撮影したのか、あるいは生成AIを使って作った画像なのか否か、といった情報をデジタルコンテンツに埋め込めます。
このコンテンツクレデンシャルを追加する仕組みを整える「C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)」や、そのための認証情報を開発・実装する「CAI(Content Authenticity Initiative)」といった団体をアドビが中心となって設立し、多くの企業が参加しています。
── どのような企業が参加しているのでしょうか。
轟 後者のCAIにはグローバルで4,500社以上、カメラメーカーならキヤノン、ニコン、メディアでも国内はNHKや日経新聞、海外ならBBC、ニューヨーク・タイムズなども参加して、フェイクニュース対策としても注目されています。
中原 さまざまな企業が生成AIを手がけていますが、そうしたクリエイターを守る動きについてはアドビが最も力を入れていて、情報も開示してくれていると感じます。Adobe Stockを持っている点も大きいですね。クリエイターの合意の上でAdobe Stockから学習しているということが明示されているのは安心できます。
というのも、自分自身の作品が学習されることはもちろん不安ですが、同時に生成AIを使う際に他のクリエイターの権利を侵害していないかも気になるからです。学習データの出どころがはっきりしていない生成AIは、業務では使いづらい。
轟 そういう意味では、ユーザーは「どの生成AIを選んで使うか」ということについて、無関心であってはいけないと思っています。
中原さんがおっしゃるように、どのデータを使って学習しているのか、その透明性が担保されているかを確認しなければ、知らず知らず他のクリエイターの権利を侵害する可能性は避けられません。その結果、「誰かが泣いているかもしれない」のですから。
── 現時点では、多くの画像生成AIが学習データの詳細を公開していないため、Adobe Fireflyのように透明性を担保していると強調する姿勢は、業界の中ではまだ珍しい部類に入ると言えます。そうした考え方や姿勢は、クリエイターの声を聞いて決定されたのでしょうか。
轟 そうではありません。そもそも、アドビは創業以来、クリエイターと共に歩んできた歴史があります。クリエイターの成功がアドビの成功で、クリエイターが不利益を被るようなことはあってはならないと考えているのです。
この考え方は生成AIに関しても全く同じで、透明性の担保と、安心して使っていただくための環境整備は“生成AIだから”特別に対応するのではなく、当たり前のことだと考えています。
中原 そういった姿勢には安心感が持てますね。他の画像生成AIも別に「クリエイターを排除しよう」とまで考えているわけではないと思いますが、「クリエイティブを生成AIに置き換えてしまおう」としているようなイメージはありますから。
生成AIが進化する世界でフォトグラファーが生き残るには

── Fireflyがもたらす効果やアドビの姿勢を理解しつつも、多くのフォトグラファーは将来、生成AIがさらに進化すると、仕事が奪われてしまうのではないかと不安を感じていると思います。今後、生成AIの進化で仕事はどのように変わるでしょうか。
中原 最初にお話したように、現在はまだ、カメラマンが撮影した写真の修正を楽にしてくれるツールというレベルですが、今後は修正だけではなく、ゼロから写真を作って業務で使用するケースも出てくると考えています。
すでに企業が広告などの写真を画像生成AIで制作し、細部におかしなところが見つかって問題視される事例も見られます。これは過渡期ならではの現象でしょう。
私の予想では、これまでストックフォトで済んでいたような写真に関しては、生成AIに置き換わっていくと思います。その過程では、ストックフォトサービスから写真を選び、さらに生成AIで異なるパターンを作り出すといった使い方も増えるのではないでしょうか。
── なるほど。そのような変化の中で、プロのフォトグラファーとして「生き残る」ためには、どう対応していけばいいでしょうか。
中原 私は大きく二つの方向性があると考えてます。一つは「本物を撮る」ということです。取材場所に行ってそこでしか撮れないものを撮影することは、生成AIにはできません。もう一つは、「その人にしか出せない作風や作家性を出す」ということです。
プロのカメラマンとして生き残るには、このどちらかに進む必要があるでしょう。
── 今後、生成AI時代に求められるフォトグラファーとして重要なスキルは何でしょうか。
轟 フォトグラファーに限らずすべてのクリエイターにとって、「クライアントが本当に求めているものを聞き出す能力」はより重要になると思います。クライアントが「◯」がほしいと言ったとしても、よく話を聞くと本当に必要だったのは「△」だったということはよくあることです。
そうした要望を聞き出した上で、アウトプットを生み出す作業は、人であるカメラマンやデザイナーにしかできない仕事です。その上で、写真の修正など時間と手間のかかる仕事をAIに任せればいいと思います。
中原 今の轟さんのお話に通じるものですが、「ディレクションスキル」だと考えています。言われたものを言われるように撮るしかできないようだと、かなり厳しくなる。
写真を撮るだけなら、誰でもスマホでさっと撮影できます。でも、その写真で伝えたいことが本当に伝わるかは別です。現場できちんと、「こう撮った方が伝えたいことがしっかり伝わります」と判断するのはカメラマンの仕事であり続けるでしょう。
轟 画像生成AIを「相棒」として使用するのであれば、「良いものを選ぶ力」も挙げたいですね。生成AIが提示した画像の中から、何を選ぶのかという目利き力も重要になってきます。
画像生成AIを賢く使って、「棲み分ける」

── 画像生成AIツールの進化の方向性として、「本物と見分けがつかないクオリティの成果物を作る」のか、「クリエイターのパートナーとしての進化」を目指すのか。どちらに向かうのでしょうか。
轟 倫理的に目指すべきかどうかは置いておいて、技術的に可能になれば、本物と見分けがつかないような画像を生成するAIは必ず登場するでしょう。あとは、それをユーザーがどう受け止めるかです。
もし、本当に誰が見ても本物と見分けがつかないような写真を生成AIが作れるようになるのであれば、それはもうAIでいいのではないかと思います。代わりに、人間は別の新しい仕事をするべきでしょう。
中原 同感です。誰が見ても同じなら、その写真をあえて人間が撮影する必要はないと思います。私が懸念しているのは、「誰もが見てもOK」ではなく、「少し物足りないけれど、AIでいいか」という流れが起きてしまうことです。そうなると、クリエイティブのレベルは大きく下がってしまいます。
轟 仮に世の中が生成AI画像ばかりになったとしても、プロフォトグラファーの作品価値が高まる可能性はあると思います。例えば、CDに置き換えられたレコードが今あらためて再評価されているように、「フォトグラファーの撮った写真には味がある」といった“余白”を楽しむ世界に戻ることもあるでしょう。
── 最後に、クリエイターに向けてメッセージをお願いします。
轟 選択肢がある以上、クリエイターの皆さんには一度は画像生成AIを試してみていただきたいと思います。最初から「私は生成AIを使わない」というのではなく、使ってみて評価してほしいと思います。AIを使うことで新しい可能性を見いだせるかもしれませんし、「これは生成AIに任せて、自分はこちらに集中しよう」といった発見があるかもしれません。
AIの進化は非常に早いので、定期的に触れることが大事です。3カ月前に「このAIは使えない」と思っていても、3カ月後にはまったく状況が変わっている可能性もありますから。
繰り返しになりますが、AIは時短につながるツールです。賢く使って、早めに仕事を終わらせ、おいしいビールなどを楽しみに行きましょう。
中原 「AIに仕事を奪われる」という意識で向き合っていると、どうしてもAIと対立してしまいます。味方と敵みたいに分けるのではなく、うまく付き合っていく、棲み分けるという意識が大事です。私も面倒な仕事は極力AIにやってもらうというスタンスです。
生成AIの進化で、カメラマンとしての仕事のやり方が変化していくのは必至です。ですが、クライアントに最大の価値を提供するという最終目的は変わりません。そこをぶらさずにやっていくことで、変化に対応できるはずです。

クリエイティブのための生成AI、Adobe Fireflyを試してみよう!
Adobe Fireflyは、アドビが提供するクリエイティブのための生成AIです。
最大の特徴は、記事本編でも語られた通り、アドビのストックフォトサービス「Adobe Stock」のコンテンツなど、権利的にクリーンなデータのみを学習していること。そのため、生成したコンテンツは安心して商用利用も可能です。
記事で紹介された「生成削除」や「生成塗りつぶし」の驚異的な時短効果を、ぜひあなたのクリエイティブで体感してください。
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取材・構成:山田井 ユウキ
撮影:関口 佳代

