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ヤマシタトモコの漫画を原作とするアニメ『違国日記』は、両親を交通事故で失くした少女・田汲朝と、その叔母で小説家の高代槙生の同居生活を描く話題作だ。2人の日々を繊細に描き、他者との距離感について魅力的に描写する本作の制作について、『違国日記』という作品の持つ魅力やアニメの媒体としての性質を踏まえて、構成・脚本を務めた喜安浩平に話を聞いた。 シリーズ全体で、朝と槙生が互いに成長していく ——アニメ版『違国日記』の企画にどの段階から声がかかったのか、喜安さんが参加するまでの経緯について教えてください。 喜安浩平(以下、喜安):お話を伺う以前に、制作会社・朱夏の佐藤由美プロデューサーとは面識があって、別の企画を進めようとしたんですが、それはタイミングの問題もあって実現しなかったんです。それからしばらくして、また改めて佐藤さんからご連絡を頂いて、『違国日記』のお話を受けて……という流れなので、プロデ
「戦争は理不尽に、向こうからやってくる」 小泉悠が語る、ウクライナ侵攻が日本にとっても他人事ではない理由 小泉悠『現代戦争論』(ちくま新書) ロシア情勢研究の第一人者であり、その鋭い分析と誠実な語り口で絶大な信頼を集める小泉悠。2022年の侵攻開始直後に刊行されベストセラーとなった『ウクライナ戦争』(ちくま新書)から3年、戦争は出口の見えない未知の領域に突入しようとしている。 待望の新刊『現代戦争論』(ちくま新書)は、凄惨な犠牲のデータから、プーチンが膨大なコストを払ってまで侵略を継続する政治的背景、そして古典的な消耗戦への回帰まで、変容する世界の姿を克明に描き出した一冊である。 「戦争は理不尽に、向こうからやってくる」。ロシアはなぜ侵略に及び、ウクライナの戦火はなぜ止まないのか。泥沼化する欧州の戦場から見えてきた戦争の本質と、その教訓をいかにアジアの生存戦略へと繋げるべきか。激変する世界
2月最終週から3月第1週にかけての週末動員ランキングは、『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』(東宝)が、オープニング3日間で動員62万1000人、興収7億8000万円をあげて初登場1位。1980年にシリーズがスタートして以来、コロナ禍による公開延期もちょうど1年延ばすなどこれまで頑なに3月公開を死守してきた映画『ドラえもん』シリーズだったが、今年の公開日はたった2日とはいえ2月に食い込む2月27日。春休み興行がひと段落する4月前半で落ち着きがちだった映画『ドラえもん』シリーズの興行において、これは興行寿命を延ばす策とも考えられるが、昨年公開の前作『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』のオープニング3日間との興行比で111%と、とりあえず現時点でその試みは成功したと言えるだろう。 他に注目すべきは、9位に初登場したHIKARI監督、ブレンダン・フレイザー主演の米日合作の『レンタル・ファ
アニメ『呪術廻戦』「死滅回游編」において、一際異彩を放つキャラクターが登場した。元弁護士の泳者・日車寛見である。池袋の劇場の舞台で、服を着たまま、どこから出てきたのかわからない風呂に水を溜めて身を沈める。そんなインパクトしかない登場の仕方なのに、彼の地に足のついた人間性によって、バランスが取れてしまうのがずるい。 彼の本格的な登場と、主人公・虎杖悠仁との対峙を描いた第55話は、術者として覚醒する前の日車の過去も描かれ、その演出も含めて話題を呼んだ。SNS上でもファンアートが急増し、ハライチの岩井勇気も「呪術廻戦でやっと好きなキャラできた。日車寛見」とXでポストしている(※)。男女問わず惹かれてしまう日車の魅力と、それを最大限に引き出した声優・杉田智和の演技について紐解いてみたい。 傷ついた大人たちの代弁者として 日車の最大の魅力は、彼が「システムの限界に絶望した善良な大人」である点に集約さ
日本テレビ系で放送中のドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』。映画界で独自の恋愛観を描き続けてきた今泉力哉監督が、主演に杉咲花を迎え、GP帯のドラマとしては異例ともいえる「徹底した会話劇」に挑んでいる。 「大きな事件」が起きない日常の積み重ねや、固定カメラを多用するストイックな演出、そして現場でのセッションから生まれる微細な感情の揺れ。テレビドラマの既成概念を鮮やかに裏切る本作の裏側には、脚本制作における葛藤、そして杉咲花の“技術を超えた表現力”への信頼があった。独自の世界観を届ける今泉監督の確信に満ちた言葉を紐解く。 「挑戦」という意識はない 今泉力哉 ――ここまで会話劇を徹底して、映画のようなニュアンスを出す作品だとは思わず、とても見応えがありました。ゴールデンタイムのテレビドラマで本作のような映像表現をするのは、ある種挑戦的なことでもあるのかなと感じましたが、ご自身はどうお考えですか?
昨年、人文界隈のタイムラインを席巻した「令和人文主義」の話題も、一時期に比べればあまり目にしなくなってきた。しかし、いまの人文知のあり方を考えるうえで、令和人文主義について語るべきことはまだあるようにも思われる。 そこで、令和人文主義で定義された世代にすっぽり入っていながら令和人文主義に数え入れられていない書き手に、令和人文主義について尋ねてみた。 2019年刊行のデビュー作『「差別はいけない」とみんないうけれど。』が今年1月に増補版として文庫化された綿野恵太氏である。同世代から見る令和人文主義とは。(取材日時:2026年1月30日) 綿野恵太『増補改訂版「差別はいけない」とみんないうけれど。』(朝日文庫) みんなが本を読んでもべつに良い世界にはならない? ――このたびは綿野さんに令和人文主義を出発点としていまの人文知や批評の状況についてお聞きしたいと思います。綿野さんは令和人文主義で定義
羊文学を支える、元cHAI・YUNA「やっぱり私は踊らせたい」――“核”を大切に歩み出したサポートドラマーの道 【連載:個として輝くサポートミュージシャン】YUNA 2024年までcHAIのドラマーとして国内外で活躍し、解散後は羊文学、Homecomings、Rei、吉澤嘉代子など、幅広いアーティストのサポートをしているYUNA。cHAIのデビュー時からインパクト抜群だったファンキーかつパワフルな演奏に加え、DJとしても活動し、ダンスミュージックを通過したビートの音色や音像へのこだわりを持つ、現代的なドラマーだ。また、その負けん気の強さと持ち前の明るさが、各現場でムードメーカーになっているであろうことも想像できる。cHAIの解散からまだ2年に満たないとは思えない、濃密な日々を過ごしてきたYUNAに、ドラマーとしての信念を聞いた。(金子厚武) 高校時代から目指した夢「ドラムを仕事にしたい」
歌声分析 Vol.9:小田さくら 揺るがぬ声の密度と重心を担う表現力ーーモーニング娘。史に刻まれる“支柱”の進化 歌声分析 アーティストの魅力を語るうえで、楽曲だけでなく“歌声”そのものに宿る個性にフォーカスする連載「歌声分析」。声をひとつの“楽器”として捉え、音楽表現にどのような輪郭を与えているのかを掘り下げていく本連載では、技術的な視点からさまざまなアーティストの歌声を紐解いていく。 連載第9回目となる今回は、モーニング娘。'26の小田さくらを取り上げたい。 編成の変化にも揺るがない、“密度”が生むグループの強固な基準線 2月13日にハロー!プロジェクトの全楽曲がサブスク解禁され、あらためてその歩みが横断的に聴かれている。時間を超えて再生された時、そこに浮かび上がるのは楽曲そのものだけではない。歴代のセンターや“エース”と呼ばれたメンバーの歌声の違い、そして変遷だ。 デビュー当時から高
扶桑社のWEBマンガサイト「マンガSPA!」で連載中の桜壱バーゲン『毎日、病んでます』が好評だ。本作は昨年末に読み切りで公開されるや、SNSを中心に瞬く間に絶賛の声が広がり、連載が決まった。 作者の桜壱は『絶望の犯島 -100人のブリーフ男vs1人の改造ギャル-』(櫻井稔文名義、双葉社)、『漫画ルポ 中年童貞』(リイド社)などで知られる。人間の欲望や社会の裏側を、過剰なほどに誇張した絵とギャグで描いてきた。過去作を漫画サイトで閲覧しようとすると「センシティブな表現を含む」と注意を促されることもしばしば。 そんな作風と打って変わり、本作では物悲しげだが愛おしい作者の日常が描かれる。61歳で仕事のない現状。売れっ子漫画家の妻には面目ない思いを抱え、若手編集者からは舌打ちまじりの冷たい仕打ち。しかし、それでも妻は惜しみない愛を向けてくれるのだったーー「病み」の一言では片付けられない、悲喜交々があ
2025年は、Juice=Juiceにとって変化の1年だった。新メンバーとして林仁愛が加入し、勢いを増したグループは、運命の1曲「盛れ!ミ・アモーレ」との出会いにより、SNSを中心にバズを巻き起こし知名度が大きく向上。『THE FIRST TAKE』への出演も叶え、結成13年目にして、Juice=Juiceは新たな局面を迎えている。 メンバーはそんな1年をどのように捉え、今、何を考えているのか。その率直な想いに迫るべく、リアルサウンドでは、グループのリーダーである段原瑠々へのインタビューを企画。2025年のさまざまなトピックを、リーダーとしての視点も交えながら振り返ってもらった。(編集部) リーダーとして大切にしている意識 ――リーダーへの就任から約1年半ほど経ちましたが、グループの雰囲気はいかがですか? 段原瑠々(以下、段原):メンバーがどんどん成長しているのを肌で感じていて。「私が引っ
ノベライズ版『超かぐや姫!』(KADOKAWA) ヒット中のNetflixオリジナルアニメ『超かぐや姫!』は、ゼロ年代に始まったボカロ文化を大々的にフィーチャーした作品だ。ボカロ文化発祥の地である日本はもちろん、韓国、台湾、香港、タイといったアジア諸国でもランキング上位に食い込む動きを見せている。 では、この作品は長年のボカロファンの目にはどのように映るのだろうか。ボカロシーンに詳しく、昨年12月に刊行した『初音ミク 10th ANNIVERSARY BOOK』(blueprint)の制作にも携わった編集者の橋川良寛に聞いた。 『初音ミク 10th ANNIVERSARY BOOK』(blueprint) まず、『超かぐや姫!』を見た率直な感想はどのようなものだったのか。 「全体として明るい物語で、ボカロ文化黎明期の無邪気な盛り上がりを思い出しましたね。一方で、2000年代に別れの挨拶もな
Juice=Juice「盛れ!ミ・アモーレ」異例のヒットの秘密 山崎あおいが語る、“ハロプロだから”できる信頼感 TikTokでのバイラルヒット、そして異例のライブ音源先行サブスク配信――。Juice=Juiceの「盛れ!ミ・アモーレ」は、2020年代のハロー!プロジェクトにおけるひとつの到達点とも言える熱狂を巻き起こした。この楽曲を手掛けたのは、シンガーソングライターとしても活躍する山崎あおい。ラテン歌謡と現代的な“盛り”という一見ミスマッチな要素を、なぜ彼女はこれほどまでに鮮やかなポップスへと昇華できたのか。山崎が寄せる彼女たちへの信頼、そしてサブスク解禁という転換期を迎えたハロプロの未来まで、ヒットメーカーの視点から語ってもらった。(編集部) 「盛れ!ミ・アモーレ」はハロプロだからできた曲 ――まず「盛れ!ミ・アモーレ」というタイトルがすごいですよね。この曲は「盛る」というテーマと、
2月第3週の動員ランキングは、前週1位に初登場した『ほどなく、お別れです』が週末3日間で動員28万7700人、興収4億800万円をあげて2週連続1位となった。公開から10日間の累計動員は114万8100人、累計興収は15億8500万円。先週のコラムで引き合いに出した、昨年同時期公開の目黒蓮主演作『トリリオンゲーム』の推移を大幅に上回っていて、ロングヒットとなる兆しが見えてきた。 2位に初登場したのは、空知英秋による人気コミック『銀魂』の吉原炎上篇を完全新作としてアニメーション映画化した『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』。オープニング3日間の動員は26万2700人、興収は4億600万円。『ほどなく、お別れです』とたった200万円の差で興収1位を逃したが、4位の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』、8位の『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き』と合わせて、3作品中
小学館の漫画誌「ビッグコミック」が創刊されたのは1968年。まだまだ“漫画は子供のもの”という印象の強かった時代に、あえて大人の男性読者に向けて作られた革新的な雑誌の1つだった。 創刊号の執筆陣は、手塚治虫、石ノ森(石森)章太郎、水木しげる、白土三平、さいとう・たかをの5名。すでに「劇画」の描き手として知られていた白土、水木、さいとうだけでなく、それまで主に少年漫画の世界で活躍していた手塚、石ノ森も実験的な手法を用いて「大人の漫画」に挑戦している。 雑誌の表紙は今も変わらず著名人の似顔絵だ その後も同誌は、上記の5名の他、藤子・F・不二雄、藤子不二雄(A)、松本零士、横山光輝、赤塚不二夫、ちばてつや、楳図かずお、永井豪、上村一夫、望月三起也などなど……レジェンド級の漫画家たちの意欲的な作品を次々と掲載。 また、それらと並行し、近年では『BLUE GIANT』(石塚真一/NUMBER 8)、
作家・タレントとして活躍する宮田愛萌。國學院大學文学部で「万葉集」を専攻した文学への造詣を活かし、作家との対談企画や出版イベントなどに出演するほか、自身も作家としてこれまでに4冊の小説を刊行しており、出版業界から注目を集める存在だ。 1月28日に発売された、宮田にとって初の写真集『Lilas(リラ)』(幻冬舎)は、「30歳になる前に、自身の身体を記録として残す」ことをコンセプトに制作された一冊。高校時代に短期留学で滞在したフィリピン・セブ島を舞台に、ジプニーに乗車する姿など、現地で楽しむ時間をとらえた様子が収められている。 今回のインタビューでは、写真集の企画が生まれるまでの舞台裏や撮影エピソードをはじめ、アイドル卒業後に「会社員になりたかった」と語るキャリア観、さらには体重を36キロまで落とした経験から学んだ、身体との向き合い方についても語ってくれた。 【インタビュー最後にサイン入りチェ
U字工事 福田薫氏(左)、益子卓郎氏(右) 本橋隆司(以下、本橋):『そばギャルとおじさん』って立ち食いそば屋が舞台の漫画なんですけど、行かない人にとっては少し敷居が高い場所でもあるので、そのハードルを下げられたらという気持ちもありました。 福田薫(以下、福田):読みました。面白かったです。 益子卓郎(以下、益子):面白かったし、これ読んですぐ立ち食いそば食いたくなったよね。おじさんが主人公だけど、絶対に女性も読んだ方がいいね。 福田:そうそう、これで女性にも立ち食いそばがはやるといいよな。 本橋:漫画って、立ち食いそば好きの内輪ネタになりすぎるとダメで、でも浅くすると嘘になる。その間のバランスが難しくて。だから、立ち食いそばのリアルを知ってるお二人が「面白い」と言ってくれるのは嬉しいです。 福田:あるあるが多いですよ。あと、テンポがいい。 益子:ギャルがちゃんとギャルで、でも嫌味がないの
1月30日より公開中の劇場アニメ『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』。同作は富野由悠季の小説を原作とした作品で、2021年に公開された『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の続編にあたる。 『ガンダム』もとより富野作品といえば、現実の政治問題に斬りこむポリティカルフィクション的な側面が大きな魅力だが、同作ではそのポテンシャルがこの上なく発揮されているように見える。村瀬修功監督が何を成し遂げたのか、具体的に作品の内容を掘り下げていきたい。 舞台となるのはシャアの反乱から12年が経ったU.c.0105。圧政を敷く地球連邦政府に対して、「マフティー」と呼ばれる組織が反旗を翻す。そのリーダーを務めているのがブライト・ノアの息子、ハサウェイだ。ギギ・アンダルシアとの出会いによってトラウマが蘇ったハサウェイは、精神的に追い詰められつつも、アデレード会議襲撃の準備を進めていく……。 作
世の中にいろいろなマニア・オタクがいる中、ひときわ業の深い存在としてミリタリーマニアという人々がいる。「ミリタリー」と書いている通り、兵器や軍事、実際の戦争やそれにまつわる諸々について強い興味を持ち、資料を読んで調べたり、兵器のプラモデルを買って作ったり、エアガンで戦争ごっこをしたり、時には実物の兵器や装備品を買ってしまったりする人々である。自分を含め、そういう人たちが常に強い興味を持っているのが、「実際の戦場とはどういうものか」という点だろう。 もちろん、自分を含めて大半のミリタリーマニアは「自分も戦争に参加したい」とは全く思っていない。実際の戦争について調べれば調べるほど、人類の愚かさや戦争の悲惨さや馬鹿馬鹿しさについての知識をつけることになり、ゲンナリすることも多い。しかし自分はそのゲンナリ感も含め、兵器や戦争にまつわる諸々を「面白い」と思っている。強力な兵器のスペックを見れば「すご
※本稿には『超かぐや姫!』のネタバレを含みます。 現在Netflixで公開されている長編アニメ作品『超かぐや姫!』。SNSを中心に爆発的なバズを見せているこの作品は、約2時間20分の中に、バトルアクション、音楽ライブ、友情物語などの要素がぎっちり詰め込まれた、“エンタメ特化”な作品だ。平安初期に書かれた古典『竹取物語』を話のベースにしつつ、XRやメタバース、VTuberなど、現代の最新テクノロジーとミクスチャーされた世界観が描かれる。 悪人がいないといっても過言ではないこの作品。「ハッピーエンド」を目指してキャラクターたちがはちゃめちゃに動きまわり「楽しい!」を探していくが、ネガティブなシーンが少ない。テンポもスピーディで、極めて痛快。主要キャラみんなが生き生きと楽しいことや好きなことを謳歌している様子と、そこから生まれる独特なエモーショナルが、多くの視聴者の心を鷲掴みにしている。現在は配
Base Ball Bear 小出祐介、モダンに抗ってでも向き合った“存在”の正体 『Lyrical Tattoo』へ至った思考の変遷を語り尽くす 2026年にデビュー20周年、結成25周年という節目を迎えるBase Ball Bearがニューミニアルバム『Lyrical Tattoo』をリリースした。本作は、“存在の手触り”そのものを、今の彼らがロックバンドとしてどう鳴らし、どう歌にできるのかに挑んだ作品だ。インターネットという巨大なインフラの中で、有形無形の魑魅魍魎が世界を左右する時代にあっても、音が鳴る瞬間の身体性や、誰かの記憶に潜り込むような歌の輪郭を信じている──そんな小出祐介(Vo/Gt)の思考の深部が、7曲を通して浮かび上がってくる。 バンドはこの数年、ライブサウンドを根底から見直し、スリーピースの出音がひとつの像として立ち上がる瞬間を追い続けてきた。前作『天使だったじゃない
1月30日に劇場公開される『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』。再びΞ(クスィー)ガンダムをはじめ『閃光のハサウェイ』シリーズ特有の、個性的なMSの活躍が、大スクリーンで観られることに期待が高まっている。 そんな『閃光のハサウェイ』のライバル機といえば、レーン・エイムが駆るペーネロペーだ。ワイバーンのような、ガンダムらしからぬ仰々しいフォルムを持つ機体だが、設定ではオデュッセウスガンダムにフライトユニットを装備した形態とされている。そのため、一目では分かりにくいが、正統なガンダムの系譜にある機体だ。 しかし、ペーネロペーが初めて登場した小説版では、本機はガンダムとして扱われていなかった。事実、小説上巻ではペーネロペーについて「設計思想にはガンダム系MSの名残がある」と記載されており、あくまでガンダム系MSの名残がある機体として扱われていた。デザインをした森木靖泰氏も202
テレビ東京は、経済トーク番組『カンブリア宮殿』のMcを2026年4月から交代することを発表、村上龍・小池栄子のコンビに代わり、金原ひとみ・ヒャダインが後任を務めることになった。番組は2006年4月の開始から20年の節目を迎え、番組としても初となるMc交代になる。 村上龍『新装版 コインロッカー・ベイビーズ』(講談社文庫) このニュースは、新Mcの顔ぶれの新鮮さのみならず、作家・村上龍が経済番組を20年続けたという事実の重さも伝える。村上は1976年、武蔵野美術大学在学中に『限りなく透明に近いブルー』で群像新人文学賞と芥川賞を受賞、一躍時代の中心へ躍り出た作家だ。以降も『コインロッカー・ベイビーズ』、『69 sixty nine』、『イン ザ・ミソスープ』などで知られ、社会の閉塞感や人間の欲望を、冷たくも生々しい言葉で可視化してきた。村上はまた小説だけでなく、子供にも読みやすい職業百科『13
Netflixにて世界独占配信中のアニメ『超かぐや姫!』。スタジオコロリドとスタジオクロマトが制作を手がけ、山下清悟が監督を務めた本作は、誰もが知る古典『竹取物語』をベースに、最先端の映像表現と音楽を融合させた全く新しいエンターテインメント作品だ。 物語の鍵を握るカリスマ的なキャラクター、月見ヤチヨを早見沙織が演じる。劇中では「ワールドイズマイン」や「メルト」といった伝説的なボーカロイド楽曲をカバーし、さらにはEDテーマでBUMP OF cHIcKENの「ray」のカバーを歌い上げるなど、その歌唱力が作品の重要なピースにもなっている。 本インタビューでは、楽曲制作の裏舞台や楽曲カバーにあたっての試行錯誤、さらには物語の核心に触れるヤチヨの役作りについて、早見自身の音楽に対する深い情熱とともにじっくりと話を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入り色紙プレゼント企画あり】 【写真】早見沙織
日向坂46「クリフハンガー」はなぜ刺さる? 節目を刻む“未完”の余韻、グループと共に育つ杉山勝彦楽曲の真髄 日向坂46が1月28日にリリースする16thシングル表題曲「クリフハンガー」のMVが公開された。二期生から五期生までの14人編成で、センターは五期生・大野愛実。ツアーを経て新体制へ本格的に踏み出すこのタイミングで、坂道グループではおなじみとも言える杉山勝彦が作曲を手掛けたことが、ファンの間で大きな話題を呼んでいる。加えて、MVが“葛藤”と“未来”を同居させたドラマとして設計されている点も、楽曲の熱量を増幅させる要因になっていると考える。 なぜ杉山のメロディは、坂道ファンの心をこれほどまでに掴み続けるのか――。「クリフハンガー」を起点に、その魅力を紐解いていきたい。 「クリフハンガー」が示す光と影、坂道ファンの心を掴んで離さない杉山勝彦楽曲 杉山楽曲の大きな特徴は、イントロからAメロで
体力がなく疲れやすく、すぐ横になりたくなる。病名や原因もはっきりしないまま、慢性的な不調が続く。そんな日々を送ってきた著者が、自身の経験を率直に綴ったエッセイ集『虚弱に生きる』(扶桑社)が刊行され、累計2万3000部となるほどのヒット作となっている。なぜ「虚弱」であることについて書こうと思ったのか。同じように体の不調を抱える人に対して、どのようなことを伝えたいのか。著者の絶対に終電を逃さない女氏にじっくり話を聞いた。 「虚弱」をテーマに執筆した理由 ーー「絶対に終電を逃さない女」というペンネームは、どのような経緯でつけたのでしょう。 終電:大学2年生の頃、よく遊んでいた男性の大学の先輩がいて、その人がいつも終電を逃していたんです。この人は絶対に終電を逃す男だなと思って、じゃ私は絶対に終電を逃さない女になろうと思いました。なろうというか、もともと終電を逃したことはほとんどなかったんですけど。
『装甲騎兵ボトムズ』(以下、『ボトムズ』)を押井守が監督する。完全新作アニメーションの『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』が、サンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)の設立50周年を記念したプロジェクトとして、押井監督とともに『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)などを手がけたProduction I.Gも参加して作られる。ミリタリーマニアとして知られる押井監督なら、ミリタリーアニメの『ボトムズ』にうってつけの人選だが、高橋良輔監督の色も濃いシリーズだけに意外性も残る。そこにはどのような関係があり、どのような思惑があったのか。そして、どのような作品が生まれてこようとしているのか。 「ミリタリーものやロボットものをつくりたいとう気持ちをもちながらも、僕はいまだにはたせていないんです」。KADOKAWAのアニメ専門誌『Newtype』の2005年2月号に掲載さ
昨年、「令和人文主義」という言葉が話題になった。哲学者の谷川嘉浩が考案した言葉で、1985年以降生まれの若い書き手が発信する人文知のあり方やその受け止められ方を指す。谷川はこれを「読書・出版界とビジネス界をまたいだ文化的潮流」であるとしており、出版界サイドから見れば文芸評論家・三宅香帆の『働いているとなぜ本が読めなくなるか』(集英社新書)をはじめとする複数の著作や谷川の『スマホ時代の哲学』(ディスカヴァー携書)がベストセラーとなっていることなどがこの潮流と関係している。 この議論にはさまざまな賛否が寄せられているが、長年「人文」の世界に携わっている上の世代はこれをどう見ているのか。人文系情報チャンネル「哲学の劇場」を運営する山本貴光氏と吉川浩満氏のふたりに話を聞いた。(取材日時:2025年12月16日) 山本貴光、吉川浩満『人文的、あまりに人文的』(本の雑誌社) ストア派哲学と情報環境への
大友克洋による伝説的漫画『AKIRA』(講談社)。連載開始から40年以上が経過したなか、2026年1月3日にはNHK・Eテレで劇場版アニメ「AKIRA」が放送され改めて大きな注目を集めた。ただSNS上では一部「凄さがわからない」といった声もあり、作品の評価についての議論が見受けられた。今回はドラマ評論家の成馬零一氏に、漫画表現の歴史における『AKIRA』の衝撃と、現代の視聴者が抱く違和感の正体について話を聞いた。 『AKIRA』全6巻(大友克洋/講談社) 現在は加筆修正前の「連載バージョン」が収録された新装版が発売されている。 「『AKIRA』は連載が始まった1980年代において「日本の漫画表現の極北」に到達した作品で、その後の漫画のビジュアル表現は『AKIRA』が基準になったと言って過言ではないでしょう。日本の漫画は手塚治虫が活躍した時代から『どのようにして映画に近づけるか』というテーマ
『少女革命ウテナ』幾原邦彦監督が語る、寺山修司の普遍的な魅力「アウトローの考え方や哲学を見事に表現している」 『世界の涯てを生きるあなたへ 寺山修司詩集』(双葉社) アニメーション監督として『少女革命ウテナ』『輪るピングドラム』など数多くの話題作を世に送り出してきた幾原邦彦氏。 幼い頃から寺山修司の詩に感銘を受けてきたという幾原氏が案内人となり、人生という旅に寄り添うテーマごとに詩を選び、読者へのメッセージを書き下ろした『世界の涯てを生きるあなたへ 寺山修司詩集』(双葉社/刊)が12月17日に刊行された。表紙は『クズの本懐』『【推しの子】』などで知られる漫画家の横槍メンゴ氏が手掛けている。 2025年は寺山の生誕90周年という節目の年だったが、今なお熱烈なファンが多く、何より詩の内容がまったく古びていないことに驚嘆させられる。むしろ、「迷える人々が多い令和の時代にこそ、寺山の詩は響くのでは
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