米国土安全保障省(DHS)が『ポケットモンスター』を用いたプロモーション動画を公開し、大きな波紋を呼んでいる。

DHSは、ポケモンのアニメーションと楽曲を用いた動画を作成。
英語版のテーマソング「Gotta Catch 'Em All」に乗せた動画をXの公式アカウントで9月23日に公開した。
動画は、ポケモンのアニメーションと、ICEの職員が人々を拘束する映像が交互に流れる。
「Department of Homeland Security(国土安全保障省)」の文字がポケモン風のフォントで表示され……

手錠をかけられた人々が、モンスターボールで捕獲されるかのような演出がほどこされている。
極めつけは、動画の終盤に登場するポケモンカード。不法移民の顔写真が合成されている。
動画のアニメーションや楽曲は、いずれも無許可で使用されたもの。
株式会社ポケモンはゲームメディアサイト、ユーロゲーマーへの声明で「DHSが投稿した動画を認識しているが、その制作や配布には一切関与しておらず、知的財産の利用許可も与えていない」と明言している。
DHSの公式アカウントは、支持的なコメントに対する返信にもポケモンのアニメを切り取った画像を数々使用していた。

政府がポケモンを使って「国境警備を軽く見せようとしている」と、多くの人が不満をあらわにしている。
「ポケモン、米政府を訴えてください」「これよりはるかに問題の少ない無断使用を、ポケモンや任天堂は取り締まってきたけど……」など、企業に対しても法的な措置を求める声が相次いだ。
動画の内容が「人種差別的」で、「ポケモンが象徴するイメージに真っ向から反する」と非難の声が上がっている。
「人をモノのように扱うのは邪悪すぎる。ポケモンファンもそんな理念を支持するはずがない」や「この動画は本当にひどい。子どもの頃の思い出を国家暴力に利用された」など、波紋が広がっている。
サムネイル画像:Getty Images
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:香川 晴彦