サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
ブラックフライデー
www.kaminotane.com
『Playback』を世界に発信した最初の場であるロカルノ国際映画祭にて、最高賞となる金豹賞を受賞した三宅唱監督最新作『旅と日々』には、いたるところに「驚き」が潜在している。しかしそれらは、奇想天外な出来事がもたらすショックだとか、巧妙に張り巡らされた伏線の衝撃といった作為の消費に付随するものではなく、ある任意の時間と空間の中で何かを発見すること、それ自体を出来事として創造せしめるようなものとして、観客を待ち受けているだろう。2018年頃から継続されてきた勉強会の成果の最初のひとつとして、『演出をさがして 映画の勉強会』を刊行したばかりの三浦哲哉、濱口竜介、そして三宅唱による、『旅の日々』についての鼎談をお送りする。 (本記事は全編にわたって映画の内容に触れています。ご鑑賞後に記事をお読みいただくことをお勧めいたします) ■照応(=correspondence)の映画 三浦哲哉:いきなり質
映像作家でメディア研究者の佐々木友輔さんが、映画、写真、美術、アニメにおける〈風景〉と、それを写し出す〈スクリーン〉を軸に、さまざまな作品を縦横無尽に論じる連載。1970年前後に議論された「風景論」を出発点にしつつ、その更新を目論みます。第8回では、風景をめぐる世代間の対立を反映した『東京战争戦後秘話』(大島渚)と、さらにその後の世代として〈虚構〉における風景を模索した『新世紀エヴァンゲリオン』(庵野秀明)シリーズを考えます。つねに〈虚構〉として立ち現れる風景に、各世代の作家たちはどのように触れようとしたのでしょうか。そこで〈虚構〉に対する〈現実〉はいかに存在し、いかに私たちの生きる世界を映し出すのでしょうか。都市論やセカイ系に関する議論も踏まえながら考察します。 映画で遺書を残して死んだ男の物語──大島渚『東京战争戦後秘話』(1970) 1970年前後の風景論争に関連して、明示的に風景論
『「国語」と出会いなおす』の著者で批評家の矢野利裕と作家の町屋良平が、文学をめぐる現在地とこれからを語り合いました。 作品を読むこと、価値を判断すること、文学史を語ること……それらがいま、なぜ難しく感じられるのか。そして、それでも語る意味があるとすれば、どこにあるのか。ちがう立場のふたりだからこそ見えてくる論点を通じて、いま文学を考えるための視点を深めていきます。 (本記事は2025年6月4日に下北沢B&Bでおこなわれたイベント「小説の死後に文学を再設定する」の採録です) 矢野:今日はこの4月に出した『「国語」と出会いなおす』という本の刊行イベントですが、町屋さんにはぼくの希望でお声がけさせていただきました。 きっかけは『文藝』に掲載された座談会(「文芸批評は断絶したか――小説の死後の未来」町屋良平・滝口悠生・倉本さおり(司会:水上文)、2025年春号)に対してぼくが思ったことを記事にして
佐々木敦さんによる「ホラー」をめぐる新連載が始まります。ひとはなぜ恐怖するのか、ひとはなぜ恐怖を必要とするのか、そもそも恐怖とは何か。わたしたちの普遍的な、しかしあまりにも個別的な情動を通じての、現代のフィクションをめぐる思索の旅。第2回は「Jホラー」なるものを決定づけた『リング』、その原作小説と映画化の周囲をめぐって展開されます。(*7月10日、本文の一部修正をおこないました) Jホラーの誕生 Jホラーという言葉が誕生したのが正確にいつのことなのか、私は知らない。だが、それが1990年代以降であったことは確かである。JapanもしくはJapaneseの「J」を頭に付けるネーミングは、国鉄が民営化されて「JR」になった1987年以前にはほぼ存在していなかった。1988年にJ-WAVEが洋楽専門のFMラジオ放送局として開局し、そこで流される邦楽を「Jポップ」と呼ぶようになった(このことについ
佐々木敦さんによる「ホラー」をめぐる新連載が始まります。ひとはなぜ恐怖するのか、ひとはなぜ恐怖を必要とするのか、そもそも恐怖とは何か。わたしたちの普遍的な、しかしあまりにも個別的な情動を通じての、現代のフィクションをめぐる思索の旅をぜひお楽しみください。 前口上 ホラーと呼ばれるジャンルについて考えてみたい。 とはいうものの、私は特に「こわいもの好き」というわけではない。かといって苦手でもない。「こわいもの」は、得意でも不得意でもない。いわゆるホラーファン/マニアとも、私の関心のあり方は多くの点でおそらくかなり違っている。 いや、実を言えば、なぜ自分が「恐怖表現=ホラー」のことを考えてみたいと思っているのか、今も私はよくわかっていないのだ。むしろそれを明らかにすることこそが本連載の目標ということになるのかもしれない。そしてそれは同時に「ひとはなぜホラーに惹かれるのか?」「ひとはなぜホラーを
マンガ研究者・小田切博によるアメリカン・ヒーロー・コミックスを解説した連載がスタート! コミックスの邦訳だけでなく、映画、ゲーム、アニメなどさまざまなかたちで日本でも親しまれている「アメコミ」ですが、はたして私たちはその仕組みや歴史をどこまで理解しているのでしょうか? 本連載では作品やキャラクターだけでなく、時代背景や出版の仕組みまで、知っているつもりのアメコミをきちんと読むための基礎を丁寧にひもといていきます。 第1回目はバットマンで繰り返し描かれる「ウェイン家の悲劇」というオリジンから、「ヒーロー」という存在の歴史的な変遷を解き明かしていきます。 繰り返されるウェイン家の悲劇 ネオンサインが輝く夜の繁華街、父と母に連れられ映画館から出てくる少年、興奮気味に映画の感想を語る彼をいとおしげに見守る両親。 駆け出した少年を引き寄せる路地から延ばされた腕、乱暴につかまれ身をよじる彼の目の前で、
映像作家でメディア研究者の佐々木友輔さんが、映画、写真、美術、アニメにおける〈風景〉と、それを写し出す〈スクリーン〉を軸に、さまざまな作品を縦横無尽に論じる連載。1970年前後に議論された「風景論」を出発点にしつつ、その更新を目論みます。第1回は中平卓馬と西澤諭志という2人の写真家を対比し、大阪万博を蝶番として、現代における権力=風景の様相を考えます。 中平卓馬——風景のデトリタス 中平卓馬と『風景の死滅』 1971年10月25日に刊行された松田政男『風景の死滅』(田畑書店)のカバーには、中平卓馬が撮った海の写真が用いられている。これは中平の『来るべき言葉のために』(1970)にも見開きで掲載されている写真の右頁部分を、トリミングして使用したものだ。画面の上三分の一は空、下三分の二は白い波の立つ海面が記録されており、水平線はやや右肩下がりの構図。水面の複雑なパターンと撮影時のブレボケ、荒い
特別鼎談 濱口竜介×三宅唱×三浦哲哉 映画で「目撃する」ということ── 『悪は存在しない』をめぐって Creator's Words / 三宅唱, 濱口竜介, 三浦哲哉 第80回ヴェネチア国際映画祭・銀獅子賞(審査員グランプリ)受賞からおよそ半年を経て、2024年4月26日より劇場公開された濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』は、この6月より公開館を拡大し、より多くの観客を興奮と困惑に誘うはずだ。音楽家・石橋英子氏からのライヴ・パフォーマンス用映像制作のオファーを発端に紡がれたのは、自然豊かな高原に生きる人々とそこに持ち上がったリゾート計画をめぐる一篇の寓話であるとともに、映画をつくることそのものの豊穣な記録でもあった。『夜明けのすべて』鼎談に続き、映画研究者の三浦哲哉氏と映画監督の三宅唱監督、そして濱口竜介監督自身による本作をめぐっての鼎談。そこでのキーワードのひとつは「目撃」だった。
制作において何かをコントロールする手段をある程度習得すると、それをどの程度行使するべきかという問題に突き当たります。これはコントロールする手段を習得するということはそれを使わないという選択肢を獲得するということである、とも言い換えることができます。コントロールを徹底した作り方には魅力があり、たとえば小津安二郎やデヴィッド・フィンチャーなどはコントロールを徹底するタイプの作家の代表でしょう。視聴者にコントロールしていると感じさせない程度にコントロール量を調整する制作者が大勢だとすれば、そのラインを大きく超えてコントロールしていることを前面に押し出す美しさを追求しています。一方でJ・ケージのチャンスオペレーションなどはコントロール出来る範囲を意図的に手放すことで不干渉の美しさを獲得しようとしています。どちらの方向もコントロールをどの程度行使するかという点に関しては自覚的であることに注目してくだ
はじめに 映像制作業はとにかく持ち物が多い職業です。もちろんラップトップのみで全てを完結することは可能ではあるものの、巨大なセットとクレーンを使って作ることも、野菜とピンセットを使って作ることも同様に出来てしまう。出力物に対しての制作手段が無数にあるという映像の特性が、我々の仕事部屋を常に狭くします。それゆえに持ち物が少ない仕事のスタイルには常に憧れがあります。今回珍しく文章を書くことを仕事として依頼されたのでこれは身軽に仕事をする絶好の機会と思い引き受けました。 この連載の目的 この連載の大きな目的のうちのひとつは、制作というプロセスに過度な神秘を見出すことを止めることです。作る道具の進歩や作り方の情報共有の広がりによって、作ることへの障壁は日に日に低くなっています。これによって制作側の人口が増え、制作者の希少性は日々逓減します。一方で、制作プロセスに触れることによって初めて理解できる他
2024年2月9日より公開中の三宅唱監督最新作『夜明けのすべて』。瀬尾まいこ氏の原作を出発点に、その中心に上白石萌音と松村北斗というふたりのキャストを置き、さらには光石研をはじめとする数多くのキャストによって形を成した本作は、日常の小さな出来事に無限の宇宙を見出すような佇まいで多くの観客を迎え入れている。はたしてこの映画の作法はどのように見出されたのか。『ドライブ・マイ・カー』、『ケイコ 目を澄ませて』をめぐる鼎談に引き続き、映画研究者の三浦哲哉氏と映画監督の濱口竜介監督、そして三宅唱監督による本作をめぐる最新鼎談をお送りする。『夜明けのすべて』のもたらす大いなる喜びや希望に導かれるように、一本の映画作品をめぐる3人の言葉はおおらかに紡がれた。 (本記事は全編にわたって映画の内容に触れています。ご鑑賞後に記事をお読みいただくことをお勧めいたします) ■映画をどこから始めるか 濱口竜介:試写
京都を拠点に活動する、美術作家・批評家の池田剛介さんによる連載がスタート! 20世紀の絵画の「描線(ドローイング)」をテーマに毎回1人の作家をとりあげ、彼/彼女らの作品に描かれた「動き」や「身振り」としての線に注目することで、「これまで見えていなかった作品の姿」を明らかにする──絵画の見方が深まる新しい美術批評です。 「近頃の絵は解らない、という言葉を、実によく聞く」──文芸批評家の小林秀雄は『近代絵画』を、このように書き出した。かつて画家は、現実の対象を現実らしく再現することに苦心していたが、近頃の絵はどうもそうではない。ジャガイモかと思ってタイトルを見ると「男の顔」と書いてある、というわけである[1]。 そこから半世紀以上を経て、芸術を見るときの反応は変化しているだろうか。変化したともいえる。近年「アート」という言葉で広がっているそれは、私たちの生活に束の間の祝祭感を提供しながらSNS
『ケイコ 目を澄ませて』 配給:ハピネットファントム・スタジオ ©2022映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS 2022年12月16日から公開された三宅唱監督の最新作『ケイコ 目を澄ませて』。16ミリフィルムで映し出された、澄み渡るような光、しんと静まり冴え冴えとした空気。寡黙なケイコの目に映るもの、そして流れる時間を丁寧に映し取り、積み重なる小さな瞬間そのひとつひとつにかけがえのなさを感じさせる、紛れもない傑作だ。この作品がどのようにして撮られていったのか、ひとつの映画をつくるまでに何をして、何を考えてきたのか。三宅監督と映画監督の濱口竜介氏、映画研究者の三浦哲哉氏の鼎談をお届けする。 数年前から定期的に映画演出の勉強会を継続しているお三方ならではの、徹底的に演出について検討する問いかけと応答は、実に3時間半にも及んだ。じっくりとお楽しみいただきたい
徹底的に庭を見よ! 美学者であり庭師でもあるユニークなバックグラウンドを持つ気鋭の研究者・山内朋樹による、作庭現場のフィールドワークをもとにした新しいかたちの庭園論。京都福知山の観音寺にある大聖院庭園作庭工事のフィールドワークをもとにした「令和版・作庭記」。連載第7回は、第一期石組が終わった際の石組に対する住職の前回(連載第6回)の言葉により、ひと段落した石組がほぼ解体・再構成されたことをめぐる思考から始まります。 ─ 「あの裏切れ込んでるやつは人工的違いますか、どうなんですか?」──こう問いかける住職の言葉から、中央の石組は劇的な変化を遂げることになる。 第一期石組で据えられた石はすべて、ある程度の姿を定めた上で仮置きされているだけで、いまだ確定していなかった。もちろんそうした事態は十分に予想されたことだが、この出来事を前に、あらためて「つくられつつあるもの」の不安定さに直面することにな
美学者であり庭師でもあるユニークなバックグラウンドを持つ気鋭の研究者・山内朋樹による、作庭現場のフィールドワークをもとにした「令和版・作庭記」。庭師たちの石組の始まりを間近で観察してきた前回に続くかたちで、連載第3回目の今回は、作庭現場初日の石組三手目までを順を追って詳細に考察・分析していきます。石組という行為の本質とは何なのか。徹底的に石の流れを見ていくことで、果たしてなにが見えてくるのでしょうか? ─ 石の求めるところにしたがう即興的石組は、石による行為の触発に支えられている。石は庭師の行為をうながすのだ。 だが、どうやって? 庭師が自らの意図だけで行為していないという直感を持っているのだとしても、どうやって石が働きかけるというのか? すでに配置の定まっている初手から三手目までの石の配置を見直してみよう。 初手に選択された平石は沓脱石くつぬぎいしから見てやや右にずれているとはいえ、ほぼ
庭を見るとき、わたしたちはなにを見ているのか? 庭をつくるとき、庭師たちはなにをしているのか? そもそも、庭のかたちはなぜこうなっているのか? 美学者であり庭師でもあるユニークなバックグラウンドを持つ気鋭の研究者・山内朋樹による、作庭現場のフィールドワークをもとにした「令和版・作庭記」ともいうべき庭園論、待望の連載。徹底的に庭を見よ! 本連載が待望の書籍化! 『庭のかたちが生まれるとき 庭園の詩学と庭師の知恵』 ─ 庭を見る──ただ庭を見るといってもその内実はさまざまだ。 ぼんやりと眺める。カメラやスマホで気に入ったポイントを切りとる。直感的な好悪で判断するのでもいいだろう。「あ、いいな」「きれい」「この庭あんまだね」。 あるいは庭をきっかけにしてなにかを体験しているということもある。たとえば行楽シーズンに用意されることの多い抹茶、甘酒、茶団子。現代の暮らしからはほとんど消えかけているもの
映像制作に必要な知識を学ぶことができる本をまとめてご紹介します。 映画だけでなくテレビ番組やドキュメンタリー作品、アニメーションやゲーム、そしてYouTubeなどの動画制作にも応用可能。また、映画の見方を広げるためにも新しい視点をもたらします。 ※現在品切中の書籍も含まれますのでご了承ください。なお、弊社オンラインショップでは【傷み汚れアリ】の僅少本として扱っておりますので、ぜひご利用ください。 目次 総合技法 監督 撮影 編集 音響 美術 ドキュメンタリー その他映像制作 【総合技法】 映像クリエイターのための完全独学マニュアル 不可能を可能にするテクニック〈撮影・録音・照明・ 構図・脚本・編集〉 リュドック=著 限られた予算で大作映画のような映像を撮るにはどうすればいい? 必要なのは《テクニック》と《ギミック》の組み合わせ「ギミック王」の映像作家による超実践的映像制作マニュアル! 映画
顔文字、絵文字、アスキーアート、スラング、ミーム……目まぐるしい早さで生まれ、とどまることなく変化していくインターネット言語。フィルムアート社から2021年9月25日に発売される『インターネットは言葉をどう変えたか デジタル時代の〈言語〉地図』は、気鋭の〈インターネット言語学者〉であるグレッチェン・マカロックが、刺激的な研究結果をユーモラスに語った、デジタル時代の新たな言語学への情熱あふれたガイドブックになっています。今回はその中から、第1章「カジュアルな書き言葉」冒頭部分を公開します。ぜひご一読ください! 日々、インターネット言語を生み出している人たちに捧ぐ あなたたちが広大な土地だとしたら、本書はその地図にすぎない(献辞より) 第1章 カジュアルな書き言葉 生身なまみの人間からではなく、映像や録音音声のみから話し方を学んだら、いったいどんな結果になるだろう? 映画から会話を学べば、別れ
特別鼎談 濱口竜介(映画監督)×三宅唱(映画監督)×三浦哲哉(映画批評家) 映画の「演出」はいかにして発見されるのか――『ドライブ・マイ・カー』をめぐって Creator's Words / 三宅唱, 濱口竜介, 三浦哲哉 第74回カンヌ国際映画祭にて、コンペティション部門脚本賞ほか4賞を獲得した『ドライブ・マイ・カー』は、映画監督・濱口竜介がこれまでに歩んできた様々な「演出」をめぐる冒険の先に確実に位置した作品であると言える。しかしながら、そのことはこれまでに培われた方法を別のフォーマットで「試す」ということだけを意味するわけではないだろう。この作品でなければありえなかったような方法、この作品だからこそ為し得た何かがあるからこそ、『ドライブ・マイ・カー』は私たちの目と耳と心を掻き乱す傑作として結実しているはずだ。 本作の公開にともない、濱口竜介監督と同時代の映画監督・三宅唱氏、二人とさま
ハイファンタジーの傑作『ゲド戦記』や両性具有の世界を描いたフェミニズムSF『闇の左手』などの名作を生み出し、文学史にその名を刻んだアーシュラ・K・ル=グウィン。そのル=グウィンが「自作の執筆に励んでいる人たち」に向けて、小説執筆の技巧(クラフト)を簡潔にまとめた手引書『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』が刊行されました。 今回は本書翻訳者の大久保ゆうさんによる「訳者解説」をためし読みとして無料公開いたします。 訳者解説 船 そのもの 船 自分 ひとりが 乗組員 自分も まだ知らない自分の人生 アーシュラ・K・ル゠グウィン最後の詩集『ここまで上々』(So Far So Good: Final Poems: 2014-2018, Copper Canyon Press, 2018)に収められたゆるやかな物語性を持つ連詩「ここに至るまで」(“So Far”)もまた、航海をテーマにした作品で
我々はもう、持って生まれた自分の身体で踊らなくとも構わないのかもしれない──3DCG、VTuber、アバター、ゴーレム、人形、ロボット、生命をもたないモノたちの身体運用は人類に何を問うか? 元ダンサーで医師でもある若き批評家・太田充胤が、モノたちと共に考える新しい身体論。 ─ 複製される芸術作品はしだいに、あらかじめ複製されることを狙いとした作品の、 複製となる度合を高めてゆく。[1] ──ヴァルター・ベンヤミン『複製技術時代の芸術作品』 新しい身体 アプリケーションを立ち上げると、画面には真っ白な空間が現れる。 いや、正確には、画面の中央に表示されたのは白い四角形、そしてそこに引かれたいくつかの線である。しかし直観的には、その奥に果てしない空間がひらけていることが明らかだ。水平面には碁盤の目状に線が敷かれ、原点からはXYZ方向に赤・青・緑の3本の矢印が伸びている。マウスでドラッグすると、
K-POPはいったい何が面白く、魅力的で、新しいのか? ひとびとの心を掴んで離さないその「ポップ」の秘密を、批評家・imdkmさんが解き明かしていきます! 第1回目の今回は世界を席巻しているBTSのヴォーカルからみえてくる現在の「ポップ」について。 最初に書いておくと、これはK-POP〈について〉の連載ではない。『K-POPからみるポップな世界』というまわりくどいタイトルにはそれなりに理由がある。 たとえばK-POPが「沼」だとしたら、この連載は、そのほとりで水面に写った世界の風景をじっと観察するみたいなものだ。あいにく「沼」にハマる資質に欠けるところのある自分にとって、これはK-POPと自分との距離感をそのままあらわすような比喩だ。そんな個人的な思いはおいておくとしても、じっさい、K-POPという「沼」の水面にさまざまな風景がうつりこんでいるのはたしかなことだ(これはポップミュージックの
『白雪姫』から『アナと雪の女王』まで、ディズニーの夢のような世界の裏側で忘れ去られた女性たちにスポットを当てる『アニメーションの女王たち――ディズニーの世界を変えた女性たちの知られざる物語』が、2021年2月26日に刊行される。ノンフィクションである同書では、ビアンカ・マジョーリーやメアリー・ブレアといったウォルト・ディズニー・スタジオで重要な仕事を残した女性たちだけでなく、アジア系のアーティストや黒人のキャラクターなどにもふれていく。 本書の関連企画として、専修大学で教授を務める英文学者の河野真太郎の書評を公開。フェミニズムや労働という観点から『アナと雪の女王』などのディズニー作品に言及した著書『戦う姫、働く少女』をもつ河野が、本書の中で語られるウォルト・ディズニー・スタジオ内での女性たちの戦いと、同スタジオが制作してきたアニメーション作品の物語について読み解いていく。また、「政治的正し
ビアンカ・マジョーリーやメアリー・ブレアといったウォルト・ディズニー・スタジオで活動した女性アーティストたちにスポットを当てる『アニメーションの女王たち――ディズニーの世界を変えた女性たちの知られざる物語』が、2021年2月26日に発売。ノンフィクションである本書では、『白雪姫』や『ピノキオ』、『バンビ』などさまざまな作品に関わりながらも、歴史から忘れ去られた女性たちの創造性と苦闘が明かされていく。 本書の発売を前に、『アリーテ姫』や『この世界の片隅に』などのアニメーション作品を発表してきた片渕須直に本書に関連したインタビューを実施。片渕が関わった日米合作映画『NEMO/ニモ』の話から始まり、ディズニーのアニメーターとの交流、ウォルト・ディズニーの印象の変化、日本とアメリカの制作環境の違いなどについて語ってもらった。また片渕自身が制作してきた作品の背景にある考えや、日米の制作環境の違いを経
2020年10月24日発売『ドキュメンタリー・ストーリーテリング[増補改訂版] 「クリエイティブ・ノンフィクション」の作り方』。ドキュメンタリーやノンフィクションの作品作りに必要な知識が詰まった1冊です。今回の増補改訂版の刊行にあたり、2014年刊行の旧版を愛用されている圡方宏史さん (東海テレビ・ディレクター、『ヤクザと憲法』『さよならテレビ』ほか、以下 圡方)、佐々木健一さん(NHKエデュケーショナル・ディレクター『ブレイブ 勇敢なる者』シリーズ、『ボクの自学ノート』ほか、以下 佐々木)のお二方に、本書の魅力や、現場から見た日本のドキュメンタリー制作の現状を語っていただきました。 「『さよならテレビ』はこの本があったおかげで できたと言っても過言ではないです」 ──最初に、お二人のドキュメンタリーとの関わりについてうかがえればと思います。関心をもったきっかけや、影響を受けた作品、実際に
全国のデイヴィッド・リンチファンのみなさま、お待たせいたしました! 2018年の刊行以来、世界的ベストセラーとなり邦訳が待たれていたデイヴィッド・リンチの自伝『Room to Dream』の日本語版がついに刊行となります。 邦題は『夢みる部屋』。 2020年10月24日発売予定、現在ご予約受付中です! では、以下で本書の読みどころと内容について説明していきましょう! ※原書カバー画像 夢みる部屋 デイヴィッド・リンチ クリスティン・マッケナ=著 山形浩生=訳・解説 発売日:2020年10月24日 A5判・上製|704頁|本体:4,500円+税|ISBN 978-4-8459-1829-4 デイヴィッド・リンチ自伝『夢みる部屋』のここに注目! デイヴィッド・リンチ「初」の自伝 リンチ自身による手書きの日本語題字(今後公開予定) ファンも大満足の大ボリューム(688頁予定) 共著者クリスティン
『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』はハリウッド式脚本メソッドの最高峰として君臨し続け、いまでも世界中で読まれています。 邦訳から10年目となる日本でも、その売上は衰えるどころか年々増加している状況です。 本記事では、本書の特徴や内容をひとつづつ(簡単にではありますが)説明しています。 以下では「ビート・シート」や「ログライン」など、物語創作を志した方なら一度は目にしたことのある単語が登場してきます。これらの用語は一体どういう意味なのか、なぜ必要になるのか、本記事を最後まで読んでいただくとわかっていただけるはずです。 『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』とは? ブレイク・スナイダーが著したハリウッド式脚本メソッドで、世界で最も読まれている脚本術のひとつ。 わかりやすく、「使える」ことが最大の特徴。 本書とよく比較されるハリウッド式の脚本術としてシド・フィ
「2020年8月 夏のKindle電子書籍フェア」開催中! フィルムアート社の電子書籍が50%OFF! 毎年、夏と冬に開催しているフィルムアート社のKindle電子書籍フェアの季節がやってまいりました! 今年は、2020/8/7(金)~2020/8/20(木)の14日間の開催となります。 この期間中、フィルムアート社の電子書籍52点を50%OFFの価格で販売いたします! ぜひこの機会にお買い求めください。 今回は、セール対象となっている電子書籍をご紹介いたします。 ※なお、セール対象の商品には、小説や脚本など物語創作に役立つ本が多く含まれています。それぞれの商品について詳しく知りたいという方は「物語やキャラクター創作に役立つ35冊」のページも合わせてご覧ください。 感情類語辞典[増補改訂版] 性格類語辞典[ポジティブ編] 性格類語辞典[ネガティブ編] 場面設定類語辞典 トラウマ類語辞典 感
TOP > レポート > 今石洋之 x スーパーログ ジャック・カービーにたどり着くために ——『ジャック・カービー アメコミの”キング”と呼ばれた男』をめぐって アメリカン・コミックス史における最も重要なアーティストにして、キャプテン・アメリカ、ハルク、ソー、ファンタスティック・フォー、シルバーサーファーの創造主、ジャック・“キング”・カービー。2019年12月に刊行した『ジャック・カービー アメコミの”キング”と呼ばれた男』は、そんなカービーをめぐる決定版評伝であるとともに、その驚くべき作品の概観を一望できる最上のカービー入門書です。 今回はジャック・カービー、そしてアメリカン・コミックスに多大なる影響を受けながら数々の名作を世に送り出している『プロメア』の今石洋之監督、そして本作の設定に参加され、現在マーベルで「IRON MAN 2020」などのカバーイラストなどを手がけるイラストレ
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『かみのたね』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く