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ブラックフライデー
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11月7日の衆議院予算委員会における高市早苗首相の「存立危機事態」に関する答弁に中国政府が反発し、日本への渡航自粛要請を出すやいなや、日本行きツアーの中止や留学プログラムのキャンセルなどが相次ぎ、日本行きの航空便も減便されている。19日、中国政府は水産物の輸入を停止する方針を日本に示した。 高市首相がどのような経緯で答弁を行ったのか、その内容が妥当であったのか、あるいは、そもそもどのような条件が「存立危機事態」に該当するのかなど、日本国内では活発な議論が行われている。 日本国内でのこうした議論は非常に重要だが、残念ながら、中国政府がその意義を理解するはずがない。意義があると感じる人がいても、厳しい言論統制下においては、そのような姿勢を示した人は処罰される。 しかし、中国政府による言論空間の遮断を意識した上で、日本のリスク管理や国益について考え、議論しようとする人が日本にはほとんどいない。私
行きたい美術展の見つけかたあなたは展覧会の情報を最近どこで知っただろうか。駅のポスター? 新聞の文化欄? はたまた日曜美術館? いや、おそらく多くの人は、スマホのタイムラインだろう。朝の通勤電車で流れてくる「おすすめ」の投稿。ストーリーズで友人がシェアした写真からの断片的な情報。フォローしている美術館の投稿。いまや私たちは、指先で情報を得る時代に生きている。そして、それは美術館の展覧会情報も例外ではない。 だが同時に、SNSが見せる世界は人それぞれだ。文化・芸術に関心が高いユーザーとしてアルゴリズムに認知されている筆者のタイムラインには美術関連の情報が流れてくるが、あなたの画面にはまったく別の世界が広がっているかもしれない。SNSは、誰もが同じ景色を見ているわけではないのだ。 photo by gettyimages 広報活動の新しい主戦場となったSNS昨今の美術館の広報活動は確実にSNS
臨床心理士・東畑開人さんが集大成として書き上げた『カウンセリングとは何か 変化するということ』(講談社現代新書)。その刊行を記念して、10月17日にジュンク堂書店池袋本店で、文芸評論家の三宅香帆さんとのトークイベント「読書とカウンセリングと個人主義-人生における文学の役割とは何か」が開催されました。『カウンセリングとは何か』が話題の東畑さんと『考察する若者たち』を刊行したばかりの三宅さん。ふたりのトークイベントの内容を、全3回(第1回、第2回は前後編)にわたってお届けします。 今回の対談(1)前編では、「読書やカウンセリングは自分と向き合うだけで、結局、社会を変えない営みなのでは」という批判に対する受け止め方や、アフターコロナの時代に問い直される「つながり」、共同体的な社会の中で本を読み続けるには、といったテーマで二人が語り合います。 (構成、文/小沼理) 読みながら「自分」を考える東畑:
高市首相の「台湾有事」答弁が波紋高市早苗首相が台湾有事の国会答弁で、中国の怒りを買い、大騒動を引き起こしています。 今までの総理が発言したことがない、台湾有事が発生する具体的な状況を、首相が発言したため、中台問題は内政問題であるとする中国の怒りを買った……とメディアは、明日にでも戦争が起こるかのように騒いでいます。 しかし、メディアにも野党にも重要な視点が欠けているように思えてなりません。高市総理の答弁は、立憲民主の岡田克也議員の質問に対してのもので、バシー海峡(台湾とフィリピンの間の海峡で,世界にとって重要なシーレーン)有事について回答したものです。首相は官僚の書いた「実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、全ての情報を総合して判断しなければならない」という模範解答に満足できず、ついつい、自分の意見を付け加えて、こんな答弁をしてしまいました。 「たとえば海上封鎖を解くために米軍が来
2024年に端を発した「令和の米騒動」。2025年までのわずか1年でコメの価格は6割以上暴騰した。政策対応は刻々と打ち出されているものの、先行きはなお不透明――日本人の主食であるコメを「買えるかどうか」を気にしながら節約を強いられる日々が続いている。 農業は国防そのものだ。世界の供給網が揺らげば、四方を海に囲まれた島国・日本は一気に脆弱になる。国難を乗り切るためにもっとも大切なのが「食料安全保障」なのだ! コメが買えない、高い、この異常事態をどう乗り切るのか?そして、この未曾有の危機の裏側には何があるのか…。この国の食料問題の「暗部」と闘い続ける東大教授・鈴木宣弘の告発と提言の書『もうコメは食えなくなるのか』より一部抜粋・再編集してお届けする。 『もうコメは食えなくなるのか』連載第19回
小野田氏の演説会が狙われていた「(気持ちの整理は)一生つきません。以上です」「テロリストに対して私から申し上げることは一つもございません」 これは2025年11月11日に行われた定例記者会見での小野田紀美経済安全保障大臣の発言だ。裁判員裁判が続く安倍晋三元首相銃撃事件の山上徹也被告(45歳)について問われた小野田氏は、きっぱりとそう語った。 Photo by Gettyimages 実は、小野田氏も事件とまったく“無関係”ではない。2022年7月、山上被告は安倍元首相の殺害を、当初は小野田氏の応援演説の場で実行しようとしていたのだ。 2025年10月29日、第2回公判で前日、事件当日の山上被告の足取りが明らかになった。 検察側の証拠調べでは、押収した山上被告のパソコン解析結果が報告された。 銃の自作方法や火薬の燃焼について検索していたほか、2022年7月上旬には「自民党 選挙 応援予定」「
コメの値段が下がらない。備蓄米の放出で下がると言ったのは前任者だった。農政を一転させる農水省「はえぬき」大臣の打つ手も危うい。 新農水大臣は「農協の利益代表」「新しく農林水産相になった鈴木憲和氏ですが、彼は自民党の国会議員というより農協の利益代表ですよ。国民や消費者ではなく、農協のほうを向いて働いているだけです」 語気を強めてこう批判するのは、農政に詳しいキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁氏である。 農水省の発表によれば、直近の銘柄米の価格は5kgで4540円と過去最高を記録した。山下氏は、鈴木農相の政策ではコメ価格は高止まりを続けると指摘する。 Photo by gettyimages 「小泉進次郎前農相は、コメ価格を下げるために増産する方針でしたが、鈴木農相は一転して、来年は5%程度の減産を行い、さらに備蓄米として買い入れ、コメの供給量を減らすと打ち出しました。つまり、米価
1964年の東京五輪を境に、日本の都市は大きく姿を変えていった。高速道路や新幹線の整備を皮切りに、全国で開発の機運が高まり、経済成長とともに街の風景は塗り替えられてきた。 その象徴のひとつが、東京駅と蘇我駅を結ぶJR京葉線である。通勤快速の運行によって房総方面を「東京圏」に組み込み、沿線のベッドタウン化を進めてきたが、2024年の通勤快速廃止に象徴されるように、その構造にも変化の兆しが見え始めている。本稿では、その背景にある都市開発の半世紀をたどる。 “列島改造”が生んだ都市開発のうねり1964年の東京五輪は、高度経済成長という時代の追い風も重なって、急ピッチでインフラ整備が相次いだ。 五輪閉幕後、開発機運は全国へと波及していく。地方の開発機運を後押ししたのが田中角栄だ。“日本列島改造”を掲げた田中内閣が1972年に誕生すると、その肝入り政策だった国土庁(現・国土交通省)が発足。国土庁は田
ビル・ゲイツの転換マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などを通じて、貧困の解消、疾病の撲滅、気候変動の抑制などに取り組んできたことが知られている。彼は気候変動の抑制は最重要課題だとの立場から、これまで脱二酸化炭素の旗振り役をやってきたが、先頃従来の路線を大きく転換する論文を発表して、話題になった。 その論文は「気候に関する3つの重い真実」というものだ。 ゲイツ氏が語る重い真実の1つ目は、「気候変動は重大な問題であるが、文明の終わりにはならない」というものだ。気候変動については、気温が上昇することで将来の人類がこの地上で暮らせなくなるから、もはや待ったなしだというような、やたら危機を煽る主張が広くなされてきたが、ゲイツ氏はそんな酷いことにはならないぞと、言い出したのだ。 それどころかゲイツ氏は、「生活改善という視点で見れば、より多くのエネルギーを使うの
1964年の東京五輪をきっかけに始まった都市開発の波は、半世紀を経たいまも形を変えながら続いている。 田中角栄の「日本列島改造論」によって地方へと広がった開発熱は、中曽根康弘内閣のアーバンルネッサンス計画で東京の高層化を後押しし、バブル経済の形成にもつながった。バブル崩壊で一度冷え込んだ開発機運は、小泉内閣の規制緩和によって再び勢いを取り戻し、都心回帰とともにタワーマンションの建設が加速。 とりわけ京葉線沿線で、工業地帯からベッドタウンへと姿を変え、東京近郊の新たな都市風景を形づくっていった。その変遷は、日本の都市開発の半世紀を映し出している。 JR東日本が仕掛けた再開発戦略JR東日本は、2000年前後から内房線・外房線より東京寄りの南船橋駅や新浦安駅などに目を向け、そのエリアの開発に乗り出していた。 2002年には南船橋駅に快速列車を停車させるダイヤ改正を実施。これを機に南船橋駅一帯の開
コロナワクチンによる後遺症や健康被害が多く報告されていながらも、マスメディアではほぼ報じられていない。そのため、国民の多くがこの問題について、いまだに気づいていない現状がある。 患者や遺族自身が自治体を通して申請する「予防接種健康被害救済制度」(相当の因果関係があると認められた場合、医療費・障害年金・遺族給付を行う制度)によると、2025年9月11日時点で、申請総数1万4189件、認定9290件、死亡認定1035名。他のすべてのワクチンの死亡認定が163名(1977年以降)なので、いかに突出している数字であることがわかる。 それらの隠された闇に光を当てたのが、ドキュメンタリー映画『ヒポクラテスの盲点』だ。 前編記事『「何としてでもコロナワクチン後遺症の実態を記録したかった」東大博士の映画監督が語る“立ち止まる勇気”』に引き続き、監督の大西隼氏にインタビューした。 大西隼監督(©︎志立育/H
浮かび上がる21世紀の「勢力圏」高市首相が、就任直後の時期にアメリカのトランプ大統領を歓待し、高い支持率を獲得した。横須賀の米軍基地をトランプ大統領とともに訪問したうえで、弾けるような笑顔でトランプ大統領を見上げながら、飛び跳ねたりまでして見せた姿は、日本国内のみならず、世界各国に強い印象を与えた。 大多数の日本国民は、高市首相の姿を好感したので、高い支持率が出たのだと思われる。国力を疲弊させている日本では、米国との関係の堅持が生命線だ。ここ数十年にわたり、米国との良好な関係を築ければ、長期政権になり、そうでなければ短命に終わる、というパターンが続いている。先行きに不安を持つ日本国民が、米国との良好な関係の維持に、安心感を見出すということだろう。高市首相も、そのことをよく知っており、高揚した雰囲気で、トランプ大統領を歓待した。 もっとも共同声明も出さない異例の徹底したイメージ重視の歓待でも
「北の国から」の舞台に異変!北海道のほぼ中央に位置する富良野市。農業と観光業を柱とする人口1万9311人(※25年9月末現在)のこの町は、日本人なら誰もが知っている倉本聰氏原作・脚本のドラマ『北の国から』(フジテレビ系)の舞台となった場所。 02年9月に放送されたシリーズ最後の『北の国から 2002遺言』からすでに23年の月日が流れたが、劇中で田中邦衛さん演じた五郎が住んでいた複数の家は現在も保存されており、いずれも聖地として今も地元の人気観光スポットとなっている。 富良野市の外国人観光客国別宿泊数※富良野市『令和6年度外国人観光客月間国別宿泊数(R6.4.1~R7.3.31)』をもとに筆者作成
「餃子とビールは文化です。」こんな看板を街中で一度は目にしたことはないだろうか。このキャッチコピーとともに、全国138店舗(今年10月末時点)を展開しているのが、餃子居酒屋チェーン「肉汁餃子のダンダダン」だ。 2011年に東京調布市で創業した同チェーン。業態こそ居酒屋ながら、主力商品として「元祖肉汁餃子」を推し出すと、今やすっかり広まった“餃子居酒屋”の先駆けとして急成長を遂げたことで知られる。 だが、そんな肉汁餃子のダンダダンの成長にも陰りが見えつつある。同名の漫画作品を原作としたアニメが放映されるなど、集客につながる明確な《プラス要因》があったのにもかかわらず、だ。 異常な客離れ…19ヵ月連続の客数減を記録写真/公式プレスリリースより引用 「肉汁餃子のダンダダン」(以下、ダンダダン)を運営する株式会社ダンダダンの親会社、株式会社NATTY SWANKYホールディングスは今年11月10日
9月12日にNEWoMan TAKANAWA (ニュウマン高輪)が大規模複合施設「高輪ゲートウェイシティ」内にオープンした。JR東日本の商業施設ルミネが手がける施設のなかで、もっとも大きいという。 筆者はこれまでニュウマン高輪の広告を何度か見てきたが、正直「デカい駅ビル」ぐらいにしか思えず、行く気が起きなかった。それに、高輪ゲートウェイシティがオープンした3月に現地を訪れているのだが、その時はまだ何もなく「また東京にデカいビルができたんだなあ……」ぐらいにしか思っていなかった。 ところが、ニュウマン高輪の噂をチラホラ聞くようになり、「子どもに優しくて、ママ友の間で大人気」という絶賛の声まで耳に入った。少なくとも一部では評判が良いようだ。 実際のニューマン高輪はどうなのか。現地に行って確かめてきた。
溶岩のようなすさまじい絵を描き続けた人生「絵を描くということは死闘である」 そんな謎の言葉を残してガス自殺をとげた画家がいる。小泉八雲とセツの三男、小泉清だ。油彩の絵肌は、焼け焦げた溶岩のようにゴツゴツと絵の具が盛り上げられている。キャンバスに、直接絵の具を塗り重ね、すさまじい絵を描き続けた。描いた題材は裸婦や風景が多い。 連続テレビ小説『ばけばけ』に登場する宍道湖 東京の市ヶ谷で生まれた小泉清は、早くから画家を志した。4歳で父が他界。12歳の頃には、ゴッホに憧れて画家を目指すようになった。 明治から大正にかけて雑誌『白樺』でゴッホが頻繁に紹介され、日本で初めてのブームが巻き起こっていた。清は近所のドイツ製のゴッホの画集を持っていた人から借りて興奮して眺めた、と語っている。かなり早いうちから画家に興味を持っていたことがわかる。 ちなみに同じように棟方志功は「わだばゴッホになる」と宣言し、中
「うまい鰻を腹いっぱい!」をコンセプトに、お値打ちに本格うな重が食べられるとして人気を集めている、フランチャイズビジネスインキュベーション社が運営するうなぎチェーン「鰻の成瀬」。 2022年に1号店をオープンして以来、鰻の成瀬はフランチャイズ(FC)方式で破竹の勢いで全国展開を推し進め、創業からわずか3年で381店舗(2025年10月31日現在)にまで成長。同社代表取締役社長・山本昌弘氏が掲げる400店舗の大台まであと一歩に迫っている。 そんな、群雄割拠の外食業界において、圧倒的なスピード感で頭角を現してきた鰻の成瀬だが、ここへきて不穏な話題が飛び込んできた。それがFCに加盟するオーナーたちによる、本部への“苦情”だ――。いったい人気チェーンの現場で何が起こっているのか。 「期待していたほどの利益も出ない」写真/公式プレスリリースより引用 「『鰻の成瀬』のオーナーの方々から、私の元に相談が
鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府。かなり「歴史嫌い」の人でも知っている日本史用語だが、「幕府」っていったい何なのか、説明できるだろうか? 新刊『〈幕府〉の発見 武家政権の常識を問う』(関幸彦著、講談社選書メチエ)は、この「日本人の常識」をあえて掘り下げた野心作だ。誰もが知る当たり前の言葉が、その内に包み込んでいる意味とは――。 幕府と朝廷は対立していないそもそも「幕府」とは? ――征夷大将軍がトップにいる武士の政権。学校ではこう教わった覚えがあるだろう。しかし、本書『〈幕府〉の発見』は〈なるほど、そうなのだろう。が、ホントにそうなのか。〉と、いきなりその「はしがき」で疑問を呈している。 実は、鎌倉時代や室町時代には、その時の政府のことを「幕府」とは呼んでいなかった。武家政権のトップは「鎌倉殿」「室町殿」「公方」「公儀」などと呼ばれており、「幕府」という呼び方が登場するのは、江戸時代も後期のこと
同じ「武士の政権」なのに、織田信長や豊臣秀吉、平清盛の政権を「幕府」と呼ばず、鎌倉・室町・江戸の政権のみを「幕府」と呼ぶのはなぜなのか? ――この素朴な問いにこそ、700年にわたって日本史の主役だった「武士の本質」と「近代日本の自画像」が投影されている、と、新刊『〈幕府〉の発見 武家政権の常識を問う』(講談社選書メチエ)の著者・関幸彦氏はいう。この「日本史の常識」はどのように生まれたのだろうか。 単なる「言葉の問題」ではない――新刊のタイトルにある「発見」とはどういう意味でしょうか? 関:NHKの大河ドラマを見ていると、ある時期から、劇中の人物は時の政権を「幕府」と呼ばなくなりましたよね。「ご公儀」とか「公方(くぼう)様」、あるいは「鎌倉殿」と言っている。当時の人は「幕府」と呼んでいなかったということは、現在ではかなりよく知られるようになっているわけです。 では、いつから、誰が、なぜ「幕府
通訳カテゴリで即1位を獲得「こんなに速くて正確な同時通訳ができるとは!」 9月12日にあるアプリが配信されて以降、ネットに驚きの声が溢れかえった。その名は「CoeFont通訳」。最新のAIを使って開発された翻訳ツールだ。 マイクに話しかければ、ボタンひとつで英語に翻訳してくれるアプリはいくつも生まれている。本記事を執筆している記者は、英会話教室に3年間通っており、勉強がてらいくつもの翻訳アプリを試してきたが、CoeFont通訳の速さ・正確性は頭一つ抜けている。 どんな音声でも聞き取り、瞬時に翻訳するこのアプリを使ってみて、正直、「もう教室に通う必要はないな……」と思ってしまったほどだ。評判が評判を呼び、配信直後にApp Storeの通訳カテゴリで1位を獲得した。
人間をしのぐほど強くなり、棋士にとっても研究をするうえで欠かせないツールとなったAI。一方で、AIがはじき出す「評価値」に、棋士たちが縛られている現状が問題となっている。そんな「評価値ディストピア」の時代において、どう光を見いだしていけばよいのだろうか? ※本稿は、村瀬信也(書き手)・木村一基(話し手)『50代、それでも戦い続ける』の一部を再編集したものです。 棋士にとって必須ツールになったAI将棋はアマチュアにとって、局面の優劣やどの手が最善手なのかを理解するのが難しいゲームだ。 しかし、近年はAIがそれらをわかりやすく示してくれるようになった。テレビやインターネットの中継で、着手の直後にAIが形勢逆転を示すと、視聴者の驚きのコメントが画面の中を駆け巡る。中継の進化はファンの増加にもつながった。 Photo by iStock 人間をしのぐほど強くなったAIは、棋士が普段研究する上でも欠
松本人志氏の単独生配信で華々しくスタートを切った有料配信サービス「DOWNTOWN+(ダウンタウンプラス)」。月額1,100円という価格設定のもと、黒字化を達成するためには、どれほどの有料会員が必要になるのだろうか。そして、この独自プラットフォームがビジネスとして成立するのか、有料動画配信サービスに関わっていた経験から独自に検証してみる。 ダウンタウン+公式Xより引用 黒字化ラインは最低25万人かサービスの収益構造を考察するには、まず「月間の総コスト」を把握する必要がある。最も大きな支出は、松本氏の出演料を含むコンテンツ制作費と、安定的な生配信と動画視聴を支えるプラットフォーム運営費(サーバー、システム維持、人件費、決済手数料など)だ。 業界トップクラスのタレントを起用し、テレビ番組と遜色のないクオリティの企画を継続的に制作する費用、さらに生配信にも耐えうる高負荷なインフラの維持費を考慮す
コンビニエンスストア全国チェーン「ローソン」の業績が好調だ。今年10月15日に発表した2025年3~8月期の連結決算は、純利益が前年同期比10%増の383億円と、過去最高を更新。主に国内コンビニ事業が堅調に伸長した形となった。 ただ、そんなローソングループの中で苦戦を強いられている業態がある。それが店舗の“大量閉店”に追い込まれているという「ローソンストア100」、通称100円ローソンだ。 100円ローソンといえば、従来のコンビニの機能に加えて、肉や野菜などの生鮮食品や生活用品を充実。さらに100円ショップの要素を融合させた業態として、展開当初はその独自性から大きな支持を受けていた。また、おかずを1種類だけに絞ったお弁当「だけ弁当」など、同チェーンならではのヒット商品にも恵まれていた。 ところが、直営店・フランチャイズ合わせて1200店舗以上あった最盛期から一転、年々その数を減らしていき、
もし自分が「日本人最高のIQ」を持っていたら、人生はどれほど順調なのだろう――。そう思う人は少なくない。だが、IQ188という記録で注目を浴びた太田三砂貴(おおた・みさき)さん(30)の歩みは、意外にも遠回りの連続だった。研究の最前線で何を見ているのか。どのようにして「居場所」を見出したのか。静かな口調で、しかし精確に語られた言葉をたどる。 日本人最高のIQ188という記録を持つ太田三砂貴さん 道で拾った服を着ていた「この秋、ポーランド・グロツワフの理論物理大学院を修了し、ひさしぶりに日本へ戻りました。量子コンピュータ企業のインターンや、経済的支援つきの海外博士課程からお声がけを頂いていて、いまは慎重に考えているところです」 9月放送のテレビ番組「超絶マンガ級ピーポー2」(FBS)は、幼少期から大学進学に至る回り道、絵画や作曲の素養、さらには「ポーランドでは拾った服を着ていた」という逸話ま
クマによる人的被害が全国で相次ぐ中、すでに、今年クマに襲われて死亡した人の数は過去最悪の12人にまで上っている(10月30日時点)。一連の深刻な被害を受けて、ついに政府も重い腰をあげ、関係閣僚会議を開催。11月中旬までに緊急のクマ対策パッケージをとりまとめることを決定した。 だが、日夜クマの駆除に追われている猟友会の人間に言わせれば、これまでの経緯も踏まえて「国の対応にはまったく期待できない」という。なぜ彼らはそこまでの不信感を抱くに至ったのか――。 データがすべてではない写真はイメージです/Photo by iStock 以下は、今回取材に応じてくれた、ある猟師の主張だ。その言葉の節々には、熊がどれだけ恐ろしい生き物か、にもかかわらず、これまで甘い対応しかしてこなかった国や自治体への怒りが込められていた。 * 環境省は長年、自然動物保護重視の政策をとり続けてきていました。我々狩猟者の権利
ドイツ外相の的外れな中国批判ドイツのヨハン・ヴァーデフール外相(キリスト教民主同盟)の外交音痴が甚だしい。8月のアジア歴訪で日本に立ち寄った際には、「日独両国で安全保障を固め、共に発展しよう」と言ったまでは良かったものの、「中国はインド太平洋での優位な立場を主張し、国際法上の原則を脅かそうとしている」などと中国批判を付け加えて、岩屋毅外相(当時)を困らせた。 ヨハン・ヴァーデフール外相 photo by gettyimages ちなみにこの会見は18日だったので、中国と日本にとっては、いわば終戦80周年の直後。しかし、ヴァーデフール氏は、ドイツと日本は同じような体験を共有しているとして、“戦勝国”中国を完全に無視。中国の主張する“日本の侵略戦争”にも一切触れず、それどころか、日本はドイツのプレミアムパートナーであると宣言した。 ただ、ドイツはメルケル政権以来、「中国はアジアで一番大切な国で
かつて「副業解禁」の動きが注目を集めたのは2018年。あれから7年、働き方をめぐる環境は大きく変わった。物価上昇や賃金の伸び悩み、安定雇用の終焉、AIの進化など、私たちを取り巻く現実はより厳しく、より柔軟な対応を求められるものになっている。 今、副業は“特別な選択肢”ではなく、“生き方の一部”として再び脚光を浴びている。収入補完という現実的な目的と、キャリア拡張・自己実現といった主体的な動きが交錯しながら、副業は個人の働き方を再定義している。──再燃する「副業ブーム」の裏側を探った。 企業と個人を動かした「副業ブーム」の始まり日本で企業の「副業解禁」が関心を集めたのは2017年から2018年にかけてであり、2018年は「副業元年」と呼ばれている。背景には、政府が推進した働き方改革の流れがある。 2017年3月、政府は「働き方改革実行計画」を策定し、その中で副業・兼業を推奨する方針が正式に示
弁護士、医学博士らが「山上被告は単独犯ではない」と指摘…!事件の瞬間、「安倍晋三元首相のマイク」に残されていた「重要証拠」 2022年7月8日、奈良市で街頭演説中の安倍晋三元首相(享年67)が銃撃され死亡した事件。殺人などの罪で起訴された山上徹也被告(45歳)の裁判員裁判の初公判が、10月28日に奈良地裁で開かれた。事件は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みを募らせた山上被告による単独犯行とされ、裁判もその前提で進められていく。 だが、この「定説」に疑問を呈する人々がいる。初公判の前日となる10月27日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いたのは、『安倍元首相殺害事件の真相を究明する会』。彼らが指摘した、歴史的事件の“疑問点”とは――。 前編記事『山上徹也被告は「単独犯」ではない…!『安倍元首相殺害事件の真相を究明する会』の専門家集団が提示した「3つの根拠」』から続く。 【根拠③
秋山仁(あきやま・じん)/'46年、東京都生まれ。東京理科大学栄誉教授。『数学者に「終活」という解はない』(1210円)が講談社+α新書より発売中 数学者にリタイアはない人生は80歳からが本番だ数学の研究を始めてから50年以上経ちますが、「人生は80歳からが本番だ」と本気で思っています。 数学は、柔軟な発想や体力が大事とされていて、それは若い人の特権のように言われます。でも、私の場合はまったく逆です。 自慢ではないのですが、還暦を過ぎてからの19年間で書いた論文の数は約70本で、60歳までに書いた数と同じくらい。年齢を重ねるほど、数学的な視野が広がり、直観が研ぎ澄まされているという感覚があるのです。 Photo by gettyimages
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