米ミネソタ州で2つのファストフード店のシフトを掛け持ちする男性に、知人たちが素敵なプレゼントを贈り、話題を呼んでいる。
男性は"とある事情"から、毎日合計約7キロメートルを徒歩で通勤していた。

同州ローズビルにあるアイスクリーム店「デイリークイーン」とメキシカンレストラン「チポトレ・メキシカン・グリル」で働くのは、ロドルフォ・デパスさん。
中米エルサルバドル出身で、就労ビザで3年前からアメリカに滞在する2児の父だ。稼いだ収入のほとんどを、同国で離れて暮らす家族に仕送りしている。
そのため、手元に残る収入はごくわずか。車を買うお金がないため、移動はすべて徒歩だ。
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地元テレビ局KAREの取材によれば、デパスさんは勤務日、午前5時半に起床。1つ目のシフトのチポトレに、徒歩で向かう。
午後2時半に退勤すると、今度は町の反対側にあるデイリークイーンに出勤する。もちろん移動は徒歩だ。1日の徒歩の移動距離は7キロメートルを超える。
元同僚のエミリー・ヒンダーシェイドさんは、雨の日も、雪の日も徒歩でやってきたと振り返る。
「外が氷点下のときも彼は歩いてやってきて、フライヤー(揚げ機)のところで指を温めていたのを覚えています」
ヒンダーシェイドさんいわく、デパスさんは土日のシフトも入れて週80時間働いていたという。そんなデパスさんに転機が訪れる。
デイリークイーンで一緒に働いていたヒンダーシェイドさんが、デパスさんを家に招くようになったのだ。
ヒンダーシェイドさん家族との食事や外出を通じて、ヒンダーシェイドさんの父親マイクさんと意気投合したデパスさん。ある日、彼から通勤のための自転車を譲り受けたという。
さらに、マイクさんの紹介で出会った知人からは、車をプレゼントされた。
8月7日には、ヒンダーシェイドさんによって、募金ページまで立ち上げられ、デパスさんへの支援の輪が広がっている。
デパスさんが働く店舗のフランチャイズオーナー、トッド・ネルソンさんは、デパスさん家族がアメリカに移住できるようにする手続きに詳しい「弁護士を紹介する」とし、デパスさんの印象について話す。
「彼はとても、とても、働き者です」
「雪が降っていたとき、車で出勤する従業員たちは遅刻の電話をかけてくるのに、彼は時間通りに出勤してくるんです」
「彼は多くの人に祝福されているし、逆に彼に祝福されている人もたくさんいると思います」
一方、デパスさんは「彼らは私にとって天使のような存在です」とコメント。自転車や車をもらったことにより、徒歩で出勤せずに済んでいる。
SNSでは、「ただただ尊敬です」「仕事に対する彼の向き合い方、若き元同僚の優しさが組み合わさった、素敵な話ですね」「彼が早く家族とアメリカで暮らせるよう願っています」などの声が上がっている。