サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
2025年ランキング
gendai.media
――「この国に生まれたことが、罪ですか?」 日本で生まれ、日本語しか知らずに育ちながら、在留資格を持たず生きる子どもたちがいる。国民健康保険にも入れず、進学や就労の道も閉ざされ、強制送還の不安と隣り合わせの日々を送る。 子どもたちを物語の主役とした書籍『仮放免の子どもたち』では、データや政策を整理したコラムも収録し、外国人政策の「今」を描き出す。 *本記事は、池尾 伸一『仮放免の子どもたち 「日本人ファースト」の標的』(26年1月22日発売)の一部を抜粋・編集しています。 放置されるクルド人へのヘイト投稿 差別問題の専門家の間ではヘイトスピーチを放置すると、それに共感する人の裾野が広がり、さらにヘイトが過激化する「憎悪のピラミッド理論」が知られている。社会の中で、少数派の特定のグループへの誹謗中傷が放置されたままだと、同じように誹謗中傷する人たちが増え、やがてそのグループに対しては「自分た
刊行されたばかりの新書『なぜ日本文学は英米で人気があるのか』が話題の翻訳家・文芸評論家の鴻巣友季子さん。今年も、鴻巣さんによる年末ジャンボおすすめ書評の季節がやってまいりました! 2025年に刊行された文学作品の中から、鴻巣さんが選りすぐった20冊をご紹介します。「今年、全然本を読めてないから1冊くらい読みたい……」という人にも、「年末年始に読む本を探していた」という人にも、自信を持っておすすめします。 個人主義と包摂性1 シーグリッド・ヌーネス『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』桑原洋子/訳 早川書房 「あなたの苦しみはなんですか?」と声をかけることが、隣人に与えうる最も豊かな愛だとシモーヌ・ヴェイユは言った。本作には、このフレーズが全編に響きわたっている。末期がんの友人から安楽死の瞬間まで付き添ってほしい、ただし「隣の部屋で」と、語り手の女性は頼まれる。人は自立した「個」人でありながら、いか
――「この国に生まれたことが、罪ですか?」 日本で生まれ、日本語しか知らずに育ちながら、在留資格を持たず生きる子どもたちがいる。国民健康保険にも入れず、進学や就労の道も閉ざされ、強制送還の不安と隣り合わせの日々を送る。 子どもたちを物語の主役とした書籍『仮放免の子どもたち』では、データや政策を整理したコラムも収録し、外国人政策の「今」を描き出す。 *本記事は、池尾 伸一『仮放免の子どもたち 「日本人ファースト」の標的』(26年1月22日発売)の一部を抜粋・編集しています。 夢を持つ権利を奪われる米国の黒人の詩人ラングストン・ヒューズに「僕が成長するにつれ(AS I GREW OLDER)」という詩がある。1 9 2 6年、彼が20代半ばの時に出した詩集にある。 かつて僕の真ん前で夢は太陽のように輝いていた。 やがて壁が立ち上がってきた。 ゆっくり、ゆっくりと。 僕と僕の夢の間をさえぎり。
――2025年は我が国から2名ものノーベル賞受賞者がでました。学術界も賑わっていることでしょう。北川進氏、坂口志文氏の両名とも、各所の受賞インタビューにおいて口々に基礎研究の重要性と長期的支援の必要性について発言されていますし、科学技術研究費補助金、いわゆる科研費の補正予算額も2025年度補正予算案で300億円とのこと! 昨年度が52億円と比べて大幅増となり、言う事なしですね。 そうですね。よかったと思います。 〔PHOTO〕gettyimages――あれ? テンション低。嬉しそうに見えませんが。 いや、嬉しいですよ。でも正直、どうせまた何も変わらないだろう、という思いです。十年も前から、ノーベル賞が受賞されるたびに「ほらみろ!基礎研究こそが重要なのだ!」と叫ばれるも学術界は特に変わっておらず、基礎研究が盛り上がってきている感はほぼないです。むしろ、学術界が全体的に悪化すらしている。例えば
「関ヶ原の戦い」は「天下分け目の決戦」ではなかった…!担当編集も悲鳴をあげた「日本史のシン説」を記した新書の中身 「俺の関ヶ原」が音を立てて崩れていく子どもの頃から、好きな歴史上の人物といえば齋藤道三、明智光秀、石田三成、江藤新平の4人だった。「変なやつ」と思われそうだが、司馬遼太郎ファンの方なら、うなずいていただけるのではないか。そう、いずれも悪人呼ばわりされて非業の最期をとげたが、じつは高い理想を抱いていた(と司馬作品では描かれている)人たちである。なかでも石田三成のことは社会人になってからもよく思い出した。豊臣に恩ある大名がこぞって徳川家康になびくなか、「義」を通すためだけに19万石の分際で250万石の家康に本気で立ち向かい、天下分け目の戦いを実現してみせたクレイジーなまでのカッコよさが、長いものに巻かれがちな小心者にはまぶしかった。 担当者がamazonに掲出した画像。肩に力が入り
動画に映し出されるパーカー姿の男性。飾り気のない部屋でソファに座り、淡々とカメラに向かって話しかける。約1時間にも及ぶ映像はロケもなければ、ゲストもいない。だがそれでも、目が離せない謎の迫力がある。独特な語り口で男の口から明かされるのは約17年前、日本で発生し、いまだ全容解明に至っていない殺人事件の生々しい調査報告だった――。 17年前に発生したある「未解決事件」「皆さんの健康のために、全身全霊で参ります」 今年11月、そんな紹介文の説明のうえで開設されたのがYouTubeアカウント「健康チャンネル」。動画を手掛けるのはクリエイターの上出遼平氏(36歳)だ。 前編記事『「未解決事件を徹底調査した「異質YouTube」が話題…!上出遼平がテレ東を辞めてアメリカ移住を決めた「無計画すぎる理由」』につづき、「当初は興味がなかった」と語る上出氏がいかに未解決事件へとのめり込んでいったのか、さらに実
面積世界第6位(排他的経済水域)、しかも北からの親潮やリマン海流といった寒流、南からの黒潮や対馬海流の暖流が交錯、世界でも名だたる好漁場として高いポテンシャルを持つ日本の海。その恩恵にあずかり、わが国では古くから豊富な魚介類を獲り、食し、和食文化を形作ってきた。 その日本の魚食・漁業がいま、危機に瀕している。 1990年代前半まで世界一を誇っていた漁獲高もいまではベスト10圏外から転落、すでに漁業大国とは言えない現状になっている。 なぜこのような事態に陥っているのか? 日本の漁業を30年以上取材し続けているベテラン記者が、新刊『国産の魚はどこへ消えたか?』(講談社+α新書)でそのリアルを明らかにする。 『国産の魚はどこへ消えたか?』連載第23回 『築地場外市場の高級店ですら「国産より美味しい」と絶賛…日本人が国産と錯覚し続けている“ノルウェー産サバ”によるシェア拡大の実態』より続く。 「漁
出版業界は「ロビイング下手」なところがある。しかし、近年の国策書店振興の機運を具体的な政策、予算化に結びつけていくには、政治への適切な働きかけが必要である。 本稿では、自身の市議会議員経験も活かして兵庫県明石市で図書館納本に関する「請願」の議会での採択に尽力した巌松堂書店創業者の山根金造氏への取材を通して、地方自治体における予算決定のプロセスを踏まえた上での効果的なロビイングについて見ていきたい 前編記事『図書館に本を売ると「赤字」になる…図書館に「定価」で本を買わせた「伝説の書店主」の凄すぎる手腕』より続く。 請願書に名を連ねてくれる紹介議員の選び方と会派へのはたらきかけ方地方議会に対して民間の人や事業者が「請願」を行うには、請願書に名前を連ねてくれる1名以上の「紹介議員」が必要となる。 たんに請願を議会に「出す」だけなら協力してくれそうな議員であれば誰でもいい。 しかし、議会の過半数の
わたしたちが本や雑誌を手にするときに、はじめに目にするのはその「デザイン」です。出版物の“顔”を担うデザインの視点から、出版文化の未来を考える不定期連載「「読む」をデザインするひと」が、「群像」創刊80周年記念企画として2026年1月号よりスタートしました。ライターの宮田文久さんがさまざまなデザインの「現場」を訪れ、普段なかなか聞くことのできない言葉に耳を傾ける企画です。 連載第一回では、「群像」のアート・ディレクターを務める、装丁家の川名潤さんにお話をうかがいました。「群像」2026年1月号より転載しお届けいたします。(転載にあたり一部表記を修正しています。) 「群像」2026年1月号本や雑誌の“顔”を担うデザイン一番近くにあるはずのものが、実は遠い、ということは起こりえる。 私たちが本や雑誌を手に取るとき、最初に目にしているものは、当たり前だが本文ではない。本や雑誌が外界に接するとき、
2024年からの経産省主導による「書店振興プロジェクト」が発表されている。 ではただ待っていれば書店に関連する予算が付くのかといえば、必ずしもそういうものではない。ところが出版業界では政治、行政への働きかけ(ロビイング)の動き自体がほかの業界よりも少ない。ノウハウもあまり共有されていない。 本稿では、自身の市議会議員経験も活かして兵庫県明石市で図書館納本に関する「請願」の議会での採択に尽力した巌松堂書店創業者の山根金造氏への取材を通して、地方自治体における予算決定のプロセスを踏まえた上での効果的なロビイングについて見ていきたい。 再販契約書の改訂だけでは「図書館納本の定価販売」「装備費用別途請求」は実現性に乏しいまずはそもそもの ・今回の請願がいかなる背景で行われたのか。なぜ書店からの働きかけが必要と考えたのか ・どんな内容の請願が議会で採択されたのか ・請願の採択はどのような意味を持つの
「SNS禁止」のオーストラリアで、じつは「アナログ回帰」など起きていなかった…日本の「読書家」ほど気づかない「無自覚な差別」の正体 オーストラリアといえば、急速に普及したデジタルデバイスやソーシャルメディアがもたらす若年層への悪影響――学力低下、集中力の欠如、メンタルヘルスの悪化――を食い止めるため、世界でも類を見ないほど厳格な「デジタルデトックス政策」や法的規制を導入しつつある。 2023年から2025年にかけ、オーストラリア全土の学校でスマートフォン持ち込み禁止が実施された。 さらに2024年11月、オーストラリア連邦議会は「Online Safety Amendment (Social Media Minimum Age) Bill 2024」を可決した。これは16歳未満の子供がFacebook, Instagram, TikTok, Snapchat, X(旧Twitter)などの
11月下旬、東京都杉並区の高円寺エリアにおける都市計画道路整備事業が大きな話題となった。この計画では、高円寺のシンボルともいえる北口エリアの「純情商店街」や「庚申通り商店街」を大幅に削って、幅16mほどの大きな道路を通すことになっている。それに対して、地元住民などからは貴重な「高円寺らしさ」が無くなってしまう、との反対の声がSNSを中心に相次ぎ、1万2000件以上のオンライン署名が集まる盛り上がりを見せた。 この再開発には交通の便の上昇のほか、火災時の延焼リスク軽減といったメリットがあるとされているが、それに対してLIFULL HOME'S総研所長の島原万丈氏は「道の反対側に火が燃え移らないことは確かだが、木造建築が多いエリアに変わりはないため、火災が起きるリスクは依然としてある。道路を作ったとしても、火災の根本的解決にはならず、些細な対策にしかならないのでは」と指摘している。(以下、「」
高市早苗総理(64歳)側へ3000万円を献金していた宗教法人「神奈我良(かむながら)」(奈良市)が、少なくとも10以上の不動産を、法人名義で売買していた。 『週刊現代』(12月22日月曜日発売)の取材でわかった。 同法人が取得した不動産の中には、その後に代表の川井氏が経営する不動産関連会社に所有権移転された土地・建物が複数存在したほか、リゾートホテルの不動産付き会員権も含まれていた。 宗教法人法では、宗教法人としての目的に反する収益事業を行っていると判断されれば、所轄庁から1年以内の事業停止を命じられる可能性がある。宗教活動と、一連の不動産取引にどのような関係があるのだろうか…。 宗教法人がまるで不動産業者のような土地売買今年11月末、高市総理が代表を務める政党支部「自由民主党奈良県第二選挙区支部」の収支報告書が公開され、神奈我良が’24年12月13日に3000万円を同支部に寄付していたこ
ネット上で「深大寺(じんだいじ)が原宿化している」という記事が話題になっている。深大寺は東京都調布市にある寺院で、都内では浅草寺に次いで古いとされる、創建1300年の古刹だ。歴史ある寺に若者が殺到しているという現象は、一見すると意外である。なぜ都心から離れた場所に、原宿のような熱気が生まれているのだろうか。 話題となった記事について説明すると、深大寺が人気となったのは今年の8月頃からで、SNSを中心にバズった背景がある。なかでも、山や渓谷などの自然を感じられる場所を好む「自然界隈」と呼ばれる層を中心に広がり、深大寺一帯の自然豊かな公園や草餅といった食べ歩きグルメを撮影した写真がSNSで上がっている。 現在もその人気は続いているのか、実態を確かめるため深大寺へ向かってみると、そこにあったのは一時的なバズでは片づけられない光景だった。同時に、若者の間で広がる「旅行先の選び方の変化」も見えてきた
伊藤詩織監督『Black Box Diaries』をめぐる噛み合わない議論の本質。「10ヵ月後の会見」で見えた食い違い 溝が埋まるチャンスがなかった記者会見12月15日、伊藤詩織監督らによる、ドキュメンタリー映画『Black Box Diaries』に関する記者会見が行われた。本作は多くの国際映画賞で上映され、日本人監督によるドキュメンタリー映画として初めて米アカデミー賞のノミネート作品となった。2024年10月に元代理人弁護士らからさまざまな問題点が指摘されていたが、その問題点は改善されないまま海外で上映されていた。この会見は、「修正版」が2025年12月12日に日本でも上映されたあとの会見だった。 出席者は、エリック・ニアリ氏(プロデューサー)、ハンナ・アクヴィリン氏(プロデューサー)の3名である。制作会社であり、また日本での共同配給会社であるスターサンズからの出席者はなかった。当日は
コロナ禍が終わり、日本各地に再び観光客が押し寄せるようになっている。 日本人観光客に加えて海外からの旅行者も増え、新幹線や特急の停車駅では大きなスーツケースを抱えた外国人観光客の姿を多く見かける。 政府はコロナ禍以前からインバウンド推進政策を進めてきたが、コロナ禍の収束後も高市政権の下で外国人観光客の誘致を強化している。その結果、多くの観光客が各地に押し寄せ、「オーバーツーリズム」ともいえる状況が生まれている。 もちろん日本人観光客も少なくはないが、現状では外国人観光客の存在感のほうが際立っている。 Photo by Gettyimages 破格の外国人観光客専用きっぷJRグループは、外国人旅行者向けに「ジャパン・レール・パス」というJRの鉄道・バスが乗り放題になる特別企画乗車券を発行している。 料金は、グリーン車用7日間が大人7万円、普通車用が大人5万円と格安の設定だ。ちなみに14日間用
通貨安が進む日本に、世界中から「安い国」として観光客が押し寄せるのは、ある意味では当然の流れといえる。 その一方で、日本に暮らす私たちが海外へ出ることは、かつてよりもずっと難しくなっている。米国は同盟国でありながら入国審査が厳格化し、ヨーロッパは距離も遠く渡航費が高騰。さらに、日中関係の悪化や台湾有事の懸念など、地政学的なリスクも重なっている。「外国の鉄道での乗り放題旅行」は、現実的に困難な世界情勢になってしまった。 せめて日本国内だけでも、手軽に安く鉄道旅行を楽しみたい……そう願う人は多いだろうが、現実にはそれすらも簡単ではなくなっている。 前編記事『《5万円で7日間“JR乗り放題”》外国人限定きっぷ「ジャパン・レール・パス」はなぜこんなに安い?廃止できない理由』より続く。 Photo by Gettyimages 各種フリーパスの衰退かつて存在した多様なフリーパスは、近年になって次々と
2025年に開館20年を迎えた大和ミュージアム。日本を代表する博物館の一つとなっているが、来館者から屈指の人気を誇るのは、全長26メートルの巨大な「十分の一戦艦大和」である。来春のリニューアルオープンに向けて改装工事中だが、そもそも「十分の一戦艦大和」をつくることは非常に難しい巨大プロジェクトであった。 開館時から館長を務め、復元も今回の改装プロジェクトも率いた戸高一成氏が、大和制作時のスタッフたちの苦闘、ものづくりにこめた当時の思いを記した。 ※本記事は戸高一成『増補新版 戦艦大和復元プロジェクト』(角川新書)から抜粋・編集したものです。 最後の難所にさしかかる最後の作業となる艦尾部分は、大和の難所である。多くの疑問が詰まった艦尾まわりの製作には、それでも救いがあった。 もっとも目につく艦尾の飛行機用ジブクレーンは、長い間デリック方式の簡単な構造と考えられていた。ところが、河井登喜夫氏が
農水省が11月28日に公表した「農林業センサス(農業版国勢調査)」の速報値によると、農業を職業とする「基幹的農業従事者」は全国で102万1000人と、前回から25%減少し、20年前の半分以下にまで落ち込んだ。法人などを含む「農業経営体」も100万戸を割り込み、こちらも20年前の半数以下となっている。 この状況下では「将来の日本の農業は大丈夫なのか」と心配になるのが当然だ。だが、実は農業の世界では「農家が減ること自体は悪いことではない」という意見もしばしば聞かれる。 その背景には、農家の減少と並行して、多くの農地を抱え、大規模に営農する「強い農家」が増加していることがある。 【前編記事】『「団塊世代」の大量リタイア止まらず、わずか5年で農家が25%減少…「農業版国勢調査」が示す日本の危機』より続く。 Photo by Gettyimages 食料自給率は下がったのか政府が規模拡大を推進してき
朱色のクロスがかけられたテーブルには、寿司やローストビーフがずらりと並ぶ。ゴルフで汗を流した約280人の参加者が宴会場で、ビールを片手に歓談している。 衆院選期間中の'24年10月24日に開催されていた、毎年恒例のゴルフコンペ大会。10万円相当の旅行券や、数万円はくだらないお掃除ロボットをはじめ、参加費以上の豪華景品が用意されている。「お得感がある」と人気だ。 ただ、見過ごせない問題があった。それはこの会を主宰しているのが政治家であること。テーブルには料理とともに、今や「自維連立政権のキーマン」と言われる人物のビラが置かれていた―。 「与党病」に罹ってしまった維新幹部高支持率に沸く高市政権の「アキレス腱になりかねない」(自民参院ベテラン議員)と危惧されているのが、連立パートナーの日本維新の会だ。 「藤田文武共同代表が、自身の公設秘書が代表を務める会社に7年間で約2100万円の公金を支出して
12月1日、銀座と有楽町をつなぐ数寄屋橋交差点の前に「ginza novo」がオープンした。元々は「東急プラザ銀座」の名で運営されていた商業施設だったが、建物はそのままで中のテナントが一部リニューアルされた。 リニューアルの背景には、中国系のファンド「ガウ・キャピタル」が同ビルを10億ドル(役1500億円)で買収したことがある。円安の影響で増加するインバウンド需要を取り込んだ、「新しい銀座の象徴を作る」という期待が込められているのだ。 筆者はかつての「東急プラザ銀座」に何度も訪れ、レポートを書いている。その時は人がまばらで多くのテナントが抜けている「超一等地なのに廃墟化した商業施設」というイメージだった。最寄りの銀座駅からは徒歩3分、JR有楽町駅からは徒歩5分の場所にあり、近くには名だたるブランドが立ち並ぶ。 それもあって、今回のリニューアルには筆者だけでなく多くの人から期待が寄せられてい
団地創成期と呼ばれる1950年代に誕生して以来、その風景を守り続けている団地がある。千葉県にある八千代台団地だ。団地は住民による管理組合「やよい会」を発足。長年、入居者による自主管理を続けてきた。2000年代には建て替え計画が浮上するが、反対派の声もあり、現存という道をひた歩いている。 しかし、八千代台団地を取り巻く変化は建て替え計画だけにはとどまらない。八千代台団地の今を取材すると誕生当初から脈々と続く組合運営の在り方、さらに外国人入居者との共存を目指す姿があった――。 前編記事『建設から68年の「超レトロ団地」が千葉県にあった…!今なお「当時の風景」を残すことに成功した「驚きの管理方法」』につづき、脈々と受け継ぐ自主管理や外国人入居者との共存など令和の団地事情をお伝えする。 軍用地として使われた八千代台千葉県に八千代台団地が誕生したのは団地創成期とされる1957年のこと。 八千代台団地
新宿武蔵野館をメインに不動産事業など多角経営およそ4ヶ月前の8月7日、新宿のミニシアター「シネマカリテ」の閉館が発表された。各国の話題作・意欲作を上映し、「カリコレ(カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション)」という独自の特集も行ってきた劇場が、2026年1月12日をもって最後を迎える。オープンから約13年での閉館、その知らせは多くの映画ファンや関係者に衝撃を与えた。 新宿のミニシアター「シネマカリテ」 『劇場版「鬼滅の刃」』や『国宝』など、シネコンの大ヒット作が興行記録を塗り替えるいっぽう、近年はミニシアターの苦境が伝えられてきたが「まさか、カリテが……」というのが、まず率直な感想であった。 シネマカリテは新宿駅東口近くのNOWAビル地下1階という好立地であり、黄色い階段を下りたところに瀟洒なロビーと2スクリーンを有するミニシアターだ。17歳と24歳の青年による恋を描いた『君の名前
20年で農家の数は半分に去る11月28日、農水省が「農林業センサス」と呼ばれる調査結果の概数値を公表した。この調査は5年に一度実施される、いわば「農業版国勢調査」というべきもので、農業者数の現状などを把握するための重要な調査だ。 今回公表された速報値にも、大きな関心が集まっている。特に注目されているポイントは、職業を「農家」とする「基幹的農業従事者」の数が、前回5年前の調査と比べて25%も減少した点だ。 Photo by Gettyimages 今回の調査によると、基幹的農業従事者は全国で102万1000人となり、20年前と比べると1/2以下の水準にまで減少した。また、法人なども含む「農業経営体」の数はついに100万戸を割り、同じく20年前の1/2以下となった。 なかでも減少が目立つのが、本州の酪農家だ。東京をはじめ、大消費地に近い地域で乳用牛を育てる本州の酪農家は、新鮮な牛乳(飲用乳)を
中央経済工作会議の変転今年の中国経済を総括し、来年の中国経済の指針を定める「中央経済工作会議」が、12月10日、11日に北京の京西賓館で開かれた。北京西部に位置するこのホテルは、中央軍事委員会連合参謀部が管理し、10月には「4中全会」(中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議)も開かれた。 中央経済工作会議は伝統的に、中国経済の全般を統括する国務院総理(首相)が招集し、国務院(中央官庁)の経済関連各部門の幹部たちが一堂に終結。4日間にわたって侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を行う密度と専門性の高い経済会議だった。 そのため国家主席(共産党総書記)は、この議論に関わらなかった。先々代の江沢民元主席は朱鎔基首相に任せ、先代の胡錦濤主席は温家宝首相に任せていた。こうした伝統は、習近平政権2年目の2014年まで続いた。 李克強首相はわずか2年しか中央経済工作会議を主導できなかった 2015年に
大ブームのジンギスカンの中で、とりわけ根強い人気を誇る老舗店「成吉思汗(ジンギスカン)だるま」(以下「だるま」)。そんな同店がここ数日、店や味、行列とは一切関係ない理由で注目を集めている。 契機となったのはX上のとある投稿から。「ジンギスカンの人気店『だるま』は昔、北朝鮮と深い関係にあった」という趣旨のものだ。奇しくも12月10日~16日の1週間、政府が定める「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」と被ったこともあり、話題を集めていた。 実際のところ、この投稿が示すものはあくまで2007年に明るみとなった当時の経営者らに関する事件であり、今の「だるま」とは一切関係ない――。ただ、取材を進めていくと、ジンギスカンの本場・北海道の道産子たちは「今も『だるま』には行かないようにしている」との興味深い証言を得た。その“根深い理由”を探っていく。 【前編記事】『ジンギスカンブームに水差す事態、老舗の名店「だる
衆院選期間中の'24年10月24日に開催されていた、毎年恒例のゴルフコンペ大会。10万円相当の旅行券や、数万円はくだらないお掃除ロボットをはじめ、参加費以上の豪華景品が用意されている。 ただ、見過ごせない問題があった。それはこの会を主宰しているのが「維新府議団のドン」森和臣大阪府議だったことだ。なんと地元有権者も参加するゴルフコンペで上記のような豪華景品が配られていたのだ。 前編記事『【発覚】1等は10万円相当の商品券…!豪華賞品がずらりとならぶ「維新幹部」の眉をひそめるしかないゴルフコンペ』より続く。 買収行為とみなされる可能性もゴルフコンペには一体、どれくらいの経費がかかるのか。筆者は、同年の政治団体「森かずとみ後援会」の収支報告書を確認。するとゴルフコンペ賞品代として記載されているのは、泉大津市内の旅行代理店への10万円と、和泉市内の家電販売店への約13万円のみ。とてもすべての景品を
元TOKIOの国分太一(51歳)をめぐって、たった3週間の間にコンプラ違反の認定、番組降板、被害者のプライバシーを守るため一切の情報を「封印」する方針を固めた日本テレビ。検証から公表まで、何もかも異例すぎるスピードであった今回の対応、その理由はほかでもない、「フジテレビショック」の影響によるものだ。 今なお混迷が続くフジ。その姿を目の当たりにした日テレ経営陣は、国分のハラスメント事案を受けて、青ざめたに違いない。一刻も早く、そして被害者全面保護の姿勢で対処しなければ、フジの二の舞になる――と。 【前編記事】『日テレが“国分太一切り”を異常に急いだ本当の理由…「フジの二の舞になるものか」経営陣の一部始終明らかに』よりつづく。 「大物だろうと迅速に損切り」すると決意写真/時事通信社 対応を誤れば、親会社の日テレHDどころか、読売新聞グループ全体へと波及する恐れもあった。 実際、フジでは上場親会
多くの人間が行き交う駅はドラマの宝庫だ。 1935年には、電車に胴体を切断されながらも身の上話をはじめた女性の存在が、当時の新聞で報道されている。 この事件の詳細は、前編記事〈電車に下半身を潰されたのに「ねえ、タバコちょうだい」…そのまま5時間生きた荒川区の女性が懺悔「悲しい浮気癖」〉で解説している。 本稿では、ビッグターミナル・JR新宿駅が舞台となった「貰い子殺し」について、猟奇事件に造詣が深いライターの穂積昭雪氏が迫る。 新宿駅に預けられた大きな荷物日本で最も利用者の多い駅として知られるJR新宿駅。一日の列車本数は2000本以上、利用客は1日300万人を超えるとされている。 そんな新宿駅で世にも恐ろしい殺人事件が発覚したのは、昭和恐慌で日本経済が荒れはじめていた1930年(昭和5年)5月31日のことであった。 photo by iStock 新宿駅は1885年(明治18年)の開業以来、
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『現代ビジネス [講談社]』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く