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ブラックフライデー
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間接的な証拠をもとに存在すると考えられている、謎に満ちた「暗黒物質(ダークマター)」。 その暗黒物質から放射された電磁波を初めて捉えたかもしれないとする研究成果を、東京大学大学院の戸谷友則教授が発表しました。 あるはずなのに見えない「暗黒物質」 私たち人間の身体から、地球や太陽といった天体までを形作る「通常の物質(バリオン)」は、この宇宙を構成するもの全体のうちほんの5%程度でしかないと考えられています。残る95%のうち、約27%は暗黒物質、約68%は宇宙の加速膨張をもたらしているとされる「暗黒エネルギー(ダークエネルギー)」が占めているとみられています。 通常の物質の5倍もあるはずの暗黒物質は、これまで電磁波では直接見ることができず、天体の観測を通じて間接的にその存在が予測されてきました。 たとえば、銀河の回転速度。通常の物質の質量だけで予想される回転速度と比べて、実際の回転速度はかなり
私たちの宇宙には、重力でのみその存在を知ることができる「暗黒物質(ダークマター)」が満ちていると言われています。その正体は現在でもよく分かっていませんが、宇宙全体に影響を及ぼすだけでなく、天体の性質を変えるようなユニークな性質を持つものさえあるかもしれないと考えられています。 ダラム大学のDjuna Croon氏などの研究チームは、暗黒物質の正体の有力候補の1つである「WIMP(Weakly Interacting Massive Particle / 弱く相互作用する大質量粒子)」と、恒星と惑星の中間的な性質を持つ「褐色矮星」の相互作用に注目してシミュレーションを行いました。その結果、褐色矮星がWIMPを十分に取り込めば、WIMPの対消滅によって輝く、言い換えれば暗黒物質を “燃料” にする「暗黒矮星(Dark Dwarf)」に進化する可能性があることが示されました。 暗黒矮星が私たちの
私たちの宇宙は約138億年前に始まったとされていますが、終わりはあるのでしょうか? あるとすれば、それはいつなのでしょうか? 現在の主流の説では、物質の密度が限りなく薄くなる一方で、宇宙そのものは永遠に膨張し続けるため、宇宙そのものには終わりがないとするシナリオが一般的です。 しかし、ドノスティア国際物理センターのHoang Nhan Luu氏などの研究チームは、最新の観測結果を元に推定した結果、この宇宙の寿命は約333億年であり、今から約195億年後には1点に潰れて終わる「ビッグクランチ」を迎えてしまうとする研究結果を公表しました。 ただし現時点では、将来を悲観するのは早すぎな段階であり、文字通りの杞憂に終わる可能性もあります。この研究の元になった数値に現状では大きな幅があるため、ビッグクランチに至るという結論も決定的なものではないためです。私たちの宇宙の運命がはっきりと分かるのは、まだ
JAXA=宇宙航空研究開発機構は2025年8月22日、新型宇宙ステーション補給機1号機「HTV-X1」を搭載する「H3」ロケット7号機の打ち上げ予定日を発表しました。 発表によると、H3ロケット7号機の打ち上げ予定日時は日本時間2025年10月21日10時58分頃、打ち上げ予備期間は2025年10月22日~2025年11月30日です。 【▲ 先進レーダ衛星「だいち4号」を搭載して2024年7月1日に種子島宇宙センターから打ち上げられた「H3」ロケット3号機(Credit: JAXA)】 【▲ H3ロケットの機体形態。5号機までに飛行したのは左から2番目の「H3-22S」で、HTV-X1を搭載する7号機は右端の「H3-24L」に近い「H3-24W」(フェアリングが異なる)を採用している(Credit: JAXA)】 H3ロケット7号機の機体形態は「H3-24W」(1段目エンジン「LE-9」が
太陽系に最も近い恒星系として知られる約4.3光年先の三重連星「ケンタウルス座アルファ星(アルファ・ケンタウリ)」。 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測を行ったところ、この星で新たに木星サイズの太陽系外惑星が直接撮像で発見されたかもしれない……そんな研究成果が、学術誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載されました。 【▲ ケンタウルス座アルファ星A(左上)を公転している可能性がある太陽系外惑星候補(右下)の想像図(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, Robert L. Hurt (Caltech/IPAC))】 サイズは木星程度・質量は地球の100倍前後と推定 惑星候補が検出されたのは、三重連星を構成する星のひとつである、太陽に似た恒星「ケンタウルス座アルファ星A」です。 NASA/JPL=アメリカ航空宇宙局
こちらは、「ハッブル宇宙望遠鏡(HST)」が観測した楕円銀河「NGC 6098」(右上)と「NGC 6099」(左下)。 ヘルクレス座の方向、約4億5300万光年先にある銀河です。 【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した楕円銀河「NGC 6098」(右上)と「NGC 6099」(左下)。NGC 6099の右側にある紫色はチャンドラX線宇宙望遠鏡の観測データを重ねたもの(Credit: Science: NASA, ESA, CXC, Yi-Chi Chang (National Tsing Hua University); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI))】 NGC 6099の右側を見ると、紫色に着色された円形の部分があるのがわかりますか? これは、NASA=アメリカ航空宇宙局のX線宇宙望遠鏡「チャンドラ(Chandra)」の観
オリオン座の1等星「ベテルギウス(オリオン座α(アルファ)星)」は、約6年周期で明るさが変わる変光星であることが知られています。2024年11月に、この長い変光周期の原因について、未知の伴星がベテルギウスの周囲を公転しているからではないかとする説が提唱されました。 アメリカ航空宇宙局(NASA)エイムズ研究センターのSteve B. Howell氏などの研究チームは、ジェミニ北望遠鏡に設置された観測装置「アロペケ(‘Alopeke)」による観測で、ベテルギウスのすぐ近くに暗い天体を見つけたことを報告しました。いくつかの観点から、この天体は他の無関係な天体ではなく、ベテルギウスの周囲を公転する伴星であるとHowell氏らは考えています。またHowell氏らは、この伴星の名前について、「彼女の腕輪」を意味する「シワルハ(سوارها)」という固有名を提案しています(※1)。 ※1…国際音声記号
小惑星「リュウグウ」のサンプルは、失われやすい初期太陽系の情報を含んでいることが期待されています。これまでの研究から、リュウグウの元となった天体は太陽系の外側で生成し、50℃を超えるような高温には晒されなかったと考えられてきました。 しかし広島大学の宮原正明氏などの研究チームは、リュウグウのサンプルを分析中に、「ジャーフイッシャー鉱(Djerfisherite)」(※1)という鉱物を発見しました。この鉱物は350℃以上の高温環境で生成されることが想定されるため、リュウグウのサンプルから見つかることは全くの予想外でした。その意外さについて宮原氏は「北極の氷の中から熱帯植物の種を見つけたようなもの」と表現しています。 ※1…Djerfisheriteという名前は、鉱物学者ダニエル・ジェロム・フィッシャー(Daniel Jerome Fisher)に対する献名です。このためこの鉱物の読み方は、そ
太陽系の中にある天体は、全てが太陽系出身であるとは限りません。中には太陽系の外から中へと突入し、再び太陽系の外へと逃げ出す天体もあり、「恒星間天体(Interstellar object)」と呼ばれます。恒星間天体は多数存在すると予想される一方、滅多に発見されることはなく、確実なものはこれまでに2例しか知られていませんでした。 【▲ 図1: 画面中央部を左から右へとゆっくり移動する白い点がATLAS彗星(3I)。(Credit: Deep Random Survey)】 現地時間2025年7月2日(現地時間)、新たな恒星間天体の候補である「A11pl3Z」の発見が報告されました。まだきちんとした名前すら付けられていない段階から、この発見は天文学者の注目を集め、わずか1日足らずで正式な名前「3I/ATLAS」という名前がつきました。もう少し馴染みのある呼び方をすれば「ATLAS彗星(アトラス
宇宙には文字通り、桁違いのエネルギーを放出する現象が発生します。例えば典型的な超新星爆発は、太陽が約100億年の一生をかけて放出するエネルギーを一瞬で放出します。しかし、この超新星爆発すらも上回る爆発的なエネルギー放出現象もあります。 ハワイ大学天文学研究所のJason T. Hinkle氏などの研究チームは、「ガイア」宇宙望遠鏡など複数の望遠鏡で取得された観測データを分析した結果、非常に大規模なエネルギー放出現象を2つ見つけました。過去の研究で発見済みであるもう1つの天文現象と合わせ、Hinkle氏らはこの3つの天文現象が新たな分類に属することを提案し、「ENT(Extreme Nuclear Transient)」と名付けました。現時点では定まった日本語訳が無いため、本記事ではENTを「銀河核極限突発現象」と呼ぶことにします。 プレスリリースで「ビッグバン以来最大の爆発(※1)」とたと
私たちが住む天の川銀河とアンドロメダ銀河(M31)は接近し続けていて、数十億年後に衝突・合体すると予想されてきました。 ところが、フィンランドの研究者らのチームが最近発表した研究成果によれば、この確率はもっと低いかもしれません。 【▲ 約250万光年先の銀河「アンドロメダ銀河(M31)」(Credit: KPNO/NOIRLab/NSF/AURA/Adam Block)】 100億年以内に直接衝突する確率は“2分の1”? 研究チームはハッブル宇宙望遠鏡とガイア宇宙望遠鏡の観測データを使用して、100億年後までを予想する10万回のシミュレーションを実施。 その結果、天の川銀河とアンドロメダ銀河が今後100億年以内に直接衝突する確率は、約50%だと結論付けられました。 シミュレーションの半数では、約200キロパーセク(約65万光年)以下の距離を隔ててすれ違った後、再び接近して最終的に合体。40
日本の株式会社ispaceは2025年6月6日未明、同社の月面探査プログラム「HAKUTO-R」のミッション2「SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON」について、月着陸機「RESILIENCE(レジリエンス)」の月面着陸を試みました。 RESILIENCEの着陸予定時刻は日本時間2025年6月6日4時17分でしたが、ispaceはその後、予定時刻をすぎてもRESILIENCEとの通信が確立できていないことをライブ配信を通じて発表しました。 RESILIENCEにはispace EUROPEが開発した小型月面探査車「TENACIOUS(テネシアス)」などが搭載されていました。 着陸確認は困難 ミッション2終了と判断 同日9時頃から開催された報告会にて、ispaceの袴田武史CEOは、RESILIENCEとの通信回復が見込めず、月面着陸の確認が困難であると判断するとともに、ミ
ホーム天文公転周期2.4万年、推定直径700kmの準惑星候補「2017 OF201」を発見 プラネット・ナインを否定する可能性 太陽系の外縁部には、多数の「太陽系外縁天体(TNO)」があると推定されていますが、あまりにも距離が離れているため、大半が未発見のままだと考えられています。その正確な数や分布を知ることは、太陽系の形成と進化を探る上で重要です。 プリンストン高等研究所の程思浩氏、およびプリンストン大学の李嘉轩氏と杨晴氏の研究チームは、セロ・トロロ汎米天文台の「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測画像の分析により、公転周期が約2万4000年にも達する新たな太陽系外縁天体「2017 OF201」を発見したと報告しました(※1)。2017 OF201の推定直径は700kmであるため、準惑星に分類される可能性があります。 ※1…本記事での2017 OF201にまつわる数値は、プレプリ
燃料を使わずに飛行? 未来型ロケットの実証に成功 燃料を使わずに地上からのレーザー光で飛行する、“燃料不要ロケット”。 次世代の宇宙開発を支えるかもしれない技術の実証に世界で初めて成功したとする研究成果を、東北大学と大阪公立大学の研究者からなるチームが発表しました。 反射されたレーザー光が空気をプラズマ化して推進力を得る仕組み 研究チームが開発したのは、レーザー光を利用する推進システム。発表や論文では「レーザー推進(laser propulsion)」と呼ばれています。 地上から照射されたパルス状の高出力レーザーを、ロケットに取り付けられた曲面鏡が反射・集光し、空気をプラズマ化。発生した衝撃波が機体を押し上げることで、推進力を得る仕組みです。 従来の化学燃料ロケットでは欠かせない大量の燃料を必要としないため、コストを大幅に抑えられ、宇宙空間への安価なアクセスを実現する可能性があります。 安
地球から最も隔絶された環境とも言える宇宙ステーションですが、その中にも微生物が無数に生息しています。これは、地球上のあらゆる場所に生物が生息し、これらに付着したものが意図せず持ち込まれるためです。 【▲ 図1: 神舟16号の乗組員が撮影した中国宇宙ステーション「天宮」(Credit: 中国載人航天工程弁公室)】 航天神舟生物科技集団有限公司(SBG)のJunxia Yuan氏などの研究チームは、中国宇宙ステーション「天宮」で採集されたサンプルを分析した結果、ある細菌(真正細菌)が新種であることを提案し、天宮で発見されたことを意味する「ニアリア・ティアンゴンゲンシス(Niallia tiangongensis)」という学名を提案しました。 ニアリア・ティアンゴンゲンシス自体は発見されたばかりであり、今のところ地球では見つかっていません。その生態のいくつかは、宇宙ステーションの厳しい環境に適応
NASA=アメリカ航空宇宙局は2025年5月15日付で、新たにノルウェーが「アルテミス合意」に署名したことを発表しました。 アルテミス合意とは、アメリカ主導の有人月探査計画「アルテミス」を念頭に置いた、広範にわたる宇宙探査・利用の諸原則についての国際的な合意のこと。 日本はアメリカなどとともに、最初の8か国の1つとして2020年10月に署名。参加国は2024年5月には40か国に到達しました。 アメリカではトランプ政権の予算教書公表を受けて、NASAがアルテミス計画の見直しなどを行うとする声明を発表しています。 同計画最初の有人月面着陸を行う「アルテミス3」ミッション以降は不透明な状況ですが、今回のノルウェーの署名でアルテミス合意の参加国は55か国になったということです。 【▲ アルテミス合意の参加55か国の一覧。2025年5月15日時点(Credit: NASA)】 文/ソラノサキ 編集/
数十億年前の火星には、独自の生命が誕生していたと考えられていますが、今のところ決定的な証拠は見つかっていません。生命に関連する有機分子は、火星の厳しい環境では分解されてしまい、その痕跡すら残らない可能性もあります。 ヴェルサイユ・サン=カンタン=アン=イヴリーヌ大学のCaroline Freissinet氏を筆頭とする国際研究チームは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」、愛称「キュリオシティ(Curiosity)」による火星の岩石の分析中に、火星表面で発見された過去最大の有機分子を発見したことを発表しました。 今回の有機分子の発見だけでは、火星の生命の証拠だと言うことはできません。しかしこの発見は、太古の火星で生命が誕生しうる化学反応が起きていたことを示唆し、生命が残した複雑な有機物が現代まで残っている可能性を捨てきれないという希望を示すものです
「土星」は大量の衛星を持つことで知られており、観測史上初めて100個以上の衛星を持つ天体でもあります。真の総数は不明ですが、小さい衛星ほど数が多くなる一方、観測が困難であるため、技術革新で困難を克服した時に大量に見つかる傾向にあります。例えば2023年5月には、一度に63個の衛星の発見が公表されたことがあります。 衛星も含めた太陽系の小天体の発見報告を管轄する小惑星センター(MPC)は、2025年3月11日に配信した電子回報で、土星の衛星が新たに128個追加されたことを公表しました。無論、一度に追加された数としては過去最大であり、これによって土星の衛星の数は274個と、ほぼ倍増したことになります(※1)。 総数274個という衛星の数は、天文学者から見ても多すぎます。衛星を発見した観測チームは、この多数の衛星について、土星の周辺でごく最近(おそらく1億年以内)に、巨大な衛星同士の衝突が複数回
アメリカの民間企業Firefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)は2025年3月2日、同社の月着陸機「Blue Ghost(ブルーゴースト)」が月面への軟着陸に成功したと発表しました。 Firefly Aerospaceによると、Blue Ghostは日本時間2025年3月2日17時34分に月面へ軟着陸することに成功しました。民間企業の月着陸機による軟着陸成功は2024年2月にアメリカのIntuitive Machinesが行った月着陸機「Odysseus」による着陸以来2回目です。 【▲ 月面着陸に向けて動力降下を開始した月着陸機「Blue Ghost(ブルーゴースト)」のシミュレーション映像とオペレーションセンターの様子。Firefly Aerospaceのライブ配信から(Credit: Firefly Aerospace)】 【▲ 月面着陸直後の月着陸機「Blu
著者注: 本記事の内容は、2025年2月25日時点での情報をもとに構成しています。 【▲ 図1: ESO(ヨーロッパ南天天文台)の超大型望遠鏡(VLT)にて赤外線領域で撮影された2024 YR4。(Credit: ESO & O. Hainaut)】 2025年1月末頃から、「2024 YR4」という小惑星が2032年に衝突するかもしれないと話題になりました。大きめの小惑星としては衝突確率が比較的高く、小惑星衝突のリスクに関する指標である「トリノスケール」にて19年ぶりにレベル2以上の評価を受けたことから、かなり多くのメディアが取り上げたことも関係しています。 しかしながら、小惑星の衝突リスク評価を行うアメリカ航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)は、当初から「多くの場合、小惑星の衝突確率はやがて事実上ゼロになる」と説明してきました。そしてその言葉通り、本記事の執筆時点で、2032
地球に落下する天体は、大気で発光する火球が撮影されることがあり、また屋根や車などの人工物に隕石が衝突したことが記録されています。しかし、隕石が衝突する瞬間の映像と音声が両方とも同時に記録された事例はこれまでありませんでした。 2024年7月25日17時を少し過ぎたころ(※1)、カナダのプリンスエドワード島に天体が落下しました。この時、個人宅の玄関先に小粒の隕石が衝突する様子が、玄関に設置されたドアカメラに偶然記録されていました。「シャーロットタウン隕石」と名付けられたこの隕石は、衝突の瞬間の映像と音声が両方同時に撮影された世界初の事例であると見られています。 ※1…以下断りの無い限り、日時は落下地点の現地時間である大西洋夏時間で記述します。世界時への変換はプラス3時間、日本時間への変換はプラス12時間となります。 【▲ 図1: 玄関タイルに放射状に広がる塵の跡が隕石によるものであると分かっ
誕生直後の宇宙では、質量の小さい「原始ブラックホール」が多数生じたのではないか?という説があります。誕生直後の宇宙で銀河が誕生・成長する “種” となる可能性や、「暗黒物質(ダークマター)」の正体かもしれないと注目されていますが、今のところ原始ブラックホールは1個も見つかっておらず、そもそも存在しないのではないか?とする意見もあり、現状では賛否両論の状態です。仮に原始ブラックホールが存在したとしても、その小ささや数の少なさから、直接見つけるのは困難ではないかとも予測されています。 そこで、台湾の国立東華大学およびケース・ウェスタン・リザーブ大学のDe-Chang Dai氏と、ニューヨーク州立大学バッファロー校のDejan Stojkovic氏の研究チームは、天体や物体に原始ブラックホールが衝突した痕跡を見つける方法を提案しました。提案はいくつかありますが、中には「古い建物の建材を調べてみる
小惑星から直接採集したサンプルは、地球の生物に汚染されていないこと、大量に採集できないことから、最も貴重な科学サンプルです。このためサンプルの取り扱い時には、汚染に対して細心の注意が図られます。 インペリアル・カレッジ・ロンドンのMatthew J. Genge氏を筆頭著者とする国際研究チームは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が採集した小惑星「リュウグウ」のサンプルを観察したところ、生物の細胞が付着していることを確認しました。 もちろんこれは地球外生物ではなく、地球のどこにでもいるありふれた細菌であることがすぐに明らかとなっています。また、細菌の成長度合いからすると、研究を行ったインペリアル・カレッジ・ロンドンでの取り扱い中に細菌が付着した可能性が高いと考えられます。 今回の結果は、小惑星のサンプルのような貴重品を取り扱う際には、普段している以上の汚染対策を行
アメリカ航空宇宙局(NASA)は惑星探査機「ボイジャー1号(Voyager 1)」に搭載されている送信機の1つが停止していた問題について2024年11月26日付で情報を更新し、送信機の再作動と通常運用の再開を発表しました。 停止していたXバンド送信機の再作動に成功 再作動したのは8.4GHz帯の電波を使用するXバンド送信機です。ボイジャー1号では2024年10月にXバンド送信機が停止してしまう問題が発生し、2.3GHz帯の電波を使用するSバンド送信機に切り替わっていました。Sバンド送信機はXバンド送信機と比べて消費電力が少ない代わりに信号が弱く、1981年以降は使われていなかった装置です。 NASAによると、ボイジャーの運用チームは2024年11月初旬にXバンド送信機を再作動させることに成功。11月18日の週(今回の発表があった11月26日の前週)からは、現在も稼働している4つの科学機器に
あなたがこの記事を開いてここにたどり着いた段階で、その星では数千 “日” が経過している……。宇宙には驚くべきことに、このような天体が存在します。 デンマーク工科大学のGaurava K. Jaisawal氏などの研究チームは、国際宇宙ステーション(ISS)に設置されたX線望遠鏡「中性子星内部組成観測装置(Neutron Star Interior Composition Explorer; NICER)」によって観測された中性子星の1つである「4U 1820-30」のデータ分析を行いました。その結果、4U 1820-30は1秒間に716回転という、極めて高速な自転をしていることが明らかにされました。この極端に高速な自転に匹敵する天体は他に1個しか見つかっておらず、知られている中で最も高速で自転する天体の1つとなります。 物質の究極の状態「中性子星」 宇宙には多種多様なタイプの天体がありま
アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)は2024年11月11日付で、NASAの惑星探査機「ボイジャー2号(Voyager 2)」による天王星の観測データを再検討した、JPLのJamie Jasinskiさんを筆頭とする研究チームの取り組みを紹介しています。研究チームの成果をまとめた論文は「Nature Astronomy」に掲載されています。 “横倒し”の惑星・天王星は磁場も特徴的 【▲ アメリカ航空宇宙局(NASA)の惑星探査機「ボイジャー2号(voyager 2)」が撮影した天王星(Credit: NASA/JPL-Caltech)】 ボイジャー2号は1986年1月に天王星のフライバイ観測を行いました。2024年11月現在、天王星に接近して観測を行った探査機はボイジャー2号だけ。その観測データは貴重なものであり、フライバイから39年近くが経った現在も研究の対象とな
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は日本時間2024年11月14日に観測ロケット「S-520」34号機(S-520-34)の打ち上げを実施しました。ロケットは正常に飛行し、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所の南東海上に落下したことをJAXAが発表しています。 打ち上げに関する情報は以下の通りです。 打ち上げ情報:S-520-34 ロケット:観測ロケットS-520-34 打ち上げ日時:日本時間2024年11月14日11時30分 発射場:内之浦宇宙空間観測所(日本) ペイロード:液体推進デトネーションエンジンシステム(DES2) 今回の観測ロケットS-520-34には液体推進剤を使用する回転(旋回型)デトネーションエンジンの宇宙空間での燃焼と推進性能のデータ取得を目的として、液体推進デトネーションエンジンシステム「DES2」が搭載されました。 JAXAによると、日本時間2024年11月14日11時3
「藤原道長」が詠んだと伝わる「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば」という著名な和歌、通称『望月の歌』は、寛仁2年10月16日(ユリウス暦1018年11月26日)に詠まれたとされています。歌の解釈は様々ですが、天文学的に言えば、道長が見たのは満月(望月)から少し欠けた月であったことは間違いありません。 旧暦10月16日に当たる(グレゴリオ暦)2024年11月16日、道長が見上げたであろう月とほぼ同じ形の月が夜空に昇ります。平塚市博物館は、「#道長と同じ月を見上げよう」と題するキャンペーンで、道長が見たであろうものとほぼ同じ月を観察し、SNSなどで共有することを呼び掛けています。奇しくも、翌日の11月17日に放送されるNHKの大河ドラマ『光る君へ』にて、この望月の歌が詠みあげられるとのことです。 1000年以上前に詠まれた『望月の歌』 【▲ 図1: 寛仁2年冬に書
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