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ブラックフライデー
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フローレンス疑惑で問われる“エリートNPO”のガバナンス、新陳代謝なき業界、法人規模別「二階建て規制」の必要性
(我妻 佳祐:ミニマル金融研究所代表) 政府の立てた目標はなかなか達成されないのが常ですが、珍しく予定よりも前倒しで達成された目標があります。それがキャッシュレス決済の普及目標です。 政府は2025年6月までにキャッシュレス決済の比率を40%まで引き上げることを目標にしていましたが、2024年中に42.8%を達成し、今後は80%を目指すとしています。 キャッシュレス化が進んでいくことは原則としては望ましいことでしょう。生活を送る上で回避することのできない「買い物」にかかる手間を軽減することは、1回1回はたいしたコストではなかったとしても、全国での膨大な「買い物」の回数が積み上がれば、削減できるコストもまた膨大なものになります。 現金決済インフラの維持コストは年間2.8兆円 経済産業省の試算によれば、現金決済インフラを維持するためのコストは年間2.8兆円に上るとのことで、これはおおむね消費税
昨年の兵庫県知事選の投開票から11月17日で1年。再選された斎藤元彦知事を応援する「2馬力選挙」を展開した政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が、元県議に対する名誉毀損容疑で9日に逮捕された。全国各地の選挙を“ハック”し、SNSで誹謗中傷や個人攻撃を繰り返してきた人物は何を問われたのか。被害者や弁護士はどう戦ったか。そして、斎藤知事は何を語ったのだろうか。(以下、文中敬称略) (松本 創:ノンフィクションライター) 元県議の死後に「逮捕される予定だった」と発言 「立花孝志逮捕」の一報を受けて開かれたオンライン記者会見に外出先から参加した後、移動する電車の中でスマホが震えた。11月9日の夕方。つい30分前まで告訴人の立場で会見に出ていた故・竹内英明(元兵庫県議会議員)の妻からの着信だった。会見終了後に送ったねぎらいのメッセージに反応してくれたようだ。途中下車し、ホームの喧騒の中で
建物の外部は、フレームに木材がネジ止めされているのですが、この写真をよく見てください。木の年輪のような模様が、くっきりと浮かび上がっているのが分かると思います。 こういう断面が観察される木材を「板目(いため)」と呼びます。 材木にはこういうタイプのものと、もう一つ別に、年輪がまっすぐに見えているものがありますよね? まっすぐなタイプの木材を「柾目(まさめ)」と呼びます。 音楽と情報が専門の私が、どうしてこんな木材の区別をあれこれ言うのか、実は理由があるのです。 この「柾目」英語なら「Straight grain」、ドイツ語なら「Gerade Maserung」と言います。 年輪がまっすぐに揃った木材を加工して、ヴァイオリンやピアノなど、伝統的な西欧の楽器は作られるのです。 正確には、このように目が揃った良質の木材をよく選び、何十年と乾燥させたうえで切り出し加工するんですね。 あるいは、曲線
その際、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンク3行が、ステーブルコインの共同運用を今年度中に始めることを検討しているとの報道が流れていることをお伝えしたが、実際に11月7日には、この3行が共同で、かつ金融庁からの支援を受ける形で、円ステーブルコインの実証実験を行うことがプレスリリースで発表されている。 今回は続編として、なぜいまメガバンクがステーブルコイン推進に動くのか、その理由として指摘されているものを解説してみたい。 金融イノベーションへの対応 最初の理由は、金融技術が急速に進化しつつある現状に対応しなければならない、という強い危機感だ。 ステーブルコインの基盤となるブロックチェーン技術(さまざまな取引記録を多数のコンピューターで分散的に管理し、改ざんが困難で高い透明性を持つ「台帳」を実現するもの)は、いま世界中で普及しつつあり、これを利用した新しい決済サービスが次々と生
心理カウンセラーや一般社団法人共にいきるの理事として活動している松本麗華氏は、かつて「三女・アーチャリー」として知られ、2018年7月に死刑が執行された麻原彰晃こと松本智津夫の娘である。 8月に、自身と家族との記憶をテーマにしたドキュメンタリー映画『それでも私は Though I'm His Daughter』(2025年 長塚洋監督作品)の関係で、韓国の映画祭に出席する予定だったが、韓国政府から入国を拒否された。もっとも、このような扱いを受けるのは今回が初めてのことではない。彼女はこれまでどれほど世間から排除されてきたのか。そして、彼女のいう「構造的虐待」とは何か。『加害者家族として生きて』(創出版)を上梓した松本麗華氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト) ──就職、アルバイト、習い事、進学など、あらゆる場面で受け入れを断られてきたことについて書かれています。 松本麗華氏(
昨年5月、首都高速の美女木ジャンクションで発生した大型トラックによる追突多重衝突事故。複数の車が炎上し、6名が死傷するという大惨事となった。事故から約1年半後の11月4日、東京地裁の裁判官は「前例にあまりないほど犯情が悪い」として、被告に懲役7年6カ月の判決を下した。裁判中に児童ポルノ所持法違反でも追起訴されていたとはいえ、なぜ、「過失運転致死傷罪」の法定刑である“7年”を超える判決となったのか。ノンフィクション作家の柳原三佳氏が、異例ともいえる本判決に込められた意味をレポートする。 「通り一遍の謝罪は、誰の心にも響きませんでした」 11月4日、東京地裁の大川隆男裁判長は、「過失運転致死傷罪」に問われていたトラック運転手・降籏紗京被告(29)に対して、「危険性を全く顧みないまま、まさに無謀な運転を漫然と続けた」「交通法規を遵守する意識が低く、前例にあまりないほど犯情が悪い」などとして、懲役
(小林 啓倫:経営コンサルタント) 現地時間の11月4日、米ニューヨーク市で市長選が行われ、民主党候補のゾーラン・マムダニが当選した。彼の当選は全米、いや全世界から驚きをもって受け止められている。世界各国でいわゆる「右派」と見なされる政権が誕生し、米国もトランプ政権が極めて右派的な姿勢を見せる中、マムダニは「急進左派」と呼ばれる思想の持ち主であるためだ。 しかも彼は34歳と若く、インド系で、またイスラム教徒でもある(さらに言えば元ラッパーという異色の経歴も持つ)。事実、彼の支持率は1年前まで1%にも満たなかった。 彼の思想が左派的なのかどうかについては、いったん脇に置きたい。ここで注目したいのは、「いまの政治環境はあらゆる面で彼にとって逆風でしかないはずなのに、いったい何が彼をニューヨーク市長選で勝利させたのか」という点だ。 この問いに対する1つの答えとして、多くのメディアが「優れたSNS
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者) 『赤旗』報道に、藤田氏は「適法」を強調したが… 日本維新の会の藤田文武共同代表に、政治とカネ、公設秘書のあり方を巡る問題が起きている。『しんぶん赤旗』の報道が契機となった。その後も、続報や類似事案が次々と報じられている。 以下において、藤田氏の事案と、過去の日本維新の会の対応や類似事案を振り返る。その上で、藤田氏自身も「適法」を強調したが、政治家は一般のいわゆるビジネスパーソンではなく、憲法で定められた全国民の代表であり、また憲法第九十九条が定めている通り、憲法、法律に関して尊重、擁護義務を有していると考えられる存在である。 日本国憲法第九十九条 第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 最近では、少し政治に詳しいような人物が堂々と「(政治)倫理には根拠がない」などとうそ
(山本一郎:財団法人情報法制研究所 上席研究員・事務局次長) 先日、自身のnoteで調査報道的な記事を発表しました。その中では、文春オンラインをはじめとする複数の日本メディアが、ロシアを起点とする詐欺広告ネットワークから大量のアクセスを受け、結果的に年間2億円規模の広告収益を得ている可能性がある内容にも触れています。 誤読して暴れる変な人が大量に出るのではないかと心配しましたが、幸いにしてそんなこともなく、当事者から若干の苦情や怒られは到来しましたが、想定よりもかなり平穏な日々を過ごしております。神に感謝します。 ◎ロシアの対日不安定化工作に利用される文春の誤報と、文春を支える詐欺広告(note) 「文春砲」などと言われている文春系媒体の場合、特に政治系記事ではSNSを中心に記事が拡散されています。今回の自由民主党の総裁選でも、勝利が確実視されていた小泉進次郎陣営に関して、陣営にいた牧島か
雇用動向調査を専門とする米国のコンサルティング会社、Challenger, Gray & Christmasの発表によれば、米国では2025年1~9月の累計で94.6万人のレイオフ計画が公表されており、これは過去5年で最高水準とのこと。 そして同期間において、AIを明示的理由とする解雇は1万7375人、さらにそれとは別に、自動化やAIの実装を含む可能性が高いとされる「技術的更新」を理由とした解雇が2万219人と報告されている。 個別の事例で見ても、注目を集めるニュースが生まれている。 今年10月、Amazonがコーポレート部門の従業員約1万4000人(これはコーポレート部門従業員の約4%に相当する)の人員削減を発表したのだが、Fortune誌の報道によれば、CEOのアンディ・ジャシーが2025年6月17日の全社メッセージの中で、「AIを広範に使用することによる効率向上に伴い、結果として当社
(大井 赤亥:政治学者) 近年の各国リベラルにみられる「過剰な正義感」 参議院選挙での参政党の躍進はその熱心な支援者と反差別を訴えるカウンター攻撃との衝突を生み、「女性初」の高市総理の誕生をめぐってはその意義をめぐり保守派とリベラル派との議論が続いている。 人種やジェンダーをめぐりマイノリティの尊厳を訴える主張、すなわちアイデンティティ政治は、先進国の政治に激しい対立軸を生みだしている。 近年の欧米では、ハリウッドの性加害に光をあてた#MeToo運動や、黒人に対する警察の暴力を告発したブラック・ライブズ・マター運動などが、たしかに社会の意識を変えてきた。日本でも、在特会に対するカウンター・デモやジャーナリストの伊藤詩織さんによる性被害告発などが行われ、それらを公共的課題として認識させてきた。 アイデンティティ政治が一面において確実な進歩をもたらしてきたことには、いかなる疑いもない。 同時に
経営の現場では、AIエージェントがスケジュールを自動調整し、メールの返信を下書きし、営業資料を数秒で整えることが当たり前になりつつあります。 確かにAIは、人間の手間を大幅に減らし、効率を飛躍的に高めてくれます。 しかし一方で、多くの経営者やマネジャーが口をそろえて言うのは効率が上がっても、成果が伴っていないという違和感です。 AIは作業を最適化するのが得意ですが、何のためにそれをするのかという目的意識、つまり効果を自ら考えることはまだできません。 AIが示す提案は、あくまで過去データと確率論に基づいた最も確からしい手段であり、必ずしも最も意味のある結果ではないのです。 効率とはより少ない資源で、同じ結果を出すことにほかなりません。対して効果とは目的を達成する度合い、すなわち、どれだけ望ましい結果を生んだかという指標です。 人間社会ではこの2つをバランスよく追う必要がありますが、AIは効率
多くのリベラル派の知識人は、対中強硬姿勢で親台湾派の言動を隠していない高市早苗首相が習近平に「会ってもらえる」とは思っていなかった。高市首相は自民党総裁選前の米シンクタンクのハドソン研究所が行った総裁選候補に対するインタビューで、台湾海峡の平和と安定は日本を含む国際社会にとって重要だとの認識を示し「中国のリーダーともしっかり、率直に対話したい」「力や威圧による一方的な現状変更は決してあってはならない」と主張していた。 この発言には一部の日本の学者も反発した。たとえば日本国際問題研究所の小谷哲男氏はXに「ナイーブ過ぎないか。これまでの発言が理由で会ってもらえないとは考えないのだろうか」と批判し「まともな外交アドバイザーがいないのだろう」と指摘していた。この小谷氏の論評は環球時報などでも、翻訳報道されていた。 だが、実際は首相就任一カ月も満たないうちに米国のトランプ大統領やインドのモディ首相ら
AIが文章を書き、プログラムを組み、顧客対応まで行う時代になりました。人間が働くことの意味そのものが問われるようになったのです。 私は40年近く企業を経営してきましたが、ここまで急速に労働の本質が変化した時代を見たことがありません。 1990年代に「Java」を知った頃、プログラミングは未来の言語だと胸を躍らせたものです。しかし、いまやその未来をAIが書いています。 米GitHub(ギットハブ)が提供している「GitHub Copilot」、米オープンAIの「Codex」、グーグルの「Gemini Code Assist」など、AIが自動でコードを書き、テストを行い、システムを最適化する時代になりました。 かつてスキルと呼ばれた多くの能力が、AIによって瞬時に代替されつつあるのです。その結果、社会は新たな二極に分かれ始めています。 それが「働きたくても働けない人」と「働かなくてもいい人」で
AIバブルは「フライドチキン」フェーズに達した [ロンドン発]英紙フィナンシャル・タイムズのロビン・ウィグルスワース記者は10月31日付ブログで「AI(人工知能)バブルは“フライドチキン”フェーズに達した。これは正気の沙汰ではない。いつ暴落するのか」とユーモラスにAIバブルへの警戒を呼びかけている。 10月30日夜、15年ぶりに韓国を訪れた米半導体大手NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)会長、現代自動車グループの鄭義宣(チョン・ウィソン)会長とソウル市江南区の飲食店チェーンでフライドチキンとビールの会食を楽しんだ。
「ロケットスタート」を切った高市早苗首相。永田町には毎度の“解散風”が吹いているが…(写真:UPI/アフロ) 高市早苗内閣の高支持率を背景にして、自民党内からにわかに衆議院の早期解散論が浮上している。少数与党から過半数回復の近道として「一か八か」の勝負を期待する声もあるが……。それでも自民党が解散・総選挙など絶対にやれない事情を「日刊ゲンダイ」第一編集局長の小塚かおる氏がレポートする。 「今なら自民単独での過半数を取り戻せる」とけしかける主戦論者 「今しかない」 最近、自民党内でそんな声が上がっている。衆議院の解散・総選挙をやるなら今しかない、ということ。10月下旬に召集されたばかりの臨時国会(会期は12月17日まで)で衆議院解散に踏み切るべし、というものだ。 もちろん、伝家の宝刀を抜くか抜かないかの判断は高市早苗首相にあるが、新政権が発足してまだ2週間足らずなのに、早くも「今しかない」と
記者からの追及には「真摯に受け止める」「ご意見として受け止める」と決まり文句を繰り返す斎藤知事。写真は囲み取材で議長からの苦言について問われたときのもの 「SNSの勝利、オールドメディアの敗北」と言われた昨年の兵庫県知事選からまもなく1年(11月17日に投開票)。県議会の不信任を受けた失職から111万票余りを獲得し、再選された斎藤元彦知事だが、告発文書に端を発した県政の混乱と県民の分断は一向に収まらない。直近の議会や記者会見では、質問に答えない答弁、個人PRのようなSNS、県の不祥事に対する説明の遅さなど、知事の情報発信のあり方にあらためて批判が高まっている。(以下、文中敬称略) (松本 創:ノンフィクションライター) 兵庫から宮城へ広まったデマと誹謗中傷のSNS選挙 「兵庫県の知事選挙の時になあなあにしてしまった結果、このようなことが起こってしまったと思います」 10月26日に行われた宮
高市政権と閣外協力する日本維新の会は、衆院議員定数の1割削減を要求している。具体的には比例区から選出される50議席ほど減らすという方針だが、「少数政党潰しだ」という批判の声も上がっている。選挙制度に詳しい政治学者の河村和徳・拓殖大学政経学部教授は今回の案を「自分たちが痛まない『身を切る改革』だ」とする。どういうことか。 (湯浅大輝:フリージャーナリスト) 自らは痛まない「身を切る改革」 ──高市総裁率いる自民党と日本維新の会による連立政権合意書には、「衆院議員定数の1割の削減」と記載されています。維新の藤田文武共同代表は「比例でバッサリいったらいい」とするなど本気度は高いように見えますが、河村さんはどのように見ていますか。 河村和徳氏(以下、敬称略):「衆議院の議員定数の1割削減、それも比例から」という案を日本維新の会が提示したのは党利党略と言われてもしかたないでしょう。 同党は比例代表か
AI導入の検討はすでに過去のお話 米オープンAIが生成AIの最新版「GPT-5」のサービスを始めてからもうすぐ3か月。 社会はすでにAI導入を検討する段階から、AIを前提として設計する段階へと進みました。企業も学校も行政も、GPT-5をどう生かすかを軸に仕組みを再構築しています。 もはやAIを使うかどうかではありません。AIとどう共に進化するかが問われています。 AIに仕事を奪われるのではなく、AIを使ってどうやって我々は、進化していくかという段階に来たのです。 この変化の本質は、技術の進歩ではなく、人間の知性のあり方そのものの変化にあります。私たちはいま、AIとの共進化という新しい時代の入り口に立っているのです。 GPT-5は、もはや答えを探す存在ではなく、考えることを代行する存在になりました。 例えば、GPT-5を導入しているある大手コンサルティング会社では、クライアントの経営課題をG
科学技術の自立・自強を加速し「新質生産力」を発展 [ロンドン発]中国共産党の第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)が10月20~23日開かれ、コミュニケが発表された。ドナルド・トランプ米大統領が最先端AI(人工知能)半導体供給網からの“中国外し”を露骨に進める中、習近平総書記(国家主席)は科学技術の自立・自強を唱える。 コミュニケは「質の高い発展において顕著な成果を得る」「科学技術の自立・自強を著しく向上させる」など来年以降5カ年計画の7項目を掲げ「現代産業システムの構築と実体経済の基盤強化」「高水準の科学技術の自立・自強を加速し『新質生産力』の発展」を強調した。 陰和俊・科学技術部長は記者会見で「科学技術の自立・自強を加速し『新質生産力』の発展を先導することが明確に位置づけられた」と説明した。新質生産力とはAI・量子技術・新エネルギー・先端製造などデジタル化・知能化・グリーン化を支
(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト) 今年の6月、司馬遼太郎の『街道をゆく』(朝日文庫)全43巻をやっと読み終えた。読み始めてから何年かかったのだろう。 あいだに、どうしても他に読みたい本が出てきて、それが図書館の本だったりすると、そっちを優先するため、『街道をゆく』はその都度、遅れるのである。 しかし遅れるのが、まったく苦にならないのだ。それだけ全43巻を長く楽しめるからである。 それほどまでに、このシリーズは読書の愉しさを与えてくれた。 いや、それまでも読書一般の愉しさはあった。だから本を読んできたのだ。しかしこのシリーズの愉しさは、また別種の味わいがあったといわねばならない。 多少大げさにいうと、その1行1行、1頁1頁、1巻1巻を満喫し、堪能したのである。それだけではない。大いに勉強にもなったのである。 78年生きてきて、こんな読書体験は初めてだった。 ところが作家の今村翔吾は、この
今頃になって、なぜ当時の経緯を書くのかというと、時間が経ったことで当時は書けなかったことが多少は書けるようになったから。そして何より、この経験により、組織にとって内部通報・内部告発がいかに重要かを身をもって感じたからです。それがこの連載を始める動機にもなっています。 「あなたの会長就任に反対します」 それは2018年4月23日、月曜の朝のことでした。出社直前、会社の近くまできたところで、松井清人社長から私の携帯電話に電話がありました。出社したら、すぐ社長室に来るようにとのことです。「ついに来たか」。私はそう思いつつ、東京・千代田区紀尾井町の本社ビルの4階にある社長室に向かいました。
昨年11月、ブラジルのリオデジャネイロで開催されたG20サミットに合わせて会談した習近平主席とスターマー首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ ) 中国資本は39兆円近い英国企業・不動産を所有 [ロンドン発]中国側に情報を流していたとして公務機密法違反罪に問われた英保守党内の中国研究グループ事務局長ら2人の起訴を取り下げた英国が中国マネーの草刈り場になっている実態が英高級日曜紙サンデー・タイムズ(10月25日付)の調査報道で浮き彫りになった。 それによると、中国資本は計442件1900億ポンド(約38兆6000億円)にのぼる英国の企業や不動産を買い漁っていた。2021年1340億ポンド(約27兆円)、23年1520億ポンド(約31兆円)と激増。難民申請者を収容する「難民ホテル」も3つ含まれている。 中国国営観光企業傘下のキュー・グリーン・ホテルは英国で60超のホテルを経営。うちチェシャー、
高市早苗内閣の発足によって、「スパイ防止法」が政治の大きなテーマとなって急浮上してきました。制定に熱心な高市氏が新首相に就任したことに加え、自民党と日本維新の会の連立合意書でも2025年中の検討開始が盛り込まれたからです。スパイ防止法は1980年代に自民党が制定を試みたものの、野党や法曹界、学会などが「人々の日常会話も処罰の対象になり、密告・監視社会を生む」として強硬に反対し、実現に至りませんでした。そうした経緯も振り返りつつ、スパイ防止法とは何かをやさしく解説します。 (フロントラインプレス) 「スパイ防止法」制定に向けた政治環境は? 第104代の総理大臣に選ばれた高市早苗氏は、それに先立つ自民党総裁選の公約にスパイ防止法の早期制定を掲げていました。石破政権下のことし5月には、自民党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会の会長として、スパイ防止法の導入検討を含む治安強化策を取りまとめ、提言
古代ギリシャの哲学者プラトンは、著書『国家』で民主主義を論じるにあたって「デマゴーグ」という言葉を使っている。 デマゴーグによる扇動は民主主義のアキレス腱だというプラトンの指摘は正しかった。今では多くの国でその脅威を目にすることができる。 米国大統領であるドナルド・トランプは右派ポピュリストのデマゴーグの典型だ。 筆者の同僚ジョエル・サスが先日指摘したように、ポピュリズムというものは、政治はもとより経済にとっても有害だ。どれほど有害であるかはアルゼンチンのたどってきた道筋によく表れている。 アルゼンチンはイポリト・イリゴージェンが政権を握った1916年以降ずっと、ポピュリズムに毒され続けている。 この100年あまりの間に1人当たり国内総生産(GDP)は米国のそれとの相対値で半減し、ブラジルのそれとの相対値では5倍から1.25倍に縮小した。 「大衆vsエリート」の構図が旗印 サスが引き合いに
2025年10月17日、中国国防省は、人民解放軍の最高指導機関・共産党中央軍事委員会の何衛東副主席や、同委メンバーで政治工作部主任を務めた苗華氏ら軍幹部9人について、「重大な党の規律違反」により党籍と軍籍の剥奪処分を受けたと発表した。 何衛東氏は、中央軍事委員会では主席を務める習近平主席に次ぐ高位で、制服組トップの一人である。 党内ではトップ24人に入っていた政治局員で、現役の政治局員が失脚するのは、2017年に党籍剥奪などの処分を受けた孫政才・元重慶市党委員会書記以来である。 処分が発表された9人は、全員が軍最高位の上将で、今後、軍内の司法手続きで裁きを受ける。 人民解放軍で台湾を担当する東部戦区の司令官だった 林向陽氏や、核・ミサイルを運用するロケット軍で司令官を務めた王厚斌氏ら作戦部門のトップ級も含まれている。 国防省報道官は「職務に関わる犯罪への関与も疑われ、金額は巨額で、影響は極
1.ロシア新型戦闘機、侵攻当初に多数撃墜 ロシアは、「MiG(ミグ)-29」や「Su(スホイ)-27」のような第4世代戦闘機の次の世代である第4.5世代や第5世代戦闘機を製造してきた。 その機名は、第4.5世代では、「Su-30・34・35」や「MiG-31/35」、第5世代では「Su-57」ステルス戦闘機などだ。 このように、ウクライナ侵攻以前まで、ロシアは、NATO(北大西洋条約機構)の戦闘機に勝てる戦闘機を製造してきたつもりだった。 写真 ロシアの主な空軍機 左:Su-35 右:Su-57 2022年2月の侵攻当初、ロシアの戦闘機はウクライナ国土内に侵入したものの、1か月間で約100機、2か月目には約80機が撃墜された。 その後は、2022年中は1か月間に10~20機、2023年以降は数機から10機以内だ。一機も撃墜されていない月もあった。 ロシア機が撃墜されなくなったのは、撃墜を恐
イギリスの物理学者・故スティーヴン・ホーキング博士(左)とドイツの哲学者マルクス・ガブリエル 写真提供:共同通信社(左)、DPA/共同通信イメージズ(右) グローバル化とデジタル化が進む中、変化の激しい時代に対応するため、歴史や哲学を含むリベラルアーツ(教養)の重要性が再認識されている。本連載では、『世界のエリートが学んでいる教養書 必読100冊を1冊にまとめてみた 』(KADOKAWA)の著書があるマーケティング戦略コンサルタント、ビジネス書作家の永井孝尚氏が、西洋哲学からエンジニアリングまで幅広い分野の教養について、日々のビジネスと関連付けて解説する。 人間は宇宙を理解できるのか? 最新物理学が示す知の限界とわれわれが持つべき「知的な謙虚さ」について考える。 車椅子の物理学者ホーキング博士 「車椅子の物理学者」として知られているスティーヴン・W・ホーキングは、20世紀で最も著名な科学者
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