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ブラックフライデー
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ゲーム、アニメ、映画、ドラマ……キャラクターが“生きる”あらゆるメディアにおいて、「声」は人格をつかさどる不可欠な要素として存在している。とりわけ、声優という専門職が担う演技は、二次元の絵や文字に命を吹き込み、観客・プレイヤーの心に定着させる決定的な鍵である。 近年、名作ゲームのリメイクや、人気シリーズの長期化に伴い、キャラクターの声優交代が注目される場面が増加したように思う。それは単なるキャスティング変更という制作上の都合にとどまらず、作品とファンとの間に流れる時間を可視化する現象でもある。 声が変わることは、作品世界の連続性やキャラクターの不変性に対する問いかけであり、時には戸惑いや拒絶を生む波紋にもなりうる。ファンにとって特定のキャラクターの声は、その人物との出会い、共に過ごした時間、そして体験した物語そのものと強く結びついているからだ。 本稿では、この「声優交代とは何か」という問い
朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』(日経BP) 朝井リョウの新刊『イン・ザ・メガチャーチ』(日経BP)は、あるアイドルグループの運営に参画することになった家族と離れて暮らす男、内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生、仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女という三者を主人公に、ファンダム経済の功罪を描き出した作品だ。 いわゆる“推し活“の宗教性に着目した本作は、宗教学者として“推し活“に言及してきた柳澤田実にとっても興味深く、さまざまな論点が見出せる小説だったという。 朝井リョウと柳澤田実による、『イン・ザ・メガチャーチ』についての対談をお届けする。 左、柳澤田実。右、朝井リョウ。 柳澤:『イン・ザ・メガチャーチ』をとても興味深く拝読しました。私自身も「推し活」を消費社会の宗教として分析したことがありまして、その内容をゲーム開発者向け会議「CED
ナナヲアカリ『ムリムリ進化論』 × TV アニメ『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』 コラボレーションMV 〈ムリ、ムリ!〉 ナナヲアカリ楽曲が劇場に響き渡り、意表を突かれる。 9月まで放送されていたアニメ『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』のOPテーマ「ムリムリ進化論」は、11月21日公開の劇場版『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)~ネクストシャイン!~』(以下『ネクストシャイン』)のOPとしても採用された。 ナナヲアカリによる同曲のMVは、アニメとのコラボレーション版をあわせるとすでに500万再生を突破しており、続編映画である『ネクストシャイン』での採用も頷ける。TVシリーズの初代OPが、最終回のクライマックスシーンや劇場版作品などでも使われることによるエモーショナル喚
ITジャーナリスト 三上洋が語る、乃木坂46に救われた命 5年生存率 “50%” がん闘病を支えた1曲 ITジャーナリスト 三上洋、御年60歳。ITの専門家として、ライター業やメディア出演、大学講師など精力的に活動している。そんな三上には今、“がんサバイバー”というもうひとつの顔があることをご存知だろうか。 今年1月に、がん闘病中であることを公表。ステージ3Bという診断を受け、医者からは「5年以内に生きている確率は50%程度」との言葉もあった。人生初めての入院生活、手術や点滴、度重なる抗がん剤治療など、精神的にも肉体的にも追い込まれていた三上を支えたのは、アイドルグループ 乃木坂46だった。 リアルサウンドでは、根治に向かって順調に治療が進み、現在では仕事にも復帰している三上にインタビュー。乃木坂46との出会いからファンになっていくまでの過程、闘病中にどのように助けられたのか、「私の命を救
社会学者・岸政彦が明かす、“人の話を聞くこと”の怖さと価値「聞き取り調査には暴力性もある。それでも耳を傾けるべきだ」 岸政彦『生活史の方法——人生を聞いて書く』 (ちくま新書) 「生活史」とは、ひとりの人間の生い立ちや人生の語りを聞き取る、社会学の質的調査のひとつであり、沖縄で30年にわたり聞き取り調査を続けてきた社会学者・岸政彦は、その第一人者といえる存在だ。岸は150人の聞き手希望者に自身の調査方法を伝え、彼らがそれぞれ150人の語り手に取材を行った。その成果として生まれたのが、『東京の生活史』『大阪の生活史』(いずれも筑摩書房)である。 いまも聞き取り調査を続ける岸が、今回「他者の話を聞く」ことについてまとめた新著『生活史の方法』(ちくま新書)を上梓した。曰く、聞き取り調査に「標準的な方法」は存在せず、しかもその営みには、常に語り手への暴力性が潜んでいる――。では、他者の人生に耳を傾
今最も熱いアイドル Juice=Juice、なぜ再評価フェーズに? 「盛れ!ミ・アモーレ」バズの理由、楽曲の強さを解説 ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)所属のアイドルグループ、Juice=Juiceの新曲「盛れ!ミ・アモーレ」が話題を集めている。また、同グループの代表曲のひとつ「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」のMVが先日YouTubeにて再生回数1000万回を突破した。デビュー13年目を数えるJuice=Juiceがなぜここにきて脚光を浴びているのか? 本稿では再評価に至るまでの流れを紐解いていこう。 後輩メンバーが生み出した“隙アモ” 今年10月8日にリリースされたメジャー20thシングル『四の五の言わず颯(さっ)と別れてあげた/盛れ!ミ・アモーレ』は両A面で、「盛れ!ミ・アモーレ」は一方の表題曲。ライブ初披露は、8月16日に開催されたハロプロメンバー
トゲナシトゲアリ、アニメの物語を越えて交差する『ガルクラ』とバンドの軌跡 『小指立てませんか』全曲レビュー 今年9月23日、活動開始当初から大きな目標として掲げてきた日本武道館でのワンマンライブを実現させたトゲナシトゲアリ(※1)。同公演では来年2〜3月に初の全国ツアー『トゲナシトゲアリ Zepp Tour 2026 “拍動の未来”』を開催すること、そして10月3日公開の『劇場版総集編 ガールズバンドクライ【前編】青春狂走曲』および11月14日公開の『劇場版総集編 ガールズバンドクライ【後編】なぁ、未来。』に続く完全新作映画の製作が決定したこともアナウンスされ、『ガールズバンドクライ』というコンテンツおよびトゲナシトゲアリというバンドがこの先もまた新たなストーリーを生み出していくことに対し、多くのファンからさらなる期待が寄せられている。 武道館公演以降もトゲナシトゲアリは今年2枚目のシング
Ye(カニエ・ウェスト)。後ろに写るのは、妻のビアンカ・センソリ。写真:REX/アフロ ■2013年にはアートだったブラック・クランズ(KKK) Ye(カニエ・ウェスト)について、もはや音楽ではなく、彼の暴挙によって知る人の方が多くなってしまった気がする。2025年2月に、ほとんど全裸のような出立ちの妻ビアンカ・センソーリと共にグラミー賞のレッドカーペットに登場したことは、Yeの音楽を聴いたことがない人まで知るゴシップニュースになった。またここ数年の欧米メディアのYeに関するニュースは、音楽よりも彼の反ユダヤ主義発言とそのバックラッシュに関するものばかりだ。 ナチズムに近づいた大物アーティストは、Ye以前にも存在していた。1970年代、キリスト教福音派に接近していた頃のボブ・ディランは、自分自身もユダヤの出自であるにもかかわらずステージ上でユダヤ人を呪ったことがあった。また同じく70年代の
現在放送中のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』で、ヒロインの松野トキを演じている髙石あかり。明治という時代のうねりの中で、外国人の夫とともに日本の文化を伝え続ける女性を、静かな情熱と凛とした佇まいで演じている。約3000人の中から選ばれたその存在感は、時代の空気をまといながらも、どこか現代的な透明感を放っているのが印象的だ。けれど、髙石の魅力はこの“朝ドラのヒロイン”という枠には収まらない。アクション、コメディ、ファンタジーなど、作品ごとにまったく違う表情を見せながら、見る者の想像を軽やかに裏切ってきた。『ばけばけ』で見せている芝居を起点に、ここでは彼女がこれまで歩んできた多彩な役どころをたどり、その振れ幅の大きさを改めて確かめてみたい。 『ベイビーわるきゅーれ』 『ばけばけ』のトキとはまったく違う表情を見せるのが、髙石の代表作でもある2021年公開のシリーズ第1作目『ベイビーわるきゅーれ』
リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のDVDレンタルで初めて押井守作品に触れた徳田が、『天使のたまご 4Kリマスター』をプッシュします。 『天使のたまご』——押井守の“決定的”作品 2025年、押井守作品のリブートが大量発生している。10月には劇場版『機動警察パトレイバー』シリーズ2作と、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(以下『攻殻』)の4Kリマスター版が立て続けに上映された。前年には、押井初の実写作品『紅い眼鏡』のリマスタープロジェクトがクラウドファンディングで実施されている。 その中で押井自身が「決定的な作品」だったと語る(※1)のが『天使のたまご』だ。監督として初のオリジナルアニメーションであり、アートディレクションを『ファ
AIの発展で漫画家は本当に失職するのか? 『はじめの一歩』森川ジョージら登壇のトークショーで挙げられた3つの問題点 一般社団法人MANGA総合研究所が11月12日と13日に東京・池袋の会場とオンライン配信で開催した「国際MANGA会議 Reiwa Toshima」(IMART2025)で、何かと話題のAI(人工知能)に関するトークセッション「マンガとAIの関係はシンギュラリティに向かっているか」が開催された。『はじめの一歩』で知られる漫画家の森川ジョージ、株式会社THE GUILD代表取締役の深津貴之、アル株式会社代表取締役のけんすう(古川健介)が登壇し、MANGA総研所長で代表理事の菊池健の司会で、AIの急速な進化が漫画制作などのクリエイティブな分野にどのような影響をもたらすのかといったことが話された。 「異世界転生ものを描きたいと思っている」。漫画家の森川ジョージのこの発言に会場が沸い
「マンガ大賞2022」第3位に輝き、多くの漫画ファンの心を掴んだ真造圭伍による『ひらやすみ』。何気ない日常の愛おしさを描き出すこの人気漫画が、NHK夜ドラ枠で待望の実写ドラマ化を果たした。 主人公は、自由気ままなフリーター・生田ヒロト。彼を演じるのは、役柄に応じて変幻自在の表情を見せ、現代の日本映画・ドラマ界に欠かせない存在となった岡山天音。そして、ヒロトの家に同居することになる従姉妹の美大生・小林なつみを、観る者を魅了する森七菜が演じる。 原作を「ずっと読んでいた」と語る二人は、この物語の持つ特別な空気感をどのように捉え、映像の中に息づかせたのか。撮影現場で現実と物語の境界線が溶けていくような不思議な体験から、共演者との微笑ましいエピソード、そしてこのドラマが現代に届けたい優しいメッセージまで、作品への深い愛情に満ちた言葉で語ってもらった。 岡山天音×森七菜、インタビュー撮り下ろしカット
連載「堀江晶太が見通す『VRChat』の世界」第2回 ボカロP・作編曲家・ベーシストなど、さまざまな顔を持つ音楽家・堀江晶太。押しも押されもせぬ一流のクリエイターである彼には、これまで公に明かしていなかった趣味がある。それが、ソーシャルVRプラットフォーム『VRChat』だ。 コロナ禍をきっかけに『VRChat』に入り浸るようになったという堀江。普段は音楽家として活動しながら、VRの世界では“ひとりのユーザー”としてこの世界を楽しんでいるという。 本連載では、堀江の『VRChat』愛、そこで体験したさまざまな出来事、リスペクトする「注目のクリエイター」などについて語っていく。 第2回となる今回は、FZMZのベーシストにして、シンガーソングライターとしても活動するHONNWAKA88(ホンワカパッパ)が登場。堀江晶太と共に、『VRChat』の音楽シーンやイベント事情、注目の音楽について語り合
「本当にヤバい映画は海を渡ってこない、でもサメは泳げるからサメ映画は例外」というミームを思い出して計算したところ、サメが太平洋を渡るのには理論上1カ月と少しかかるらしい。9月19日に日本で上映が開始された劇場版『チェンソーマン レゼ篇』(以下、『レゼ篇』)がカナダに上陸するまで1カ月かかったのは、ビームくんがこっちまで来るのに少し手間取ったからに違いない──。そんな妄想をしながら、現在バンクーバーに居住する著者も待望の上陸を果たした『レゼ篇』を観てきた。なるほど確かに、これは最高に良い意味でヤバい映画が渡ってきたものだ! その衝撃は実際の売上にも表れていた。興行収入を見てみると、『レゼ篇』は北米公開後に週末3日間で27.5億円(1790万ドル)(※1)の売上を達成したという。日本での興行収入が公開後42日間で73.8億円ということを考えると市場の大きさに驚かされてしまうが、北米のみで比較し
野村泰紀『なぜ宇宙は存在するのか はじめての現代宇宙論』(ブルーバックス) 2025年は、物理学に量子力学という理論体系が誕生して、100年という節目にあたる。人間は太古の昔から宇宙に関心を抱いてきた。それが数々の神話や哲学を生む土壌となり、そして科学技術の進歩に大きな貢献を果たしてきたのである。 そして、20世紀は人類が宇宙に進出した時代でもあり、宇宙の研究が飛躍的に進み、謎だらけだった宇宙の一端を知ることができるようになった。量子力学、そして宇宙論は人間の知的好奇心の扉を大きく広げた学問といえるだろう。 宇宙論や素粒子論、宇宙や重力の研究に長年携わってきた理論物理学者の野村泰紀は、『なぜ宇宙は存在するのか はじめての現代宇宙論』(ブルーバックス、2022年)で、宇宙誕生からマルチバースまで、最先端の宇宙論を体系的に解説している。YouTubeチャンネル『【科学の教養】ブルーバックスチャ
岡山天音が主演を務めるNHK夜ドラ『ひらやすみ』。タイトルにもある“平屋”のセットには、実在する空き家が使われている。 ロケ地に着いた瞬間、「まさにあの世界だ」と驚かされる空気感。引き戸を開いて家に一歩足を踏み入れれば、どこか懐かしい匂い、あのぬくもり――。 このたび制作統括の坂部康二、プロデューサーの大塚安希、美術担当の松田香代子に、リアルサウンド映画部が単独で話を伺うという贅沢な潜入取材が実現。平屋に込めた思いを、余すところなく語ってもらった。 100軒超から探し当てた「あえての2LDK」 入口にはしっかり二人の名前が刻まれたポストが 制作にあたり要となったのは、やはり平屋選び。最初はセットを建てることも考えたが、縁側から庭へと続く空間のリアリティは、既存の建物には敵わない。そこで、原作の舞台となっている阿佐ヶ谷を中心に物件探しをスタート。最終的には栃木や群馬まで範囲を広げ、100軒を
キタニタツヤ×ツミキ×三島想平(cinema staff)が語る“ボカロ×残響系”の交差点 「オルタナティブであること」が繋ぐ歴史と文脈 ニコニコ動画の黎明期より、様々なジャンルの楽曲が制作されてきた「ボーカロイド楽曲」。ニッチなジャンルから異例の組み合わせまで、アウトプットされた多様なラインナップはときに突然変異を生み、メジャーシーンでのヒットにつながるものもあらわれた。 そのなかのひとつが「ボーカロイド×シューゲイザー」の「ミクゲイザー」だろう。黎明期から多くの楽曲が投稿されたこのジャンルから出てきたクリエイターは、のちにポストロックやマスロックなどの文脈とも繋がり、ボーカロイド楽曲の特徴のひとつでもある複雑性との好相性もあってか、少なくないフォロワーを作っている。 今回登場したキタニタツヤとツミキは、まさにその代表格といえるだろう。いまやメジャーシーンで活躍する二人だが、いずれも出自
トランプ政権が世間を騒がせている今、その背景で巨大な影響力を持つと言われるキリスト教・福音派を論じ、大きな話題となっている『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』(中公新書)。本書の刊行を記念して、宗教学者・思想史家である著者の加藤喜之氏と、リアルサウンドブックで『ポップカルチャーと「聖なる価値」』を連載する宗教学者・哲学者の柳澤田実氏が対談を行った。 終末論的な世界観を持つこの宗教集団・運動は、どのような経緯で勢力を拡大してきたのか。日本からはどのような視点で捉えると良いのか。キリスト教を第一線で研究する両氏が語り合った。 福音派の意外な印象 ターニャ・M・ラーマン『リアル・メイキング:いかにして「神」は現実となるのか』(柳澤田実訳、慶應義塾大学出版会) 柳澤田実氏(以下、柳澤):加藤さんの『福音派』、沢山の方に読まれているようで素晴らしいですね。福音派がどういった経緯で出てきた集団
東京ハードコアシーンの突然変異・moreru 夢咲みちる、厨二を極めた先で鳴らす美しき爆音のすべてを語る 東京ハードコアシーンの突然変異と言っていいだろう。グラインドコアやブラックメタルを飲み込んだ極北の爆音を鳴らしつつ、同時に童謡のようにメランコリックなメロディで観客を全力シンガロングさせる。歌われる内容は殺意と自己嫌悪と破滅願望に満ちた厨二病的なもので、イタい、キツい、ヤバいと背筋を震わせる世界観が、なぜだか泣けるほど美しく見える。そういうライブを繰り返してきたmoreruが、4枚目となるアルバム『ぼぼくくととききみみだだけけののせせかかいい』を世に放つ。かつてなくキャッチーな暴力性が吹き荒れる全12曲は、クオリティの面でも全体のストーリー性という意味でも、世のなかを震撼させ、ことによっては多くの若者の人生を狂わせていくだろう。ボーカル・夢咲みちるに聞く、厨二を極めた果ての未来像。(石
常に新たな音楽表現を追求し、第一線で活躍を続ける二人のアーティスト、ケンカイヨシと原口沙輔。リアルな友人でもある彼らが、実はバーチャルライブ配信アプリ「IRIAM」のヘビーユーザーであることはあまり知られていない。 一人は自ら美少女の姿となり熱狂的な配信を繰り広げる「ライバー」として。もう一人は多忙な制作活動の傍ら、配信に耳を傾ける「リスナー」として。なぜ彼らはIRIAMの世界に興味を持ち、そこに飛び込んだのか。そこには、現代社会を生きるすべての人々にとってのヒントが隠されていた。創作とコミュニケーション、そして「もう一人の自分」を巡る、二人の率直な対話をお届けする。(編集部) ーーまずはお二人が「配信」という文化にどのように触れてきたのか、その遍歴からお伺いさせてください。 ケンカイヨシ(以下、ケンカイ):僕は、見る側というよりは最初から完全に「やる側」でしたね。大学受験で浪人していた頃
星野源が証明した音楽で繋がる意味、虚無の先にある息をする歓び――『MAD HOPE』ファイナル公演を観て 星野源が約6年ぶりとなる全国ツアー『Gen Hoshino presents MAD HOPE』を追加公演である10月19日のKアリーナ横浜で完走した。 『Gen Hoshino presents MAD HOPE』すべての写真を見る “星野源”そのものが立ち現れた『MAD HOPE』の衝撃 筆者は幸運なことに前半のさいたまスーパーアリーナ公演初日に続き二度目の観覧。そこで、本稿では追加公演ならではのファクトや、「果たしてニューアルバム『Gen』はどういうアルバムだったのか?」という部分をレポートの軸に仮定していたのだが、そうした微差は星野自身がアルバム『Gen』に関して「自分の写し鏡のようなアルバム」と表現したのと同様に、『MAD HOPE』もまた、全身全霊を注ぎ込んだ“星野源”とい
この世には「楽しい」というジャンルが存在する。そして『M3GAN/ミーガン 2.0』は、間違いなくジャンル「楽しい」だ。アメリカで興行収入が伸びなくて、日本では劇場公開が急遽キャンセル、Prime Videoでの独占配信に切り替わったが……正直、これは不運としか言いようがない。むしろ、あと何年か経ったら一部のアメリカの人は自慢できるだろう。「私はあの『M3GAN ミーガン 2.0』を公開当時に劇場で観ましたよ」と。 前作『M3GAN/ミーガン』(2022年)から数年が経った。殺人AI人形ミーガンの暴走を辛くも生き延びた研究者ジェマ(アリソン・ウィリアムズ)と、その姪っ子ケイディ(ヴァイオレット・マッグロウ)。ふたりの絆は深まったが、それはそれとして成長したケイディは絶賛反抗期に突入する。精神修養のために合気道を習うが、スティーヴン・セガールにどっぷりハマって、学校でイジメっ子の腕を極めた。
北米の人気Webマンガを原作としたTVアニメ『Let’s Play クエストだらけのマイライフ』が放送中だ。同作は、男性との深い関わりを避けながら生きてきたゲームクリエイター志望の会社員サム・ヤングが、3人の男性と急接近し、心の殻を破っていくという“大人のラブストーリー”。 主人公のサム役を演じるのは花澤香菜。今回はインタビューを通して、サムの魅力や作品の見どころ、そして花澤自身の人生など、幅広い話題を語ってもらった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】 花澤香菜の“創作への想い” ——本作には賑やかで個性的な男性キャラクターがたくさん出てきますが、サムは淡々としている大人の女性というイメージです。どうやって役作りをしましたか? 花澤香菜(以下、花澤):サムは内側に秘めているものがあって、考えていることもたくさんあるんだけど、それがあんまり表に出せないという……。
わたしたちは世界を、つい「モノの集まり」として見てしまいがちだ。しかし、視点を変え、モノ同士を結ぶ「関係性」に注目すると、世界はゆるやかに繋がり、いきいきと見えてくる。 これは、モノとモノをつなぐ「矢印」に注目する数学分野「圏論」の考え方に近い。実はわたしたちの無意識下の思考や、プログラミング言語の構造、さらには認知科学の領域にまで、この圏論的思考は応用されている。 圏論は、わたしたちの思想の基盤を根本から変える可能性を秘めている。『はじめての圏論 ブンゲン先生の現代数学入門』(ブルーバックス)を上梓した加藤文元(かとうふみはる)氏に、「圏論」の基本と、これからの応用可能性について聞いた。 圏論の核心ーー「モノ」ではなく「関係」を見るということ 加藤文元『はじめての圏論 ブンゲン先生の現代数学入門』(ブルーバックス) ーー『はじめての圏論』を読むと、圏論とは「関係」に注目した数学だとありま
2014年にスタートし、ともに10周年を迎えた『アイカツ!』のあかり世代と『プリパラ』。その2作がタッグを組み、“出会いのキセキ”を記念した劇場アニメ『アイカツ!×プリパラ THE MOVIE -出会いのキセキ!-』が、10月10日に公開された。 アイドル養成学校を舞台に努力と成長を描いた『アイカツ!』と、誰もが理想の姿でアイドルになれる夢の世界を描いた『プリパラ』。異なる魅力を持つ2つのアイドルアニメで主人公を演じた『アイカツ!』大空あかり役・下地紫野と『プリパラ』真中らぁら役・茜屋日海夏に、共演を通じて改めて感じた互いの作品の魅力や、“10年”という時間がファンや自身に与えてきた影響を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】 “同時代のヒロイン”が語るお互いの素顔 (左から)下地紫野、茜屋日海夏 ーー今回『アイカツ!』と『プリパラ』がコラボすると聞いたとき
10月8日より放送中のTVアニメ『ワンダンス』は、ストリートダンスを題材に、自分の気持ちを上手く表現できない吃音症の小谷花木と、周りを気にせずダンスに打ち込む同級生・湾田光莉の青春を描いた物語だ。 今回は主人公の花木(カボ)役を演じる内山昂輝と、ヒロインの湾田役を演じる羊宮妃那にインタビュー。役作りやお互いの演技に対する印象について、詳しく話を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】 互いの演技に触発された部分 ——本作ではカボのモノローグや言い淀んでしまう場面、少し声を荒げるシーンなど、内山さんの多様な演技がすごく魅力的だと感じました。こうした微妙なニュアンスの変化はどのように演じられましたか? 内山昂輝(以下、内山):カボは繊細な性格をしていて、自分から積極的に話しかけるタイプではないので、そこは丁寧に表現したいと思っていました。セリフは少なめで、モノロー
アニメ『ぼっち・ざ・ろっく』に始まり、マンガ『ふつうの軽音部』やさまざまなバンドのトリビュート企画のニュースまで。ここ数年、2000年代に活躍したバンドやその楽曲の魅力に、改めてスポットの当たる機会が随所で見受けられている。 ロックバンドやライブハウス文化のみに留まらず、今日の邦楽シーン全体に今なお大きな影響を与え続けている2000年代のロックシーン。さらに言えば音楽に留まらず、アニメやマンガといった近年の日本のカルチャーコンテンツへ総じて色濃い影響を与えていることからも、当時の音楽がいかに大勢の心に鮮烈な色を残しているかが窺える。 そこで今回は、今注目を集める2000年代ロックシーンを題材とした近年のカルチャーコンテンツをピックアップ。バンドからバンドへの、音楽から音楽への継承のみならず、アニメ・マンガへと形を変えてその魅力がどのように波及しているのか。表出の仕方の差異も含めて、各コンテ
興行収入45億円を突破し、大きな話題となっている劇場版『チェンソーマン レゼ編』。美しく、どこかミステリアスなレゼに、デンジと同じように魅了された観客は少なくないはずだ。 本作の公開をきっかけに、SNSではある言葉が広がり始めている。それは「自認レゼ」。かつて“厨二病”の時期を通り抜けた者たちが、過去の自分や周囲を少し距離を置いて振り返る、自嘲めいたミームだ。 なぜ「自認○○」は冷笑の対象になるのか 似たような言葉では、『薬屋のひとりごと』の猫猫に重ねる「自認猫猫」、『DEATH NOTE』の弥海砂を投影先とする「自認ミサミサ」、Netflixシリーズ『ウェンズデー』になぞらえた「自認ウェンズデー」など。いずれも、特定の人気キャラクターに自己投影していたこと(人)を指す言葉たちだ。 パッと例に挙がるのは女性キャラクターばかりだが、男性キャラクターに憧れ、自分を重ねていた人たちも根本は同じだ
Aqours、ドキュメンタリー映画に記されたものとは――使命の先にあるリアル、シリーズへと発展した軌跡 『ラブライブ!サンシャイン!!』発のスクールアイドル Aqours。その10年間の軌跡を、今年6月に開催されたフィナーレライブ『ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~』までの3カ月で行われた密着取材を通して描いたドキュメンタリー映画『Aqours Documentary』が9月26日に公開された。9月29日には映画レビューサービス Filmarksにて、「9月第4週公開映画の初日満足度ランキング」にて1位を獲得(※1)するなど、ドキュメンタリー作品として非常に高い評価を受けている。そんな本作は、Aqoursを好きなファンだけでなく、『ラブライブ!シリーズ』のファンであれば一見の価値があると言っていいだろう。 ☀映画「Aqours
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