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ブラックフライデー
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「ジロウ」というX(旧Twitter)のアカウントをご存じだろうか? 社会学者の中井治郎さんが運用するこのアカウントには、匿名で質問を投稿できるウェブサービスを通して毎日50個以上の質問が届く。 ジロウがXに返答やリアクションを載せると、たびたびSNS上での「バズ」や時に「炎上」が起きる…… 前回は「ジロウ」こと中井治郎さんが、そんな不可思議な「質問箱」の状況を綴ってくれました。 今回は質問箱の定番になっている(?)「おじさんはなぜ〇〇なのか?」という質問についてのお話です。 日本中の見知らぬおじさんへのクレームが集まる たとえば、こんな質問がくる。 「なんで、おじさんって、みんな**いんですか?」 形式上は疑問文だが、もちろん答えを求めているわけではない。怒りや不満の表明である。とにかく誰かに聞いて欲しいということなのだろう。**の部分についてはいくつかバリエーションがある。だいたい、い
ジェンダー平等のアイスランドに育ったビョークが、映画『女性の休日』に託した思いとは? 【社会に言葉の一石を。もの言う女性アーティスト特集 第2回】 かつて公民権運動を支えたニーナ・シモン、アレサ・フランクリンといった黒人女性シンガーがいたように、意志を込めた言葉は心を動かし、社会も変えていく。現在もレディー・ガガやテイラー・スウィフトを筆頭に、自身も傷を負いながらも、声を上げて権利を主張し、女性の背中を押していく女性アーティストの言葉の意義は大きい。その声を4回の特集記事で紹介していく。 1975年10月にアイスランドで起こった、女性たちによるストライキを紹介するドキュメンタリー映画『女性の休日』が10月25日に公開され、話題になっている。特集2回目は、この映画に楽曲を提供したビョークについて。 (文/伊藤なつみ) 第2回 ビョークの場合 「女性がいないと社会が回らない」と証明した、記念す
新刊エッセイ『理系の読み方』が注目を集める京大卒の作家・大滝瓶太さん。 小説家としてデビューするまで「8浪」かかったという大滝さんが、「受験としての新人賞」について綴ってくださいました! イメージ画像:PIXTA 10浪で現役!? おいでよ 新人賞多浪の森 デビューしてもう何年も経つのにまだ新人賞の話をしている恥ずかしい作家がいる。私である。 これがどれくらい恥ずかしいかを作家を目指したことがない皆さんに説明すると、「もう就職したのに大学受験の話を一生くっちゃべってるおっさん」みたいな感じです。「すばる文学賞で最終候補の一歩前までいったことがある!」という話をするのは「東大に10点足らずに落ちた!」とほぼ同じとみていいでしょう。 ところで、皆さんは作家になる方法を知っているでしょうか? たぶんよっぽど興味がない限り知らないと思います。実際に私が作家になってから、知人友人に一番訊かれるのも「
フィンランドの首都・ヘルシンキにある「ヘルシンキ労働者学校」。 100年の歴史をもつこの場所で、元新聞記者の堀内京子さんはフィンランド語の教室に通いはじめました。 そこで出会ったのは、いろいろな国からそれぞれの理由で、この街へ来ることになったクラスメイトたち。 生まれ育った国を出る決断の背景には、どのような物語があるのでしょうか。 「ほぼ全員が(フィンランドの)外国人」という教室で交差した、ひとりひとりのライフヒストリーを紹介するルポ連載です。 フィンランドのヘルシンキ中央駅から地下鉄で北に3駅いくと、ソルナイネンという駅がある。ここから、古いアパートの間にカフェやバー、古着屋などがちらほらあって、学生や若者、アーティストらに人気のカッリオ地区に続く。 ただ、この駅の地上出口にある広場は長い間、本当の名前よりも「ピリトリ」(スピード広場)と呼ばれ、ドラッグ密売の中心地として知られていた。広
「ゼロからイチにとても惹かれるんです。Mr.Childrenもゆずもゼロからのスタート。AIに引っかからないものにも珠玉の価値はあると信じている」【トイズファクトリー代表取締役 CEO 稲葉貢一インタビュー後編】 絶賛発売中の『いつも心にパンクを。Don‘t trust under 50』。この本を書き終えた著者の佐藤誠二朗が、どうしても話を聞きたかったトイズファクトリー代表取締役 CEO 稲葉貢一のロングインタビュー。 80年代にラフィンノーズと出会い、別れ、トイズファクトリーを立ち上げるまでを伝えた前編。 後編では、国民的ビッグアーティストである、Mr.Childrenとゆずとの出会いからブレイク、そして現在まで、稲葉が変わらず持ち続ける“インディーズ・スピリット”について。(文中敬称略) (取材・文/佐藤誠二朗 撮影/新保勇樹) 多忙な中、貴重な時間をいただいた取材。トイズファクトリ
「“メジャー”という言葉が嫌いなんです」。80年代、ラフィンノーズのデビューを手掛けた人物が語る、熱狂と挫折とインディーズ精神。 【トイズファクトリー代表取締役 CEO 稲葉貢一インタビュー前編】 絶賛発売中の『いつも心にパンクを。Don‘t trust under 50』。この本を書き終えた著者の佐藤誠二朗には、どうしても話を聞きたい人物がいた。稲葉貢一。誰しもが知るビッグアーティストを多数抱えるメジャーレコード会社、トイズファクトリーの代表取締役 CEOである。 多忙な業務の中、たくさんの貴重なエピソードを話してくれた今回のロングインタビュー。書籍の内容を補完するとともに、80年代以降の日本の音楽史・ロック史の貴重な回顧録ともなった。 前編では稲葉がトイズファクトリーを立ち上げるまでのストーリーをお届けする。(文中敬称略) (取材・文/佐藤誠二朗 撮影/新保勇樹) トイズファクトリー代
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回まで、日本の甘い味付けの料理の代表格、すき焼きについて考察してきました。物語は一気に現代の食卓へ、そして本連載も大団円を迎えます! 和食あまから問答④ 現代すき焼き興亡史 僕はある時、日本のすき焼きの味付けの中心値はどこにあるのか、ということがどうしても気になり、まずはデータを取ることにしました。とりあえずの対象は、 ①料理本やネットなどのレシピ ②食品メーカー各社の「すき焼きのタレ」の成分表 つまり全て「割り下」です。本来であれば ③砂糖+醤油パターンのレシピ も対象に入れるべきですが、残念ながら、これが厳密に数値化されたレシピはあまりありません。それに現代の日本においては、関西も含めて割り下やすき焼きのタレの方が主流です。なのでとりあえずはこれで話を進めます。 レシピの分量や市販調味料の成分表から、
エンパシーがAIにないのはどうしてか。その理由は身体を通した「経験」の有無にあるんじゃないか――【ブレイディみかこさん×西加奈子さん『SISTER“FOOT”EMPATHY』発売記念対談/後編】 6月26日にブレイディみかこさんの新刊「『SISTER“FOOT”EMPATHY』が発売になりました。発売を記念して作家の西加奈子さんとブレイディみかこさんの特別対談を公開します。 前編に続き後編では、多様性に対する考え方、そして今だからこそ伝えたいエンパシーについてなど、対話のテーマは広がります。 写真/Shu Tomioka(ブレイディさん)、若木信吾(西さん) 構成/小沼理 対談は5月末、オンラインで実施。ブレイディみかこさん(左)、西加奈子さん(右) 「かわいそう」にも、芸術作品にもされないために 西 『SISTER“FOOT”EMPATHY』でも、他の本でもそうですが、ブレイディさんはど
「『少年ジャンプ+』の10年は、集英社が打てる手の中で一番いい手を打った感覚です」【『王者の挑戦』刊行記念 けんすう氏インタビュー】 「てれびのスキマ」がのぞいたマンガの世界――戸部田誠さんの新刊『王者の挑戦 「少年ジャンプ+」の10年戦記』が5月9日に発売となりました。 今回はその刊行を記念し、「少年ジャンプ+」とも関係が深く、また、ネットやマンガカルチャー全般にも詳しい、起業家・投資家のけんすうさんに著者・戸部田誠さんがインタビュー。知られざる編集部との話や、「少年ジャンプ+」の創刊からの10年が果たした役割やマンガの未来など、いろいろな話を伺いました。 (取材・構成/戸部田誠 撮影/藤澤由加) 「ジャンプ+」は初期から愛読しているという、けんすうさん。 自分たちこそ挑戦していく側という強い意識 ――まず、『王者の挑戦』を読んでいかがでしたか? けんすう(以下、同) 知っている名前がた
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回に続き、知名度抜群のご当地味噌、八丁味噌について考えます。 醤油と味噌③ 八丁味噌という特異点 社会人2年目で、転勤をきっかけに、僕の初めての名古屋暮らしが始まりました。 名古屋支社出勤初日に、先輩方にランチに連れて行ってもらいました。喫茶店のランチなのにそこらの定食屋よりボリュームも品数も充実している、という名古屋ならではの文化に少したじろぎつつ、まずは味噌汁を啜った僕に、愛知県南部三河地方出身の先輩がこんなことを言います。 「名古屋じゃ味噌汁はどこ行ってもそういう『赤だし』だでよう、よそからきたら最初はキツいかもしれんけど、そのうち慣れるでまーいっとき我慢したってちょう」 しかし実は、僕はその時点でウキウキでした。なぜなら子供のころから、赤だしの味噌汁は大好きだったからです。実家では、常に2種類の味
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回は、名古屋の八丁味噌がいかにスペシャルな味噌か、ということが語られました。 今回は、おみやげ品などでもよく見かける、各地の「甘いお醤油」についてです。 醤油と味噌④ アミノ酸醤油、その数奇な物語 先日、旅行で福岡に行ってきました。いわゆる社員旅行です。岐阜に本社を置く弊社は、小さいながらも関東・東海・関西に拠点を持っていますので、この日は各エリアから総勢30名ほどが集まりました。 弊社の社員旅行は、到着日の夕方からとりあえず全員揃って宴会を行い、その後、小グループに分かれて夜中過ぎまで数軒をハシゴして食べまくります。その間に脱落や合流が繰り返され、最終生き残った精鋭たちが、深夜営業の店に再び集結して夜明けを迎える、というのが毎回のパターンです。ちなみに翌日は一応自由行動なのですが、過半数はロクに観光もせ
偏差値や大学名に異様な執念を持つ人間たちを描くノンフィクション『学歴狂の詩』が発売されました。 刊行を記念して、著者佐川恭一さんと、渋谷教育学園幕張(以下、渋幕)・東京大学卒という学歴の直木賞作家小川哲さんの対談を公開します。 小川哲さんが『学歴狂の詩』を読んで思い出した、驚きのエピソードとは? (構成:長瀬海、写真:キムラミハル) 佐川恭一は学歴を通して世界を理解している!? 小川 いやぁ『学歴狂の詩』最高でした。めちゃくちゃ面白かったです。 佐川 ありがとうございます!! 6年前、小川さんに初めてお会いしたときに「佐川さんは学歴の話を書き続けた方がいいですよ」とアドバイスしていただいたんですけど、おぼえてます? 小川 もちろん。確か電子書籍で出ていた佐川さんの『サークルクラッシャー麻紀』を読んでいたのでそんなことを言ったんだと思います。小説家ってそれぞれ自分のなかにある何かしらの感覚を
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回まではラーメン編をお届けしました。 今回からは、和食の肝とも言える「味噌と醤油」について考えてみます。 醤油と味噌① 濃口醤油と薄口醤油 僕が20代のころ修業した、ちょっと高級な和食店では、「濃口醤油」「薄口醤油」という言葉はほぼ使われていませんでした。では、ここでクエスチョンです。それらはその店では何と呼ばれていたでしょ〜か? ……ヒントが無さすぎて、少し難しかったかもしれません。答えは「ヤマサ」「ヒガシマル」です。つまり、使っていた醤油の銘柄が、そのまま呼称になっていたということです。当時僕は、何だかそういうのっていかにもプロっぽくてカッコいいな、と思っていました。なので、最初は自分もこの呼称を使うことが少し面映くもありましたが、すぐに慣れて自然に口に出せるようになりました。 後にわかったことですが
「私の自宅の玄関で会いませんか?」マッチングアプリで見つけた奇妙な誘い。その裏に隠された”衝撃の真実”とは? 『彼女が僕としたセックスは動画の中と完全に同じだった』などの著作で知られる作家・山下素童氏が、マッチングアプリで体験した驚きのエピソードを寄稿! 「私の自宅の玄関でお会いしませんか?」 その言葉におびき寄せられた山下氏が、相手の部屋で見たものとは……。 イメージ画像:PIXTA 「私の自宅の玄関でお会いしませんか?」 これは、とあるマッチングアプリの話です。 そのアプリでは、どんな条件で異性に会いたいか、掲示板機能を使って募集をすることができます。会いたい条件は本当に人によってバラバラで、趣味の合う友達や飲み友達を探す人から、セックスフレンド、あるいはパパ活のような相手を探している人もいます。 新宿5丁目で知人と飲んだ帰りに、深夜からでも会える人はいないかとそのアプリを開いて募集ペ
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回からの続き、ラーメン編3回目です。 とんこつラーメンが日本中で人気になるまでには、各地でさまざまな“混乱”が引き起こされたようで…? 辺境から見たラーメン③ とんこつ遺伝子 大学進学で鹿児島を離れ京都にやってきた僕は、そこでそれまでとは全く異なるラーメン文化に触れることになります。まず目指したのは醤油ラーメンの店でした。なぜなら、僕は鹿児島には存在しなかった澄んだ黒いスープの醤油ラーメンにずっと憧れがあったからです。 雑誌のグルメ記事でその存在を知ったのは以前にも書いた通りです。しかしそのイメージはあくまで東京の醤油ラーメンであり、京都のそれは全くの別物であることをすぐに知ることになります。 京都の醤油ラーメンは、鹿児島のラーメンよりむしろパワフルでした。醤油の色に染まったクリアなスープ自体は確かにイメ
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回から始まったラーメン編。 今回は、稲田さんが「世界一好き」なある店のラーメンについて熱く語ります。 辺境から見たラーメン② とあるラーメン店の賛否両論 今回も鹿児島ラーメンの話から始めます。前回も書いた通り、鹿児島ラーメンには統一的なスタイルがほぼありませんので、ここでは一軒のお店に絞って話を進めていこうと思います。そのお店の名は〔こむらさき〕。ちなみに熊本と宮崎にも同名のラーメン屋さんがありますが、それぞれは特に関係があるわけではありません。 このお店をピックアップした理由は三つあります。 ひとつは、こちらが現存する鹿児島のラーメンで2番目に古い店であり、今も昔も鹿児島を代表するラーメンと目されていると言ってもいい存在だからです。 もうひとつは前回も少し触れた価格の話と関連します。2025年現在こちら
発売初週で累計10万部を超えるスマッシュヒットを飛ばし現在20万部突破、さらに「書店員が選ぶノンフィクション大賞2024」を受賞した『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)の著者である三宅香帆さん。じつは『ごきげんになる技術 キャリアも人間関係も好転する、ブレないメンタルの整え方』(集英社)を上梓した、ニッポンのエンタメ界を牽引する佐久間宣行さんが手がける作品のファンという経緯から、対談が実現。 前半はお互いの著書の感想や、働きながら自分のごきげんをいかに保つか、「本」というメディアのメリットなどについて語っていただきました。 後半は、仕事の原動力、そして自分がやりたい仕事で結果を出すために考えていることなどをトーク! 取材・文/広沢幸乃 2024年12月オンラインにて対談を実施 キャリアを築くためには自分自身を知ることが大切 三宅 私の仕事の原動力は、好きな作品の醍醐味を伝
発売初週で累計10万部を超えるスマッシュヒットを飛ばし現在20万部突破、さらに「書店員が選ぶノンフィクション大賞2024」を受賞した『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)の著者である三宅香帆さん。じつは『ごきげんになる技術 キャリアも人間関係も好転する、ブレないメンタルの整え方』(集英社)を上梓した、ニッポンのエンタメ界を牽引する佐久間宣行さんが手がける作品のファンという経緯から、対談が実現。 多忙を極める中でのエンタメの摂取法、独自のメディア戦略、多様化するメディアの中で紙媒体が果たす役割まで。職業は違えど、思考のグラデーションが重なる部分が多い二人が、互いの話題作をフックに本音でクロストーク! 取材・文/広沢幸乃 ともに著書がヒット中の佐久間宣行さん(左)と三宅香帆さん(右) 目指すのは「ごきげんな批評」と分断や競争を煽らないコンテンツ 三宅 佐久間さんのご著書の『ごき
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回は関東の蕎麦文化についてでした。 今回からは、怒涛の「ラーメン編」を6回にわたりお届けします。 辺境から見たラーメン① 鹿児島という辺境 僕は常々、いわゆるラーメンマニアと言われる人々を素直に凄いと思っています。尊敬し、一目置いていると言ってもいいかもしれません。レビューサイトなどを見ると、プロのラーメン評論家というわけでもないアマチュアの愛好家でも、仕入れ先の製麺所がどこで切り刃は何番とか、店主さんの修業先のラーメン店とその系譜とか、そういう我々「シロウト」には何を言っているのかさっぱりわからない専門知識でその店の背景を伝えてくれていたりします。味そのものの評価に関しては、正直たまに首を傾げざるをえないようなものも無いではないのですが、少なくともそれを語る語彙の豊かさには感嘆せずにはいられません。 こ
2024年10月、写真家の石川直樹さんがエベレストやK2といった、地球上にある標高8000mを超える14の山すべてに登頂しました。 前編では写真家でありながら14座を目指した想い、ヒマラヤのシェルパの在り方や登山スタイルの変化についてお伺いしました。 後編では、14座に興味を持つ大きな契機となった「偽ピークvs 本当のピーク問題」について。「いろいろ調べていくうちに、面白くなっちゃって」と石川さんが語る、この論争とは? 撮影/藤澤由加 取材・文/よみタイ編集部 ――“偽ピーク問題”?とはどういうことですか? 単純に言えば、これまで8000m峰に登ってきた人たちが、いくつかの山で頂上を間違えていたってことが最近になって仔細に検証され、わかりはじめたということです。 ドローンなどの技術の進歩もあって、本当に高い場所がどこなのか、ビジュアルでもわかるようになったことも大きいと思います。 昔は「認
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回は、「名古屋の長崎ちゃんぽん」から、稲田さんの「ローカルフード周圏論」が提唱されました。 今回は、東西といえば、まずはこの話題。そばとうどんのつゆの違いについてです。 蕎麦という文化① 「あんな真っ黒けなうどん、からいばっかりでよう食わんわ」 これは、関西人が東京の食文化に不満を述べる台詞の古典中の古典です。皆さんもかつて何度となく耳にしたことがあるのではないでしょうか。もううんざりってとこでしょうし、こと最近では、よその食文化を安易にディスるのは良くないこと、という良識がかなり一般化しつつあるので、今となっては炎上案件です。 個人的には、(それがあくまで個人の嗜好に基づく一意見であることをはっきりさせた上でなら)みんなもっと自由闊達に嫌いな食べ物のことを語った方が面白いんじゃないかと思っていますが、そ
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回は、名古屋のローカルフード、あんかけスパゲッティについてでした。 今回は、ご当地「ではない」場所で残るローカルフードから、その料理の本質が逆に浮き彫りになるかも……?というお話です。 ローカルフード周圏論③ 民俗学者・柳田國男が提唱した「方言周圏論」という仮説があります。これは、かつて文化的中心地で話されていた言葉が時代と共に同心円上に伝わっていき、より古い形が外側に残る、という説です。例えば南九州と東北で共通の方言が、今は失われたかつての「京ことば」をルーツに持つものだった、というような例があります。 僕は、食べ物に関してもこれと似たような現象が起こることがあるのではないかと考えています。さすがに方言のように軌跡を辿ることは難しそうですが、ある地方で生まれた食べ物が別の地域にもたらされ、いつしか発祥地
稲田俊輔 イナダシュンスケ 料理人・飲食店プロデューサー。鹿児島県生まれ。京都大学卒業後、飲料メーカー勤務を経て円相フードサービスの設立に参加。 和食、ビストロ、インド料理など、幅広いジャンルの飲食店25店舗(海外はベトナムにも出店)の展開に尽力する。 2011年には、東京駅八重洲地下街にカウンター席主体の南インド料理店「エリックサウス」を開店。 Twitter @inadashunsukeなどで情報を発信し、「サイゼリヤ100%☆活用術」なども話題に。 著書に『おいしいもので できている』(リトルモア)、『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』『飲食店の本当にスゴい人々』(扶桑社新書)、『南インド料理店総料理長が教える だいたい15分!本格インドカレー』『だいたい1ステップか2ステップ!なのに本格インドカレー』(柴田書店)、『チキンカレーultimate21+の攻略法』(講談社)、『
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回に続き、名古屋のローカルフード、あんかけスパゲッティについて考察します。 ローカルフード周圏論② 名古屋で生まれた独特な洋食スパゲッティは、一時はやや廃れそうにもなりましたが、「あんかけスパゲッティ」という名称を得たことで新たにローカルグルメと認知され、ブームに乗って復活・大躍進を果たしました。そしてその躍進の陰で、主流とは異なるタイプのそれは、残念ながら淘汰されていった、というのが前回までの話です。 淘汰された中には、主流のあんかけスパゲッティよりおそらく歴史自体は古いと推定される「ハーブ系」のあんかけスパゲッティがありました。僕がこれに初めて出会ったのは、愛知県ではなくお隣の岐阜県です。 岐阜駅からほど近い場所にあったその店のあんかけスパゲッティは、少なくとも主流のものとは大きく異なりました。とろみ
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る連載。 前回までは3回にわたり「から揚げ」編をお届けしました。 今回は、稲田さんが強烈な関心を持つ、あるローカルフードの誕生についてのお話です。 ローカルフード周圏論① 今回は名古屋の「あんかけスパゲッティ」から話は始まります。あんかけスパゲッティは近年「名古屋めし」のひとつとしてかなり有名になってきましたが、全国的に言えば見たことも食べたこともない人がほとんどでしょうから、まずはざっくりとそれがどのようなものか説明しておきましょう。 あんかけスパゲッティは1960年代に誕生したと言われます。トマトを中心とする野菜のベースに牛ひき肉が加わった滑らかなソースを、太麺のスパゲッティにかけた料理です。ソースは胡椒で極めてスパイシーに仕上げられているのが大きな特徴です。また、そこに片栗粉でとろっとした濃度が付けられているた
重版決定! ポジティブ思考にもネガティブ感情にも振り回されない、新時代の「ごきげん」とは? 【佐久間宣行『ごきげんになる技術』刊行記念インタビュー】 発売前から注目を集め大重版が決定した、テレビプロデューサー佐久間宣行さんの新刊『ごきげんになる技術 キャリアも人間関係も好転する、ブレないメンタルの整え方』。 7月26日に発売となり、さらなる反響が続々と届いています! 「ごきげん」というと、心がウキウキしているポジティブな状態を思い浮かべる人も多いかもしれません。 けれど、「ポジティブ思考はドーピング」「ネガティブ思考こそ人生を一緒に伴走する相棒のようなもの」と考える佐久間さんにとっての「ごきげん」は少し違うようです。 刊行&発売前重版を記念して、タイトルに込めた意図や本書のコンセプト、人生&仕事論をぐっと掘り下げてインタビュー。 聞き手・文/澤田真幸 撮影/角田航(TRIVAL) 仕事だけ
検察官の誘導テクニックは、一流の不動産営業マンに似ている──作家・新庄耕が、プレサンス元社長・山岸忍に聞く【前編】 Netflixシリーズ『地面師たち』の原作や不動産営業マンを描いた傑作『狭小邸宅』で知られる作家・新庄耕さんが、「土地」にまつわる様々な事象や事件を取材する新連載がスタートします。 今回は、2019年に大阪地検特捜部により逮捕され、21年に無罪を勝ち取った、プレサンス元社長・山岸忍さんへのインタビューの前編をお届けします。 (やまぎし・しのぶ)1963年、滋賀県生まれ。同志社大学法学部卒業後、大京観光(株)入社。(株)創生を経て97年に(株)プレサンスコーポレーションの前身会社設立。2020年全国分譲マンション供給戸数トップの業界大手に成長させる。19年12月、大阪地検特捜部に横領容疑で逮捕されるも、21年11月、無罪判決確定。 山岸忍氏の人間性を一言であらわすなら、「不屈の
高橋勅徳さんの新刊『なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか? 異端の経営学者と学ぶ「そこそこ起業」』が注目を集めています。 今回、作家の山下素童さんが「メンズエステの体験レポートで稼ぐ男」のエピソードを入口に、本書を読み解いてくださいました。 本書を手にした山下素童氏 メンズエステの体験レポートサイト 「久しぶり!メンズエステ代を奢るから、体験レポート書いてくれない?」 3年ほど前のことだ。友人Rから久しぶりにLINEが届いたと思ったら、メンズエステの体験レポートの執筆依頼だったことがある。 * 友人Rと知り合ったのは、20代半ばのことだった。知り合いに誘われた飲み会で偶然出会った。当時の彼はいわゆる渋谷のイケてるベンチャーIT企業で人事の仕事をしていた。彼は週に3回も4回も、仕事終わりに渋谷や恵比寿や目黒や五反田のメンズエステに通っていて、つまらない人事の仕事をしている自
博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る短期集中連載。 前回は、大阪VS広島の陰にかすみがちな、日本各地のお好み焼きについて考察しました。 今回からは餃子! 前後編でお届けします。 餃子編① 関東の酢醤油文化 〔餃子の王将〕の餃子が大好きです。特に数年前、メニューに「生姜餃子」が登場してからは、それが僕にとって世界で一番おいしい餃子である、と確信するに至りました。 しかしその話をする度に、僕は周りのグルメな知人たちに軽く嗜められてきました。チェーン店の餃子で満足している場合ではない。世の中にはもっとおいしい餃子の店がたくさんある。……彼らはそう言うのです。そして親切にも、具体的にそんな店の名前と所在地を教えてくれます。 僕はこう見えて案外素直な人間なので、そうやって教えられた店に何軒か行ってみました。確かにどの店もおいしかったです。ひとつひとつが丁寧に作
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