
落雷によって家電が故障してしまう“雷サージ”は、雷が建物に直撃しなくても発生し得るのをご存知でしょうか?
今回は、落雷の影響で20万円近い損害を被ってしまった筆者の体験談と、雷サージの発生条件と対策をご紹介します。
体験談:「まさか自分が」油断した結果、大事なパソコンが……
7月10日の夕方ごろ、東京都内では大雨洪水警報が発令され、雷も轟く悪天候に見舞われました。
落雷によって家電が壊れてしまうのは、知識として知っていたものの「まさか自分が」と思い、パソコンを使用し続けた筆者を悲劇が襲います。
遠目に雷が鳴っていたなか、突然窓の外が光るのとほぼ同時に、耳をつんざくような大きな音が鳴り、近くに雷が落ちた瞬時に分かりました。
すぐに窓を開け周囲の状況を確認し、窓の外からパソコンに視線を戻すとブラックアウトした液晶モニターが……。
「雷で家電が壊れると聞くけど、周囲に被害が出たと聞いたことがない」と高をくくっていた筆者ですが、見事に液晶モニター(2万円前後)とパソコン(17万円前後)、オーディオ機器(1万円前後)が壊れてしまいました。
幸い、雷ガード機能付きの電源タップに接続していた機器は無事だったので、被害は最小限に抑えられたものの、油断した結果は見るも無惨な結果になりました。
モニターは諦めて買い換えましたが、パソコンは修理に出して治るかどうか返事待ちです。
今回、自宅ではなく近所に落雷があり、その結果“雷サージ”と呼ばれる現象が発生したことで、無防備状態だったパソコンやモニターが故障してしまいました。
雷サージとは何なのか、発生条件と対策方法を実際に雷サージ被害を受けた筆者が、ご紹介します。
雷サージとは?
“雷サージ”とは、建物やその周辺に落ちてきた雷によって発生する一時的な過電圧・過電流のこと。
住んでいるマンションなどに直接雷が落ちる可能性はごく稀ですが、周囲に落ちた雷の影響で電力線などを通じて建物内に異常な電流が流れ込み、家電が故障してしまうという仕組みです。
では、雷サージの影響がある範囲はどの程度なのでしょうか?
一般社団法人 全国自治協会の資料「公共施設のための雷害対策ガイドブック」によると「建物の半径2km以内に落雷があると、雷サージによって何らかの影響を受ける可能性がある」とのことです。
音が空気中を伝わる速さは秒速340mです。そのため、雷が光ったのを確認してから6秒以内に音が聞こえた場合は、自宅が雷サージの影響を受けるかもしれないと覚えておきましょう。
「電源プラグをコンセントから抜く」が簡単かつ確実

一般社団法人 家電製品協会の「災害時の注意点」でも推奨されているとおり、雷サージによる故障を防ぐ確実な対策は、雷が落ちる前に「家電の電源プラグをコンセントから抜く」こと。
電源ケーブル以外にも電話線やインターネット回線からも電流が流れることもあるため、心配な場合は接続しているコンセントから全て抜いておくのもおすすめです。
雷が周囲に落ちたあとでは、コンセントから感電する可能性もあるので、天気予報や雲行きを見て早めに対策しておきましょう。
「雷ガード」製品を利用する

電源タップなど、一部の製品では「雷ガード」と呼ばれる機能がついたものが販売されています。
雷ガード製品は、製品の内部に雷サージを吸収する素子が内蔵しており、家電に電流が流れるのを止めてくれます。
接続するだけで雷サージ対策ができますが、製品によって吸収できる素子には限りがあるので注意しましょう。
雷サージ被害は、条件さえ揃えば誰にでも起こり得えるのです。
筆者のように油断して被害に遭う前に、雷が聞こえ始めたらすぐに行動を起こしてくれることを願います。
※BuzzFeed Japanで根強く人気がある記事を再編集して掲載しました。
初出:2025年7月20日