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ブラックフライデー
www.newsweekjapan.jp/ichida
<欧米では重要な政策課題として語られているにもかかわらず、日本では政治家や専門家、メディアでほとんど取り上げられないテーマがある。その一つが「デジタル主権」だ> 近年、日本をのぞくグローバルノースの民主主義国の政治家が口にすることが多い。中国やロシアのような権威主義国は以前からデジタル主権に似たところのあるサイバー主権という概念を提唱してきた。インドは独自のアプローチで中米のデータ寡占への対応策を行っている。 デジタル主権が問題となる理由 各国がデジタル主権や類似の概念を取り上げることが増えた理由ははっきりしている。ひとつはデータが国家として自律的な意思決定にとって欠かせないものとなっているためだ。現在、中国とアメリカの両国は世界に展開するネットサービスを経由して世界中のデータを寡占している。 クラウドだけでなく、IoTのサーバーもそうだ。ロボット掃除機や安価な体組成計やスマートウォッチは
<グローバルノースの民主主義国が世界の中心であった時代が終わった...> これまでの国際世論はアメリカを中心とした欧米、グローバルノースのメディアや著名人によって形成されてきた。たとえば我々はCNN、ニューヨークタイムズ、BBCがアメリカ大統領や科学者の発言を聞いて、それを世界の多数が正当と感じている意見だと感じるし、日本のメディアもそのように報道することが多い。 日本においては、特にアメリカの大手メディアや著名人の言うことを国際世論と感じる風潮がある。 そのためロシアが民主主義国に対して世論操作を行おうとした場合、工作しやすい弱小のメディア、ローカル・メディア、SNSを中心に展開することになる。そこから何段階かを経て、大手メディアや影響力を持つ著名人がとりあげ、社会に広く知られるようになる。 これを整理したのがこの分野で先駆的な調査研究を行ってきたベン・ニモで、彼はデジタルフォレンジック
<AIは誤情報にきわめて脆弱、人間よりもはるかに騙されやすい。やろうと思えばコストパフォーマンス高く汚染を実行し、AIを騙すことができる> 近年、AIの利用が拡大している一方で、AIが人を「騙す」ことも増えてきている。ハルシネーション(幻覚)はその代表例で、存在しない資料や人物、時には判例までもをでっちあげて、あたかもほんとうにあるかのように回答するのだ。 また、システム開発でAIにコードを生成させることも増えているが、そこでも存在しないパッケージを利用するといったハルシネーションが問題になっている。 しかし、逆にAIが騙される事例が増加していることはまだあまり知られていないようだ。 AIを手懐けるLLMグルーミング LLMはラージ・ランゲージ・モデルの略で、ChatGPTなどの最近注目されているAIはLLMである。莫大なデータから学習している。 当然のことながら、学習のもとになるデータが
<トランプのアメリカの再開は、語弊を恐れずに言えば、「アメリカのロシア化」と言ってよい。アメリカは、形勢逆転のためのパワーを手にする> トランプは就任前からお騒がせな発言をしていたが、就任式当日から26もの大統領令にサインして驚かせた。 さらに違法移民の強制送還が始まり、連邦政府のDEI(多様性、公平性、包摂性)事業関連の職員を即時有給休暇にした。 さらには、国務長官が一部の例外をのぞいて(ウクライナや台湾が例外に含まれるかは不明)対外援助を中止すると発表するなど、びっくりするようなことが続いているので、全体としてなにが起きているのかわからない人も多いと思う。 語弊を恐れずに言えば、アメリカのロシア化と言ってよいと思う。中国にも似ている。 3つのパワーを封じられていたアメリカ これまで中露などの権威主義国はさまざまな手段で民主主義国陣営に攻撃を仕掛けてきた。 サイバー犯罪グループやNPO(
<能登半島地震で、SNSの偽・誤情報が救助活動業務の妨げになったという記録は存在しない。偽・誤情報の実害の実態とは?> 能登半島地震における偽・誤情報は桁違いに少なかった 偽・誤情報問題で能登半島地震が引き合いに出されることは少なくない。特にXでの投稿数や閲覧数が話題になる。 本稿ではXについて見てみたい。人工地震や偽の救助要請などの投稿が多く閲覧された、偽救助要請が相次いだなどさまざまな表現で能登半島地震において、偽・誤情報の害が大きかった可能性を指摘している。 しかし、よく注意して見てみると、「氾濫した」、「多くが偽・誤情報」といった表現はほとんどなく、被害についても可能性を指摘するのに留まっているものがほとんどである。被害をとりあげているものも、地震発生後数日して警察が様子を見に来たというものだったりする。 確かにそれは問題だが、深刻というわけではない。 大量に起きていれば話しは別だ
<最近、複数の新聞で「沖縄(琉球)独立」が取り上げられ、注目を集めている。SNSでも関連投稿が増え、人工的に拡散されているとの指摘がある> 注目を浴びる沖縄認知戦 沖縄(琉球)独立という言葉だけ目にすると、沖縄県民の間で独立の気運が高まっているかのように思ってしまうが、実際は主に沖縄の外で話題になっているのだ。そもそもSNSへの投稿の多くは中国語だ。 中国語が堪能な日本人でなければ意味がわからないので、沖縄どころか日本人すら対象ではなかった可能性が高い。 もともと沖縄に対して中国は以前から干渉を行ってきていたが、2023年からそれが増加した。 これまでわかっている範囲では、X、Weibo、Douyin、TikTokなどのSNSで沖縄に関する話題が拡散したことが確認されており、加工された動画などが投稿されていた。 これらの拡散は習近平が2023年6月に沖縄と中国の歴史的なつながりについて言及
デマ情報がきっかけに、英国で極右団体らによる移民排斥デモが拡大した。(8月4日 イギリス)REUTERS/Hollie Adams <英国で7月29日に発生した刺傷事件が発端となった暴動は、各地に飛び火した。この英暴動も偽・誤情報発生時のパターンをなぞっている。メディアは優先的に偽・誤情報を取り上げることで、拡散の手助けをする......> 多くの国で「民主主義への脅威」とみなされている偽・誤情報だが、悪影響がちゃんと検証されているわけではない。偽・誤情報とその対策については多くの調査や論文があり、それらについてのメタ・アナリシスやシステマティック・レビューによれば、方法論などに問題があるものも多く、検証されたとは言えない状況だ。また、以前の記事でご紹介したように偽・誤情報対策がむしろ逆効果になっているという指摘もある。 おそらく中露イランや極右などは、欧米の対策が逆効果になるのをわかった
2024年3月18日、韓国のソウルで開催された第3回民主主義サミット REUTERS/Evelyn Hockstein <日本では首相が民主主義の偽情報は脅威と発言し、EUは厳しい法規制を次々と打ち出している。中露イランが行っている認知戦に対して、民主主義陣営が一丸となって取り組んでいるように見えるが、その対策全体に効果はあるのか......> 2024年4月19日に公開された論文「Beyond misinformation: developing a public health prevention framework for managing information ecosystems」はコロナ禍でのインフォデミックを反省材料にして、インフォデミック予防するためのアプローチを整理したものである。ここで提示されたアプローチはインフォデミックに限らず、広範な誤・偽情報対策としても有効と考
ドイツの極右政党AfDへの抗議と民主主義の保護を求めるデモ 2月25日ハンブルク REUTERS/Fabian Bimmer <ヨーロッパ各国で農家の抗議活動が広がり、ドイツでは首都機能が麻痺する事態に。気候変動基金資金不足による補助金廃止が引き金となり、生活費上昇や気候変動対策への不満が背景にある。極右勢力がこれに乗じて支持を伸ばし、移民問題や政治不信が深刻化している......> ヨーロッパに広がった農家の抗議活動 日本であまり報道されていないが、ヨーロッパで農家の抗議運動が広がっていた。フランス、ギリシャ、イタリア、ポルトガル、ポーランド、スペインと野火のごとく燃え広がっていた。ドイツでは首都ベルリンの都市機能が麻痺する事態にまでなり、郊外の高速道路入り口と主要幹線道路は封鎖された。ただし、現地の市民たちには大きな反発はなく、支持している人が多いようだ。おそらく政府への不満を共有して
偽情報対策を政治が押しつぶそうとしている...... McLittle Stock-shutterstock <日本が偽情報対策先進国とみなすアメリカでは偽情報対策への反動が起きている。偽情報対策を政治が押しつぶそうとしている。> アメリカの偽情報対策は効果ではなく、政治的効果が優先されている 先日、日本政府はNATOとの協力を強化することを発表し、そのひとつとして偽情報対策もあげていた。しかし、日本が偽情報対策先進国とみなすアメリカでは偽情報対策へのバックラッシュが起きている。偽情報対策を政治が押しつぶそうとしている。偽情報、デジタル影響工作の根本は国内問題であり、そこから目を背けて海外からの干渉にだけ集中しても効果はできない。効果が出たと思っても次から次へと別の問題が発生する。なぜなら国内問題が解決されない以上、問題はつきないからだ。自国で行っている研究活動を自国の政治家が潰そうとする
マーケットでアクセス権を販売する業者はIAB(イニシャル・アクセス・ブローカー)と呼ばれる...... Artem Oleshko-shutterstock <マルウェアを使わない侵入が主流になりつつある......> ランサムウェアを始めとするサイバー攻撃は脅威であり続けているが、システムに侵入する方法に変化があらわれている。 コロナによってリモートワークが普及したこともあって、従来のメールを侵入口とする方法からリモートアクセスに使われるRDPやVPNから侵入する方法が増加したのだ。これは世界的に見られる現象で、CrowdStrikeのレポートによれば全体の71%がマルウェアを利用しない侵入に変わっている。日本でもRDP(19%)とVPN(62%)が侵入の多数を占めるようになっており、毎年発表される情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威」でもテレワークを狙った攻撃があげ
現在、格差の下位にいる人々がまとまって影響力を行使することは難しい...... Ink Drop-shutterstock <情報戦への対処が安全保障上の要請である以上、対抗策としての格差への対処もまた安全保障上の課題だ。民主主義国である以上、格差は安全保障上の弱点につながる......> 世論操作のターゲットは政治、経済、文化面で不可視にされた人々 情報戦、フェイクニュース、偽情報、ナラティブ戦、認知戦、デジタル影響工作といったネットを介した世論操作は相手国の国内にある問題を狙うことが多い。その問題は相手国ですでに国内の問題として存在し、分断と混乱を生んでいる。そのためどこまでが他国からの世論操作によるものなのか、自国の国内問題なのかという判別は難しい。 すでに国内問題として深刻になっていた以上、「平和で安全な社会にロシアが偽情報やナラティブを撒き散らして混乱が起きた」といったとらえ方は
防衛3文書には防衛省が認知戦を行うことが書かれている......(写真はイメージ) Bill Chizek-iStock <新しい防衛3文書には防衛省が認知戦を行うことがはっきりと書かれている。防衛省が世論操作を行うことの是非は、ここでは行わない。気になるのは効果的に実施、運用できる体制の有無である......> 新しい防衛3文書が公開されたことで国内外に波紋を呼んでいる。話題の中心は日本が敵基地攻撃、反撃能力、能動的サイバー防御を持つことについてが多いようだが、今回はそこではなく認知戦、デジタル影響工作について考えてみたい。 防衛3文書の公開に先だって防衛省がSNSとAIを利用して国民に対して世論操作を仕掛けるという記事が共同通信から配信され、話題となっていた。防衛3文書には防衛省が認知戦を行うことがはっきりと書かれており、このふたつの動きは連動しているものと考えてよいだろう。 委託先の
ドイツでのクーデターを企てた組織で、「ハインリヒ13世」を名乗る主犯格の1人 Tilman Blasshofer/Reuters <ゆるいネットワークでつながった陰謀論者たちが武装化して過激になってきている。過去の過激派との違いは深刻であり、従来の方法論では食い止めることのは難しい......> ドイツのクーデター未遂事件は世界に衝撃を与えた。事件に関して、さまざまな記事や分析が公開されているが、この事件の背景について触れているものは少ないようなので紹介してみたい。この事件は大きな流れの一部であり、長い戦いになることが予想される。 事件のあらまし 2022年12月7日、ドイツでクーデターを計画したとして25人が逮捕された。捜査はドイツを中心にイタリア、オーストリアでも行われ、3,000人以上の特殊部隊、警官が動員され、130(一部報道では150)の施設が捜索された。リーダーはハインリッヒ1
中国はデータを戦略資源と位置づけ、さまざまな手段を用いて収集してきていた...... REUTERS/Florence Lo <中国政府はさまざまな方法で世界各国からデータを入手しているが、大きく3つの手法を用いている......> 中国は世界各国から技術などの貴重な情報をさまざまな方法で入手している。なぜかあまり話題にならないのが、データ移転=データ・トラフィッキングである。ZOOMやTikTokの内容が中国当局に漏れていたことは有名だ(NW過去記事)。 日本ではLINEのデータが中国当局に閲覧可能であることが暴露された。そもそも中国当局は2017年の国家情報法によって中国当局は必要に応じて個人や企業などの保有するデータを入手することが可能になっている。中国国内にデータがあることが漏洩する可能性を意味している。ZOOMやTikTok、LINEはあくまで氷山の一角にすぎないのだ。それにもか
サンフランシスコのGoogleオフィスの外で行われた抗議集会...... REUTERS/Paresh Dave <「グーグルは正義よりも人種差別を選んだ」......暴露されたイスラエル政府とのプロジェクト・ニンバス、中国とのプロジェクト・ドラゴンフライ> なぜか日本ではグーグルに関するネガティブな情報があまり報道されない傾向がある(わずかに報道されることもあるが)。2022年7月24日、The Intercept_誌はグーグルのプロジェクト・ニンバス(Nimbus)の隠された事実を暴露した。プロジェクト・ニンバスとは、イスラエル政府からグーグルとアマゾンが受注した12億ドル(約1,700億円)のクラウドコンピューティングの名称である。 以前からイスラエルはパレスチナ人に対する監視システムを構築、運用していたが、それがプロジェクト・ニンバスによってさらに高度になるのではないかという懸念が
<カリフォルニア大学のグループが行った調査で、半数以上が数年以内にアメリカで内戦が起きると回答した......> 日本ではほとんど報道されることはないが、アメリカでは多くの国民が内戦を現実起こり得る脅威として認識している。カリフォルニア大学のグループが行ったアメリカ全土を対象にした調査では、半数以上が数年以内にアメリカで内戦が起きると回答したほどである。 アメリカが内戦の危機に直面していることを示した書籍『How Civil Wars Start』はベストセラーになっている。著者のBarbara Walterは30年間内戦を研究し、CIAの諮問機関Political Instability Taskforceに所属していたこともある。この分野の専門家の指摘とあって、さまざまなメディアで大きく取り上げられ、注目されている。 世界各地の武力衝突をモニターしているArmed Conflict L
はっきりとロシアを非難している国、人口は多くない...... REUTERS/Anton Vaganov <ロシアは情報戦で負けた? ロシアが発信するメッセージの浸透力は国際世論を形成するメディア並に拡大している> 先日、ウクライナで繰り広げられている情報戦を中心にまとめた『ウクライナ侵攻と情報戦』(扶桑社新書)を上梓した。その中で、ロシアが行っている情報戦、デジタル影響工作について分析を行った。最近の新しい情報を反映して、その部分をご紹介したい。 実は多数派ではなかったウクライナ支持 ウクライナ侵攻に当たってロシアがさまざまな偽情報を流していたことをご存じの方も多いだろう。それらはすぐに検証され、ウソを暴かれ、メディアなどで指摘された。世界に広がった反ロシアの声は今でも衰えていない。2022年3月初旬までは、「ロシアは情報戦で負けた」、「デジタル影響工作は成果をあげなかった」との認識に基
既存の暗号通貨にはマイナスのインパクトになる可能性が高い...... Pineapple Studio-iStock <デジタルドルとデジタル人民元の覇権争いになるのは間違いなく、これまでにはない戦いとなるだろう......> 世界90カ国、GDP90%以上が中央銀行デジタル通貨プロジェクトを推進 2022年3月9日、アメリカ大統領バイデンは、暗号通貨(仮想通貨)に関する大統領令にサインした。これまでアメリカは暗号通貨に慎重な立場を取っていたが、一転して早期に具体的な検討に入ることとなった。政府が発行する暗号通貨は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)と呼ばれ、国の通貨となる。 CBDCでは、すでに実験段階に入っている中国のデジタル人民元が有名だが、他にナイジェリアなどの9カ国が導入を果たしている。2021年12月の段階で実験段階の国は15カ国におよび、開発中の国は16カ国、40カ国が具体的な
<北京オリンピックで関係者および観客に対してインストールが義務づけられているアプリ「MY2022」に個人情報漏洩のリスクと技術的な脆弱性が見つかった> 人権問題やコロナでゆれる北京オリンピックで、新しい問題が発見された。北京オリンピックで関係者および観客に対してインストールが義務づけられているアプリ「MY2022」に個人情報漏洩のリスクと技術的な脆弱性があった。サイバー空間での人権についての調査研究を行っているカナダトロントのシチズンラボがレポートを公開した。すでに中国当局にも連絡済みだが返事はなかったという。 観客、報道関係者、選手などが必ずインストールしなければならない 問題のアプリ「MY2022 Olympics app」は、北京オリンピック組織委員会が開発したもので、アプリストアの情報では北京金融控股集団有限公司(Beijing Financial Holdings Group)と
アメリカはガラスの家に住んでいることに、ようやく気がついて方向転換しようとしている...... Smederevac-iStock <なぜ、アメリカは今そこにある危機に対して有効な手を打てないのだろう? そこには30年続いたアメリカのサイバー戦略の失敗があった> 今そこにある危機に対処できないアメリカ 中国がハッキングによって知財を剽窃していることや、ロシアがネット世論操作を行って選挙に干渉していることなどがアメリカにはわかっていたにもかかわらず、有効に対処できなかった。同様にISISなどネットを使いこなすテロリストに対する対処も後手に回っている。なぜ、アメリカは今そこにある危機に対して有効な手を打てないのだろう? そこには30年続いたアメリカのサイバー戦略の失敗があった。 Foreign Affairs2022年1月/2月号でアメリカのサイバー戦略の失敗についての特集「Digital D
アマゾンのジェフ・ベゾスは宇宙にコロニーを作って地球を守ろうという...... Blue Origin <ビッグテックは新しい世界を拓こうとしているが、それは決して人類の可能性を追求するためではない......> ジオン・ダイクンは正確には、「ジオン・ズム・ダイクン」という機動戦士ガンダムシリーズの登場人物だ。登場回数は少ないものの、作品の背景となるジオニズムと呼ばれる思想を提唱した重要人物である。宇宙移民の独立を訴え、宇宙時代に合った新しい人類=ニュータイプの誕生を予言した。くわしい説明は省くが、宇宙時代における新しい思想と国家のあり方を提示した人物と言ってよいだろう。 機動戦士ガンダムシリーズは、宇宙移民と地球連邦との対立という比較的古典的な構図で成り立っているが、現実の世界では国家とならぶ地政学上のアクターとなったビッグテックが事業拡大の一環として宇宙に触手を伸ばし始めている。宇宙へ
AIが偏見を持つことは知られるようになってきたが、統計や計算社会学についても偏った結果が出る危険がある Artem Peretiatko-iStock <研究サプライチェーンが産み出す偏った「科学的事実」> 今回は大量のデータを用いた統計や計算社会学が偏りを生む危険性についてご紹介したい。大きく2つの理由があげられる。ひとつはデータと解釈の問題、もうひとつは研究サプライチェーンの問題である。研究サプライチェーンとは、研究を行うために必要なデータ、電力、設備、資金、物理的原材料などのサプライチェーンのことである。 研究はそれだけで独立して存在しているのではなく、それを支えるデータや設備や資金が必要だ。マイクロソフトリサーチの上級首席研究員であり、AIナウの創設者であるケイト・クロフォードは、著書『Atlas of AI Power, Politics, and the Planetary C
<タリバンは針の穴を通すようにSNSのルールをうまくかいくぐって利用し、それが洗練され、高度であることから、少なくともPR企業が支援しているのだろう...... > 2021年夏、タリバンの攻勢が強まるにつれ、ツイッターでのプロパガンダ活動も活発になっていった。デジタルフォレンジック・リサーチラボのレポートはタリバンのスポークスマンであるZabiullah Mujahid(@Zabehulah_M33)のツイートのエンゲージメントが8月15日のカブール制圧でピークに達したとしている。 40万人以上のフォロワーを持つこのアカウントに対するエンゲージメントは、いいね!やリツイートだけではなかった。ツイートの74%は他のツイッターアカウントに「copypasta」(コピペ)されていた。「copypasta」のほとんどは1~2分以内に行われており、自動的にツイートされたものである可能性が高い。 タ
利用者が無料ネットサービスの商品ならば対価としていくらもらえる? REUTERS/Regis Duvignau/ <これまでの労働が「現在の自由」を渡すことだとしたら、ネットサービス利用という労働は「未来の自由」あるいは「選択の自由」を渡すことだ> ネットビジネスの変化に追いついていない私たちの常識 かつてグーグルは「検索機能」を商品として提供していた。日本のヤフーやビッグローブもその顧客でグーグルに金を払って検索機能を自社のサイトで利用していた。私たちは無料で高機能のサービスを受けられることをラッキーと感じていた。New York Timesによると、当時のグーグルは検索エンジンとしてトップの座についたものの広告収入はまだ小さく、ビジネスモデルの変革が求められていた。 その後、グーグルは広告収入中心のモデルへの変革に成功し、現在はアメリカのデジタル広告市場でトップシェア29%を占めるまで
ファクトチェック機関の収入源は限られており、フェイスブックやグーグルはそこに甘い餌を撒いているmillionsjoker-iStock <ファクトチェック老舗Snopesが他社の記事を剽窃していたことを報じた。もっとも信頼できるメディアとみなされてきたので、このニュースはファクトチェック関係者に衝撃を与えた...... > 2021年8月13日にBuzzFeedNewsがファクトチェック老舗Snopesが他社の記事を剽窃していたことを報じた。New York Timesもこの事件を取り上げ、剽窃が60件だったことを伝えた。剽窃を主導していたのは創業者でCEOのDavid Mikkelsonだった。Snopesはファクトチェックの草分けであり、もっとも信頼できるメディアとみなされてきたので、このニュースはファクトチェック関係者に衝撃を与えた。問題となった記事はファクトチェックではなく、同サイ
Facebook内の偽情報が問題になってから久しい...... REUTERS/Gabrielle Crockett <フェイクニュースを戦闘行為以外の戦争方法のひとつ=影響工作(Influence Operations)として位置づけて考える必要がある> フェイクニュースから影響工作へ フェイクニュースという言葉は2016年のアメリカ大統領選挙で一気に有名になり、それ以来メディアなどでも多く取りあげられるようになった。多くのメディアはフェイクニュースそのものに注目したが、2016年のアメリカ大統領選挙への干渉がそうであったようにフェイク以上に安全保障上の問題であった。 その全貌を把握し、対処するためにはフェイクニュースを戦闘行為以外の戦争方法のひとつ=影響工作(Influence Operations)として位置づけて考える必要がある。フェイクニュース(disinformationやmi
米中で行われたコロナ起源説合戦は多くの人々に影響を与えた...... REUTERS/Henry Nicholls <コロナの起源に関して公開された情報、特に米中のコロナ起源説合戦を整理する。この中で日本のメディアが重要な役割を果たしていた...... > 今回はコロナの起源に関して公開された情報を整理してご紹介したい。2020年に関しては主として、デジタルフォレンジックサーチラボ(DFRLab)とAssociated Pressの共同調査「WEAPONIZED」を中心に整理し、その後については各種資料から確認した。詳細は年表に付したリストを参照いただきたい。見にくい方は拙ブログに一覧を掲載したのでそちらをご参照いただきたい。 コロナの起源について各種資料を収集、確認した。多くの専門家の意見の共通した意見が、「確定的なことを言えるだけの情報はなく、今後も見つかるかどうかはわからない。今の段
<アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド5カ国の諜報情報共有のための仕組み「ファイブアイズ」に日本が参加すると取り沙汰されているが、参加することの意味を考える> 日本のファイブアイズ参加の厳しい現実 数年前から日本がファイブアイズに参加するという話題が日本国内あるいは海外で出ている。ご存じの方も多いと思うが、ファイブアイズはアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド5カ国の諜報情報共有のための仕組みである。 日本では河野太郎が繰り返しファイブアイズへの参加意欲を示している(時事通信、2020年10月23日)。最近ではThe Diplomat誌 に「Integrating Japan Into an Expanded 'Five Eyes' Alliance」(2021年4月22日)と題する記事が掲載された。 しかし、独自の対外諜報機関がない、法的な縛
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