モデルとして活動する女性が、インスタグラムに電車で撮影した動画を投稿した。そこに映っていたのは、彼女にこっそりとカメラを向ける男の姿だった。
投稿には、男の行動を疑問視する声が寄せられている。
ギャビーさんは、この出来事から数年たった9月16日、動画を投稿した。その理由について、こうつづっている。
「とても大切な問題なので、動画を投稿することにしました。こうした出来事がどれほど起きているのか、きちんと理解されていません」
「女性が自分のために立ち上がったり警戒心を持ったりすることに、“無礼”と言う人がいます」
「ですが、そうしなければいけない理由があるんです」
ギャビーさんは、自分の写真を男が拡大して見ていることに気づいたときは「尊厳を踏みにじられたような気分だった」と語っている。
注意をしたときの心境については、「手が震えていて、涙があふれそうでした。席に戻ったときには、すっかり泣き崩れてしまいました」と振り返った。
ギャビーさんは最後に、女性たちにこう呼びかけた。
「この出来事から学んだことがあります。自分の身を守り、自分自身のために立ち上がってください」
「女性がこのようなハラスメントを受けていい理由は、ありません」

動画で、ギャビーさんに注意された男は「すみません、嫌な気持ちになったんですね」と返している。
しかしコメント欄には、「謝罪になっていない」「自分が悪いのではなく、相手の感じ方の問題として捉えている」といった指摘が寄せられた。
動画には、次のようなコメントも寄せられている。
💬「女性の“見た目”や“服装”を理由に、問題を軽視する人が男女関係なくたくさんいて、驚きます。この男の行動は、決して許されないことです」
💬「運転士や駅員に伝えたほうがいいと思います。(性犯罪や隠し撮りは)同じ人が習慣的にしている可能性が高いですから」
💬「私と娘も同じ目に遭いました。娘が私たちを隠し撮りしている男に気づいて呼び止めたんです。男は私たちの後ろの『夕暮れを撮影していた』と言いましたが、娘は『スマホに私たちが写っているのが見えた』と言い、フォルダだけでなくゴミ箱からデータを消去するところまで確認しました。娘の行動を誇りに思います」

日本でも、性被害が軽視される風潮は残っている。
しかし、東京都生活文化局の「令和5年度 痴漢被害実態把握調査報告書」によると、電車内や駅構内で痴漢に遭った人のうち、「たいしたことがないと思った」と回答したのは、わずか6%にとどまる。
また、盗撮の被害に遭った人のなかには、トラウマを抱えて日常生活が困難になったり、仕事を辞めざるを得ないケースもあり、その影響は決して見過ごせるものではない。
2023年7月13日から「撮影罪(性的姿態等撮影罪)」が施行され、これまで各都道府県に委ねられていた盗撮に対する処罰が、全国一律で定められることとなった。
相手の同意なしに性的な部位や下着を撮影する行為や、データの所持や譲渡が処罰の対象となっている。
ただし、今回のように性的な目的であることが明確でない無断撮影や隠し撮りは、撮影罪に該当しづらいのが現状だ。
とはいえ、目的が何であれ本人の許可なく撮影する行為が不快極まりないことは、言うまでもないだろう。