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サウジアラビアの洞窟で発見された7体のうちの1体。チーターの全ゲノム解析を行ったところ、現存するチーターの2つの亜種に近いことが分かった。(AHMED BOUG ET AL./COMMUNICATIONS EARTH & ENVIRONMENT) 2022年、サウジアラビアの人里離れた奥地の洞窟群の中で、研究者たちが驚くべきものを発見した。チーター(Acinonyx jubatus)のミイラだ。洞窟の乾燥した環境のおかげで、7体のチーターのミイラが最長でおよそ2000年もの間、ほぼ完璧な状態で保存されていた。研究者たちはさらに、約4000年前のものを含む50体以上の遺骨も発見し、遺伝子を解析した結果を2026年1月15日付で学術誌「Communications Earth & Environment」に発表した。 「最初はなぜチーターがそこにいたのか分かりませんでした。これまで洞窟で暮らす
読書はストレスを軽減し、認知機能の低下をゆるやかにし、さらには寿命を延ばす効果があることが、数多くの証拠によって示されている。(Daniel Garrido, Getty Images) 年の初めには、多くの人が今年こそもっとたくさん本を読もうと決意し、新しい本を枕元に置いたり、オーディオブックをダウンロードしたり、古い図書館の会員カードを引っ張り出したりする。もう一度読書に挑戦しようという気持ちが芽生えるのは、本を読めばきっと心が穏やかになり、好奇心が満たされ、しばしの間現実から逃避できるだろうと考えるからだろう。(参考記事:「新年の「健康」目標の落とし穴、おすすめの習慣とダメな習慣とは」) しかし近年、研究により、読書にはわれわれが思っている以上に強力な効果があることがわかってきた。事実、定期的に本を読むことは、ストレスの軽減、記憶の強化、認知能力の衰えや認知症の防止、さらには長寿とも
米国ロサンゼルスのグリフィス公園で撮影したコヨーテ(Canis latrans)のペア。ほとんどの動物と異なり、コヨーテはたった一匹のパートナーと一生を添い遂げる。(PHOTOGRAPHER SEAN CRANE, MINDEN PICTURES) 長年連れ添ったパートナーを失う痛みを感じるのは人間だけではない。約10年前、コヨーテ(Canis latrans)が一生にたった一匹の相手と添い遂げることが明らかになった。最近の研究ではさらに、その生涯にわたる愛のより悲しい側面、つまり、パートナーに先立たれた悲しみへと焦点が移っている。 「これは喪失で何が起きるのか、そしてそれが悲嘆に暮れる人々の回復にどうつながるのかを理解する機会です」と、米ユタ州立大学の生物学准教授を務める神経科学者のサラ・フリーマン氏は語る。氏は、パートナーを失ったコヨーテでは、人の脳にもあるストレスホルモンに関わる受容
プラスチックが健康に与える影響については、まだ研究が進められている最中だ。プラスチック容器に入った食品を電子レンジで加熱することについて、専門家はどう言っているのだろうか。(Rebecca Hale, National Geographic) プラスチックは、空気や食品、水の中にも紛れ込んでいる。海に流れ込むプラスチックの量は毎年1100万トンと推定され、2040年にはその約3倍になると見込まれている。また、マイクロプラスチックは、私たちの脳や肺、消化管、胎盤からも検出されている。人体への影響についてはまだよくわかっていないなか、心臓発作や脳卒中、腸疾患や呼吸器疾患のリスクが上がる可能性を示唆する研究も出始めているが、プラスチックが健康を害したり悪化させたりするとの因果関係を証明するには、さらなる研究が必要だ。(参考記事:「脳から「衝撃的」な量のマイクロプラを発見、認知症ではより多く」)
スネークテール・マンティスのオス(写真左)が、自身の存在に気づいていないメス(同右)に接近している様子。求愛の動きはごくわずかで、オスがメスの背中へ飛び乗ると突然終わる。(VIDEO BY OSCAR MAIOGLIO) カマキリのメスは、交尾中や交尾後にオスを食べることで悪名高い。しかし、オスが精巧なダンスを披露し、その運命を回避する小型のカマキリ「ドワーフ・マンティス」の新種を科学者たちが発見し、2025年11月24日付けで学術誌「Ethology Ecology & Evolution」に論文を発表した。 求愛ダンスの間、オスは腹部を時にはヘビがとぐろを巻くようにしなやかに、またある時にはガラガラヘビの尾のように小刻みに震わせる。この独特な行動から、本種は「スネークテール・マンティス」(Ameles serpentiscauda)と名付けられ、新種として記載された。 「ドワーフ・マン
フィットネスの専門家の中には、ストレッチは運動前に行うべきだと言う者もいれば、運動後にやるのが重要だと主張する者もいるが、最良のストレッチ法についてのまとまった科学的な提言がついに発表された。(FRESHSPLASH, GETTY IMAGES) 日々のストレッチが大切だとは知っていても、どういうやり方が適切かわからないという人もいるだろう。それも無理はない。この問題に関しては、フィットネスの専門家の間でさえ常に意見が一致してきたわけではないからだ。 ストレッチは運動の前に行うべきだと言う人もいれば、運動後の方が効果的だと言う人もいる。さらにはストレッチのやり方も静的ストレッチ、動的ストレッチ、パッシブ(アシステッド)ストレッチなどさまざまだ。 「ストレッチはおそらくもっとも誤解の多い運動のひとつでしょう」と語るのは、米国運動協議会のCEOを務める生理学者のセドリック・X・ブライアント氏だ
フランスのラ・シャペル・オ・サンツで発見された化石に基づいて復元されたネアンデルタール人の像。先史時代にネアンデルタール人とホモ・サピエンスが交雑したとき、その組み合わせはホモ・サピエンスの女性とネアンデルタール人の男性に偏っていた可能性が高いと示唆する研究が発表された。(S. ENTRESSANGLE/E. DAYNES/SCIENCE PHOTO LIBRARY) ネアンデルタール人の男性は、ホモ・サピエンスの女性に強く惹かれたのかもしれない。あるいは、ネアンデルタール人の男性は、ホモ・サピエンスの女性にとって非常に魅力的だったのかもしれない。これは2月26日付けで学術誌「サイエンス」に掲載された研究から導かれる解釈の1つだ。研究チームは、かつてネアンデルタール人とホモ・サピエンスが交雑したとき、その組み合わせは主にネアンデルタール人の男性とホモ・サピエンスの女性だったと発表した。 ネ
台湾の南部に、世界有数の自然の驚異に出合える場所がある。毎年冬になると、茂林(もりん、マオリン)の枝や茂みは数万匹のチョウで覆い尽くされる。運が良ければ、普段はくすんだ茶色に小さなピンク色の斑点が付いた翅が、飛び立つと青と紫色に変わり、森全体が生き生きとした虹色のモザイクのように輝き出す様子が見られるかもしれない。 茂林にある7つの谷は、台湾に生息するマルバネルリマダラ(Euploea eunice)、ルリマダラ(E. sylvester)、ツマムラサキマダラ(E. mulciber)、ホリシャルリマダラ(E. tulliolus)という見た目がよく似た4種のルリマダラ属のチョウが越冬しにやってくる場所としてよく知られている(編注:以下ではこれら4種をまとめて「ルリマダラ」と呼ぶ)。 毎年10月になると、数十万匹のチョウが、茂林など自然豊かな南部の谷に集まってくる。そして翌年の春、卵を産み
2025年10月、米国フロリダ州にあるオクラワハ湖(ロッドマン貯水池)の鉄の水門が開けられ、セント・ジョンズ川に水が放出されると、水没していたかつての森が幽霊のような姿を現した。冬になる頃には、3~3.6メートルの高さで折れた数千本の樹木の残骸が、黒々とした湖を背に白い骨のように浮かび上がった。湖ができる前、ナラやニレ、アメリカハナノキ、ヤシが生い茂る沼地だったあたりだ。 かつての川の流れに沿って、水がこんこんと湧き出ている場所があった。湖ができたときに20の泉が水没したとみられている。水を抜いたことで、そのうちの2つ、タバコ・パッチ・スプリングとキャノン・スプリングが姿を現したのだ。
74歳のアルツハイマー病患者の脳画像。脳の萎縮が引き起こされ、脳室(脳中央の白い部分)と周囲(淡い青色の部分)が広がっている。こうした脳の縮小が記憶喪失、混乱、性格の変化につながる。(ZEPHYR/SCIENCE PHOTO LIBRARY) 近年、科学者らはこんな疑問を抱き始めている。「アルツハイマー病は、単なる脳の病気ではないのではないだろうか?」 アルツハイマーは、世界中で数千万人がかかっている最も一般的な認知症だ。その決定的な特徴は、脳内にアミロイド斑(プラーク)やタウ線維のもつれを生じさせるタンパク質が蓄積する点だ。この蓄積に続いて神経細胞が死滅し、記憶障害や気分の乱れ、行動の変化が生じる。 しかし、研究者や医師らは数十年前から、ある奇妙な現象に気づいていた。がん患者はアルツハイマー病を発症するリスクが著しく低く見える一方で、アルツハイマー病患者の中には、がんにかかる人があまり多
新種スピノサウルスの狩りの様子を復元したデジタル動画。(ANIMATION: DANI NAVARRO AND DAVIDE LA TORRE, THE UNIVERSITY OF CHICAGO) サハラ砂漠の中央部に照りつける太陽の下、ニジェールのジェンゲビという化石発掘現場で作業をしていたダニエル・ビダル氏は、地面から突き出た不思議な形の骨を見つけた。三日月刀のように湾曲し、最初は恐竜の椎骨に見えた。だが詳しく調べた結果、約9500万年前にこの地域の河川生態系に生息していたスピノサウルスの頭の「クレスト」(突起)だとわかり、2月19日付けで学術誌「サイエンス」に発表した。 「本当に驚きました」とビダル氏は言う。氏は米シカゴ大学の古生物学者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)である同大学の古生物学者ポール・セレノ氏の研究チームのメンバーだ。「まるでユニコーンです
いつの時代も私たちはネコに夢中。人はいつからネコと暮らし、どんな関係を築いてきたのでしょうか。毛色と性格の関係や猫カフェで見えた表情の多様さ、未来のネコの姿まで――読めばもっとネコが好きになるナショジオの「ネコ記事」をまとめました。 人はいつからネコを飼うようになったのか、定説覆す驚きの発見 古いネコの骨のDNAを分析した研究から、従来の説とは異なり、現在のイエネコの起源は中東ではなく、ヨーロッパにやってきたのも石器時代ではないことが明らかになった。
2018年8月に打ち上げられたNASAの探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」は、金星と太陽の引力の助けを借りて航行することにより、史上最速の人工物となった。それでもまだ、その最高速度は光速の1%にも満たない。ワープ航法により、われわれはより速く移動できるようになるのだろうか。物理学者たちは現在、その実現に取り組んでいる。(Bill Ingalls, NASA) 約60年前、TVシリーズ『スター・トレック』が放送されて以来、人々はある夢を抱くようになった。いつの日か人類は光よりも速い「ワープ航法」によって銀河を旅するようになるだろう、と。未来の人類は、宇宙船に飛び乗ってあっという間に遠い恒星へ行けるという発想は、やがて多くの映画やTVシリーズ、書籍などに登場する定番の設定となった。そして今、そうした作品を見て育った科学者たちが、時空そのものを曲げることでワープ航法を現実のものにしようとして
不妊治療クリニックで、体外受精に使用されるシャーレ。(Sophie Stieger, 13PHOTO/Redux) 体外受精は、時間がかかり、不確実で、多くの人が精神的な負担を感じている。しかも高額な費用がかかるわりに、望んでいた結果が得られるとは限らない。 それでも、米国では新生児の約2%が体外で受精させる技術によって生まれており、今ではごく一般的な治療法になっている(編注:日本産科婦人科学会によると、日本で2023年に体外受精で生まれた子どもは8万5048人。新生児の約12%、およそ9人に1人にあたる)。また、約40年前に初めてこの技術が登場してから、これまでに世界で1000万人の体外受精児が誕生している。 そして今、人工知能(AI)によって体外受精の新しい時代が幕を開けようとしている。健康な精子を特定し、胚(受精後まもない段階)の状態を評価し、その成長を追跡する技術の開発など、最近の
眠れなくて苦しい。でも睡眠薬を服用するとボケるという噂が……。治療しないことも脳に悪いと聞く。いったいどうすればよいのか? 患者さんのみならず睡眠専門医も悩ますこの三角関係の回答につながる幾つかの新しいデータが登場した。 不眠症、睡眠薬、認知症をつなぐリンクの中央に、このコラムでも何回か取り上げた脳のリンパ系「グリンパティックシステム」がある。 第61回「脳の掃除は夜勤体制」では、グリンパティックシステムが神経細胞から出た老廃物を脳脊髄液に乗せて脳外に排出する役割を果たしていることを解説した。その詳細は過去記事を読んでいただくとして、注目を浴びたのはグリンパティックシステムが夜間睡眠中、特に深いノンレム睡眠中に活発となり老廃物の排出効率が高まる点である。日中の脳活動で生じた老廃物の中にはアミロイドβなどアルツハイマー病の原因物質も含まれており、実際、睡眠時間が短いと脳外に排出されるアミロイ
フラストレーションは否定的に捉えられがちだが、脳の脅威や報酬の処理に関わる部位を刺激し、困難への適応を助けてくれる。(PHOTOGRAPH BY CAT BOX, SHUTTERSTOCK) 私たちは日常的にイライラする。体重がちっとも減らない。行列が進まない。Wi‑Fiがつながらない。大きな目標からささいな不便まで、イライラは生活のあらゆる場面に入り込んでいる。 心理学者によれば、こうしたイライラした感情は、一時的な不快感にとどまらない。不安やうつに比べるとあまり深刻に扱われないが、フラストレーション(欲求不満)は脳や体に波及し、攻撃性やストレス、人間関係の悪化を招くことがあると、オランダ、ユトレヒト大学の発達心理学准教授オディリア・ラカーレ氏は指摘する。実際、職場で最もよく経験する感情でもある。 しかし近年、意外にもこのイライラの良い面が明らかになりつつある。私たちが学び、適応し、成長
さて、本連載の最後に、藤井さんの個人史について、もう一度、立ち戻ろう。 藤井さんは、土の研究を始めて20年以上にわたって、ひたすら土を掘ってきた。しかし、実際には、理論派で、いわば理論土壌学のようなものに近づきたいと願っているという。 「スコップ持って現場主義みたいな顔をしていますけど、実際には、紙と鉛筆で研究する理論物理のように、土の中で起きていることを化学反応式で描けるようにしたいという憧れがあるんです。大学の学部生の頃に、『岩が土になる反応式って書けるんだ』と教えてもらった式は、僕の中では今も大切なものです。ケミストリーが世界をどう支配しているか知りたいというのはゆるぎないものがあります」 その思いが高じて、最近出した一般書にもその反応式を載せた。化学反応式がひとつでてくると、読者ががくっと減るという定説があるそうなのだが、それをものともせず、「岩が土になる反応式」、つまり、鉱物が酸
体重5キロの「凍った」爬虫類が目の前で頭から真っ逆さまに落ちてくることなど、まずありえないだろう。しかし真冬の寒い時期、米国フロリダ州ではそんなトカゲたちに遭遇するかもしれない。グリーンイグアナだ。 フロリダ州にとって外来種のグリーンイグアナは、1960年代に持ち込まれ、今では州の南部から中部にかけてすっかり定着している。トカゲのなかでは西半球最大で、鋭い歯と、鞭のように強力な尾を持つが、動きが緩慢で、普段はおとなしい。そして、寒波に襲われると突然代謝にブレーキがかかり、体が動かなくなって、ただのうろこの塊と化す。(参考記事:「コスタリカ昆虫中心生活 オレンジ色のグリーンイグアナ」) 2026年2月1日、米国フロリダ州マイアミの住宅地でイグアナを手にする人。この日、寒冷前線がフロリダ州南部を通過していた。(Photograph by Alfonso Duran)
米海軍特殊部隊の訓練の一環として行われる水中サバイバル訓練の様子。両手と両足をそれぞれ縛られたまま、水中で垂直に浮かんだり沈んだりする過酷な訓練で、冷静さを保ち、闘争・逃走反応を抑えられるよう、呼吸をしっかりコントロールすることが求められる。 (PHOTOGRAPH BY RICHARD SCHOENBERG, CORBIS/GETTY IMAGE) かつて米海軍の特殊部隊SEALsやFBI捜査官として活躍したエロル・ドウブラー氏は、キャリアを通じて呼吸法を活用してきた。SEALsでのサバイバル訓練や、2010年のアフガニスタンでの特殊作戦、さらには外傷性脳損傷の後遺症に向き合う中でも軍仕込みの呼吸法が支えとなった。 しかも最近では、育児というミッションでも、この呼吸法が意外な効果を発揮している。 「家庭生活にストレスはつきものです」とドウブラー氏は語る。「請求書の支払いや食事の準備、子ど
オーストリア帝国の植物学者で遺伝学の父であるグレゴール・メンデル。写真は1860年ごろ撮影されたもの。1856年から1863年にかけてメンデルは修道院の菜園で3万株近いエンドウマメを育て、親から子に特徴が受け継がれる際の特定の法則を発見した。(AMERICAN PHILOSOPHICAL SOCIETY/SCINECE PHOTO LIBRARY) グレゴール・ヨハン・メンデルは今日「遺伝学の父」と呼ばれている。「メンデルの発見がなければ、今の遺伝学は存在しなかったでしょう」と、米エール大学の歴史学教授ダニエル・ケブレズ氏は言う。とはいえ、メンデルの功績が認められたのは、彼が亡くなった1884年よりあとのことだった。 「メンデルの研究が関心を集めるようになるのは死後16年がたってからでした。残念なことです」と、米スタンフォード大学でフランセス&チャールズ・フィールズ教授職(スタンフォード大
レンガの壁の上を歩き回る都会のアカギツネ。SNSで人に馴れたキツネの動画がSNSで拡散し、キツネが「自己家畜化」していると多くの人が推測しているが……。(JAKUB RUTKIEWICZ, SHUTTERSTOCK) 野生のキツネが斜面でボールのようなものを転がし、追いかける様子を捉えた動画がTikTokに投稿されたところ、100万回以上も再生された。この動画には#domesticatedfox(家畜化されたキツネ)のタグが付いていて、「おそらくこのキツネは、イヌがボールで『取ってこい』遊びをするのを遠くから見ていたのだろう」「彼も『よしよし』されたいんだ」などのコメントがついている。(参考記事:「ギャラリー:キタキツネを追いかけて」) 別のTikTok動画では、人間が差し伸べた手に野生のキツネが近づいている。その様子に魅了された視聴者からは、「ペットじゃないなら、なぜペットのような姿をし
福島国際研究教育機構・土壌ホメオスタシス研究ユニットリーダーの藤井一至さん。長年勤めた筑波の研究所から2025年に福島へ異動した理由のひとつは「福島の田んぼの土の再構築」だった。 土の研究者である藤井一至さんは、京都大学農学部で博士の学位をとった後、ポスドク(博士研究員)時代を含めて、茨城県つくば市の森林総合研究所を研究拠点としていた。しかし、2025年になって福島国際研究教育機構(F-REI)土壌ホメオスタシス研究ユニットに異動した。 F-REIは、「東北地方の復興や科学技術・産業競争力の強化のため」に、2023年に開設したばかりの新しい研究機関だ。福島県浪江町の本部建物はまだ建設中(!)だということで、今は、宇都宮大学陽東キャンパスに研究スペースを借りている。 実は、この異動は、前回も述べた、人工土壌の研究の延長線上にある。 「森林総研に拠点がある間も、福島の放射性物質で汚染された土を
2017年、カナダのケベック州ニコレにある動物園兼訓練施設「ゾ・アカデミ(Zoo Académie)」で遊ぶ、オオカミの子どもたち。科学者たちは、動物にとっても人間にとっても取っ組み合いの遊びが重要であることに気づきはじめている。(RENAUD PHILIPPE, THE NEW YORK TIMES/REDUX) 今から50年ほど前のことだ。米テネシー大学教授で動物行動学者のゴードン・バーグハート氏は、ノックスビル動物園の依頼を受けて、メグという名前の子ライオンを自宅で飼っていた。メグのエネルギーを発散させるため、バーグハート夫妻はよく木々が生い茂る柵のない裏庭でメグと一緒に遊んでいた。 ある日、そこに隣家のイヌが現れた。イヌは尾を振っていた。バーグハート氏にとっては、それが戦いではなく遊びに誘う合図であることは明らかだった。しかし、ライオンの子にイヌの意図を読み取れるだろうか? なにし
複数の全球凍結(「スノーボールアース」)があったクライオジェニアン紀(8億5000万~6億3500万年前)のスターティアン氷期(7億5000万~7億年前)の復元図。超大陸ロディニアが分裂し始めた時期でもある。(MIKKEL JUUL JENSEN, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 約7億年前、地球は厚さ1000メートルを超える氷の層に覆われていた。「スノーボールアース」と呼ばれる凍結状態だ。海は冷たかったが、凍り付かない程度の熱を保っていた。とはいえ、2025年12月9日付けで学術誌「Nature Communications」に発表された論文によると、当時の海水温は地球史上最低のマイナス15℃まで下がっていたという。現代の最低水温より12℃も低い値だ。 また、塩分濃度は現在の4倍以上もあり、海水は凍結せずに極低温を維持できたと論文にはある。これらの推定値から、当時地球に生息
がんと診断された人が5年後に生きている割合「5年生存率」の部位別数値を厚生労働省が公表し、前立腺や甲状腺などが90%を上回った一方、膵臓(すいぞう)が約12%と部位ごとに大きな差があることが判明した。これまでも国立がん研究センターが集計結果を定期的に公表してきたが、全ての患者を登録する「全国がん登録」のデータを基にした初の集計として注目される。 調査と集計の対象は、2016年に新たにがんと診断された15歳以上の男女。男女総数のがん部位別の数値では、前立腺92.1%、甲状腺91.9%、皮膚91.1%、乳房88.0%、子宮75.5%、喉頭75.2%が70%を超える高さだった。男性、女性それぞれ患者数が最も多い、前立腺がん、乳がんの生存率が高い結果となった。 一方、膵臓11.8%、胆のう・胆管23.0%は低く、患者数が多い肺も37.7%とまだ低い数値だった。このほか、大腸67.8%、悪性リンパ腫
競馬のムチの音をAI(人工知能)で自動検出する技術を、筑波大学の研究グループが開発した。レース中にムチを使う回数や方法には規則があり、現在は動画などをもとに人間がチェックしている。今回の技術が実用化されれば、ムチの使用状況をより正確に把握できるようになってレースの公正性が担保される。また、ムチの適正な使用が徹底されることで、動物福祉にもつながるとしている。 筑波大学システム情報系の善甫(ぜんぽ)啓一准教授(ヒューマンインターフェース学)は2年ほど前、競馬の配信サービス会社の関係者から「馬のムチの音を検出できないか」との相談を受けた。ブタのくしゃみの音を検出することで健康状態などを把握する、という内容の善甫准教授の共著論文を読んで連絡してきたという。 JRA(日本中央競馬会)は、レース中のムチの回数や頻度、強さ、ムチの長さや形などを決めている。これらに違反すると、罰金や失格、騎乗停止などの重
ベルギーのルーベン・カトリック大学にあるケビン・ベルストレペンの研究所。ノンアルコールビールの新たな製法が生まれる場となっている。(PHOTOGRAPH BY JUSTIN JIN) 長い歴史が育んだベルギーの「ビール文化」はユネスコの無形文化遺産にも登録されている。その国で今、最新技術を駆使して、画期的なノンアルコールビールの開発が進んでいる。それは世界のビール産業を変えるのか? 世界最大手のビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)の本社にある研究所は企業秘密のベールに包まれていて、普段はめったに見学できない。ところが今はぜひ見せたいものがあるらしい。同社の研究所の正式名称はグローバル・イノベーション&テクノロジー・センター。ベルギーの首都ブリュッセルから東へ車で30分ほどの都市ルーベンにある低層の黒い建物だ。デビッド・デ・シュッター所長が建物内を案内してくれた。 ベル
青銅器時代に現在のイランで使われていたエラム線文字は、1世紀以上前から言語学者たちを悩ませてきた。考古学者のフランソワ・ドゥセ(ベルギーにある彼のオフィスで撮影)は、次の写真のような貴重な銀製のビーカーに解読の手がかりを求めた。(CÉDRIC GERBEHAYE) 数十年にわたり未解読となっている古代文字を解読しようとする試みが、世界各地で行われている。最新技術と新たな発見が、世界で最も難解なパズルのピースをはめ、歴史の理解を深めるのに役立っている。 ここは英国の首都ロンドン。私たちは市内の地下2階にある貸金庫にいた。 窓のない、蛍光灯に照らされた部屋に入ると、ドアが施錠された。外の廊下には黒い服の係員が静かに巡回していて、まるで映画のような雰囲気が漂っている。イラン系英国人で美術収集家のカンビズ・マハブービアンは、この場所に、所有する世界屈指の古代近東の美術コレクションの一部を保管してい
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