フランスにある美術館「ポンピドゥー・センター・メス」で、バナナを使ったアート作品が来館者に食べられた。複数のメディアが報じている。

被害に遭ったのは、イタリアの芸術家マウリツィオ・カテラン氏が制作した『コメディアン』という作品。Art Collector Newsによれば、グレーの粘着テープで壁に貼り付けられた1本のバナナは、存在のはかなさを表現している。
来館者は7月12日、バナナの皮やテープには手をつけず、果肉だけを食べた。さいわい「セキュリティチームが迅速かつ冷静に対応」し、作品は「数分後に再び設置された」と美術館は説明した。
同作品は、以前にも同様の被害に遭っている。ARTNewsによれば、2019年に米フロリダ州で開催されたアートフェアで初公開された際、訪れていたパフォーマンスアーティストが「腹が減った」という理由でバナナを食べてしまった。作品を一目見ようと多くの人が殺到し、フェア閉幕前に撤去される騒動も起きている。
2023年には韓国・ソウルの美術館で、大学生が作品を口にした。翌2024年には、中国のコレクターで暗号資産プラットフォームの創設者であるジャスティン・サン氏が、オークションで624万ドル(約9億2000万円)で落札し、報道陣の前でバナナを食べた。

同作品は、2027年2月まで展示予定。なお、バナナは熟しやすいため、展示中はカテラン氏の指示によって、定期的に交換されているという。美術館は現時点で、被害届を出していない。