神戸どうぶつ王国(兵庫県神戸市)は7月19日、コビトカバの赤ちゃんが一頭誕生したことを発表しました。
同園では2020年のコビトカバ飼育開始以来、5年目にして初めての繁殖であり、種の保存に大きく貢献するものとして期待を寄せています。

今回誕生した赤ちゃんは7月9日生まれ。同園で飼育しているコビトカバのオス「タムタム」君と、メスの「コウメ」ちゃんとの間に生まれた赤ちゃんとのことです。
運営元の株式会社どうぶつ王国のプレスリリースによると、コビトカバはジャイアントパンダ、オカピとともに世界三大珍獣の一つと数えられ、絶滅が危惧されている貴重な動物で、野生での生息数は西アフリカなどの限られた地域にわずか2500~3000頭ほどしかいないそうです。
日本国内の動物園と水族館(※日本動物園水族館協会加盟園館、2025年3月現在)でも、5園館14頭(今回の赤ちゃん含む)しか飼育されていません。
BuzzFeed編集部では、以前に「いろいろな意味で奇跡の1枚」という記事で神戸どうぶつ王国のタムタム君を取り上げていますが、日本では目にする機会が少ない貴重な動物です。
コビトカバの赤ちゃん誕生に祝福の声
かわいらしい赤ちゃんの誕生にSNSでは、
💬「コウメちゃんタムタムおめでとう」
💬「公開が待ち遠しいなぁ!」
💬「元気に育つんだよ~」
💬「うれしいニュース!」
💬「無事のご出産おめでとうございます」
など、祝福の声があふれていました。
BuzzFeed編集部では、コビトカバの担当者にお話をうかがいました
――コビトカバの赤ちゃんは7月9日に誕生したとのことですが、出産までの経緯を教えてください。
「2024年12月の同居を最後に発情が来なかったため、エコー検査等を行いました。検査にて胎仔(たいじ)を確認したため、出産に向けて準備。展示場で出産をしてもらう予定だったので、展示場の整備を行いました」
――繁殖に際して行っていた工夫などはあるのでしょうか。
「仔が砂の誤食をしてしまうかもしれないとのとこだったので展示場陸地の砂を撤去、チモシーを敷きました。展示場とパドック間の木の柵に板を設置したり(オスと面識できないよう目隠し)、仔の圧死防止のために一部板を外せるようにしています」
「あとは、獣舎、展示場ともにカメラの設置。出産が近づいてきたら展示場前に目隠しフェンス等設置、イベントを中止、プールの水位を下げるなどです」
――神戸どうぶつ王国では2020年以来初となる繁殖とのことですが、コビトカバは日本での飼育頭数が少ないだけではなく、繁殖自体も難しい生物なのでしょうか?
「野生での繁殖データも数は多くなく、繁殖は難しいといわれています」
――現在の赤ちゃんの状況を教えてください。すでに、一般公開日の目途も立っているのでしょうか?
「体重も日毎に増加しており草等を食む姿もあります。一般公開日はまだ確定していません」
――ちなみに、赤ちゃんの名前は決まっていますか。それとも、一般公募などで決められる予定なのでしょうか。
「愛称はまだ決まっておらず考えているところです。一般公募の予定はしていません」
――前回の記事では、動物園や水族館の役割のなかでも『種の保存』(繁殖)は大切な責務だとうかがいました。神戸どうぶつ王国でも繁殖にチャレンジしているとのことですが、コビトカバ以外にも、そうした繁殖活動を行っている生物はいますか?
「ハシビロコウやマヌルネコなど多くの種で繁殖に取り組んでいます。ハシビロコウは2014年から飼育しており、2021年にはハシビロコウのための繁殖施設(ハシビロコウ生態園~ビッグビル~)をオープンしました」
「現在繁殖には至っていませんが、アジア初の繁殖に向けてさまざまなチャレンジを行っています。また日本の固有種であるミヤコカナヘビやアマミトゲネズミ等の生息域外保全にも取り組んでいます」
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珍しい動物が見られるだけではなく、種の保存にも取り組んでいる神戸どうぶつ王国。
今回生まれた赤ちゃんの公開日は未定ですが、個体の状態を最優先に考慮し、しかるべきタイミングでプレスリリースや公式ホームページなどで告知するとのことです。