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ブラックフライデー
natrom.hatenablog.com
はてな匿名ダイアリーの■なんで日本の医療って早期発見にばかり重きを置いているんだろうという記事およびその記事に寄せられた■はてなブックマークコメントが興味深かった。記事では、「日本の医療は早期発見にばかり力を入れているが、もっと予防と治療の方に力を入れればいい。胃がんにおけるピロリ菌除菌や大腸がんにおけるポリープ切除術のような情報を積極的に広めるべきだ」としている。 こうして日本の医療について率直な意見を寄せていただけることは、とても貴重でありがたい。もちろん臨床の場でも多くのご意見をいただくが、それらは「何らかの事情で受診し、医師を前にしている」という状況が前提になるため、どうしても偏りが生じてしまうのだ。 まず、「予防」という言葉が何を指すのかを明確にしておきたい。ブックマークコメントでも指摘されているが、予防には一次・二次・三次の段階がある。一次予防は病気そのものを起こさないようにす
丸山ワクチンが承認されない理由 医療ジャーナリストを名乗っている木原洋美氏は、丸山ワクチンを擁護するプレジデントオンラインの記事で、「筆者自身も20年以上の取材経験の中で、権威が勝手な都合で有望な科学を排除する事例を何度も目の当たりにした」と書いています*1。丸山ワクチンは「有望な科学」であるのに、権威の勝手な都合により排除されているのだ、と言いたいのでしょう。 本当にそうでしょうか?効果があるのであれば、きちんとした臨床試験で有効性を示せば承認されるはずではないでしょうか。丸山ワクチンと不活性プラセボ(生理食塩水)を比較したランダム化比較試験は複数回実施されていますが、いずれの試験でも有効性は示されませんでした。とくにアジア7カ国共同のランダム化比較試験は、対象者を600人以上(臨床試験登録情報では793人)にまで増やして行われましたが、主要評価項目である全生存期間において統計学的な有意
昨日の■主に丸山ワクチンを巡って木原洋美さんへお返事の続きです。現時点(2024年9月28日18時)において 『開けてみたら「全身に転移しており」と言われた』とのことだが、何を開けたのか、「開けてみたら」という記述はやなせたかしさんの著作に書いてあったのか? 2006年の第3相ランダム化比較試験の実薬群(40μg)の生存率の解釈について、外部対照と比較するのは不適切ではないか? という指摘に対して、木原洋美さんからのお返事や反論は確認できていません。しかし、■木原洋美さんのFacebookに一連のテーマについて言及がありましたので、ここでお返事いたします。 体験談重視という姿勢を隠さなくなった 以下は、「承認に値するだけの質のよいエビデンスを木原洋美さんが提示すべき」という指摘に対するお返事かもしれません。 当初は「体験談のみで判断しているわけではない」といった主張だったはずですが、「信頼
■体験談は丸山ワクチンに効果があるという根拠にはならないにおいて、「医療ジャーナリスト」の木原洋美さんからコメントをいただきました。コメント欄にはお返事したのですが、現時点(2024年9月27日19時)において木原洋美さんから反論のコメントはありません。しかし、■木原洋美さんのFacebookには言及がありましたので、ここでお返事いたします。 現在において丸山ワクチンが承認されていない理由は1970年台の「有力者の圧力」とは無関係 「有力者の圧力がありうる」ことは最初から認めております。プレジデントオンラインにおいて「丸山ワクチンが開発された1970年代にはそのような圧力があったのかもしれません」と述べています。有力者の圧力はあったかもしれないし、なかったかもしれませんが、2025年の現在において丸山ワクチンが承認されていない理由は、質のよいエビデンスの不在だというのが、私の主張です。 な
2025年にもなって丸山ワクチンを称賛する記事が出るとは 丸山ワクチンとは、結核菌を熱水処理して作られた、がんに効果があるとされる注射薬で、承認はされていないものの、有償治験薬という特例的な扱いで使用が可能である。その丸山ワクチンに肯定的な記事がプレジデントオンラインに掲載された。ちなみに、この記事を書いた「医療ジャーナリスト」の木原洋美氏は、線虫がん検査(N-NOSE)を擁護する一連の記事も書いている。 ■「あんぱん」では描けない、やなせたかしが晩年に明かした後悔…"余命3カ月"の妻・暢と過ごした"最期の5年" 「カミさんを翻意させることはできなかった」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) この記事では、NHK連続テレビ小説「あんぱん」のヒロインのモデルである、やなせたかしさんの妻・暢さんが、丸山ワクチンを使用し、「余命3カ月だったはずが5年間、お茶の稽古や好
要約: 2巡目以降に相当数の甲状腺がんが発見されていることは、被ばくの影響がなく過剰診断が起きているという主張と矛盾しない。被ばくの影響がなくても小児の集団を長期フォローアップすると多くの甲状腺がんが診断される。 甲状腺がんの増大速度が一定だと仮定するとさまざまな矛盾が生じる。甲状腺がんの増大速度は一定ではなく、急速に増大する期間を経て成長が止まるとする臨床的証拠がある。 甲状腺がんはガイドラインに基づいて抑制的な診断・治療を行っても、多くの過剰診断・過剰治療が生じる。 福島県では、東京電力福島第一原子力発電所事故当時に18歳以下であった約38万人を対象に、甲状腺検査が継続的に実施されています。初回検査(いわゆる1巡目)には約30万人が参加し、そのうち116人が甲状腺がんまたはその疑いと診断されました。以後、原則2年ごとの検査(2巡目以降)や、年齢の節目(25歳・30歳)に応じた長期フォロ
2025年6月、子どもの甲状腺検査に関する要望書が福島県に提出されました。提出したのは、かつて福島県立医科大学で検査運営に携わった医師らが所属する専門家団体「若年型甲状腺癌研究会(JCJTC)」です。 ■“過剰診断”が生じている…研究団体が「子どもの甲状腺検査」見直しを県に要望(2025年6月12日掲載)|中テレNEWS NNN ■JCJTCから福島県に対し、甲状腺検査に関する要望書を提出しました(第1報)|若年型甲状腺癌研究会 中テレNEWSの記事では過剰診断がクローズアップされていますが、要望書には過剰診断に加えて「数十年後に発症するがんの大幅な前倒し診断例」にも言及されています。放射線被ばくの影響があろうとなかろうと、過剰診断や大幅な前倒し診断は著しい不利益が生じます。一方で、甲状腺がん検診から得られる利益は不明確で、利益は存在しないか、存在したとしてもきわめて小さいと考えられます。
神奈川歯科大学大学院の「統合医療学講座」のシラバスに、ホメオパシーをはじめとして疑似科学とされる療法が含まれていることを、毎日新聞が報じた。大学がニセ医学にお墨付きを与える構図や、科学的根拠に乏しい施術を手がけるクリニックの増加への懸念も示されており、良記事である。 ■大学院講座で「疑似科学」の指摘 運営者が信奉する「見えない力」 | 毎日新聞 この講座は「テレビにも多数出演する医師の川嶋朗氏が大学に持ちかけて始まった」という。川嶋氏は「統合医療は玉石混交。西洋医学を修めたうえで、患者から相談を受けた時に(その施術が)まがいものか見抜ける医療従事者を育てないといけない」と語っている。確かに主張としてはもっともに聞こえるが、だからといって講座の内容が正当化されるわけではない。というのも、川嶋氏自身が推奨する医療こそが、まさに「まがいもの」であり「玉石混交の中の石」であるからだ。 川嶋朗氏の推
息子がスト2をプレイしていた。正確にはNintendo Switch版「ストリートファイターIII 3rd Strike」。30周年記念のコレクションで、歴代シリーズが楽しめる。いい時代だ。 初代「ストリートファイターII」がゲームセンターに登場したのが、私が大学生のころ。対戦台ができ、ひたすら50円玉を投入した。トッププレイヤーというわけではないが、そこそこは勝つことができた。六本松のゲーセン*1は強者がそろっていたが、夜の中洲あたりのゲーセンで、酔っぱらった兄ちゃんが相手ならいくらでも勝つことができた。メイン使用キャラクターは春麗だったが、他のキャラクターも一通りプレイした。とうぜん「ゲーメスト」は毎号読んでいた。「ストリートファイターZERO」あたりまでは追っかけていたが、さすがにゲームに費やす時間が取れなくなってきて、以降は脱落した。 さて、息子に頼まれて昔の作品をプレイしてみせる
HPVワクチンは世界的に安全とされている HPVワクチンは安全だというのが世界の標準的な考え方である。 HPVワクチンはきわめて安全です。「HPVワクチンは安全」とされるのは、副作用が一切ないという意味ではなく、他のワクチンと同様に、許容できる範囲に収まっているが一定の副作用は起こりうる。とはいえ、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんが主張するように「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在している」とは考えにくい。日本を含め、HPVワクチンの定期接種が中止された国は存在しない。積極的勧奨が差し控えられた日本以外の国ではHPVワクチン接種が継続されている。平岡さんの主張が正しければ、海外において日本の何十倍もの「薬害」が発生しているはずなのに、ほとんど問題になっていない。この点について、 ■HPVワクチンの「相当規模」の薬害が存在するのなら、WHOやCDC
有効な膵がん検診は存在しない 日本人の部位別のがん死亡数の上位は、肺がん、大腸がん、胃がん、膵がんが占める。男女計では膵がんは第4位であると思っていたが、さきほど確認したところ、2023年の統計では胃がんを抜いて第3位になっていた。肺がん、大腸がん、胃がんは、がん死亡率を減らす相応のエビデンスがある有効ながん検診が存在する。しかし、■こんな検診ビジネスに騙されてはいけない…内科医直伝「エビデンスに基づいた効果的な"がん検診"の受け方」 あらゆる検診には利益だけでなく害もある | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)でも書いたように、現時点で、有効な膵がん検診は存在しない。存在しないのは仕方がないので、一般的ながんリスクを下げる生活習慣をできる範囲内で心がけ、あとは症状が出ない限り膵がんの心配なんてせずに過ごすことをおすすめする。 尿中マイクロRNAを用いた膵がん検査の
一滴の血液や尿で多くの種類のがんの検査ができると称する「がんリスク検査」が数千円から数万円程度で提供されています。無症状の人を対象とした検診において、がん死亡率を下げるといった有効性があるかどうかや、検診を受ける集団における感度や特異度がどれぐらいかは、明確になっていません。一部の検査については本格的な研究が国内外で進められていますが、まともな研究者は有償で検査を提供したりはしません。 架空の「サイコロ検査」 まったく仮定の話で、現実に行うつもりは一切ありませんが、私もそうした検査を提供するビジネスマンを演じてみましょう。私が提供する検査は、なんと血液も尿も必要ありません。代わりにサイコロを使います。合併症の可能性はゼロ。素敵ですね。1回1000円で値段も良心的です。陽性があまりに多いと不自然なので、20面体のサイコロを使い、ランダムに5%を陽性、95%が陰性という結果を返すことにしましょ
この記事の要約。 ・ハチミツが咳に効くというエビデンスはわりとある。 ・ハチミツが喉の痛みに効くかどうかはエビデンス不足。 ・ハチミツを含む民間療法を普通の風邪に使用するのは悪くないと個人的には考える。 ・ハチミツは1歳未満の乳児には禁忌。乳児ボツリヌス症のリスクがあるため。 大根のハチミツ漬けが喉によいという話が話題に 「はちみつにダイコンを漬けたものが喉によい」という話題がSNSで注目されている。もとのポストは現時点で2.8万リポスト、関連する反応を集めた■「ダイコンをハチミツで漬けると喉によい」と聞くが民間療法に頼るのは文明人じゃないと考えた…だが臨床試験をしたら劇的に効いた話 - Togetter [トゥギャッター]は180以上のブックマークを集めている。 はちみつにダイコンを漬けたものが喉によいと聞いたがそんな民間療法に頼ってるようじゃまだまだ文明人とは言えないんじゃないかと考え
プレジデントオンラインに■血液と尿の検査だけで本当に「がん」を見つけられるのか…現役医師が指摘「複数がん早期発見検査」の落とし穴 検診としての有効性が証明されたものは一つもないを寄稿しました。その中で、『株式会社HIROTSUバイオサイエンス』のプレスリリースに言及し、子宮頸がんの感度が2.5%とされた問題について取り上げました。プレジデントオンラインの記事では、より多くの読者に理解していただくため複雑な計算を省略しましたが、ここでは補足としてその詳細を解説します。 子宮頸がん検診の感度が2.5%とするプレスリリース 「子宮頸がん検診の感度が2.5%なわけないだろ問題」とは、線虫によるがん検査『N-NOSE』を提供している『株式会社HIROTSUバイオサイエンス』による2024年9月27日付のプレスリリースのN-NOSEが既存検査よりも陽性的中率が圧倒的に高いことを示すために示した表におい
福島県において、事実上の甲状腺がん検診が続けられています。甲状腺がん検診は、がん死亡率の減少といった利益が明確ではない一方、偽陽性や過剰診断などの害があります。「過剰診断はすでに専門家らによって対策済み」という理由で過剰診断はほとんど起きていないと主張されることがありますが、誤りです。前回、■ジャガイモの水分と甲状腺がんの過剰診断にて、腫瘤径が小さく悪性を疑う所見を認めない場合は精密検査をしないといった方針で過剰診断は減るものの、それでもなお、甲状腺がんと診断された人における過剰診断の割合がかなり高いままということがありうることをご説明しました。 専門家らによる対策の一つに、甲状腺がんと診断してもリスクが低いと判断できる場合は直ちに手術しない「積極的経過観察(AS:active surveillance)」という方針があります。確かに手術と比べて害を減らすことはできますが、治療しないがんを
ジャガイモのパラドクス 「ジャガイモのパラドクス」は直感に反する数学の問題の一つです*1。Wikipediaから引用し、和訳しました。計算すれば答えは出ますが、まずは直感で考えてみてください。 フレッドは100kgのジャガイモを家に持ち帰りました。このジャガイモは、99%が水分で構成されています。彼はそれを一晩外に置いておき、水分が98%になるまで乾かしました。このとき、乾かしたジャガイモの重さはどれくらいになるでしょうか? 実際のジャガイモの水分含有率は80%ぐらいだそうです。99%が水分とはずいぶんとみずみずしいジャガイモですが、「純粋に数学的なジャガイモ」だとみなしてください。あるいは、もっと水分含有量の多い別の食べ物に置き換えていただいてもかまいません。考え方の本質には影響しません。 答えは下のほうに。 計算自体は簡単です。100kgのジャガイモのうち、水分は99%ですので、固形部
「化学物質過敏症」という疾患概念は公的には認められておらず、盲検法による負荷テストでは化学物質曝露と症状の関連は確認できません。化学物質過敏症とされる患者さんの症状が誘発される原因は化学物質ではないことが示唆されます。こうした化学物質過敏症の疾患概念に懐疑的な記事を書くと、「そうは言っても私は化学物質によって体調が悪化した」という声が寄せられます。 化学物質によって体調が悪化する患者さんの存在は否定していません。新築した家の建築材料や壁紙から出る化学物質(揮発性有機化合物)によって生じるシックハウス症候群はその典型的な事例です。お酒の強さに個人差があるように、特定の化学物質に対する耐性に個人差があることは当然のことです。Aさんには問題ない濃度の化学物質でもBさんには症状を引き起こすかもしれません。なお、化学物質だけではなくダニや真菌もシックハウス症候群の原因になります。 海外ではオフィスビ
先日、maruさんが発表したnoteが注目を集めました。そのnoteでは、多くの自治体が提供する化学物質過敏症に関する情報が、厚生労働省の見解とは異なる「厚労省研究班のパンフレット」に基づいていることについて注意を喚起しています ■「化学物質過敏症」の伝え方 自治体掲載の「厚労省研究班のパンフレット」は厚労省の見解とは全然違う|maru ■[B! 医療] 「化学物質過敏症」の伝え方 自治体掲載の「厚労省研究班のパンフレット」は厚労省の見解とは全然違う|maru 化学物質過敏症の疾患概念については議論があるところで、医学界で広く認められている病名ではありません。化学物質過敏症という病名は、海外において化学物質と因果関係があるかどうか不明の症状まで化学物質のせいにしてインチキ医療を行う医療者たちに利用されてきました。たとえば、化学物質過敏症の第一人者とされているウィリアム・レイ医師は、ホメオパ
ハフポストが、福島県の甲状腺検査の過剰診断の問題について報じました。 ■甲状腺がんの「過剰診断」問題、福島県議会で議員が指摘。専門家が「2年後のお楽しみ」と発言したことも明らかに | ハフポスト NEWS 論点は複数ありますが、今回は、とくに検査のメリットについて論じます。福島県の甲状腺検査は無症状者に対して行われており、事実上のがん検診です。一般的に、がん検診のメリットはがんの死亡率の減少です。しかし甲状腺がんはもともと死亡率は低く、また甲状腺がん検診が甲状腺がん死亡率を減らすエビデンスはありません。 ハフポストの記事でも引用されていますが、検査のメリットについて、福島県立医科大は「異常がないことがわかれば安心につながる」や「早期診断・早期治療で手術合併症リスクや再発のリスクを低減する可能性」を挙げています。いずれも不適切かつ不十分であると考えます。 「異常がないことがわかれば安心につな
2023年8月からX(旧Twitter)にて、「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在していると推測」する立場である平岡厚さんと対話を続けています。さまざまな論点がありますが、今回は9価HPVワクチン(シルガード9)の臨床試験において、対照群に4価HPVワクチン(ガーダシル)が使用された件について解説します。 臨床試験において、9価HPVワクチンは、4価ワクチンでカバーしていない型に関連する高リスクの子宮頸部、外陰部、膣の疾患を予防し、また、安全性についても重篤な有害事象に関する臨床的に意味のある差は認められませんでした*1。9価HPVワクチンは十分に安全で有効であるというのが専門家のコンセンサスであり、日本でも2023年から公費で受けられるようになりました。 「9価HPVワクチンの臨床試験を1回くらいは生理食塩水を対照として行ってはどうか」という平岡さ
2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。平岡さんは「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在していると推測」しておられます。具体的にはワクチン接種者の「数千人に1人」が「POTS, CRPS, ME/CFS, 繊維筋痛症などの症状が入れかわり立ちかわり現れ、認知障害なども絡む」症状を呈するとしています。 平岡さんの主張の一つに、「接種を受けると副反応が出やすい素因」を持つ人をワクチン接種対象から外すことで問題解決が可能になるというものがあります。 →接種を受けると副反応が出やすい素因を持つ人がいることが分かるので、そういう人を接種対象から外す方向で、問題解決が可能になるのではと思います。私は、「HPVワクチンを接種すると重篤な副反応が出やすい素因を持つ人が接種を受けたことに起因する現象が起きて
HLA(ヒト白血球抗原)は免疫系に関係する遺伝子で、白血球をはじめとして多くの細胞に発現しています。多型に富み、自己免疫性疾患を中心にさまざまな疾患との関連することが知られています。2015年から2016年にかけて、HPVワクチン副作用疑い患者集団において特定のHLAの対立遺伝子(DPB1*05:01)を持っている人が多い、という信州大学医学部池田修一教授(当時)の研究班の報告および報道がありましたが、その後の研究では再現性は確認されていません。HPVワクチン副作用疑いとHLAとの関連は無いか、あったとしても弱いと言えます。 予備的な研究で統計学的有意差が見つかっても、サンプルサイズを増やすと有意差が消えてしまうことはよくあります*1。副作用疑いとHLAとの関連を調べることは病態の解明のための第一歩となりえた、まっとうな研究手法です。結果的には空振りに終わったけれども、研究自体は何も問題は
2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。平岡さんは「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在していると推測」しておられます。具体的にはワクチン接種者の「数千人に1人」が「POTS, CRPS, ME/CFS, 繊維筋痛症などの症状が入れかわり立ちかわり現れ、認知障害なども絡む」症状を呈するとしています。 一方で、HPVワクチンは十分に安全で効果的というのが世界中の専門家のコンセンサスです。平岡さんの主張は主に有害事象報告に基づいたものですが、■有害事象報告ベースでは因果関係の推論はできません。有害事象報告ベースとは異なるバイアスの小さい研究では、ワクチンを接種していない集団と比べて、ワクチンを接種した集団において、有害事象として報告されたさまざまな疾患、たとえばPOTS(体位性頻脈症候群)、M
2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。HPVワクチンは安全で効果的というのが世界中の専門家のコンセンサスですが、平岡さんはHPVワクチンの深刻な副反応・薬害が相当規模で存在すると主張しています。 HPVワクチン接種の有無にかかわらず血液脳関門の異常で害が起きるのは当然 平岡さんが提示する仮説の一つは「日常的に抗体値を高くさせられている人は、血液脳関門に異常が生じた場合、通常なら中枢神経系に入らない物質が侵入して悪さをするのでは」というものです*1。しかし、私のみるところでは平岡仮説はとくに根拠がない思い付きに過ぎないように思われました。 「日常的に抗体値を高く」するのはHPVワクチンだけでなく、他のワクチンだって同じです。B型肝炎ワクチンはHBs抗体価を高くしますし、麻疹ワクチンは麻疹ウイルス抗体価を高くします。なんならワク
2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。HPVワクチンは安全で効果的というのが世界中の専門家のコンセンサスですが、平岡さんは「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在していると推測」しておられます。 HPVワクチンが原因で自己免疫性脳症が相当規模で生じているとしたら、HPVワクチンを接種した集団では、ワクチンを接種していない集団と比較して、自己免疫性脳症の増加が観察できるはずです。しかし、平岡さんはそのような証拠を提示していません。その代わりに、免疫吸着やステロイドで副作用疑い患者の症状が改善したことや、髄液中の自己抗体の出現が根拠になると主張しています。しかし、いずれもHPVワクチンと諸症状の因果関係の証拠にはなりません。 免疫吸着やステロイドで副作用疑い患者の症状が改善したことは証拠になら
平岡厚さんとHPVワクチンの安全性に関する対話をはじめたわけ 2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。平岡さんは『HPVワクチン論争を再考する 推進派の主張の問題点を中心に』といった和文論文にて「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在していると推測」しておられます。 一方で、HPVワクチンは安全で効果的というのが世界中の専門家のコンセンサスです。私の知る限りではHPVワクチンの定期接種が薬害の疑いのために中止になった国はありません。日本においても、定期接種は中止にはなっておらず、積極的な勧奨が差し控えられていた過ぎません。それでもWHOから「乏しい証拠に基づいた政策決定」だとして名指しで日本は批判されました。その後、日本でも2022年から積極的勧奨は再開されました。「相当規模の薬害」の存在を
線虫によるがん検査「N-NOSE」を提供する株式会社HIROTSUバイオサイエンスが、N-NOSEに批判的な記事を掲載したNewsPicksについて、仮処分命令申立書を東京地方裁判所に提出したとのことです*1 ■株式会社ユーザベースを被告とした民事訴訟について 無症状の人に対する線虫がん検査は、がん死亡率の減少といった利益が証明されておらず、がん検診を受ける集団という一つの集団を対象にした感度・特異度も不明であり、偽陽性のときに多くの精密検査を受けることになりかねないことから、医学的にはお勧めできません。一方で、名誉棄損等の問題があれば司法の場で公正に争うのは当然の権利だと考えます。ことの推移について興味を持って見守っています。 それはそれとして、私は以前より、線虫がん検査がどのように言及されているのか調べるため、X(旧ツイッター)にて「線虫 がん検査」というワードで検索をしていました。N
「検診によるがん死亡率減少がない=過剰診断」という誤解はよくみられす。福島県の甲状腺がん検診に反対している人たちの間でもあります。検診によるがん死亡率減少と過剰診断の関係について説明を試みます。 無症状でがん検診を受けてがんと診断された人は、以下の4つのどれかです。 1. 検診を受けても受けなくてもがんで死ぬ運命だった。検診で発見された時点で手遅れ。 2. 検診を受けたおかげでがんで死ぬことを避けられた。 3. 検診を受けていなければいずれ症状が出てがんと診断される運命であったが、それからがんの治療をしても、がんで死ぬことはなかった。 4. 治療を受けなくても一生涯症状が出ず、検診を受けていなければがんと診断されることもなかった。 4.が、みなさんおなじみ「過剰診断」です。一方、原則として、がん検診の利益としてカウントされるのは2.です*1。検診を受けると、受けない場合と比べて、がん死亡率
線虫を利用したがん検査「N-NOSE」の疑惑を報じた■NewsPicksの記事に対し、HIROTSUバイオサイエンスが反論として■「一部メディアでの報道および内容の解説について」というプレスリリースを出しました。このプレスリリースにはさまざまな問題点がありますが、ここでは主に神経芽腫マススクリーニングに関する誤りについて焦点を当てます。線虫検査の有効性や性能とは直接は関係しませんが、HIROTSUバイオサイエンス側のがん検診の疫学についての理解の程度や科学的事実に対する誠実さについて、何某かの示唆を与えるものだと考えます。 誤:神経芽腫マススクリーニングの有効性は今や専門家の間では知られている。 正:神経芽腫マススクリーニングの有効性は現在も専門家の間では認められていない。 小児神経芽腫(神経芽細胞腫)は神経の細胞ががん化する小児がんの一種です。尿中に排泄されたがん細胞が分泌したカテコラミ
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