アーキテクトのためのチュートリアル
アーキテクトが DBFlute を扱う上での必要なノウハウや開発時にやるべきことをまとめたページです。
アーキテクトの実装スタイル
六つのトップエントリ
- DBFluteの紹介
- まず最初はこちら
- DBFluteの環境
- 初回セットアップ、アップグレード、ChangeLog など
- 自動生成ツールとしてのDBFlute
- 自動生成の玄関、DBFluteタスク、DBFluteクライアント など
- O/RマッパーとしてのDBFlute
- Behavior, ConditionBean, Entity, OutsideSql など
- DBMSごとの取扱い
- MySQL, PostgreSQL, Oracle, DB2, SQLServer など
- DBFluteプロパティ
- DBFluteの設定、たくさんの dfprop と環境ごと切り替えなど
四つの環境構築
- 初回セットアップ
- DBFluteのセットアップ *最初の第一歩
- アップグレード
- DBFluteのアップグレード *バージョンを上げよう
- EMecha
- EMecha (Eclipse Plugin) *とりあえず全員インストール
- Maven
- Maven (Maven Plugin) *玄人向け
一つの大仕事
- DB環境構築の自動化
- ReplaceSchema *テーブル作成&テストデータ登録
二つのやり方
- よくあるSQL
- ConditionBean *タイプセーフ&目的指向
- ちょいムズSQL
- 外だしSQL(OutsideSql) *2Way-SQL
三つのクラス
- Entity
- データ(レコード)を格納
- Behavior
- DBアクセスの入り口 (DIコンポーネント)
- ConditionBean
- 検索条件の組み立て
七つのDBFluteタスク
- ReplaceSchema
- テーブル作成 & データ登録 & データ整合性チェック ※DB環境構築の自動化
- JDBC
- DBからメタデータを取得 ※自動生成する前に
- Doc
- ドキュメントを自動生成 (SchemaHTML, HistoryHTML) ※JDBC叩いてから
- Generate
- Entityクラス(など)を自動生成 ※JDBC叩いてから
- Sql2Entity
- 外だしSQLのEntity, ParameterBeanを自動生成 ※外だしSQL書いたら
- OutsideSqlTest
- 外だしSQL(OutsideSql)を2WaySQLとして一括実行 ※SQLの一括チェック
- Manage
- 様々なDBFlute管理タスクを実行 ※本当に様々
五つの現場フィット
- アプリ実装の全体最適
- 共通カラム、区分値、業務的one-to-one、排他制御、Where句 など
- プロジェクト構成対応
- 追加スキーマ (AdditionalSchema)、複数DB、アプリ外だしSQL など
- 実行時共通要件の実現
- シーケンスキャッシュ、SQLログの取得、例外ハンドリング など
- DBFlute利用のサポート
- 外だしSQLのタイトル、自動生成後の自動更新など
- 非推奨な構造フォロー
- PKのないinsert、複合主キーの対策 など
八つのタレントたち
- SchemaHTML
- なんとかHTML御三家、自動生成されるテーブル定義ドキュメント
- HistoryHTML
- DB差分御三家、なんとかHTML御三家 自動生成されるDB変更履歴
- SchemaSyncCheck
- DB差分御三家、DBスキーマ同期チェック ※とあるDBとDBの差分チェック
- AlterCheck
- DB差分御三家、alter文の整合性チェック ※前のDB + alter = 最新create
- CraftDiff
- 手作り差分チェック、DB差分の項目を独自のSQLで自由に拡張
- LoadDataReverse
- DB上のデータをエクセルへダンプ、ReplaceSchemaデータと連携
- PropertiesHTML
- なんとかHTML御三家、propertiesファイルの差分チェック
- ProcedureCall
- ストアドプロシージャもタイプセーフ呼び出し
九つの小人たち
- DBFluteConfig
- DBFluteのランタイムに関する微調整コンフィグ(設定)
- キャメルケースコード補完
- キャメルケースの大文字部分を狙い打つ! ※ConditionBeanでは必須!?
- サロゲートキーと複合主キー
- サロゲートキーつけてナチュラルキーには複合ユニーク制約
- ページング検索
- そもそもページング検索とは?できる限りの分析
- Eclipseフォーマッター
- コードフォーマット、Eclipseのデフォルトフォーマット定義は使わない
- Oracle配列・構造体
- がんばりすぎ
- DIコンテナごとの取扱い
- SeasarとDBFluteのコラボレーション
- フィードバック
- 質問だってフィードバック! ※わからなければ、気軽にMLで聞いてください
- DBFluteハンズオン
- DBFluteとJavaプログラミングを同時に学べるハンズオン教材
必要なノウハウ
アーキテクトは、実装部分だけでなくDBFluteの環境周りや設定周りなど全体を把握する必要があります。 DBFluteを探っている人、これから使う人、問わずに必要なノウハウを得るためのエントリです。
DBFluteの概念・役割
開発の効率化のためにDBFlute利用を推進する、提案されてきたDBFlute利用の許可判断をするなどの場合、 直接は利用(実装)しないとしてもある程度の "概念と役割" を理解しておく必要があります。
DBFluteのインフラ情報
DBFluteを採用することが可能なのか?インフラ的な視点を事前に把握しておくことが大事です。 DBFluteを使う場合に最適な環境は?という視点からも把握しておくことは大事です。
自動生成ツールとしてのDBFlute
DBFluteと触れ合うとき、一番最初に出会うのは自動生成ツールとしてのDBFluteです。 DBFluteはO/Rマッパでもありながら、自動生成ツールそのものと言えます。
O/RマッパーとしてのDBFlute
DBFluteのメインの部分です。どのようなアーキテクチャなのか?どのように実装するのか? ディベロッパーへの横展開のためにも、O/RマッパーとしてのDBFluteを把握する必要があります。
また、ディベロッパー視点からのDBFluteを知ることが、"O/RマッパーとしてのDBFlute" を知ることの近道でもあります。(ディベロッパーのための)チュートリアルに必ず目を通しておきましょう。
DBMSごとの取扱い
DBMSによって扱いに若干の違いが生まれます。利用するDBMSのページに目を通しておきましょう。
DBFluteプロパティ
最適なDBFluteプロパティを設定することで、その現場にフィットしたDBFluteにすることができます。 また、環境ごとに dfprop を差し替えることもできます(結合環境用の ReplaceSchema など)。
デフォルトfalseだが、ほとんどtrueでOKのプロパティに関する特集コラムがあります。
開発時にやるべきこと
アーキテクトが開発時にやるべきことは以下の通りです。
- DBFluteの利用ポリシー決め
- ReplaceSchemaの利用有無
- DBFluteのセットアップ
- 全体最適化のための設定
- ディベロッパーへの横展開
- DB変更時の再自動生成
- DBFluteのアップグレード
DBFluteの利用ポリシー決め
"DBFluteをどう使うか?"、"作業が発生したときに誰がどう行うか?" 事前に決められるものは決めておきましょう。この後の項目の内容を参考に開発がスムーズに進むようにポリシーを考えてみて下さい。
ReplaceSchemaの利用有無
大きな判断の一つとして、ReplaceSchemaを利用するかどうか?というのがあります。 DB変更への耐性を強くするのであれば、利用を強く推奨します。 DB変更を迅速にディベロッパーの開発用ローカルDBに反映させるために、ReplaceSchemaが役に立つでしょう。
特にテストデータの管理は重要です。DBFluteは "DB変更に強い" を特徴としていますが、 プログラムだけがDB変更に強くても足りないと考えていて、テストデータもDB変更に強くないと実際にはDB変更のコストは高いまま です。テストデータの管理が曖昧で散在していると、いざDB変更したときにテストデータを修正する手間が膨大になってしまいます。 ReplaceSchemaのようなツールを使って、 しっかりテストデータも管理しておくことで本当に意味でDB変更に強い と言えるでしょう。
ReplaceSchemaの情報は、Alto DBFlute でも大きく取り上げられています。
DBFluteのセットアップ
DBFluteのセットアップは一つのプロジェクトに付き一回だけ行います。 開発が始まる前のDB設計がおおよそ固まった時点で行い、生成されたクラスを "バージョン管理システム" (SVNなど)に登録をしてディベロッパーが利用できるようにします。
全体最適のための設定
DBFluteは全体最適を行う様々な 現場フィットな機能 があります。プロジェクト要件と機能が一致するのであれば、事前にしっかりと設定をしてディベロッパーに横展開することお奨めします。
設定した後は、ディベロッパーの実装に影響のあるものはしっかりと周知します。例えば "共通カラムは自動設定されるので insert や update のときに気にしなくていいですよ" とか "区分値を設定したのでこういうメソッド使って下さいね" などなど。そういった情報はメールや口頭で伝えるだけでなく、いつでも参照できるようにプロジェクト内の 情報共有システム (Wikiなど)に掲載しておくと良いでしょう。
ディベロッパーへの横展開
DBFluteに限ったことではないですが、開発が本格化する前にディベロッパーに実装スキルを習得してもらう必要があります。 "各自勉強しておくように" というのも悪くはありませんが、勉強会などでディベロッパーたちがスキルを共有 できるような形にしておくことで、スキル習得の効率も上がりますし、開発が始まってからの ディベロッパー同士の情報交換によるスキル向上 も望めます。
ディベロッパーのためのチュートリアル というページを用意していますので、ディベロッパーには必ず(一度は)このページを読んでもらうようにして下さい。 調べ物をするときのエントリページにもなりますので、ブラウザのブックマークに登録してもらうと良いでしょう。
DB変更時の再自動生成
DB変更が発生したら、もろもろ再自動生成します。
DBFluteのアップグレード
新しいDBFluteがリリースされたときに、DBFluteをアップグレードするか否かの決定とアップグレード作業をする必要があります。 移行時の注意 を必ず読んでスムーズに最新版のDBFluteをディベロッパーが利用できるようにしましょう。
特集コラム
デフォルトfalseだが、ほとんどtrueでOKのプロパティ
DBFluteとしては、どうしてもデフォルトで有効にできなかった機能があります。
でも、ほとんどの現場ではtrueにして機能の恩恵を受けたほうが良いものばかりなので、ぜひ確認して設定しておきましょう。
- 空文字は null に変換して登録・更新
- 空文字に意味を持たせないで良いのであれば。(そもそも持たせるとややこしい)
- 別名(和名)の設定やDBコメントの扱い
- DBコメントの中に、どういう形式で別名(和名)を含めるかを確認して設定しましょう。
- DBMSの挙動に関わらずテーブル名を大文字に
- 主に MySQL にて、"テーブル名大文字小文字区別なしモード" にするとメタデータが小文字になってしまうので。 (もちろん小文字のままでいいのであれば関係ないですが、もし、ERDなどドキュメントが大文字なのであれば、SchemaHTML上のテーブル名も合わせて大文字にした方が良いでしょう)
- ConditionBeanのメソッド調整
- true/falseものではないですが、通常はあまり使われないConditionBeanのquery系メソッドを自動生成されないようにしましょう。
- Exampleの設定を丸ごとコピーして使ってOKです。(何かあればつど微調整で)
- SchemaPolicyの設定
- 自分たちでDB設計するのであれば、ぜひ SchemaPolicyCheck しましょう。
EntityとDTOとの詰め替えは地道に
あえて強く言います
検索したEntityのデータを画面用のDTOに詰め替えする時や、またはその逆の時など、リフレクションでプロパティ名が同じ項目の値を自動で詰め替えしてくれるツールが世の中に多くありますが... DBFluteとの相性は最悪で、決して使うべきではありません。(Beanなんとかとか)
と、ちょっとあえて強く言いましたが、DBFluteでは全くオススメしません。なぜでしょうか?
リフレクション詰め替えとの相性は最悪
DBFluteは、DB変更に強いをテーマにしていますが、もしリフレクションでの詰め替えをやってしまうと、その影響範囲がコンパイルでは検知できなくなります。 名前が変わったりカラムが削除されたりしても、本当に影響があるのかどうかは実際に画面を動かしてみて、その項目の値を目視するまではわからないのです。
画面DTOを作成して詰め替えをするのはとても良いことです。JSPなどから直接 Entity を参照してしまうと、それこそコンパイルセーフの恩恵に預かれません。 逆にいうと、画面DTOまで作っておきながらリフレクションで詰め替えるのは本末転倒とも言えます。
完全に DBFlute のポリシーと反する機能であることがわかります。
予期せぬトラブルのオンパレード
また、DBFluteに限らず、このリフレクションを使ったやり方が多くのトラブルを生み出してきたのを見てきました。 項目名に処理が依存するということは、コンパイルセーフなJavaの中にメタプログラミングが紛れ込んでるとも言えます。 その気軽なメタプログラミングの扱いが、予期せぬ失敗を生み出すことがあります。 しかも、そのトラブルはとても原因を特定しづらく、デバッグに非常に時間がかかりやすいものであることが多いです。
さらには、カラムの利用状況を調べたいとおもうときに、Eclipseでいう "ctrl + shift + G" による呼び出しプログラムの検索が効かなくなります。これは地味ながら何気につらいことです。誰がそのカラムを get したり set したりしているのかがとてもわかりにくくなります。
費用対効果で考えると...地道が一番
昨今のIDE(Eclipseなど)ではメソッドの補完などが充実していて、例えばキャメルケースのコード補完などを使ってリズムよく書いていけば、ベタに書いたとしてもさほど書くコストは発生しません。
目の前の数分のコストをケチって、将来のややこしいバグを生み出す可能性をプログラムに埋め込むのは、あまり得策とは思えないのです。 DB項目を画面にマッピングする処理というのは、業務の根幹のロジックですから、そのはしっかりと書きたいところです。