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ブラックフライデー
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日中対立が高市の「政治的利益」に 高市早苗首相が「台湾有事」発言で中国を激怒させてから約3週間。中国政府は日本への渡航自粛を呼びかけたり、日本産水産物の輸入停止など経済的報復を強めている。対する高市も発言は撤回しないと強気の姿勢を崩さず、緊張緩和へ向けた糸口は見えないままだ。 そうしたなか、米国のメディアではこの日中対立が「日本国内での高市人気を押し上げている」と指摘する論調も見られる。 米外交誌「フォーリン・ポリシー」は、「日本の新首相は早くも最初の危機に直面している」と題した記事を掲載。そのタイトル通り、首相就任まもない高市がさっそく「外交の泥沼に自ら足を踏み入れた」と指摘し、彼女の台湾をめぐる発言が中国からの激しい反発を招いた現状と背景を説明している。
海外でキャリアを築きたいという思いがあっても、どこから一歩を踏み出せばいいかわからない人も多いのではないでしょうか。さらに、現代では多様な働き方を選択することも可能です。本連載では、海外で自分らしく働く女性の方々にご登場いただき、これからの時代の働き方を考えます。 川端芽衣(かわばためい)1989年生まれ。神奈川県出身、ロンドン在住。株式会社クレフ代表。フォーサイトデザイナー。国内外のメディア・スタートアップを経て、セントラル・セント・マーチンズ修士課程修了。AI倫理やヒューマニティを基盤とした北欧モデルのグリーンエコノミー実現を掲げながら、日欧を文化で繋ぎ、日本の魅力を世界へ発信する。日系大企業の女性が集まり、働き方や生き方を共に考えるコミュニティでも登壇予定。中東ドバイ3年、現在は英国在住6年目。1児の母。 大学時代に国際連合でインターンをしていたときに「ウーマンエンパワーメント」とい
グローバルサウスと呼ばれる国々が、「積極的非同盟」という外交方針をとるようになっている。その意義や有効性について、提唱者である米ボストン大学の研究教授で元在中チリ大使のホルヘ・ハイネに、オンラインメディア「カンバセーション」が聞く。 ──なじみがない人のためにうかがいますが、積極的非同盟とは何ですか? 積極的非同盟とは外交政策のあり方で、国々が各自の国益を最優先させ、米中という対立する大国のどちらにも与(くみ)することを拒むものです。1950〜60年代の「非同盟運動」に倣いつつも、それを21世紀のさまざまな現実に即してアップデートしています。 いま成長しているグローバルサウスは、非同盟運動を担っていた「第三世界」とは全然違います。現代のインド、トルコ、ブラジル、インドネシアなどの国々は、経済的な重要性でも手段でもより優れています。したがって、昔よりも選択肢があるのです。 そうした国々は、自
デンマークの精子バンクがドナーへのIQテストを導入した。子供を望む親たちに「知的な子供」をある程度保証する、前例のない選別だ。 デンマークの精子バンク「ドナー・ネットワーク」は、ドナーに対して少し特殊な選別をしている。知能指数(IQ)が85以上の男性の精子のみを取り扱うのだ。この「最低要件」について、デンマークの公共放送「DR」は11月8日、「おバカな精子はもう終わり」と見出しを打って報じた。 同社はもう一つ、「前科がないこと」という基準も導入したが、DRが注目しているのはIQに関する選別だ。
遺伝人類学者としてホモ・サピエンスの遺伝的進化と多様性を研究してきた、フランスの国立自然史博物学のエヴリン・エイェール教授。科学的研究活動のかたわら、彼は人種差別との闘いにも深く関わってきた。遺伝学の研究はいかにして偏見やステレオタイプを打ち砕けるのだろうか。オンラインメディア「カンガセーション」が取材した。 ※本稿の内容をさらに深掘りしたエイェール教授の著書はこちら。 ──ホモ・サピエンスの起源についてざっくりとした歴史を教えてください。 私たちホモ・サピエンスの歴史は約30万年前、アフリカで始まりました。ある特定の場所に出現したのではなく、いくつかの場所に出現したのだと考えられています。その後、私たちはアフリカで進化を重ねました。アフリカ大陸の外へと足を踏み出したのは約7万年前で、最終的にはオーストラリアまでたどりつきました。 長い期間、熱帯で生きていた私たちが、北のヨーロッパの地で暮
高市早苗首相の「台湾有事」発言の余波は広がりを見せるばかりだ。中国の台湾をめぐる武力行使は、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になりうるとしたその発言を、フランスメディアもさまざまな視点から伝える。 自民党の「右傾化」を裏付けた 台湾有事に関連した高市早苗首相の「存立危機事態」発言に中国が反発し、日中関係の緊張が高まっている。 仏紙「ル・モンド」は「中国との緊張で試される日本の平和主義」と題した記事で、新政権発足から1ヵ月足らずのこの事態に、日本人も「その深刻さを認識しはじめた」と伝える。 同紙は首相の発言について、「現実を反映したものだ」と肯定する。「日本の最西端の島、与那国島は台湾から100kmほどしか離れていない。その台湾に対する中国の攻撃に日本が距離をおくことは難しい。さらに、中国の軍事介入は台湾海峡の閉鎖を意味する。日本にとっては液化天然ガスをはじめとする物資の供給路
高市首相の台湾有事発言をめぐり、英紙「フィナンシャル・タイムズ」は、中国がこの騒動を「日米同盟の強さを見極める好機」と捉えていると指摘する。また米紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、習近平がトランプに直接電話を入れたのは、「日本を抑制しろ」と暗に迫るためとされ、高市発言の余波は大国間の駆け引きへと発展している。 11月24日、中国の習近平国家主席がドナルド・トランプ米大統領に電話をかけ、来年4月に北京を訪問するよう招待した。米メディアによれば、トランプの訪中は約1時間の電話会談で決まり、同会談では台湾問題やウクライナ情勢、両国の貿易協定などについて協議したという。 両首脳は10月末に韓国で会談しており、その際にトランプは4月の中国訪問について記者団に語っていた。したがって今回の電話会談で正式に招待を受けたということで、ここに大きなニュース性はない。 それより特筆すべきは、10月の会談では
かつてハゲタカと呼ばれたが… 迎賓館赤坂離宮は、日本を訪れた政府要人や王族などの賓客をもてなす国の施設だ。しかし、2025年9月に岸田文雄元首相がそこに迎え入れたのは、米プライベートエクイティ(PE)ファンド、コールバーグ・クラビス・アンド・ロバーツ(KKR)の顧客という、通常とは違う顔ぶれだった。 日本国内の企業幹部や銀行関係者など約100人が出席したその夕食会で、岸田はPEの素晴らしさを並べ立て、日本がそうした金融の専門家を必要としている理由を力説した。 未公開企業に投資するPEファンドが日本市場に初参入した四半世紀前とは雲泥の差である。当時、新聞はPEファンドをハゲタカファンド呼ばわりして批判し、政治家は表立った接触を避けていた。 そんなPEファンドがいまや勢いを増す存在となり、政府や企業といった日本のエスタブリッシュメント(既存勢力)は、停滞する実業界を刷新して業界再編に拍車をかけ
爽やかな秋晴れのある朝、秋田では市民が神経をとがらせていた。 通勤する人たちは鈴をつけたり、スプレー缶を携帯したりしながら、落ち葉が積もる通りを恐る恐る歩いている。子供たちは外出しないようにと言われている。 公園は、「立入禁止」と書かれた黄色いテープで封鎖され、その入口には恐ろしいシルエットが描かれた看板が立っている。自衛隊員が、近くの山林をパトロールし、防護盾を掲げ、罠を仕掛けている。上空にはドローンが飛んでいる。
韓国では通勤時間の長さが深刻な社会問題として浮上している。 最新の国際比較調査によると、韓国の平均通勤時間は1日1時間48分に達し、調査対象43ヵ国のなかで最長だった。同調査の世界平均は1時間8分で、韓国人の通勤時間はこれより40分長い計算になる。 ソウル郊外から都心部のIT企業に通う34歳の男性会社員は、往復2時間半の生活について「慣れたとはいえ、家に着く頃には完全に消耗している」と、韓国の英字紙「コリア・ヘラルド」に語っている。 彼のような長距離通勤者は決して珍しくない。ソウル研究所の調査によれば、ソウル市民の約14%が仕事や学校への往復に1日約2時間を費やしており、片道90分以上かける人も4.5%に達する。 なぜ韓国の通勤時間はここまで長くなったのか。背景にはいくつかの要因がある。主な理由のひとつとして挙げられるのが、住宅価格の高騰だ。
英紙「フィナンシャル・タイムズ」が、人気アニメ作品の聖地や京都・奈良といった特定の観光地ばかりに外国人が殺到する日本の現状に注目。訪日観光客や地元住民、専門家などに取材しながら、オーバーツーリズムに不満を募らせる日本人の複雑な心情と、改善策を考察している。 午後5時頃、絵に描いたように美しい夕陽が相模湾に沈もうとしていた。 台湾からやって来たジョシュア・リーが目指すのは、鎌倉高校前の踏切だ。 スリーピーススーツ姿のリーと、ブライダルガウンを着た婚約者は、車道の中央に走り出ると、わずか10秒ほどで記念写真を撮影した。すぐに他の観光客も狭い車道に流れ込み、憧れの聖地を背景に思い思いの写真を撮る。 海岸沿いの交差点の手前にあるその踏切は、日本の人気マンガ作品のアニメ版オープニングに登場する。 「彼女も私も『スラムダンク』の大ファンで、それが縁で出会ったんです」と話すリーは、まもなく花嫁となる女性
AIによって奪われる「新人の仕事」 生成AIの普及とセットでよく語られるのが、「雇用の喪失」だ。世界経済フォーラムが発表した「2025年 雇用の未来リポート」によると、雇用主の40%が、生成AIによる自動化が可能な業種においては、従業員を削減する見込みだと回答している。 また、報告書の作成やデータ入力など、いわゆる初級職の仕事を生成AIが担うようになったことで、若手社員が職場で経験を積む機会が失われつつあると、メディア「カンバセーション」は指摘している。 すでに、米国では新卒者の失業率が全体の失業率を上回ったという調査報告がある。
作家であり、イタリア紙「コリエーレ・デラ・セラ」のコラムニスト、ダーチャ・マライーニは、第二次世界対戦中の2年間を日本の強制収容所で過ごした。そんな彼女が、スペイン紙「エル・パイス」のインタビューに応じ、当時の壮絶な生活を振り返った。 イタリアの作家ダーチャ・マライーニ(89)は、生涯を通して物語を書いてきた。だが最良の作品は、彼女自身の内に隠されてきた。 第二次世界大戦中、マライーニ一家は日本に住んでいた。彼女は7歳で強制収容所に入れられ、そこで2年を過ごした。1943年9月、東京の当局に呼び出された両親は、ムッソリーニが北イタリアに樹立した最後の政権「サロ共和国」への賛同を示す署名を拒否した。そして投獄という代償を払ったのだった。マライーニは『わたしの人生』でその経験を綴っている。 山積みの本でいっぱいの、光溢れるローマの自宅の居間に腰を下ろしたマライーニは、両親が「ノー」と答えたとき
台湾有事についての高市早苗首相の答弁を機にした日中の関係悪化の波紋は、日ごとに大きさを増して世界に広がっている。このタイミングでの発言は国益にかなうのか──。保守派や高市首相の支持者からも、そんな声が漏れ出る。そうした意見は日本だけではない。英紙「フィナンシャル・タイムズ」は21日、高市首相の率直すぎた答弁と中国の姿勢を批判する社説を掲載した。 中国と日本の無駄な論争 中国のスタンダードである「戦狼外交」だったとしても、その言葉は行き過ぎていた。 「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」 今月初め、大阪の中国総領事・薛剣はSNSへ上記一文などを投稿した。この言葉は、「武力攻撃が発生したら、これは存立危機事態にあたる可能性が高い」と高市早苗首相が示唆したことに向けられたものだ。投稿はのちに削除されたものの、中国政府の憤慨はなおも強さを増し、中国人の渡航を制限する
1974年に日本人写真家6人が東京で立ち上げた「ワークショップ写真学校」に象徴される、日本の写真界の転換期に関する研究で、2024年度「渋沢・クローデル賞」(フランス側)を受賞したエリーズ・ヴォワイヨに、受賞記念講演会があった日仏会館で聞いた。 ──日本に関心を持ったきっかけは? 私はフランスの西部にあるケルローという、家が20軒あるかないかくらいの小さな村で生まれ育ちました。隣の隣の家は農家で、牛も豚も育てていました。いちばん近い町はゲランドで、塩の産地として有名です。 日本に関心を持ったきっかけは、ありきたりですがアニメと漫画でした。いまは漫画もあまり読まなくなりましたが、当時は好きでしたね。 都会に憧れ、大学は絶対にパリに行きたいと思っていました。18歳で、パリのエコール・デュ・ルーブルに入りました。そこでは美術史を学び、そのうちに美術史のなかでも写真に興味を持ちはじめ、写真研究のゼ
ビル・ゲイツでさえ、環境について書かれた「楽観的な」この本には驚いたと明かしている。『これからの地球のつくり方:データで導く「7つの視点」』(早川書房)でハナ・リッチー(32)は、既存の思想よりも数字を重視した「合理的なエコロジー」を、説得力を持って主張している。 英オックスフォード大学の研究者であり、世界の生活環境の変化を可視化するサイト「Our World in Data」の副編集長兼科学普及責任者も務める彼女は、巷に溢れかえる破滅的言説とは距離を置き、より現実的な視点で問題を捉えることを勧める。「問題」には、地球温暖化はもちろん、食糧問題、森林破壊、生物多様性の消滅、プラスチック汚染なども含まれる。 仏「レクスプレス」誌のインタビューで、リッチーは自らの楽観主義の理由を説明し、人々が統計学的な知識の欠如によって、どれだけ些細な行動に振り回されているかを解き明かす。たとえば、ビニール袋
資本主義が奪ったコモンとコミュニティ 斎藤幸平 私は2022年に、一般社団法人コモンフォレストジャパンを立ち上げて、みんなで山を共同購入して管理する活動をしています。いま(2025年時点)は3ヵ所に拠点があり、私は高尾山に月に一度行って、山の保全活動をしています。 共同購入した山は荒れ放題で、いわば資本主義に見捨てられている状態です。高尾のメインエリアには観光客が訪れていますが、裏高尾は手入れが行き届いていないので、それを再生していくのが目的です。 活動では高尾山の生態系や、重機を使わない伝統的なやり方で山を再生させる手法を学びます。 これは資本主義で失われたコモンを作りだす一つの実験でもあります。日々の喧騒から離れてふだんとはまったく違うコミュニティのなかで活動していると、その日の終わりには違う満足感が得られます。 四角大輔 話を伺っていると、コモンとコミュニティは重要なキーワードだと感
「今年に入ってから日本の治安が悪化し、日本で中国人が襲われる事件が多発し、未解決のものもある」 「日本の指導者が露骨な挑発をおこない、在日中国人の身体と生命の安全に重大なリスクをもたらしている」 11月14日、中国外務省は高市首相が国会でおこなった台湾有事への答弁を理由に、上記内容で中国国民に日本への渡航自粛をよびかけた。これらの内容の真偽については議論の余地があるにせよ、日中関係の劇的悪化が関連産業に打撃をもたらすだけでなく、周辺海域の地政学リスクを急激に引き上げることは間違いなさそうだ。 英紙「フィナンシャル・タイムズ」はこの問題を「5年前に安倍晋三元首相が同様の発言をして以来最悪となる、日中関係悪化のひとつ」とし、世界的に注目されてきた訪日インバウンド市場への影響や中国市場で需要の高い日本株の急落などを伝えた。 同紙が引き合いにしているのは、安倍元首相が退任後に台湾のシンポジウムで述
進む大型化 近年、欧州の新車はますます大型化が進んでいる。独紙「フランクフルター・アルゲマイネ」によると、ドイツでの小型車の販売台数は2014年から2024年にかけて約27万8000台から約8万台に急落している。 この間、フォード「Ka」、オペル「アダム」、フォルクスワーゲン「up!」など、代表的な小型車が軒並み廃番となった。 小型車は単に「売れなくなった」だけなのか──フランクフルター・アルゲマイネは、そう単純ではないと見ている。いわゆる「街乗り」しかしないドライバーは欧州にも多いし、欧州の街路は狭い。小型車の需要はあるはずだ。同紙は、欧州の自動車の規格が新車の大型化を促進していると指摘している。 小型車に不利な規制 現在の欧州の車両の分類には、重量が450キログラムまでのカテゴリー(主に屋根付きバイクに近いミニカーが想定され、型式承認に衝突試験などが義務ではない)の上には、重量3.5ト
経済格差や気候変動など、資本主義がもたらした弊害は大きい。 それらの問題は資本主義の修正によって解決できるのか。それとも、根本的なシステム変更が求められるのか。何より、「いま資本主義に囚われている私たち」にできることは何なのか。 作家の四角大輔と、『人新世の「資本論」』を著した斎藤幸平が考える、「資本主義と距離を置くこと」の大切さとは──。 『人新世の「資本論」』以降の変化 四角大輔 僕はこれまで、行き過ぎた資本主義が諸悪の根源だと思い、生きてきました。 『人新世の「資本論」』では、資本主義の根本的な問題と、カール・マルクスが目指していた社会像を学びました。 彼が提唱した、本来のコミュニズムは人道的かつ合理的で、これまで刷り込まれていた暴力的なものとはかけ離れていることを知りました。
アップルのティム・クック(65)CEOが来年にも退任する見通しで、すでに後任人事の準備が進められているという。英紙「フィナンシャル・タイムズ」が11月15日、同社の内部事情に詳しい関係者らの話として報じた。 同紙によると、後継者として最有力視されているのは、現在アップルでハードウェアエンジニアリング担当上級副社長を務めるジョン・ターナスだ。 いったいどんな人物なのか?
小説、映画、漫画にアニメ……私たちはいつも物語に囲まれながら暮らしている。生活に彩りを与えてくれるこれらは、どうして人の心を惹きつけてやまないのだろうか。物語そのものの構造を読み解き、設計図の一部を垣間見てみよう。 クーリエ・ジャポンの「今月の本棚」で11月に推薦された『物語論 基礎と応用』(橋本陽介)から、一部抜粋して紹介する。 プレミアム会員にご登録いただくと、クーリエ・ジャポンの「今月の本棚」コーナーで、著名人の推薦する書籍を毎月三冊、読み放題でお楽しみいただけます。この記事は、今月推薦された書籍の抜粋記事です。 物語の大枠は… 最初に取り上げるのは、『シン・ゴジラ』である。ゴジラは1954年に第一作が公開されて以来、シリーズものとして作られ続けているが、そのうちの一作として2016年に公開された。多くの観客に受け入れられたとおり、エンターテインメント作品として良質の作品だと思うが、
かつてない繁栄の時代を迎えつつあるはずの世界はいま、国家間の利己主義やポピュリズムの拡大によって自ら崩壊の道を歩みはじめている──フランスの経済学者で思想家、「欧州最高の知性」と称されるジャック・アタリが警鐘を鳴らす。 歴史から学ぶべき「3つの教訓」 どの時代の人々も自分たちは前例のない課題に直面していると考えがちだ。だが何度も繰り返されてきた同じパターンや私欲が、文明を弱体化させて滅ぼしてきたこともあれば、逆にそれを強めて繁栄へと導いたこともある。 過去から学ぶには、歴史における対称性や共鳴を読み取らなければならない。 たとえば、長い歴史のなかで繰り返されてきた大国の興亡は、いくつかの基本的な教訓を示している。第一の教訓は、覇権国家が2つの競合国と対峙したとき、その覇権国との紛争に突入しなかった競合国こそが、最終的に勝利を収めるというものだ。
こんにちは。編集長の南です。クーリエ・ジャポンは本日11月17日に創刊20周年を迎えることができました。これも日頃から支えてくださっている読者の皆様のおかげです。編集部を代表して、心より感謝申し上げます。 20年という年月はとても長いものですが、じつは私は創刊の約半年後に編集部に加わって以来、ずっとクーリエ・ジャポンの編集をしてきました。創刊の3年後に生まれた娘は、もう高校2年生。奇しくも娘の誕生日も11月17日で、誕生日を祝うたびにクーリエも創刊◯周年の数字を重ねてきて、ついに20になりました。 新聞の国際面はあまり読まれないなどと言われますが、そんななか、国際ニュースに特化したクーリエ・ジャポンを購読してくださっている皆さんには感謝しかありません。 ときどき、編集部主催のイベントなどで読者に直接お会いしますが、お話をお聞きすると「視野を広げてくれる」ところにクーリエの価値を感じていると
南仏の島で、裸で過ごすことの心地良さを覚えた女性米国人ライターが、毎年訪れるというルヴァン島の魅力を紹介。衣服の着脱自由なポイントも多くあるという同島は、「ナチュリスト」初心者にもうってつけの場所かもしれない。 屈曲する崖沿いにうねうねと続くトレイルコースの左手に、地中海の波がゴツゴツした岩場を取り巻いて渦を巻き、右手にはお花畑が広がる。 フランス全土の海岸線の4分の1には、かつて密輸を取り締まる税官吏たちがパトロールするために使用した「税官吏の道」が通じている。ここも同じ歴史的な歩道の一部なのだが、ひとつだけ違う点がある。それは、一糸まとわぬ姿で歩いてもよいことだ。 南仏イエール沖に浮かぶルヴァン島のヘリオポリス地区には、島唯一のナチュリストコミュニティがある。野趣に富む地上のエデンは93年前から、自由な精神を尊び、自然を愛する本物志向の人々を惹きつけてきた。 ここを訪れるたびにいつも目
Text by Valdemar Brimnes Ingemann Johansen and Christoffer Clemmensen 体重の減量はなぜこんなに難しいのか。そこには、生物学的にはっきりした理由があった。デンマークの医学者たちがわかりやすく解説し、根本的な解決策を提唱する。 この数十年、体重の減量は意志の問題だと言われてきた。食べる量を減らし、もっと動けばいいのだと──。だが、実際はそうでないことが、現代科学によって証明されつつある。 詳しい話に入る前に、まずは数十万年前にさかのぼり、われわれの祖先である原始人について調べてみよう。というのも、われわれがいま減量に苦労しているのは、多分にそうした先人のせいと言えるからだ。最終的には、自分の両親まで責めることになるかもしれない。 原始人にとって、体脂肪は生き死にを左右するものだった。少なすぎれば飢え死にしてしまうし、多すぎれ
京都府宇治市にある老舗の日本茶専門店・中村藤吉本店の前には、開店の1時間以上前から長蛇の列ができていた。 開店後に客が買えるのは、小さなブリキ缶に詰められた粉末の抹茶1缶だけだ。 客の国籍は、米国、タイ、オランダ、中国、ギリシャ、アルゼンチンとさまざま。なかにはお目当ての一品を入手するため、宇治に数日間滞在している熱心なファンもいる。 “抹茶バブル”で日本茶の価格が高騰 宇治は京都府南部の風光明媚な都市で、伝統的な茶の焙煎方法と数百年続く茶陶で知られる。この街にある日本茶の店はどこも抹茶が品薄で、開店から1時間と経たないうちにすべて消えていく。まるで、世界的な抹茶ブームの縮図のような光景だ。 静岡県で茶園を営む片平次郎は、世界中の商社やカフェ、小売業者から、うまみ成分に富む粉末抹茶を求める問い合わせがひっきりなしに入ると話す。 「アフリカのベナンからの問い合わせもありました。『ベナンってど
アフリカ生まれのインド系イスラム教徒の34歳。何もかもが異例の新ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニは、ユニークな経歴と生活に即した政策で支持を集め、市長選で劇的勝利を果たした。イカれた共産主義者、左派の新星、希望の象徴──。さまざまな評価を併せ持つマムダニの人物像と選挙戦術に、アメリカを含む各国関係者から注目が集まっている。 「イカれた共産主義者」 「アフリカに帰れ」 侮辱を追い風に 「それいけマルクス、ゾーよ行け!」 (ゾーはマムダニの愛称) 当初は無名だった移民の若者が破竹の勢いで現職らを追いやった快進撃は、反対派からも大きな注目を浴びた。ニューヨークの保守系タブロイド紙「ニューヨーク・ポスト」は11月5日付の紙面で、ニューヨーク市長に当選したマムダニが共産主義や旧ソ連を表す鎌と槌を持って笑う風刺イラストを一面に掲載した。
国際的なベストセラーの歴史家と、ノーベル平和賞受賞者であるジャーナリストと、元政治家が席を共にし、世界の現状と、世界がどこに向かおうとしているかを議論すると、どうなるか──。 ユヴァル・ノア・ハラリは中世史と軍事史が専門のイスラエルの歴史家で、人類の歴史を俯瞰する研究で最もよく知られる。著書には『サピエンス全史』、『ホモ・デウス』、そして最新作の『NEXUS 情報の人類史』がある。 マリア・レッサはノーベル平和賞の共同受賞者で、ニュースサイト「ラップラー」を創設したフィリピンと米国の二重国籍のジャーナリストだ。 ローリー・スチュワートは保守党の下院議員を務めたこともある英国の学者で、現在はイェール大学で国際関係を教えている。ポッドキャスト「ザ・レスト・イズ・ポリティクス」のライター兼共同ホストでもある。 鼎談の内容はAIの台頭から民主主義の危機、ドナルド・トランプ米大統領とウラジーミル・プ
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